
事務所を知る
国内から海外まで幅広いネットワークで多様な法務領域を支えるベリーベスト法律事務所
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士/パートナー弁護士
浅野 健太郎/折田 忠仁
今回はベリーベスト法律事務所様に伺い、代表弁護士の浅野先生をはじめ弁護士の先生方に次のようなお話をお聞きしました。
- 国際案件や大規模案件を含め、企業法務領域が拡大している
- 弁護士にとって働きやすい環境があり入所する方が増えている
- 海外事務所や国内での大きなネットワークづくりに取組んでいる など
ベリーベスト法律事務所は全国75拠点・約350名の弁護士が所属する、日本で6番目の規模を持つ超大手法律事務所です。一般民事のイメージで広く知られていますが、企業法務にも積極的に取り組んでいます。
現在転職をご検討中の弁護士の方をはじめ、ベリーベスト法律事務所の企業法務に興味をお持ちの方は、ぜひお読みください。
ベリーベスト法律事務所:浅野弁護士・折田弁護士
本日はベリーベスト法律事務所から浅野先生、折田先生にお話をうかがいます。よろしくお願いします。
浅野・折田 よろしくお願いします。
まずは浅野先生から自己紹介をお願いします。
浅野 ベリーベスト法律事務所の代表弁護士の浅野です。修習期は55期です。
ベリーベスト法律事務所を立ち上げる前は、柳田野村法律事務所(現 柳田国際法律事務所および野村総合法律事務所)で上場企業の企業法務案件に携わっていました。ベリーベスト法律事務所を立ち上げた後も、私は主に企業法務分野に従事しています。
ありがとうございます。続いて折田先生も自己紹介をお願いします。
折田 折田と申します。私は1989年4月に弁護士になり、10年ほど知的財産法務を中心に企業法務の研鑽を積みました。
その後米国の法律事務所の東京拠点に所属したり、大手渉外法務事務所に所属したりしたのち、2018年9月に当事務所へ入所しました。今でも知的財産法務を中心に企業法務に従事しています。
企業法務領域で30人超のチームを擁する

ベリーベスト法律事務所 代表弁護士 浅野 健太郎様
ベリーベスト法律事務所は一般民事案件のイメージを持っていたのですが、企業法務領域にも力を入れていて、担当チームだけで一つの事務所ができるほどだとお聞きしました。
浅野 おっしゃる通り、当事務所は一般民事案件をWebサイトやテレビなどで大きくプロモーションを展開しているので、そういった事務所としてかなり目立っていると思います。
しかし企業法務を専門に扱っている弁護士が30人以上所属しており、案件数も相当な数にのぼっています。おそらく弁護士・案件どちらの数も、日本の中堅ぐらいの企業法務事務所に相当するレベルのチームが当事務所の中にあると言えると思います。
30人の事務所と考えると、いわゆる「法律事務所ランキング」の中でも結構いい位置につけますよね。
浅野 そうですね、そこそこの位置になると思います。
ベリーベスト法律事務所に多様な人材が集まる理由
ベリーベスト法律事務所には、折田先生のように大手の渉外事務所からいらっしゃる方もいれば、誰もが知るグローバル企業の法務グループ長を務めていた方、元特捜等検事ご出身の方など錚々たる顔ぶれの先生方が集まっていますよね。皆さん、どういった点に魅力を感じて参画されていらっしゃるのでしょうか。
浅野 おそらく当事務所は、大手の企業法務事務所よりも少し小さな規模のチームで各案件に取り組むので、事件処理は個々の弁護士に裁量があります。そういった面に興味や面白味を感じて来てくださるという点がひとつ。
それに伴って、事件の一部分だけではなく全体を見て仕事ができることに、やりがいを感じるのではないかなと思います。
また、当事務所はかなり多くの中小企業の顧問業務も行っています。中小企業やスタートアップ企業の顧問業務は会社の経営者と直にやりとりをするるため、非常にやりがいを感じられる部分です。
時折は社長さんに飲みに誘われたり、ゴルフに一緒に行ったりといった付き合いに発展することもありますし、自分がした仕事に喜ばれていることを直に感じながら働けるのが大きな魅力だと感じます。
