経理の平均年収と年収を上げる方法
- 更新日:2025.08.22
経理の仕事は、会社のお金の流れ(入出金)をスムーズに行えるよう管理することです。
経理の仕事は、成績が収入に直接的に反映されやすい営業等の職種とは異なり、わかりやすい業績などで判断しづらいです。
そのため評価や現在の報酬が適正なのか、判断出来ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、経理として働いている方や経理の仕事に関心がある人に向けて、経理の年収相場と年収を上げる方法を解説しています。
経理としてキャリアアップを目指している方、経理のキャリアに興味がある方等はぜひ参考にしてみてください。
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INDEX
経理の年収
経理職の年収について、「平均年収」「年齢別年収」「雇用形態別年収」「男女別年収」「役職別年収」「企業規模別年収」の区分で見てみましょう。
平均年収
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、経理職(会計事務従事者)の平均年収は約450万円となっています。
年齢別年収
一般社団法人人材サービス産業協議会の「転職賃金相場2022」によると、経理の年齢別年収は、
- 20代後半~30代前半:年収300~399万円
- 20代後半~40代 :年収400~599万円
- 30代~40代前半 :年収600~799万円
- 30代後半~50代 :年収800~999万円
- 40代~50代 :年収1,000~万円
となっています。
経理だけに限ったことではありませんが年齢と比例して、収入が上がる傾向が見られます。
ただ、同じ年代でもスキルや役職によって年収に幅があることがわかります。
雇用形態別年収
次に、経理の雇用形態別の年収を見てみると、
- 正社員:年収300~600万円
- 派遣社員:年収200~300万円
- パート・アルバイト:年収100~200万円
となっています。
派遣社員やパート・アルバイトの賃金は時給制であることが多いため、どの程度働くかによって年収は異なります。
そのため一概に比較はできませんが、正社員の方が年収は高い傾向にあります。
男女別年収
経理職の男女別平均年収は、
- 男性:平均約568万円
- 女性:平均約393万円
となっています。男性の方が、やや年収が高い状況です。他の職種も含めた全体の男女別平均年収は、
- 男性:約337万円
- 女性:約253万円
となっており、男女ともに経理職の方が年収が高くなっています(参考:「令和3年賃金構造基本統計調査」)。
女性の平均年収が男性より低いのは、女性は非正規雇用者の割合が多いことが考えられます。
経理の仕事は専門性が高いため、他の職種と比べてスキルや知識が重視される傾向があります。
スキルと知識があれば、女性も活躍しやすいのが特徴です。
出産・育児などでブランクがあっても、経理職としての業務経験があれば復帰しやすい職種といえます。
また、2015年8月に成立した女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)をきっかけに、女性管理職の候補を求める企業も増加しています。
この傾向は経理職についても同様です。経理職の女性においても、マネジメント業務で活躍できる環境は整ってきています。
役職別年収
続いて、役職ごとの経理の年収は、
- 役職なし:300~599万円
- 課長クラス:600~799万円
- 部長クラス以上:800万円以上
となっています。
企業規模別年収
最後に、経理の企業規模別の年収は、
- 個人企業:400万円未満
- 中小企業:400~600万円
- 大企業:600~800万円
となっています。
※個人企業は従業員10人未満(労働基準法89条参照)、中小企業は従業員300人以下(中小企業基本法2条1号参照)、大企業は従業員300人超(上場企業等)が基準となっています。
経理の仕事内容は企業の組織が大きくなるに連れて専門化していき、大企業になると特定の業務のスペシャリストになっていきます。
一般的には企業規模が大きければ大きいほど年収は高い傾向にあるといえるでしょう。
なお年収は企業の規模や地域によって異なるため、1つの参考としてください。
他職種と経理の年収の比較
経理の年収と、管理系職種である法務・人事の年収を比較します。
いずれの職種も20代後半〜30代前半の年収を使用しています。
- 経理:300~600万円
- 法務:300~600万円
- 人事:300~500万円
給与の高低は企業やスキルによって大きく異なりますが、前述の調査では、経理の年収は人事より少し高く、法務と同程度と言えます。
企業のバックオフィス部門・管理部門と言われる仕事は、大きく年収が異なるわけではありません。
どの職種かよりも、年齢や企業規模のほうが影響は大きいと言えるでしょう。
経理が年収を上げる方法
前述したように、年齢が上がれば上がるほど、役職が上がれば上がるほど、収入は高くなる傾向があります。
しかし、経理職が年収を上げる方法はこれだけではありません。
