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四大法律事務所弁護士が選んだLegalOn Technologiesでの「法務開発」という道

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四大法律事務所弁護士が選んだLegalOn Technologiesでの「法務開発」という道

株式会社LegalOn Technologies
執行役員 CCO
奥村 友宏

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四大法律事務所からリーガルテック企業への転身――弁護士としての経験を積み重ね、国境を越えた法務の最前線で活躍した奥村友宏氏は、なぜ株式会社LegalOn Technologiesという新たなフィールドを選んだのでしょうか。

米国留学を機に芽生えたリーガルテックへの強い関心、そして代表のSNS投稿を偶然目にしたことがもたらした運命的な転職の経緯とは。弁護士・法務パーソンが従来の枠を超え、テクノロジーを駆使した新たなキャリアに挑む魅力と可能性に迫ります。ぜひ最後までお読みください。

四大法律事務所から株式会社LegalOn Technologiesへ転職

LegalOn Technologies社CCO

株式会社LegalOn Technologies 執行役員 CCO 奥村 友宏様

奥村様のご経歴を教えてください。

株式会社LegalOn Technologiesで執行役員・CCOを務める奥村です。よろしくお願いします。

当社に入る前は、長島・大野・常松法律事務所で弁護士として約9年勤務しておりました。最初の5年間は東京でM&Aやコーポレート案件を中心に担当し、その後アメリカに1年間留学して、ニューヨークの法律事務所で研修を受けました。

その後、長島・大野・常松法律事務所のバンコクオフィスに2年ほど赴任し、アジア圏での法務を経験した後、株式会社LegalOn Technologiesに参画しコンテンツ制作の監修をしています。

バンコクオフィスではどのような案件を扱っていたのですか。

主にコーポレート案件です。東南アジアでは外資規制があるため、日本企業が単独でビジネスを行うことが難しい場合があります。

現地の財閥とジョイントベンチャーを組んで外資規制をクリアするスキームを設計したり、タイに子会社を持っている日系企業の労務相談や不祥事対応、東南アジア各国への投資案件を支援していました。

東南アジア赴任は珍しいと思いますが、もともとご希望されていたのでしょうか。

特別強く希望していたわけではありませんが、アメリカ留学をきっかけに「英語を使って国際的な案件に携わりたい」という思いが強まりました。

ちょうど事務所も東南アジアの体制強化を図っていたので、パートナー弁護士との話し合いを経てバンコク赴任が決まりました。その後、2年の赴任期間を終えて東京のオフィスに戻りました。

代表のSNS投稿をきっかけに入社を決めた

株式会社LegalOn Technologiesに参画された経緯を教えてください。

アメリカに留学した際、現地ではリーガルテックの感度が非常に高いと感じました。

ロースクールにはテクノロジーを法務にどう活かすかを学ぶ「リーガルテッククリニック」の授業があるなど、テクノロジーを法分野に取り入れる動きが活発だったのです。

日本に目を向けたところ、弊社代表の角田が日経新聞などでインタビューを受けている記事が目に留まりました。

彼は私と同い年で、森・濱田松本法律事務所での経歴を持つなど同じようなキャリアを持っていましたが、そこから自分とは全く違うアプローチでキャリアを歩み、立ち上げた事業を広げていることもあって、尊敬の念を抱いていたんです。

「帰国後はこのまま東京オフィスで勤務するのだろう」と考えていたのですが、タイから日本へ帰国する折、X(旧Twitter)で角田が「ビジネスを推進できる弁護士を募集している」と発信しているのをたまたま見まして。

「この事業に携われたらとても面白そうだ」と感じ、その場でDMを送りました。これがきっかけで入社に至りました。

社内の法務人材の多くは「プロダクト開発」に携わっている

入社当時、弁護士は何名ぐらいいたのでしょうか。

私が4人目で、角田を含め3名が在籍していました。

2025年1月時点では私のチームだけで10名ほど、法務部門にも3名いますので合計で13名ほどです。日本法の弁護士に限らず、ニューヨーク州の弁護士やアメリカ国籍のメンバーもおり、グローバルな体制になっています。

13名となると大企業と同規模の弁護士数ですよね。

弁護士の有資格者数という意味ではそうですね。

しかし、いわゆる法務部にすべての法務人材がいるのではなく、プロダクト開発に携わる「法務開発」の部署に多く集まっているのは特徴だと思います。

AIの力を活かして企業法務を支えるプロダクト群

株式会社LegalOn Technologiesのプロダクトの概要を簡単に教えていただけますか。

当社は2017年設立で、最初の製品は「LegalForce」というAIを活用した契約書のレビューサービスです。まだ日本に類似の製品が少なかったこともあり、革新的だと評価されました。

その後、散逸しがちな契約書を集積して資産化する「LegalForceキャビネ」という契約書管理ツールをリリースしました。

複数のサービスを提供していると、お客様からのお手元で「この業務にはこのツール、あの業務にはこのツール」と、ツールが乱立してしまいかえって煩雑になるというお声を聞くようになりました。