現実的な話をしますと、当事務所では、事務所から月々の報酬をもらいつつ、自分で開拓して受任した案件の報酬は2割の経費負担金を事務所に納めれば、8割自分で受け取れるという制度です。
個人事件は受任できなかったり、報酬を全額事務所に納める必要のある事務所がある中で、当事務所は自分から営業・開拓してクライアントを見つけられるので、独立するよりも利益があります。その環境をよいと感じて入所してくださる方もいます。
余裕をもって事務所事件と個人事件の両立が可能
アガルートキャリアは弁護士の方々の転職支援をしているのでよく耳にするのですが、個人事件OKな事務所でも事務所事件で忙しくて個人事件を扱う暇がないと。ベリーベスト法律事務所では個人事件をやる余裕もあるのでしょうか。
浅野 余裕はかなりあると思います。実際にやっている人もいます。昔は夜中12時過ぎまでかかるような働き方を私自身も経験しましたが、当事務所はまったくそういったことがありません。
自分が請け負っている個人事件と事務所事件を両立できるような時間的余裕が十分ありますし、所属弁護士の間で時間繰りができるので個人事件をたくさん受任することは実際に可能です。
1900社を超える企業法務業務をチームで対応

ベリーベスト法律事務所 パートナー弁護士 折田 忠仁様
ここで折田先生にお聞きします。いわゆる五大法律事務所といわれるTMI総合法律事務所からベリーベスト法律事務所へ移籍されていますが、移った理由や移ってみて感じた良いところを教えてください。
折田 企業法務のリソースではそこそこの地位にいると先ほど代表が述べましたが、五大法律事務所と比べればまだまだ伸びしろがあります。
伸びしろがあるということは、自分がそこに貢献できるということでもありますから、その点に魅力を感じてこちらに参りました。
完成の域に達した事務所ではなく、完成を目指して走れる事務所といいますか。そういった部分に意義を感じました。
大手の渉外法律事務所にお勤めだった折田先生から見て、ベリーベスト法律事務所の企業法務領域の業務クオリティは客観的にいかがですか?
折田 私が見る限り、遜色ないレベルに十分達しているのではないかと思います。だからこそ、今後ますます企業法務に力を入れていくという目標も成り立っているのではないかと。
浅野先生は中小企業の顧問業務が非常に多いとおっしゃいましたが、現在顧問先企業は何社ほどあるのでしょうか。
浅野 現在、事務所全体で1900社からほぼ2000社に届くくらいの数です。
なるほど。全国津々浦々といった感じですか?
浅野 そうですね。顧問先は全都道府県にまたがっています。東京の本店が扱うような大きめの会社もありますし、各拠点がそれぞれに顧問先を持っています。
より専門的な解決が必要な場合には、本店の企業法務チームと連携して事件を解決するようにしています。
海外案件は現地弁護士とタッグを組むこともある
海外・国際案件もかなりあるとお聞きしています。こちらはどういった内容の案件があるのか例を挙げていただけますか。
浅野 M&A案件が多いですね。
海外の企業から「日本に投資をしたいので、日本企業のデューデリジェンスをして英語でレポートを書いてほしい」だとか、日本企業が「海外に進出するので、海外拠点の設立から初期契約までさまざまな対応をお願いしたい」だとか、合弁会社を作りたいというので合弁契約を作るだとか。さまざまなことを行っています。
当事務所に米国と中国の弁護士がいるので、海外案件の中でもこれらの国なら事務所内で対応できます。しかしそれ以外の国の場合は、海外の法律事務所と共同で対応することもあります。
折田 最近の例ですと、ひとつは日本の企業を英国で上場したケースがあります。デューデリジェンスレポートの作成や、英語で目論見書を作成するサポートを行いました。
ふたつ目は日本のベンチャーキャピタルが外国企業に投資する支援です。こういった案件だと、投資先や投資契約、株主間契約など色々と必要になりますから、そのレビューを請け負いました。
その他、国外から日本での企業設立に関する問合せが常にあるため、その対応も行っています。
意思決定の早さがベリーベスト法律事務所の強みのひとつ
