ベンチャーキャピタル(上場3社)の平均年収は約937万円

ベンチャーキャピタル(VC)とは、ベンチャー企業向けの投資を行う投資ファンドです。

この記事では、ベンチャーキャピタルで働く方の年収について解説します。

ベンチャーキャピタルの種類や、求められる資格、ボーナス事情についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ベンチャーキャピタル(VC)とは

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に投資する投資会社の総称です。

ベンチャー企業が対象になるため、投資活動は総じてアグレッシブといえるでしょう。

ベンチャーキャピタルで働く人は、キャピタリストと呼ばれます。

ベンチャーキャピタルでは、有望なベンチャー企業に対して投資を行いますが、その業務内容は複雑です。

例えば、投資対象を探す「デューデリジェンス」、投資対象企業の成長支援、M&A売却やIPOなどの「EXIT(イグジット)」などがあります。

ベンチャーキャピタルの平均年収

ベンチャーキャピタルへの転職や就職を考えている場合、年収はどれくらいになるのかは気になるところでしょう。

年収を公開しているベンチャーキャピタルは少ないですが、上場企業の場合はIR資料などから、おおよその平均年収を確認できます。

ここでは、上場3社の平均年収を元に、ベンチャーキャピタルの年収について紹介します。

ベンチャーキャピタル上場3社の平均年収は約937万円

2021年3月の有価証券報告書にもとづく平均によれば、ベンチャーキャピタル上場3社の平均年収は、約937万円です。

今回参考にしたのは以下の3社です。

企業名 平均勤続年数 平均年齢 平均年間給与
フューチャーベンチャーキャピタル 4.4年 41歳 6,334,563円
日本アジア投資 13.4年 49.1歳 9,575,920円
ジャフコグループ 17.1年 44.3歳 12,207,541円

この3社だけをみても、平均年間給与、平均勤続年数、平均年齢、すべてかなり異なることがわかります。

ベンチャーキャピタルの平均年収は高め

上のデータに見てきたように、ベンチャーキャピタルにおいては上場3社の給与平均が約937万円です。

国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」の統計によると、日本の給与所得者の平均給与は433万円です。

