ベンチャーキャピタルはきつい?激務でも転職先として人気の理由
- 更新日:2025.07.08
ベンチャーキャピタルは、残業時間や拘束時間が長めであるケースが多く見られます。
その理由は、クライアント企業の経営者の都合に合わせて仕事をする必要があるためです。
キャピタリストは基本的に1名で複数案件を同時進行することが多く、この体制も激務と言われる背景にあるようです。
ベンチャーキャピタルに憧れを持つ方も多いですが、もしご自身が不向きであれば、せっかくベンチャーキャピタリストになってもきついと感じてしまうことも増えがちです。
この記事では、ベンチャーキャピタルがきついと言われる理由を解説します。
INDEX
ベンチャーキャピタルが「きつい」といわれる理由
ベンチャーキャピタルがきついと言われるのは、プレッシャーの大きい、責任感のある仕事であることが影響しているように思います。
ベンチャーキャピタルは成果主義であることが多く、先述した通り、勤務時間が長くなりがちであり、年収も高めです。
最初に、ベンチャーキャピタルの年収からきついと言われる理由を考察していきます。
ベンチャーキャピタルの年収
ベンチャーキャピタルは、年収が高めに設定されているケースが多いようです。
2021年3月の有価証券報告書にもとづく計算では、上場3社の平均年収が約937万円と、日本の平均年収の倍以上です。
ベンチャーキャピタルの年収が高い理由は大きく、
- 成果主義であるため
- 複数案件を同時に進めるため
- プレッシャーが大きい仕事であるため
- プライベートでも人脈作りを行う必要があるため
の3点があり、「きつい」と言われる理由にも少し関わります。以下で詳しく解説します。
成果主義であるため
ベンチャーキャピタルでは、長く在籍したり年収を上げたりするため、成果を挙げる必要があります。
社内では、個人主義の評価制度などを採用している会社が多いでしょう。
成果を挙げようとすると、必然的に投資先へのサポートが必要になります。
複数案件を同時に進めるため
ベンチャーキャピタルでは、投資結果が出るまでに長期間かかります。
投資をしてから成果に結びつくまでは、5~10年ほどかかかるといわれます。
したがって、継続的に成果を出していくためには複数案件を同時に進める必要があります。
それぞれのベンチャー企業に対してアドバイスやサポートをするため、キャピタリストは必然的に多忙になりがちです。
プレッシャーが大きい仕事であるため
先述した通り、ベンチャーキャピタルは基本的に成果主義です。
投資した会社が上場するなどで成果を上げなければ評価されません。
成果は自分の給与にも直結し、成果が上がるのとそうでないのとでは年収に数百万の差が出るともいわれます。
投資先から相談を受けたり、出資者から大きなリターンを期待されたりするため、常にプレッシャーが大きい環境と言えるでしょう。
プライベートでも人脈作りを行う必要があるため
キャピタリストは、情報収集のために人脈づくりが必要な仕事です。
人脈づくりは、投資先を早期に見つけることにもつながり、業界の最新情報を得たり、動向をうかがったりすることにも役立ちます。
休日などプライベートな時間も人脈づくりに費やすため、その分が高い年収に反映されていると考えると納得がいきます。
ベンチャーキャピタルとは
ここでは、ベンチャーキャピタルの仕事についておさらいします。
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に投資する投資会社です。
複数の投資家から資金を募ってファンドを立ち上げ、将来有望なベンチャー企業へと出資を行うのがベンチャーキャピタルの主な業務です。
スタートアップのベンチャー企業が上場できるよう、アドバイスや補助も行います。
投資によって会社を大きくし、最終的には上場もしくはIPOを果たした場合、ベンチャーキャピタルは株式を売却する等の方法で利益を獲得します。
ベンチャーキャピタルの仕事内容
ベンチャーキャピタルの主な仕事内容は、投資対象を探すことです。
将来的には上場をして、ベンチャーキャピタルに利益をもたらす有望なスタートアップ企業を、早い段階で探し出します。
投資した後は、投資対象企業の成長支援をするのも仕事のうちです。
経営判断やアドバイスで、より大きく成長できるよう努めます。
M&A売却やIPOなどを行って最終的には自社の利益が上がるよう、ベンチャー企業を導いていきます。
ベンチャーキャピタルの種類
ベンチャーキャピタルは投資会社であるため、金融機関が運営するベンチャーキャピタルが多く見られます。
その他、独立系や政府系、大学系など、ベンチャーキャピタルも多様化している時代です。
それぞれが母体の特徴を活かし、自社と提携できる企業、大学の研究を技術利用している企業など、投資対象を絞っています。
代表的なベンチャーキャピタル
