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“時間貸駐車場ビジネスのパイオニア” パーク24を支える法務コンプライアンスの醍醐味
パーク24株式会社
執行役員 法務コンプライアンス本部長
佐藤 雅樹
メーカーでの法務を経て、パーク24へ転職し、法務コンプライアンス本部長として活躍する佐藤様。時間貸駐車場ビジネスのパイオニアである同社は、国内外で事業を拡大しながら新たな挑戦を続けています。
そんなパーク24の法務コンプライアンス本部は、契約や知財だけでなく、リスク管理や海外子会社への支援など、幅広い領域に携われるのが魅力。急成長する企業を支える“攻めの法務・コンプライアンス”について、佐藤氏にじっくり伺いました。
ぜひ最後までお読みください。
20年間のメーカー法務部勤務を通じて弁護士資格を取得

パーク24株式会社 執行役員 法務コンプライアンス本部長 佐藤 雅樹様
自己紹介をお願いします。
佐藤といいます。大学卒業後、就職したメーカーで法務に配属され、3年ほど仕事をした後に、社内の留学制度を利用しました。
その頃、ちょうど日本で新しいロースクールの制度が始まったタイミングだったのですが、中央大学のロースクールを修了して、弁護士資格を取得。司法修習を受けて、また元の会社に戻りました。元の会社に戻ってからは、3年半ほどヨーロッパに赴任をしたり、いろんな仕事を経験させてもらいました。
2019年にはメーカーを退職し、パーク24に転職しました。パーク24入社当初は総務部門の中に法務の組織がありましたが、私の入社後に法務部として独立し、その後、知財を強化して法務知的財産部になりました。
さらにその後、コンプライアンス推進部とひとつになり、法務コンプライアンス本部という組織になりました。現在は法務コンプライアンス本部長として仕事をしています。
前職のメーカー法務といっても、様々な分野があると思います。どんな業務をされていたか、簡単に教えていただけますでしょうか。
前職はBtoBの電子部品メーカーでしたので、海外売上高がかなり高かったこともあり、英文契約や海外の係争など、いわゆるメーカー法務として幅広い仕事をしていました。
ちょうど海外赴任中に大規模なカルテルの調査を受けて対応に当たったり、日本に戻ってからはアクティビストの対応をしたりと、かなり面白い仕事を経験したと思います。
組織としては何人ぐらいの法務部だったのでしょうか。
国内で10人ちょっと、海外も含めると20人ちょっとぐらいの組織でした。
マネジメントにも携わっていらっしゃったのですか。
はい、マネジメントをしていました。役職としては法務課長という立場でした。
そのメーカーで約20年勤務された後、転職に至った背景はどのようなものだったのでしょうか。
もう一通りそこでの仕事はやり切ったなという感触が自分の中にありまして、もう少し違う仕事をしてみたいという思いが強くなりました。
別の世界に飛び込みたいと思って、初めて転職活動をしたんです。
転職活動の際、どのような軸で企業を見ていたのですか。
メーカーはもう十分経験したという感覚があったので、それ以外の業界であれば特にこだわりはありませんでした。
ゲーム会社やソフトウェアの会社、サービスの会社など本当に幅広く見ていました。
最終的にパーク24を選ばれた決め手は何だったのでしょうか。
パーク24自体は創立から50年ほど経っていますが、ちょうど私が入社する前の10年間ぐらいで売上高がぐっと伸びて、約3倍になっていました。
会社がどんどん大きくなっていて、勢いがありましたし、選考でお会いした方々からも「新しいことをやろう」という空気を感じたんです。とても面白そうだと思って入社を決めました。
10年で売上が3倍に。「タイムズ」ブランドで更なる躍進を目指す
パーク24株式会社は、具体的にどのような事業を展開されているのか、簡単にご説明いただけますか。
大きく3つの事業を行っています。
1つ目は駐車場事業国内で、タイムズパーキングというブランドで運営しています。
2つ目はカーシェアを中心としたモビリティ事業で、タイムズカーというブランドでサービスを提供しています。
3つ目が駐車場事業海外で、台湾やシンガポール、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどで事業を展開しています。地域によっては独自のブランドを使っている場合もあれば、同じタイムズのブランドで運営しているところもあります。
佐藤様が入社を決められたとき、直近10年ほどで売上が3倍に伸びたとおっしゃっていましたが、今もなお伸び続けているという印象でしょうか。