ベンチャーキャピタルの年収は日本の平均給与と比較すると高収入であるといえます。

ベンチャーキャピタルのボーナス事情

ベンチャーキャピタルの年収は、ボーナスによって左右する部分も大きいです。

ボーナス基準は企業によって異なり、年俸制でボーナスがない企業や、上場やM&A にもとづくボーナスを規定として設けている企業もあります。

キャピタルゲインを得られた場合に規定の賞与を受け取れる制度では、1件につき数百万円の収入になるとみられます。

ベンチャーキャピタルの種類

2021年9月の段階で、国内におけるベンチャーキャピタルは214社あります。

2018年には202社だったため、会社の数としては緩やかに増加しているといえるでしょう。

これらのベンチャーキャピタルは、会社の母体や在り方によっていくつかの種類に分けられます。

ここでは、ベンチャーキャピタルの種類ごとにその概要を紹介します。

金融機関系ベンチャーキャピタル

金融機関系のベンチャーキャピタルは、証券会社や銀行が母体になっています。

このタイプのベンチャーキャピタルは、投資金額や投資数の多さが特徴です。

おもな金融機関系ベンチャーキャピタルとして三菱UFJキャピタルがあります。

大手の証券会社、銀行の持つ潤沢な資金力を元に活動を行い、金融や経営に対する知見もあることから、各社それぞれが投資会社として大きな成果を挙げる傾向です。

投資先の業種を問わないベンチャーキャピタルから、環境、ライフサイエンスなど投資先を絞るベンチャーキャピタルまで、各社さまざまな特色があります。

独立系ベンチャーキャピタル

独立系ベンチャーキャピタルは、親会社が存在せず独自に投資を行っている会社です。

独立系ベンチャーキャピタルも、企業ごとに特徴があります。

おもな独立系ベンチャーキャピタルは、グロービス・キャピタル・パートナーズ、 グローバルブレイン、 日本アジア投資などです。

グロービス・キャピタル・パートナーズはランサーズ、メルカリなど日本でも名だたる有名企業に投資してきた実績を持ちます。

グローバルブレインはM&A実績が多いのが特徴です。日本アジア投資は上場しており、アジア各国とのネットワークを活かして海外への投資も精力的に行っています。

政府系ベンチャーキャピタル

政府系ベンチャーキャピタルとは、中小企業投資育成株式会社法による、政府によるベンチャーキャピタルです。

公的資金を投入した投資による安定的な配当が特徴です。

投資目的は技術革新、産業の発達などに主眼が置かれていて、業種を絞ったファンドが存在しています。

おもな政府系ベンチャーキャピタルとしてDBJキャピタル、INCJなどが挙げられます。

DBJキャピタルは100%日本政策投資銀行出資のベンチャーキャピタルです。

INCJはリスクのある中長期投資を行い、産業の発達、転換を援助することを主眼に運営されています。

大学系ベンチャーキャピタル

大学系ベンチャーキャピタルは、大学発のベンチャーキャピタルです。

国立大学法人化による戦略強化の1つとして進められたもので、おもな大学系ベンチャーキャピタルは「東京大学エッジキャピタル」や「大阪大学ベンチャーキャピタル」などです。

東京大学エッジキャピタルは、東京大学も認める知的財産や人材を擁しています。

技術力の高い企業に対して多くの投資を行っています。

大阪大学ベンチャーキャピタルでは、大阪大学での研究を活用した新規事業に取り組む気鋭の会社に対して投資しています。

主にロボット、AI、省エネ事業といった分野に積極的な投資をしています。

事業会社系ベンチャーキャピタル

事業会社系ベンチャーキャピタルは、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とも呼ばれます。

ベンチャー企業との相互成長を目的のひとつとして、事業会社が母体となって運営しているベンチャーキャピタルです。

おもな事業会社系ベンチャーキャピタルとしては、電通イノベーションパートナーズ、STRIVE などがあります。

電通イノベーションパートナーズは電通の100%子会社で、テク系スタートアップ企業を対象に投資を行うのが特徴です。

STRIVEは、ゲーム事業をおこなうGREEの系列投資会社で、日本だけではなくインド、東南アジアへの投資実績も持っています。

地域系ベンチャーキャピタル

地域系ベンチャーキャピタルとは、特定の地域にある企業を対象に投資を行うベンチャーキャピタルのことです。

地元企業への投資が特徴で、地元の活性化に寄与する企業などが選ばれます。

おもな地域系ベンチャーキャピタルは「北海道ベンチャーキャピタル」や「新潟ベンチャーキャピタル」などです。

北海道ベンチャーキャピタルは、IT系のファイバーゲートやエコモットへの投資を行っており、ファンドによっては、農林漁業関連のみに絞っているものもあります。

新潟ベンチャーキャピタルは、新潟県内の有望企業に投資しており、代表的な投資先にはnote株式会社などがあります。

ベンチャーキャピタルで求められるスキルや資格

ベンチャーキャピタルで仕事をするために、必要な資格は特にありません。

法的な面や、経営面でのサポートを行うため、弁護士などの専門資格やMBA(経営学修士)などが、業務上役立つ資格として挙げられます。

MBAは経営に関わるさまざまな件、例えば財務や人事、マーケティングまでをカバーすることのできる資格です。

他には、業務に応じて証券アナリストや語学に関する知識も有益でしょう。

ベンチャーキャピタルによっては国際的な投資を行っている会社も多いため、英語のスキルはもちろん、アジア各国の言語なども役立つことがあります。

ベンチャーキャピタリストのキャリアパス

ベンチャーキャピタリストは、業界内や関連業界の転職が多い職業です。

ベンチャーキャピタリストをしていると、ベンチャー企業経営に関する経営スキルも身につくため、ベンチャーキャピタリストを卒業したあとは自分自身で起業される方も多いです。

投資ファンドの運営についての知識が身につくので、ファンドの立ち上げなども可能になるでしょう。

▼参考文献、ウェブサイト

フューチャーベンチャーキャピタル
日本アジア投資
ジャフコグループ
・国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査
・一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会「JVCA会員への投資方針アンケートを実施しました ~会員の9割以上が今後の投資を現状維持か増加へ~
・一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会「スタートアップエコシステムの現状および DBJ特定投資業務の貢献について

この記事の監修者

経理を主軸とした管理部門の方のキャリア支援を専門としており、特に伝統的な日系大手企業への転職に強みを持つ。その他にも国内外の会計事務所や、メーカー、商社、金融、IT、医薬ヘルスケア、消費財等々、多岐に渡る業界の企業との深いコネクションを有しており、会社規模もスタートアップから上場企業まで幅広く対応。

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