管理会計に関する転職・キャリアパスについて解説
- 更新日:2025.08.22
管理会計の仕事は、日本ではあまり馴染みのない方々が多いのも事実です。そのため、特殊な仕事で転職やキャリアパスがわかりにくいという印象もあります。
この記事では、管理会計に関する仕事内容や、転職先・キャリアプランについて解説します。
管理会計の仕事の幅を広げる資格・スキルについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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INDEX
管理会計とは
管理会計とは、経営者や事業責任者が会社や事業を運営する、その意思決定に必要な情報を提供し、支援する会計です。
売上高やコスト、利益率、生産性など、経営の指標となりうる数値情報などを元に現状を分析し、課題の確認、今後の見通しや改善策の提案まで含めた情報の提供、管理を主な業務としています。
その具体的な対象業務範囲は、会社のニーズにより異なってきます。管理会計を担当する職種としては、FP&A等があります。
管理会計と財務会計の違い
財務会計とは、社外の利害関係者向けに会社の財務状況を報告するための会計であり、経理がその業務を担います。通常、損益計算書や貸借対照表などを定期的に作成して開示するというもので、決められた会計基準に基づいて、決められたフォームで作成します。
管理会計は単なる業績報告にとどまらず、今後の会社経営をどのようにしていくのか、改善していくのか、の観点で、必要な数値の情報を生かした業務であるという点が財務会計との大きな違いになります。
管理会計に関する具体的な業務内容
管理会計に関する業務は、2つの観点でその内容が定義されます。
1つ目は、何を対象とするのか、2つ目は、どのように数値を扱うのか、です。
管理会計の対象は、その会社のニーズにより、決まります。売上高、売上原価、利益率、経費率、キャッシュフローなど、さまざまです。またそれをどのような単位で確認するのか、もまた会社のニーズによります。大きな会社であれば、事業部ごとに、営業部ごと、製品ごと、販売チャネルごと、などで確認をします。その業績について責任を持ち、意思決定、改善活動を行える単位で管理、確認を行うのが一般的です。
管理会計では、その管理対象に対して、次のようなアプローチで業務を遂行していくことが一般的です。
- 業績の締め
- 過去の業績分析
- 将来の業績予測
- 経営者・責任者への報告
- 中長期業績計画
通常、1ヶ月サイクルで、1から4の流れで業務を行います。
例えば、ある事業部の利益率を対象として、先月の結果が出ると、その業績の締め、結果のとりまとめを行い、分析をして、その結果になった理由を確認します。もともとの目標や予測との対比、予実管理の結果も確認します。結果をもとに、今後の業績予測を行います。そのためには、事業部の関連する人々からのヒアリングも行います。業績予測とともに、目標との乖離があれば、その改善策をとりまとめます。それらをまとめて、事業責任者へ報告をします。
1ヶ月サイクルの業務の他に、5の中長期業績計画の作成という業務もあります。通常、会社では、会社の将来の成長を考え、中長期計画を作成します。そこで、管理会計では、翌年度、またはそれ以降の業績予測、目標値の設定を行います。経営者、事業責任者とともに、過去の業績、直近の業績予測、今後の見通し、市場の動向などをもとにした会社としての目標を作成します。
管理会計の経験を活かしたキャリアパス
管理会計の仕事は、通常FP&Aという職種で言われるように、外資系企業に多い仕事です。
外資系企業では、経理、財務、税務、購買、FP&Aなどの事務職をまとめてFinanceと表現し、CFOが組織を束ねているということが多いです。会社の規模によっては、Financeに売掛請求管理や業務、総務などのバックエンドの部門、ITや内部監査などが含まれることもあります。
管理会計の業務を担うFP&Aでは、通常、会社全体、または特定の事業部の損益計算書や貸借対照表の一部分を担当するところからキャリアをスタートします。そして、他の部分を担当して経験を重ね、会社全体、または事業部全体の損益計算書、貸借対照表を管理する役割、Consolidation担当者として、各担当者のリーダー的な役割を担います。その後、FP&A Managerとして責任者になります。
Finance組織では、その後のキャリアパスについて、組織の重点によってアプローチが2通りあります。