そうですね、コロナ禍を除き、ずっと右肩上がりで成長しています。
街中ではタイムズパーキングをよく見かけますが、まだまだ駐車場の需要は高いのでしょうか。
そう思います。例えば東京や大阪などの都心部にクルマで行くと、どの駐車場にとめようかと困ることはよくあると思います。
弊社としても、まだ国内外問わず駐車場は絶対的に足りていないという見立てです。今後も駐車場事業は伸びる余地があると考えています。
最近は駐車場の設備でカメラ式のものが増えましたよね。決済方法も現金以外が主流になりつつあるように感じますが、ここ数年で技術面やサービス面に大きな変化があったのでしょうか。
従来のロック板式の駐車場だと、クルマがとまっているかとまっていないかしか分かりませんでした。今のカメラ式ではナンバーを認識できます。
例えば、先月もこのクルマがとまっていたなとか、今月で3回目の利用だなとかが分かるため、3回目の方に割引を適用することもできるようになります。
あるいは、横浜ナンバーなのに東京のこの駐車場を頻繁に利用しているのは何か理由があるのかな、といった情報をつかむこともできて、マーケティングに活かせるようになりました。
20代から60代まで、幅広い年代のメンバーがチームを支えている
法務コンプライアンス本部はどのような体制で、どれぐらいの人数なのでしょうか。
法務コンプライアンス本部は2つの部で構成されています。1つは法務知的財産部、もう1つがコンプライアンス推進部です。法務知的財産部が17名、コンプライアンス推進部が25名ほどで、合わせて42名ほどになります。
有資格者の方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。
法務知的財産部には日本の弁護士資格を持った者が4名います。コンプライアンス推進部の方には日本の公認会計士が1名、USCPAが1名、公認内部監査人(CIA)が1名います。
佐藤様が入社されたときは、総務の中に法務があって8名ほどだったとのことですが、この6年ほどでかなり増えているのですね。
そうですね。法務知財部は、もともと8名だったのが今17名になっています。コンプライアンス推進部も組織としては元々ありましたが、人数は増えています。
最終的には法務コンプライアンス本部として私が統括しています。
年齢層はいかがでしょうか。
非常に幅広いです。若い人だと20代、上は60歳を過ぎた定年再雇用の方もいらっしゃいます。
男女比はどんな感じでしょうか。
法務知財部は女性が多く、コンプライアンス推進部は男性が多めです。合わせるとちょうど半々ぐらいですね。
法務コンプライアンス本部のミッションはどのように位置づけられていますか。
大きく4点あります。
1つ目は法令遵守と企業倫理を徹底していくこと。
2つ目がグループ全体のリスク管理をしっかり行うこと。
3つ目はガバナンス体制の確立に向けて、経営企画など関連部署と連携しながら会社の仕組みを作っていくこと。
4つ目が企業価値の向上を図るために法務や知財の戦略を立て、実行していくことです。
佐藤様の前職と比較してみたとき、こういった特徴があるなという点はどんなところでしょうか。
当社の組織は法務や知財、コンプライアンスをはじめとしたリスク管理を一手に担っています。
海外グループ会社の内部監査の支援やコンプライアンス体制の整備も行いますし、国内の内部監査そのものは別組織ですが、そこにも人材交流があるので接点は非常に多いです。
そういう意味では、この本部にいると幅広い経験が積めますし、様々なことにチャレンジできるのが特徴かなと思います。
ほぼ中途採用の方ばかりと伺っていますが、中途で入られた方もその後、本部内のいろんな業務にチャレンジする機会があるのでしょうか。
はい。個々人の特性や好みを踏まえて、やりたいことがあれば手を挙げてもらい、特段問題がない限りはやってもらえるようにしています。
積極的に機会を得にいくことができる環境だと思います。
社内の遵法意識を醸成することも重要な役割のひとつ

技術の発展に伴い、取り扱う情報の質・量やコンプライアンス意識にも変化が起きている。
コンプライアンス推進部の業務内容をもう少し具体的に教えてください。
コンプライアンス推進部は、コンプライアンスの啓発や教育活動をはじめ、内部通報の対応、グループのリスク管理、海外グループ会社のコンプライアンス体制整備の支援などを行っています。
海外における内部通報制度の整備をサポートしたり、海外の従業員から日本側に直接通報が入る仕組みを作ったりしています。
あとは海外子会社の内部監査の支援をすることもあります。どうしても海外の会社は体制面で弱い部分があるので、日本側から指導や支援をしています。