本当に多岐にわたる案件に取り組んでいますね。最近(2024年9月)では韓国の大手法律事務所との提携を発表していましたが、どのような経緯でお話が進んだのでしょうか。
浅野 その件は、先方が当事務所を見つけてコンタクトしてきてくれました。当事務所は弁護士数が日本6位ですし拠点数では日本一なので、海外から見ても大きな事務所として目立っているようです。そのおかげで提携の候補として上がってきます。
また当事務所は代表弁護士が3人しかおらず非常に意思決定が早いです。他事務所のことは詳しくありませんが、海外のある事務所いわく「大手事務所は非常に多くの経営パートナーの合議で進行するため、パートナー同士の意見を統一するハードルが高く、1社だけ提携するのが難しい」そうです。
そのため当事務所のような意思決定が早い事務所は貴重なんですね。それに今回提携した韓国の事務所は非常に成長著しい事務所で、韓国内で40拠点近く展開しています。うちに近いような文化を持っていることもあり、提携が成ったのだと思います。
以前提携した中国の大手事務所は、規模は当事務所と比べ物にならないほど大きいのですが、短期間に急成長した事務所で文化が非常に近かったですね。あるいは当事務所のほうが海外事務所の文化に近いのかもしれませんが、近しい発想があると感じました。
海外事務所との提携でさらにネットワークを拡大
提携の打診があってからはスピーディーに話が進んだのでしょうか。
浅野 そうですね、数ヶ月で締結に至りました。
早いですね。提携によって企業法務チーム的にも期待していることはなにかありますか?
浅野 今回の韓国の話でいうと、韓国と取引している日本企業は非常に多いですから、韓国との契約で韓国法が問題になるケースがあれば先方に専門的な意見を聞くことができます。
また日本企業が韓国内で訴訟トラブルになった際も、しっかりサポートできる提携事務所がバックにいるということは、お客様にとって大きなメリットになるでしょう。
逆に韓国から日本に投資をするなどの取引を行うケースもありますから、その際には先方から当事務所へお客様を紹介してもらえることもありますね。
必要なときに知見をお借りできるというのは、我々にとってはありがたい話だと思います。
海外事務所との提携は案件拡大の原動力にもなっているんですね。
浅野 はい。そういう意味では、今後もまだ提携していない国の事務所とネットワークを広げていきたいなと思っています。
拠点の多さが地方企業に現地で対応できるパワーを生む
全国で75拠点と国内トップの拠点数があることで生じる企業法務領域のメリットはありますか?
浅野 東京・名古屋・大阪などの大都市に大きな企業が固まっているイメージを持ちがちなのですが、日本は地方も含め全国に大手企業・中小企業・良い企業がたくさんあります。
それぞれの地域に弁護士会があり、多くの弁護士がおりますが、企業法務を専門で扱っている事務所がないエリアもまだあります。
特に国際業務が発生したけれど英語の契約書をチェックできる弁護士が近くにいないとなると、東京など大都市の弁護士を探し始めるんです。
こうした場合にベリーベスト法律事務所の地元の拠点で担当してもらえるとなると、当事務所がファーストチョイスになる場合が多いです。
五大事務所など大きな事務所だと、相談するのにハードルが高いなと思ってしまう企業もあるのかもしれません。その一方、地元にも拠点があるということで身近に感じてくれて、当事務所に問い合わせてくださることがけっこうあるんです。
既存のお客様のご紹介ではなく「Webサイトを見て」といって、地方の大手企業が国際案件をご相談くださるケースもあります。
メンバーの希望に寄り添い柔軟に業務を割り振り
スポットで大きめの案件を受けた際、事務所内ではどのように業務に取組んでいるのでしょうか。プロジェクトチームを組んで複数名で解決にあたるのですか?
折田 おっしゃる通りです。先ほどの英国での上場を支援した案件は、米国の弁護士も含め6人くらいのチームで対応しました。
そういった案件で、必ずしもすべてのメンバーが同様の案件の経験を持っているとは限りませんよね。たとえば若手が「ぜひやってみたい」と手を挙げたらアサインされる可能性はありますか?