経理職にかぎらず、年収を上げる方法は、
- 現在の勤務先で年収を上げる
- 転職して年収を上げる
- 副業などを行う
の3つが考えられます。
この記事では副業に関しては触れず、会社員として働くことで年収を上げる方法について解説を行います。
現在の勤務先で年収を上げる
まず、経理職が現在の勤務先で年収を上げる方法です。
前述したように、多くの企業では年齢が上がれば上がるほど、役職が上がれば上がるほど、収入は高くなる傾向があります。
多くの企業に当てはまりますが、絶対のルールではありません。
やるべきことを解説します。
人事考課制度を確認する
現在の勤務先で年収を上げる方法の前提として、まず現在の勤務先の人事考課制度を確認しましょう。
経理職に限りませんが、従業員の年収は勤務先の人事考課制度で決まります。
人事考課制度とは、従業員の職務経験やスキルを昇給・昇格に反映する制度のことです。
勤務先の人事考課制度が給与を上げるためのルールになるので、そのルールに沿った行動・成果を出すように心がけましょう。
一般的にはマネジメントや育成に携わる管理職に昇給することや資格や語学力を身に付けることが昇給・昇格の条件や考慮要素となっていることが多いです。
マネジメントや育成に携わる、管理職を目指す
前述のとおり、一般的にマネジメントや育成に携わると昇給となる制度のある企業は多いです。
最もわかりやすいのは管理職やマネージャーとなり、任命された課や部のマネジメントや社員の育成をすることです。
管理職となるには経理業務のスキルの向上の他、人望やコミュニケーション能力といった人柄も必要です。
管理職になると基本給が上がったり、役職手当が付く等により年収が上がることがあります。
どうやったら管理職になれるかわからないという方は、シンプルに現在の上長に「どうやったらマネージャーになれるか」聞くのが一番良いのではないでしょうか。
上昇意欲のある部下は、上司から見れば嬉しいものです。上司からのフィードバックで、自分に足りないこと・求められていることが発見出来るかもしれません。
それをせずに、語学のスキルや他のインプットに励んでも、それが管理職のポジションを得ることにつながるとは限りません。
どうすれば、年収を上げる条件を満たせるのかを把握し、それにあった行動を行いましょう。
転職して年収を上げる
次に、経理職が転職して年収を上げる方法です。
前述したように、今の勤務先で年収を上げるには、ある程度長く働き、管理職を目指すことが多くなります。
営業職などの短期的に成果の出やすい職種とは異なり、管理部門はすぐに成果が分かるものではないので、より短期で年収を上げる難易度は高いでしょう。
もっと短期的に年収を上げたい、今の勤務先はもういいと考えている方が年収を上げるには、よりよい条件の企業に転職することになります。
年収を上げる転職の考え方についてつづいて説明を行います。
経理の年収が高い企業の特徴
経理に限ったことではありませんが、年収は、
- 業界
- 業界内のシェア
でほとんど決まります。
便宜上2つを並列して記載していますが、年収への影響が大きいのは業界で、業界内のシェアの影響は業界そのものよりも小さいです。
年収は業界で決まる
大前提として知っておいていただきいたのは、年収はほぼ業界で決まるということです。
年収の高い業界の例として、コンサルティング業界、製薬業界、金融業界などがあります。
こうした企業は売上に対する粗利益が高く、事業構造上、人件費に分配出来るお金が潤沢です。
一方で、サービス業などは粗利益が低く、構造上、人件費に分配出来る額が多くありません。
こうした事業・ビジネスの構造によって、年収相場は決まってきます。
サービス業でどれだけ良い業績・シェアをもっている企業でも、他業界に比べ従業員の年収が低いことはザラにあります。
これは構造的なものなので、いい悪いではなく、個人が変えられることではありません。
そのため職種を問わず、年収を上げたいのであれば、「年収の高い業界で働く」ということが最短の道です。
業界内のシェアが高い企業
先に年収相場は業界によって決まると述べました。
さらに、同じ業界内であればシェアが大きい企業はシェアの小さい企業に比べて従業員の年収が高くなる傾向にあります。
したがって、経理の年収を上げるには業界内のシェアが大きい企業で働くことも要素の1つとなります。
一般的に高年収と言われる外資系企業
外資系企業は一般的に高年収と言われます。
この観点は少しズレますが、外資系企業が一般的に高年収なのは、人事考課制度が能力重視の傾向にあるといった点で、人事考課制度が影響しています。
年収を上げるには外資系企業で働くことも検討できるでしょう。
年収の高い業界で、トップシェアの外資系企業などは非常に良い条件の年収を得やすい職場といえるでしょう。
経理が転職で年収を上げるために必要なスキル
経理が転職で年収を上げるために、よく求められるスキルを紹介します。
経理業務を早く正確に進めるスキル
業務をミスなく、滞りなく進行することは、経理に限らず基本的にはどの職種でも重要です。
特に経理は、会社のお金を期限内に動かし、正しく管理・報告する必要があるため、業務でミスが起きたり滞ったりすると、企業の信用や存続にも影響します。
