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「法務はガードレールのような存在」ビジネスのスピードとリスクコントロールを両立させるソースネクスト
ソースネクスト株式会社/ポケトーク株式会社
CLO/管理ディビジョン 法務チーム マネージャー
櫻田 晋太郎様/田中 一樹様
AI通訳機「ポケトーク」をはじめ、ソフトウェアからIoT、AI領域まで多角的に事業を展開するソースネクスト株式会社(以下、ソースネクスト)。同社の法務組織はわずか6名という少数精鋭ですが、ビジネスのスピードとリスクのコントロールを両立させています。
「次の常識を作る」という企業理念のもとビジネスの最前線に立ち続ける法務組織でCLOを務める櫻田様と、ポケトークのリーガルマネージャーを担う田中様にインタビューを行いました。
本記事では伺ったお話から一部を抜粋して紹介いたしました。インタビューの全編を収めた完全版動画は弊社メールマガジンへのご登録者限定でご提供しております。
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個人の側に立つ弁護士から企業法務へ転向

ソースネクスト株式会社 CLO 櫻田 晋太郎様(左)/ポケトーク株式会社 管理ディビジョン 法務チーム マネージャー 田中 一樹様(右)
お二人の簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか。
櫻田 櫻田と申します。69期の弁護士で、2022年4月にソースネクストに入社しました。法務の責任者を務めております。
田中 田中と申します。私は企業法務で16年ほど務めてまいりまして、2023年10月にソースネクストのリーガルチームに参画いたしました。
2024年10月、ちょうど1年後にポケトーク株式会社(以下、ポケトーク)のマネージャーとして法務チームを率いるという形になっています。
櫻田様はもともと一般民事の事務所でキャリアをスタートされたとお聞きしました。
櫻田 そうなんです。一番最初は弁護団事件や医療事件など、どちらかというと企業側ではなく個人側に立つ弁護士になることを目指していました。そのため最初のキャリアはおっしゃる通り一般民事の事務所でした。
ただ、企業法務への憧れもあって、事業会社も実は何社か受けていたんです。その中の1つがソースネクストだったんですね。
本当にいい会社だなとは思ったんですが、当時は弁護士になりたい気持ちが強くてお断りをしました。その後お声がけいただいて、外部からリーガルサービスを提供するという形で、ご縁をいただいたというのが経緯です。
一方で田中様は企業法務一筋で16年とのことですが、ソースネクスト入社後にポケトークへ移られたということでしょうか。
田中 そうです。私が入社する前にポケトークはすでに設立されていました。入社から1年後に転籍になって、法務チームのマネージャーに就任しました。
「次の常識を作る」会社が持つ法務組織の全貌
ソースネクストの概要を教えてください。
櫻田 当社は「製品を通じて世界中の人々に喜びと感動を広げる」というミッションを掲げています。
元々はソフトウェアメーカーとして出発しましたが、その後AI通訳機「ポケトーク」をはじめとするIoT製品を数多く展開してきました。また最近はAIにも力を入れて、どんどん新しいことに挑戦しています。
「ソースネクスト=Source Next」という社名自体が「We source what’s next.」から来ている造語で、「次の常識を作る」というのが我々のテーマになっています。
法務組織の規模感はどのくらいでしょうか。
櫻田 ソースネクストとポケトークを合わせて6名の体制でやっています。ポケトーク側は田中と業務委託のメンバーだけで、ソースネクスト本体も正社員は私を含めて2名です。
顧問弁護士の方や専門家の方にも入っていただきながら、力を合わせて法務を行っています。
田中様はポケトークに関わるものはすべて目を通しているのですか。
田中 はい、ポケトークに関わる法務業務は全て担っています。チームの人数こそ少ないですが、外部の専門家の方とも連携しながら対応しています。
経営陣のすぐ隣で、製品開発の現場に入り込む
経営陣と法務の距離感はどのようなものでしょうか。たとえば新しいビジネスに取り組む際も、早い段階から法務が関わっていくのですか?
櫻田 そこが当社法務の一番の特徴と言っても過言ではないくらいです。経営陣と法務がとても近い会社だなと思っています。
田中 製品開発の定例ミーティングにも参加して、「こういう仕組みを導入しようと思っているけど、どういったリスクがあるか」といった知財に関するアドバイスも行います。
早い段階から相談してもらえるので、製品をとても身近に感じながら仕事ができています。
ソフトウェアだけでなくハードウェアも扱う会社となると、求められる領域もかなり広そうですね。
田中 仰る通り、幅広い法務的な領域を理解しないといけません。ハードウェアに関する法令は多岐に渡っていますし、世界各国にそれぞれの規制があります。国内外の法律をよく見ながら、特に重要な市場を中心に検討しています。
新製品の開発は本当に大変です。世界中の特許を調べる必要がありますが、法的な知識に加えて技術的な知見がないと判断できないこともあります。
外部の専門家の方にもアドバイスをいただき、フィードバックを現場につないで問題なく遂行していくことが非常に大変な部分です。
ただ今まで私が触れたことがなかった分野でもありますので、新しい面白さを感じながら仕事できているとも感じます。
リスクは避けるものではなく、コントロールするもの

