ベンチャーキャピタル(VC)に向いている人の特徴
- 更新日:2025.07.08
ベンチャーキャピタルに自分が向いているか気になる人も多いでしょう。
この記事では、ベンチャーキャピタルの仕事に興味があるが、自身の適性と合うかどうかわからない人に向けて、ベンチャーキャピタルに向いている人の特徴を解説します。
INDEX
ベンチャーキャピタルに向いている人
まず最初に、ベンチャーキャピタルに向いている人の持っている能力や経験について解説します。
ベンチャー企業への投資に興味がある人
まずは第一に、ベンチャー企業への投資に高い関心があることは必須と言えます。
ベンチャー企業に興味があるということは、開拓精神があるという意味でもあります。
開拓精神が旺盛な人であれば、ベンチャー企業に対する投資にも積極的に取り組める可能性が高いといえるでしょう。
ベンチャー企業の価値を正しく見極めたいと考えている人や、未来のある企業が上場するための応援をしたいと考えている人であれば、ベンチャーキャピタルでの仕事は適職といえます。
投資に関する知識を持つ人
ベンチャーキャピタルで仕事をしていくためには、IPOやM&Aなどの知識が必要です。
したがって、あらかじめ投資に関する知識を持つ人であれば、入社した後も仕事がしやすいでしょう。
投資に関する知識があるだけでなく、財務状況などを把握する数値分析のスキルも必要でしょう。
ベンチャー企業の財務会計を見て、今どのような状況にあるのか、伸びるのかそうでないのかを判断する必要があるためです。
入社後も豊富なファイナンス知識を身に付ける必要があります。
コミュニケーション力がある人
ベンチャーキャピタルは、いわば中間管理職のような立場です。
投資先の経営陣と渡り合い、投資先の利益を考えながら自社の利益も確保しなければなりません。
そのためには年齢や立場が離れた相手ともやり取りのできる総合的なコミュニケーション力が求められます。
ベンチャーキャピタルには、コンサルタント出身の人も多いです。
単にビジネスライクなコミュニケーションではなく、起業家を励ますやさしさが求められるシーンもあります。
他業種との人脈がある人
ベンチャーキャピタルには、他業種との人脈がある人が向いています。
起業家とのつながりがあると企業を支援しやすくなるでしょう。
特に、スタートアップのベンチャー企業はつながりに乏しく、未上場の企業のなかから投資先を見つけるには人脈が鍵となります。
他のベンチャーキャピタルとの人脈も育てる必要があるでしょう。
1つのベンチャー企業への共同出資は競争ではなく、リスクを分散させる協力関係にあたるからです。
マネジメント経験者
経営の経験者は、ベンチャー企業の経営陣に対して親身にアドバイスができるため、マネジメント経験がある人はベンチャーキャピタルに適しているといえます。
経営はただお金の問題だけではありません。
実際に経営をした経験があれば、人間関係や金銭トラブル回避のスキルが活かせるでしょう。
特に組織運営はスタートアップの課題になりやすいため、立ち上げて日が浅いベンチャー企業にとっては、経験者の立場からマネジメントのアドバイスをもらえると非常に役立ちます。
ベンチャーキャピタルとは
改めてベンチャーキャピタルについておさらいします。
ベンチャーキャピタル(VC)とは、ベンチャー企業や、サービスリリース前後のベンチャー企業に投資する仕事です。
いまや大企業となったメルカリも、最初は小さなベンチャー企業で、VCからの投資を得て大きく成長しました。
このようにベンチャーキャピタルは、将来有望でも銀行に相手にされない企業に投資します。
利益が上がれば還元してもらうという方法で、ベンチャーキャピタル自体も大きく成長していきます。
ベンチャーキャピタルの仕事内容
ベンチャーキャピタルの仕事内容は投資だけではありません。
ここでは、ベンチャーキャピタルの仕事内容をチェックしてみましょう。
投資先を選定する
ベンチャーキャピタルの仕事は、投資先の選定(ソーシング)から始まります。
最終的にベンチャーキャピタルが利益を得るためには、利益を出す見込みのある投資先を見つける必要があります。
とりわけ、投資先の上場がベンチャーキャピタルの利益につながるため、今後の活躍によって上場する企業を見極めることが重要です。
投資先の企業価値を測定する
投資先の企業価値を測定する仕事(デュージェリエンス)も重要です。
デューデリジェンスでは、企業が持つ競争力・継続性・利益率などを調査して企業の人材や資産を評価します。
人事・IT・法務・税務まであらゆる方向からの調査が行われ、投資に値する企業であるかを査定してリスクの大小を判定します。