駐車場事業やモビリティ事業を運営するうえで、さまざまなリスクがあるかと思いますが、その中でも特に注視されているリスクはどんなものでしょうか。
自動車が関わる事業なので、どうしても一定の割合で事故が起きてしまいます。車両の整備や駐車場内で事故を起こさないような安全管理を現場できちんと徹底することが重要です。
また、ナンバーを認識するといった技術が増えたことに加え、カーシェアでは運転者の免許証情報をお預かりするため、個人情報の取り扱いリスクが高まっています。
そのあたりの管理体制もしっかり構築し、全従業員へ教育を行き渡らせる必要があります。
免許証情報などを扱う機会や総量もかなり増えているのでしょうか。
そうですね。カーシェアの会員数は現在320万人(※)ほどいらっしゃるので、それだけの免許証情報を預かっているというのは責任が重いです。法務としても体制づくりや教育には力を入れています。
※2025年4月末時点
安全管理というと、駐車場を実際に見に行かないと分からない部分も多いのかなと思うのですが、現場に足を運ぶ機会もあるのですか。
法務コンプライアンス本部のメンバーも、入社後の研修として必ず現場に行きます。車両整備や駐車場の点検を行うメンバーと一緒に動き、現場がどうなっているかを見るんです。
コンプライアンス意識の醸成について、社内でどのような取り組みを工夫されていますか。
まず、当社の行動規範が記載されている冊子を全員に配って、内容を十分理解してもらいます。
加えて、社内イントラにコンプライアンスニュースというものを隔週で掲載していまして、常にタイムリーにコンプライアンスに関する啓発情報を提供しています。
読んでもらえればもちろん良いのですが、仮にじっくり読まなくても、隔週のタイミングで新しいコンテンツを社内に流すことで、コンプライアンスの啓発活動をやっているということを刷り込んでいく狙いがあります。
さらに、コンプライアンス関連や業務に関する法令などの理解度を測るテストを、毎年「コンプライアンス確認テスト」として実施しています。
従業員全員が受験し、全問正解するまで終わらないという仕組みです。そういう意味で教育活動には力を入れています。
サービス品質向上のためには、一人ひとりの従業員の意識や知識レベルが重要ということですね。
そうですね。現場で接するサービスの質が、そのままお客様の印象や実際に受け取るサービスの質になりますので、従業員一人ひとりのレベルを上げることが重要です。
「プロとしてどう事業に貢献するか」をチーム共通の価値観に
法務コンプライアンス本部全体の雰囲気や、中途入社の方のバックボーンについて教えていただきたいのですが、業界としてはどのような方が多いのでしょうか。
本当に幅広い業界出身者がいます。金融出身者もいれば、メーカー出身者、サービス業出身者など、様々な方が集まっています。
やはり何らかの法務やコンプライアンス関連のご経験をお持ちの方が中心というイメージでしょうか。
基本的にはそうですね。ただ、当社の営業部門に入って、その後に社内異動で法務コンプライアンス本部に来た、という社員もいます。
とはいえ同じチームでやっていく以上、貫くものというか、共通となる価値観は必要だと思います。そういった観点で、大事にしている価値観や考え方について教えていただけますか。
3つあります。
1つめは、我々はプロフェッショナルだと思っていますので、正しい知識、正確な知識を間違いなく助言することです。これはベーシックな部分ですね。
2つめとしては、ただ単に正しいことを伝えるのではなく、ビジネスの役に立つようなアドバイスをすることです。正しいことだけを言って「ここから先はあなたたちで考えてください」というスタンスではなく、じゃあどうしたらいいのかという具体的なところまで踏み込んで提案していくのが我々の役割だと思っています。
3つめは、単純に法的見解を示すだけではなく、必要があれば法務知財やコンプライアンスの枠を超えた視点を含めて助言をすることです。何が事業会社や一緒に働く仲間にとって本当に必要なのか、そこまで考えるように心がけています。
大切にしている考え方や価値観を改めて共有したり、メッセージングする機会はあるのでしょうか。
期初に本部のメンバー全員を集めてキックオフを行っており、そこで「そもそも我々は何のために存在するのか」という原点を確認しています。その際に、先ほどの3点を私から説明しています。
必要なのは「パフォーマンスのみ」 柔軟な形態で働ける環境
続いて働き方について伺いたいのですが、リモートワークはどのように活用されていますか。また、働く時間帯はどのような感じなのでしょうか。
フレックス制やリモートワークなどの制度はひと通り整っています。