この点を解決するために、2024年4月から「LegalOn Cloud」という統合的なプラットフォームを提供しています。これは、契約書のレビューや管理、電子締結など必要な機能をスマホアプリのように利用できるプラットフォームです。

さらに2022年にはアメリカにも拠点を置き、2023年4月からグローバル向けAI契約レビューサービス「LegalOn Global」を展開し始めました。

2024年12月時点では、グローバルで6,500社以上に導入いただいています。また日本には上場会社が約4,000社ありますが、そのうち1,000社以上に当社製品をご利用いただいています。

法務開発が担う役割

奥村様が統括する「法務開発」は貴社の中でどのような役割を担っているのですか。

大きく2つあります。

1つはコンテンツ企画・制作です。たとえばAIを用いた契約レビューの製品であれば、どのポイントをチェックし、抜けている場合にどういった文言を追加するかといったコンテンツを事前にAIに学習させる必要があります。このコンテンツの搭載を、弁護士や法務経験者が中心となって監修しています。

もう1つは、テクノロジーやシステムの仕様検討です。AIやソフトウェアのエンジニアと協力し、「これでは実務で使いにくい」「もっとこうした機能が必要」というように、法務の専門家として開発に参加しています。

プロダクトの開発に大きく関わっているのですね。

おっしゃる通りです。コンテンツ面は私たちが責任を持って作り、仕様などの開発面はエンジニアの皆さんと日々議論を重ねながら進めています。

エンジニアの皆さんとは、たとえばどのようなコミュニケーションを行っているのでしょうか。

私たちのプロダクトはAIをさまざまな形で利用していますので、「AIでどのような機能を実現すべきか」といった話が多いです。

その中で「たしかに一般的には便利な機能だと思うが、そのような実務はないからその機能は不要」など、法務の経験者としての観点から意見を出していますね。

法務開発チームを支える多様な人材

コンテンツ数としても膨大な量になりそうですね。

はい、当社で用意しているひな形は2024年12月時点で2,000を超え、レビュー対象の契約類型も105種類以上チェック可能です。既存の一般的な法務の内容であればカバーできており、「このツールでは足りないよ」ということが起こらないよう、日々アップデートを重ねています。

また、対応可能な契約類型の数が多いことも重要ですが、一つひとつの「深さ」も重視しています。

たとえば秘密保持契約ひとつ取ってみても、法改正などの規定の変化を反映することはもちろん、「実務では最近こういうトレンドがある」といったものも取り入れることが重要です。

そのためにお客様にニーズをヒアリングすることもあれば、外部の法律事務所とも提携し、最新の知見を反映することもあります。たとえば、法律事務所ZeLo様や松田綜合法律事務所様、片岡総合法律事務所様、森・濱田松本法律事務所様などにご協力いただいています。

社内だけでなく、外部の専門家との連携も行っているのですね。

そうですね。当社にはDMM、ヤフージャパン、コクヨ、東京エレクトロンなど様々な業界から弁護士や法務経験者が集まっているため、社内の知見だけでもある程度幅広くカバーすることが可能です。

しかし、最新の実務となると法律事務所は非常にキャッチアップが早いため、知見をお借りしながらよりよい製品をお客様に提供できるように開発を行っています。

さまざまなご経歴の方がいらっしゃるんですね。どのような方々なのか、何名かご紹介いただきたいです。

幅広い事業を展開しているDMMにて法務チームのリーダーを6年勤めていた小林という弁護士がおります。小林は法務一般を見た経験から、テクノロジーに非常に可能性を感じたそうです。やはり一人だけではできることには限りがありますよね。テクノロジーの力を借りることで、自身が持つ専門的な知見をより多くの必要とする方に届けることができるという、テクノロジーが持つスケーラビリティに面白味を感じて入社したと聞いています。

もう一人、今野という弁護士が在籍しています。彼はヤフージャパン(現 LINEヤフー)で公共政策的なルール作りや法務を行った後、議員の政策秘書として法改正などに携わったというユニークな経歴の持ち主です。ヤフーのような企業でもテクノロジーを活用している部分はあるものの、手作業で行っている業務もまだ多いと。彼も小林と同様、法務に関する自身の影響力をテクノロジーを通じてより発揮できるのではないかと考えて、当社に入社しています。

貴社の業務特性を考えても、メンバーのバックグラウンドの多様性は非常に重要だと感じます。

おっしゃる通り、非常に重要です。同じようなメンバーが10人いるよりも、まったく異なる経歴のメンバーが10人いたほうがはるかに良いものが生まれると思います。

AI技術の発展とともに「法務開発」の意義も高まる

法務開発チーム内ではどのように役割分担を行っているのですか?