投資先へのコンサルティングを行う
ベンチャーキャピタルでは、投資先へのコンサルティング(バリューアップ)も行います。
ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業を上場させて利益の回収を目指す企業です。
したがって、ベンチャーキャピタルが上場までのベンチャー企業のサポート役を務めます。
社内外問わず、ビジネス全般の調整を行い、上場できるように企業を導きます。
組合員集会を開く
ベンチャーキャピタルでは、投資先の企業について状況を説明する組合員集会を開くこともあります。
これは、投資先となるベンチャー企業の利益率や財務状況をベンチャーキャピタルがまとめて説明するものです。
組合員集会では投資の活動報告とともに、今後の課題なども共有します。
ベンチャー企業にとっては今後の経営方針を決める材料ともいえるでしょう。
投資資金を回収する
投資資金の回収(エグジット)は、ベンチャーキャピタルにとって最も重要な利益となる仕事内容です。
投資先のベンチャー企業が上場企業になると、ベンチャーキャピタルは取得した株式を売却します。
これがベンチャーキャピタルの利益です。
ただし、IPOが見込まれる場合は保持しておくこともあります。近年ではM&Aも増えています。
ベンチャーキャピタルへの転職は未経験でも可能か
ベンチャーキャピタルにこれから転職をしたいと考えている人もいるでしょう。
未経験でもベンチャーキャピタルへの転職は可能なのでしょうか。
結論を言うと、20~30代前半であれば可能です。
ご自身の経験がある業界や専門性に特化したベンチャーキャピタルであれば、さらに転職しやすくなるといえます。
40代以降の場合は、ベンチャーキャピタルに限らず、未経験からの転職は難しくなります。
ベンチャーキャピタルの転職に活かせる資格
ベンチャーキャピタルの転職に活かせる資格には、例えば「MBA」があります。
MBA(経営学修士)のような経営に関する資格は企業へのアドバイスに役立つでしょう。
次いで、「公認会計士」「簿記」といった資格です。
簿記資格は財務分析に使えるため、ベンチャーキャピタルではどの仕事をするにも重宝します。
メジャーな英語の資格「TOEIC」「TOEFL」も、海外の案件は英語の読み書きが必須となるため、ベンチャーキャピタルへの転職に活かせる資格です。
ベンチャーキャピタルに転職する際の注意点
華やかな仕事と思われがちなベンチャーキャピタルですが、転職する際には注意点もあります。
理想としていた転職とのギャップを防ぐためにも、ベンチャーキャピタルについて注意点を把握しておきましょう。
企業が上場するまでは大変な場合がある
ベンチャーキャピタルはベンチャー企業が上場するまで、サポート役として伴走しながら、経営上のアドバイスなども行う立場です。
しかし、投資した企業が上場するまで順調にいかないケースもあるでしょう。
上場に苦戦すれば、キャピタリストの仕事もつらくなりがちです。
複数案件を同時に進行することもあり、ハードワークとなる時期はどうしても訪れます。
自分の生活の一部として仕事を楽しめる人には向いている仕事です。
成果が出るまでに長い時間がかかる
ベンチャーキャピタルは、投資が結果に結びつくまで5~10年はかかる仕事です。
したがって、すぐに結果を求める人には向いていません。
ベンチャー企業経営者の都合に合わせて働くことになるため、プライベートの時間は少なくなりがちです。
成果を挙げ、将来的なプライベートの充実に投資できるかどうかという意味では、重要なポイントといえます。
結論として、ベンチャーキャピタルには長期目線で企業の成長をサポートしたい人が向いているでしょう。
ベンチャーキャピタルの将来性
ベンチャーキャピタルの業界は活性化しているため、将来性は非常に期待できます。
ベンチャーキャピタルの成長にはベンチャー企業の成長が欠かせません。
デジタル化や技術革新がめざましい現代、成長企業の種も多く、その分ベンチャーキャピタルが活躍するチャンスも増えているのです。
ベンチャーキャピタルは求められるスキルが高い一方、その分リターンも大きい会社です。
これからの成長企業へ転職を考えているなら、ベンチャーキャピタルを視野に入れるのもよいのではないでしょうか。
この記事の監修者
経理を主軸とした管理部門の方のキャリア支援を専門としており、特に伝統的な日系大手企業への転職に強みを持つ。その他にも国内外の会計事務所や、メーカー、商社、金融、IT、医薬ヘルスケア、消費財等々、多岐に渡る業界の企業との深いコネクションを有しており、会社規模もスタートアップから上場企業まで幅広く対応。