金融系の大手はSMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルなどです。
銀行のノウハウを利用できるため、大きな投資金額が動いています。
独立系と呼ばれるベンチャーキャピタルには、ジャフコ、グロービス・キャピタル・パートナーズなどがあります。
親会社がなくベンチャーキャピタルとして独立している会社です。
政府系・大学系ベンチャーキャピタルはDBJキャピタル、INCJ、東京大学エッジキャピタルなどです。
ベンチャーキャピタルで求められるスキル
ベンチャーキャピタルではどのようなスキルが求められるかという点については、前項で紹介した種類によって求められるスキルも異なります。
どの会社でも、契約締結や経営支援を行ううえで、会計や法務の知識、コミュニケーション能力やコンサルティング能力は共通して必要です。
海外進出しているベンチャーキャピタルであれば英語や該当地域の言語、基本的なファイナンスに関連する知識や経験も重宝されます。
ベンチャーキャピタルで働くメリット
ベンチャーキャピタルはきついだけではなくメリットもある仕事です。ベンチャーキャピタルで働くメリットを解説します。
高収入を目指せる
前述の通り、ベンチャーキャピタルの年収は高い傾向にあります。
全体的に年収の上昇が停滞フェーズにある現代において、高い年収は大きな魅力となるでしょう。
ベンチャーキャピタルは成果主義のため、年功序列というわけではなく、入社時の年収に留まることもありません。
成果を挙げることで、より高収入を目指せるのもメリットです。
投資先のビジネスを成長させられる
ベンチャーキャピタルは、投資先のビジネスを成長させることで利益を得る仕事です。
ベンチャーキャピタルで必要な要素は、投資先を見つけてアドバイスを行い、投資先の経営者と協力しながら成長できる関係性を築くことです。
ベンチャー企業を世の中の役に立つ大きな企業へと成長させれば、自社だけでなく自分自身も大きなやりがいを得られるでしょう。
成功すればベンチャー企業からも信頼され、他の仕事では得られないやりがいにつながります。
さまざまな業界や人と関われる
ベンチャーキャピタルでは、さまざまな業界や人と関われます。
業務上経営陣との距離が近く、これは人脈を築くうえでも有益なことです。
さまざまな人と関わるのは、一人では知ることのできない幅広い世界を垣間見ることにもつながります。
コミュニケーションや、自分の知らない世界を楽しみながら成長していけるでしょう。
ベンチャーキャピタルへの転職を検討する際に知っておきたいこと
ベンチャーキャピタルへの転職にはどのような注意点があるでしょうか。
ベンチャーキャピタルへの転職を検討する際に、知っておきたいことについて解説します。
資格は必須ではない
ベンチャーキャピタルに転職するために、資格は必須ではありません。
業務上さまざまな知識を要するため、弁護士などの専門資格やMBA(経営学修士)などが業務に関わります。
海外を相手に投資をする会社を目指すなら、英語や、投資対象になっている国の母国語が話せると有意義でしょう。
税務、財務、会社経営など、関連するスキルや経験が役立ちます。
基本的に1人で業務をこなす
ベンチャーキャピタリストは、基本的に1人で業務をこなす仕事です。
複数の案件を1名のベンチャーキャピタリストが同時進行で進めていきます。
業務が多岐にわたるため、さまざまな知識が必要です。
投資や財務に関連する知識はもちろん、人間関係や心理といった一見投資とは全く関係ないようなことも役立つため、まさに「勉強の人生」となるでしょう。
長期的な観点で投資先の成長を見守る必要がある
ベンチャーキャピタルで仕事をするなら、長期的な視点が欠かせません。
投資先がキャピタルゲインを得るまでに年月を要する仕事だからです。
すぐに結果が出ないことはもちろん、その間の経済情勢などが投資先に悪影響を及ぼす可能性を常に念頭に置いておかなくてはなりません。
長期的に見て利益が得られるよう投資先にアドバイスをすることが求められます。
応募企業について見極める
ベンチャーキャピタルとひとくちに言っても、さまざまな企業があります。
転職活動においては企業の得意分野を見極めなくてはなりません。
自分に合った企業に応募すれば、転職後に充実した生活を送れる可能性が高まりますが、すぐにそれを見極めるのは難しいでしょう。
転職先企業をしっかり見極めるためには、業界を熟知した転職エージェントを活用するのもおすすめです。
この記事の監修者
経理を主軸とした管理部門の方のキャリア支援を専門としており、特に伝統的な日系大手企業への転職に強みを持つ。その他にも国内外の会計事務所や、メーカー、商社、金融、IT、医薬ヘルスケア、消費財等々、多岐に渡る業界の企業との深いコネクションを有しており、会社規模もスタートアップから上場企業まで幅広く対応。