各種法令をキャッチアップするのは弁護士や元企業の法務部員、ロースクールの出身者など、法務知見のあるメンバーが中心です。

その他、AIのコンテンツ学習を担当するメンバーや、日本語・英語の各言語への対応を担当するメンバーなど、必要とされる役割に分かれています。

法務開発チームは、さらに増員される予定でしょうか。

はい。法務開発チームの重要性は、今後さらに増すのではないかと考えています。

ここ数年で生成AI技術が発展している一方、誤った回答(ハルシネーション)をいかに防いで正確な情報を届けるかなど、代表的な欠点の克服が課題となっています。この点を克服しなければ、安心して実務に用いることができません。

そのためには正しい法務コンテンツを作り、プロダクトに実装していくことが不可欠です。それを整備する「法務開発」の存在意義は今後ますます高まると考えています。

チームメンバーに求める人物像

LegalOn Technologies社CCO

「Professional」「Challenge」「User First」という3つのバリューがチームを形作る。

新しく入社する方には、どのようなことを期待されていますか。

現在は「開発とお客様との距離を近づける」取り組みに力を入れています。

社内のエンジニアと話して開発を進めるだけでなく、ある種コンサルティングに近い形でお客様の声を伺い、最適な使い方や機能を提案できるよう強化したいです。

現場の意識を開発現場に引き入れたり、お客様の声を整理して本質的な課題を特定したりといったことがプロダクトの開発には欠かせませんから、より注力したいポイントですね。

業務知見の面ではいかがでしょうか。

たとえば「●●法の知見が必須です」といったことはありませんが、企業法務に関する理解は持っていてほしいと思います。

企業法務においては「民法ではこうなっているから」と言うだけでなく、「ではビジネス的にはどうすればよいのか」と議論しながら進める必要があります。

ですから法的な知見に加えてビジネス的な知見をお持ちの方が、私たちの理想像です。

マインドセットとして重要視していることはありますか?

私たちがチームのバリューとして掲げているのが「Professional」「Challenge」「User First」の3つです。

「Professional」とは、いかなるときも妥協しないことです。私たちが何か間違った発信をすれば、それが弊社のサービスをご活用いただいている日本およびグローバルのお客様に影響を与えてしまいます。

「Challenge」は、日々変化していく社会の中で、いつでも新たな物事にチャレンジする精神を持つことを指しています。

「User First」とは、悩んだときはそれが自分にとってではなく、「お客様にとって良いことか」を必ず考えるということです。

この3点に共感していただける方であれば、スムーズにチームに加わっていただけるのではないかと思います。

法務開発のキャリアパスと今後の展望

LegalOn Technologies社法務開発チーム集合写真

株式会社LegalOn Technologies 法務開発チームの皆様と。

「法務開発」というポジションはとてもユニークだと思います。こちらに入った方々のキャリアパスは一般的な法務人材とは異なるのか、非常に興味があります。

大きく3つのパターンがあると考えています。

1つ目は、法務開発内でマネージャーや経営に近いポジションに就くなど、部署内でキャリアアップをしていくケースです。

2つ目は社内法務に異動して、いわゆるインハウス弁護士的な役割を担うことも考えられます。

3つ目はマーケティングなどの他部署へ移り、専門知識を活かしてメディアやコンテンツの運営に携わるパターンです。

実際に法務開発から法務部へ、あるいはマーケティング部に移った例もありますね。逆に法務部から開発へ異動することもあります。

法務開発の今後のビジョンをお聞かせください。

「リーガルとテクノロジーの架け橋になる」というビジョンを掲げています。財務など他分野に比べると、法務のデジタル化は遅れがちです。

そのため、必要に応じて実務そのものを変えていく提案も行いつつ、テクノロジーの力で法務実務を効率化していきたいと考えています。

単なるデジタル移行ではなく、ベストな方法を模索し「実務を作っていく」のが私たちの使命です。

転職を検討中の弁護士・法務パーソンへのメッセージ

最後に、弁護士や法務パーソンの方へのメッセージをお願いします。

弁護士となると法律事務所かインハウス、法務部などのキャリアパスがある種の「成功」だと考えられがちです。

しかしご自身に法務的な知見があるからといって、道を絞ってしまうのはもったいないのではないかと私は思います。

ご自身のスキルによって道を狭めるのではなく、そのスキルが何に活かせるのかを考えてみることで、従来的なキャリアだけではない活躍の場があることに気が付くはずです。そういった場が徐々に増えてきています。

一人でも多くの法務人材が、ビジネスサイドで知見を活かしながら事業を推進していくメンバーに加わっていただけることを期待しています。

本記事の内容は動画でもご視聴いただけます
動画:リーガルテック開発に携わる弁護士のキャリアパス
株式会社LegalOn Technologies 執行役員 CCO
株式会社LegalOn Technologies執行役員・CCO。長島・大野・常松法律事務所に約9年在籍し、東京でのM&Aやコーポレート案件を担当後、米国留学・ニューヨークでの研修を経て、同事務所バンコクオフィスに2年間赴任。現地ではコーポレート分野を中心に、東南アジアでの日系企業の投資支援や労務、不祥事対応を経験した。帰国後、株式会社LegalOn Technologiesに参画し、現在はコンテンツ制作の監修を行っている。
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