折田 はい、もちろんです。若手が企業法務をやりたいと言えば配慮します。また所属弁護士にはどのような案件に携わりたいかアンケートを取ってもいますし、個人の希望には寄り添っていると思います。
浅野 我々としてもせっかく事務所に入ってくれた方には、やりたいことをやって自己実現をしてほしいと考えています。ミスマッチが起こるのは、お互いに嬉しくないですしね。
さまざまな方が自分のやりたいことや、自分の長所で力を発揮してくれることが、事務所にとって一番のプラスになるはずです。事務所の規模が大きいことで、やりたいことがしやすい環境になっていると思います。
分野に応じた専門チームを事務所内に複数構築
ベリーベスト法律事務所内では、実際どのようにチーム分けが行われているのでしょうか。
浅野 M&Aや労働問題などの法律業務の種類で分けたチームと、不動産・メーカー・広告業・IT業界などの業種で分けたチームがあります。
たとえば不動産チームでは、弁護士が不動産の法務を見るのはもちろんですが、実はベリーベスト法律事務所グループ内に不動産売買や賃貸管理を行っているチームがあります。不動産業務を行うチームで法律業務を行うことで、不動産の専門的な知見と合わせて非常に実務的なノウハウや現場の温度感が分かったサービスを提供できるのが特徴ですね。
その他、エンターテイメントおよびスポーツチームもあります。芸能事務所やスポーツチームの運営顧問であったり、スポーツ選手やアーティストの権利を守る業務を担当しています。このチームには映画業界に長く身を置いていた弁護士がおり、業界に精通しているうえ著作権にも非常に詳しいです。
最近では、AIが今後あらゆるビジネスに関わってくることを見越し、AIチームが発足しました。ここは当事務所に所属するAIエンジニア出身の弁護士がこのチームをリードし自らAIを開発しながら、他の技術も利用して法務に携わっています。AI領域では個人情報や電気通信事業法、プライバシーや著作権に関わる問題も生じてきます。今後大きく伸びていく分野ですし、尖らせていきたい分野です。
またM&Aチームでは国際的なM&Aから国内企業同士のM&Aも取り扱っています。当グループ内に税理士法人があるので、デューデリジェンスを行う際は会計税務は税理士法人が、法務は我々が行う場合があります。
それと事業承継チームがあります。特に非上場企業で利益が出ている企業は事業承継に多額の税金がかかります。そのため税理士法人と協力し、会社法のスキームや相続のノウハウを活用して円滑な事業承継をサポートしています。
さらに特殊な分野として、議員法務チームがあります。これは国会議員や市議会議員、政務の方々に対して、政治資金や公職選挙法の問題に関するアドバイスを行うチームです。議員の方は有権者から相談を受けることも多いため、そういった面で議員の顧問としてのサポートもします。
当事務所には横浜市議会議員の弁護士がパートナーにいることや、国会議員の秘書を長く務めていた弁護士がいるため、その経験を活かして議員法務に力を入れています。議員法務にはかなりのニーズがあるため、今後も注力していく予定です。
動画:大手渉外事務所パートナーや元特捜等検事出身者が参画|成長を続ける企業法務部門

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1999年3月慶應義塾大学法学部法律学科 卒業
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2000年11月司法試験 合格
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2002年10月最高裁判所司法研修所(京都地方裁判所配属) 修了・柳田野村法律事務所(現 柳田国際法律事務所) 入所
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2006年9月法律事務所オーセンス(現ベリーベスト法律事務所)パートナー
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2009年5月ニューヨーク大学法科大学院 修了(New York University School of Law LL.M.)
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2009年11月米国ニューヨーク州司法試験 合格
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2010年1月米国ニューヨーク州弁護士 登録
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2010年12月ベリーベスト法律事務所 開設 代表弁護士就任
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2024年7月World Trade Center Tokyo CEO就任

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1986年3月早稲田大学法学部 卒業
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1986年11月司法試験 合格
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1989年4月最高裁判所司法研修所(水戸地方裁判所配属) 修了
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1989年4月中村合同特許法律事務所 入所
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1994年12月ニューヨーク大学法科大学院(New York University School of law) 修了
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1995年5月米国ニューヨーク州 司法試験 合格
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1995年8月米国ニューヨーク州 弁護士登録・Hughes Hubbard & Reed LLP 研修終了
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2000年9月翔国際法律事務所 入所
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2002年2月あさひ・狛法律事務所(現・西村あさひ法律事務所) 入所
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2007年4月TMI総合法律事務所 入所
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2018年9月ベリーベスト法律事務所 入所
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