今、ビジネスで勝つために一番求められるのは「スピード」だという。ビジネスサイドが最高速を出すために、ガードレールのような法務を目指している
ソースネクストの法務には、他にどういった特色があると思いますか。
櫻田 少数精鋭というのもありますが、それ以上にやはりスピードが大きな特徴かなと思います。
私が外部の弁護士として関わっていた頃からスピードを求められる組織だとは思っていましたが、当時は弁護士として「間違ってはいけない」「正しいことを言わなくては」と思って、ついつい回答が遅くなったり調べすぎてしまったりということがありました。
現在は考え方がだいぶ変わり、今ビジネスで勝っていくにはスピードが一番大事だと思っています。
スピードをどれだけ法務が体現できるかが、ビジネスに勝てるかどうかにかかってくるということを非常に強く意識しています。
櫻田様はリーガルリスクは「避けるもの」ではなく「コントロールするもの」だともおっしゃっていますよね。それもやはりそういった考えが根本にあってのことでしょうか。
櫻田 仰る通りです。我々は「リスクと機会をコントロールする」ということをテーマに掲げて業務に臨んでいます。
リスクを100%コントロールすることは困難なことかもしれませんが、できる限りコントロールできるような状態にするイメージが近いでしょうか。
ガードレールは高速道路を安全に運転するために設置されており、もしガードレールがなければ車が道から落ちたり、大きな事故を起こしてしまう可能性が高まりますよね。私たちが法務に持っているイメージは、まさにこのガードレールです。
もしかするとガードレールにぶつかるくらいの事故はあるかもしれませんが、それが大きな事故につながらないように道筋を引くわけです。
ガードレールが引かれた道筋に沿って走れば、事業のスピードが失われることなく、万が一事故が起きた時も被害が最小限になる。それが「リスクと機会をコントロールする」という意味です。
2023年から始まっていたAIを活用していた
多岐に渡る業務をスピーディに進めていくとなると、AIでの効率化も進んでいるのでしょうか。
櫻田 他社の法務の方と話をしても、当社はかなり進んでいる方だなと思います。
今まさにAI利用のガイドラインを策定中という企業が多い中、私たちは2023年にはAIのガイドラインを持っていました。
経営陣の強い意思決定をもとに「日本一AIを使う会社になっていくんだ」という意気込みがあり、当初から社員にも有料版のアカウントを配布してどんどん利用を進めています。
2023年というと、まだ生成AIがそれほど話題になっていない時期ですよね。
櫻田 利用者が現れ始めたかなというぐらいの時期でしたね。
業務ではどういった使い方をされているんですか。
櫻田 ChatGPTのGPTsやGeminiのGemなどで、ある定型的な業務をサポートしてくれるようにプロンプトを組んで実務に活かしています。
たとえば「下請事業者判定ツール」というものを法務で作りました。これはガイドラインや法令を全てAIに学習させて、質問内容が規定に合うかどうか判定させるAIツールです。およそ95%以上の精度で正誤判定できるので、現場でも導入して活用しています。
その他、契約管理やレビューなど、AIの活用シーンは多岐にわたりますね。
目指すのは「頭と口が近いメンバーがたくさんいる法務」

進歩の速い環境では、「知識がある」だけでは差別化できない。「その知識で何をするか」を考えることが求められる
ソースネクストの法務で働くことで得られるのは、どのようなことだとお考えですか。
田中 やはり知財関係知識はかなり見識が得られたと思います。
私はメーカーに勤めるのはソースネクストが初めてで、これまで自社で知財を持つ環境がありませんでした。商標権は経験がありましたが、特許・意匠、また実用新案などに関してはここに来て初めてアンテナが広がりました。
様々な事務所の弁理士とも提携しつつ多方面から意見をいただいて、「こういう考え方もあるのか」という感覚を養うことができていますね。
櫻田様はいかがでしょうか。
櫻田 私がこの組織で意識しているのは「頭と口が近いメンバーがたくさんいる法務」にしたいということです。
何か考えたり、疑問に思ったりした時、すぐにメンバーあるいは私に相談できる環境を作りたいのです。そういった環境を作ることで、各々の視野が高まり個人や会社の成長につながっていくのではないかなと。
当社の法務は非常にスピーディで大変なこともたくさんあると思いますが、その一方で楽しく一緒に成長していける環境も提供できるはずです。
AIが「当たり前」になった時代に、法務人材に問われるもの
AIの発展や企業のグローバル化、ガバナンス強化など様々なことが起きている現在、これからの法務には何が求められると思いますか。
田中 AIが使えて当然の世の中になってきている今、ただ知識を持つだけでは何ら差別化ができないなと思っています。AIを使って広範な知識を得たあとで、法務は何をすべきかを考えなければなりません。
法律事務所などに所属して外部の専門家として関わるとなると、どうしても安全を取って「それはNGです」という意見に偏りがちだとは思うのですが、企業の法務としてはそれでは足りません。
企業の法務に求められるのは、経営に近しい提案ができるとか、求められていることをちゃんと理解してそれに沿った提案をすることなのではないでしょうか。
櫻田 私もAIが登場したことによって単純に知識を回答したり、裁判例を検索したりといった業務は代替されると思います。
一方で法務のいいところというのは——
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