1つ目は、財務会計、経理の側面の強い組織で、CFOの下にControllerが置かれ、経理担当者のキャリアパスが強い環境となっています。
2つ目は、管理会計、FP&Aの側面の強い組織で、CFOの下にFinance Directorが置かれています。そこでは、そもそも経理業務がアウトソーシングされていることもあります。
前者の場合でCFOを目指すのであれば、経理のキャリアを積む必要があります。管理会計と財務会計の両方のスキルを持てるので、CFOを目指すためには、バランスのとれたキャリアになります。
後者の場合には、FP&A ManagerからFinance Director、CFOを目指していけるキャリアパスがあります。
また、管理会計のスキルや経験は、そのさまざまな関連する業務を通じての数値認識や原因・状況把握の蓄積に裏付けられたもので、幅広い他業務にも役立つものです。
そのため、キャリアパスは経理に限らず、財務、税務、内部監査、など、自身の興味ある社内業務の職種に広げていけますし、社内の状況を理解した上で効率的に社内と連携して、対外への営業活動を行えるという点でビジネスを直接担う事業部門への転身もキャリアパスの一つになります。
管理会計の経験を活かした転職先
管理会計は外資系企業に多い業務であることから、転職先としては、まず外資系企業が対象になってきます。
外資系企業も業種から規模までさまざまで、管理会計の業務を担う人数が一人しかいない会社もあれば、複数担当者のいるチームを事業部ごとに抱える会社もありますが、大抵の外資系企業には管理会計の仕事は存在します。
また、日本企業でも、近年、管理会計業務を行う会社が増えてきています。
特に大手企業で企業文化の改革に積極的な企業では、FP&Aの職種が新設、増員されています。FP&Aという名前ではなくても、経営企画などのポジションで、実際には管理会計の仕事も含んでいる職種もあります。日本企業における管理会計の仕事の需要はこれからますます増えていきます。
管理会計の仕事の幅を広げる資格・スキル
管理会計の仕事は、数値を扱う仕事ではありますが、実際には、その数値やその動きの意味するところは何か、どういう背景があって、どのように理解し、会社をどのように改善していくのかを考え、伝えるのが主旨になります。ですので、基本的な会計に関するスキルや資格だけではなく、その知識、経験を生かすスキルが必要になってきます。
資格の観点では、管理会計の仕事が外資系企業に多いことから、会計に関する知識、会計を元にした経営の知識を持ち合わせている点で、USCPAやMBAといった資格が重宝されます。日本企業であれば、同様に公認会計士の資格は評価されます。
また、外資系企業であれば、上位組織との適切なコミュニケーションのためにも、TOEICなどの英語検定で高得点を取得しておくことが必要です。これらの資格は業務に直接役立つだけでなく、転職候補先でも評価され、さまざまな転職の選択肢を持つことにも役立ちます。
スキルの観点では、直接の管理会計の知識だけはなく、経理とのコミュニケーションも多いことから、財務会計の知識も必要になりますし、対象とするビジネスの業務知識、社内の関連部門の業務に関する知識も必要になります。
また、その知識を生かし、数値を見て分析するデータ分析力、データを効率よく収集するためのITスキル、関連部門からの情報収集を行う際、また経営者や事業部門責任者へ的確に説明する際に求められるコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力といった、一般的なスキルが必要になります。
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この記事では、管理会計に関する仕事内容や、転職先・キャリアプランについて解説しました。
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この記事の監修者
経理を主軸とした管理部門の方のキャリア支援を専門としており、特に伝統的な日系大手企業への転職に強みを持つ。その他にも国内外の会計事務所や、メーカー、商社、金融、IT、医薬ヘルスケア、消費財等々、多岐に渡る業界の企業との深いコネクションを有しており、会社規模もスタートアップから上場企業まで幅広く対応。
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