逆に言うと、経理業務を早く正確に進められる知識とスキルを持っていれば、それが評価につながります。
コミュニケーション能力
経理は会社の財政状態や経営成績などを管理するため、経営陣とのコミュニケーションが多くなります。
ポイントを分かりやすく説明できると経営陣からの評価も得やすく、出世・年収アップにつながりやすいでしょう。
また、経営陣以外との連携も重要になります。
例えば「電子帳簿保存法」「改正電子帳簿保存法」の施行に伴い、取引先との請求書のやり取りの仕方、保存形式を変えなければいけなくなったり、時期が延期されたりしました。
社内全体に新たなルールを、素早く正確に伝えなければならなくなった典型例といえます。
組織のお金にかかわる法令は今後も頻繁に出てくる可能性が高いです。
トラブルなく変更されたルールを実行するためには、コミュニケーション能力が重要になります。
経理が転職で年収を上げるために評価されやすい経験の一例
続いて、経理が転職で年収を上げるためによく求められる経験の一例を紹介します。
プロジェクトに参加した経験
日頃の定常的な業務だけでなく、会社の状況に応じて臨時のプロジェクトも出てきます。
一例として新しい基幹システムを導入することになった場合、経理のメンバーだけでなくシステム担当者とも一緒に業務を進めることになります。
いつ、どのタイミングで、誰との間で、何のお金が出入りするのか、そのときの勘定科目は何が該当するのかなど、経理以外の関係者にも分かりやすく伝えながらプロジェクトを進める能力も必要になります。
こうしたプロジェクトに参加した経験は、転職活動において非常にプラスに評価されます。
IPO(上場)の経験
企業が上場するためには様々な準備が必要になります。
財務諸表の作成に加えて、開示業務、証券会社の審査対応や監査なども行います。
その分、経理職としての業務領域、経験を積めるチャンスにもなります。
こうした背景から、IPO経験のある経理は希少な人材で、市場価値が高くなります。
上場を経験した後、別の上場準備を始める企業に転職し、さらに市場価値を高めていく方もいます。
年収1,000万円を超える経理の求人例
年収1,000万円を超える経理の求人の例として、
- 年収の高い業界の経理管理職
- 外資系企業の経理
を紹介します。
年収の高い業界の経理管理職
ここまで述べてきたように、年収はほぼ業界とそのシェアで決まることになります。
そのため、年収1,000万円を超えるような経理の仕事は、年収の高い業界の経理の部署の管理職です。
経理スタッフなどの求人よりは当然高い能力が求められ、応募資格には
- 上場企業の連結決算業務経験をお持ちの方
- 財務の実務経験をお持ちの方
- 部下のマネジメント経験をお持ちの方
といった記載があることが多いです。
大手企業は取引先や従業員が多いため、高度な経理業務能力及びマネジメント能力および実務経験が求められます。
※業界によっては、ほぼ同一の募集条件だったとしても、600~800万円程度になることもあるでしょう。
外資系企業の経理
他にも一部ですが、外資系企業の経理は年収1,000万円を超える求人があります。
応募資格には、以下のような能力や条件が要求されていることが多いです。
- GAAPに従った決算、英語での決算経験があること
- 経理の実務経験10年以上をお持ちの方
いずれも一般の経理の求人より高い能力・条件です。
GAAPとは、適用すべき会計基準のことを指します。GPPAは日本では企業会計原則、アメリカでは米国会計基準、といったように国ごとに異なります。
外資系企業は日本以外の会計基準や言語に対応する必要があるため、外資系企業の経理は異なる会計基準と英語力を使った経理業務能力が要求されます。
まとめ
経理はどんな業種にも求められる職種です。
会計ソフトなどの登場によって経理職がいらなくなるといった意見もありますが、2022年時点では経理の中途採用のニーズは非常に高く、専門性を持った方であれば好条件で転職することも容易でしょう。
職種ごとの年収相場はあくまで目安であり、業界による年収差のほうが大きくなります。
そのため自身の年収アップを考えている経理職の方や経理職を目指す方は、自分が選考を望む企業の業界を意識するとよいでしょう。
またこの記事では経理職としての年収相場、年収を上げる方法について記載しましたが、経理職から、会計や税務など業務の幅を広げていって年収を上げる方法もあります。
この記事を作成しているアガルートキャリアは、弁護士や会計士などの士業、経理・財務、法務、人事などの企業の管理部門、バックオフィス部門に特化した転職エージェントです。
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この記事の監修者
経理を主軸とした管理部門の方のキャリア支援を専門としており、特に伝統的な日系大手企業への転職に強みを持つ。その他にも国内外の会計事務所や、メーカー、商社、金融、IT、医薬ヘルスケア、消費財等々、多岐に渡る業界の企業との深いコネクションを有しており、会社規模もスタートアップから上場企業まで幅広く対応。
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