運用が比較的硬い会社もあると聞きますが、当社の場合は柔軟です。例えばフルフレックスで、午前中は休んで午後から勤務するのも全く問題ありません。
在宅勤務も、自分が必要だと思えば在宅で働いて構いません。
その分、しっかりパフォーマンスを上げてもらう必要はありますが、とにかく成果さえ出してくれれば働き方は自由です。
リモートワークを導入している会社でも、「何曜日は出社必須」など部署ごとにルールを設けているところがあると思います。御社ではどうなのでしょうか。
キックオフなどの行事や、業務によって対面で話さないと前に進まない場面では「申し訳ないけど出社してほしい」と声をかけます。
ただ、週2日は必ず出社というような一律ルールはありません。
実際、出社とリモートの頻度は人によってかなり違うのでしょうか。
はい、相当人によってばらつきがあります。
出社したほうが仕事しやすい人もいれば、自宅のほうが集中できる人、あるいは家庭の事情で家にいたい人もいます。そういった個々の事情に応じて働いています。
ちなみに、佐藤様ご自身はどんな働き方をなさっていますか。
私は週1か2日ほど在宅で、それ以外は出社することが多いですね。
残業時間について、参考になるような数字はありますか。
人によってバラバラです。ほとんど残業しない人もいれば、多い人でも月20〜30時間ぐらいです。それでもちょっと多いかなというくらいでしょうか。
業界のパイオニアは、法務面でも道を切り拓く存在
パーク24の法務コンプライアンス本部で働く魅力や面白み、やりがいについて教えていただけますか。
まず、当社は伸びている会社です。コロナ禍を除き、過去10年ぐらい右肩上がりで成長してきて、これからも成長の余地があります。そういう勢いを楽しみたい人には合うと思います。
もう1つは、当社の時間貸駐車場「タイムズパーキング」は、いわば当社が作り出したビジネスモデルで、当社はパイオニア的存在です。そのため、時間貸駐車場に関する法規制などで前例がないことが多いです。
業界標準がないので、役所に聞いてもすぐには分からない。自分たちなりに過去の事例や参考になるものを探りながら「多分このやり方ならいけるだろう」と手探りで進めていくのは面白いですよ。
さらに、これまで自社運営していた駐車場やカーシェアのシステムを外部に開放して、他社ブランドで駐車場やカーシェアを運営する際に活用してもらうという新しいビジネスを始めています。
新たなビジネスのため、これまで意識していなかった法的課題が次々と出てきています。それを解決してビジネスを前に進めるのは、非常に楽しいと思います。
基盤となる既存事業が大きく、さらに新たなチャレンジもどんどん出てくるという意味では、飽きにくい環境といえそうですね。
そうですね。新しい課題が次々と出てきて、それらを解決しないとビジネスが右に行くのか左に行くのか分からない。
法務やコンプライアンスの見解によって方向性が変わってくるのを肌で感じられるのは、非常に面白い職場だと思います。
そういう環境には、どのような方が向いているとお考えですか。
新しいことをどんどん考えるのが好きな人ですね。
例えば、これまで気にしていなかった法律を新しいビジネスで扱わなければならない場合もありますから、勉強することがたくさん出てきます。
勉強することに抵抗がなく、ビジネスに自分の提案が直接反映されるのを楽しいと思える人が向いていると思います。
「AI時代」だからこそ、人の力を取り入れる
法務コンプライアンスの業務は今後どのように変化していくとお考えでしょうか。パーク24に限らず、日本や世界全体の動きでも構いません。
社会が高度化していくことで、より専門的な知識が要求されていくと思います。我々はプロフェッショナルとして、知識やスキルを磨き続ける必要がありますね。
また、AIなどの新しいテクノロジーをどう活用するかも大きなテーマになっていきます。
テクノロジーの発達は、法務コンプライアンスの領域に大きな影響を与えそうでしょうか。
はい。事業そのものにどのような影響を与えるかを見極める必要がある一方で、法務コンプライアンスの仕事自体もAIなどで効率化する流れが出てきます。
契約審査をAIが行うようになるかもしれませんし、初期的な調査もAIで行うケースが増えるでしょう。そうしたテクノロジーをどう使って効率的に仕事を進めるかも、これからは重要になると思います。
テクノロジーが進んでも、人だからこそできる部分や価値があると思います。法務コンプライアンス人材として、今後どのようなスキルやマインドが必要になるとお考えですか。
我々は社内のクライアントに対してアドバイスをする立場ですが、そもそも何が課題なのか分からないまま相談に来る人がたくさんいます。
そういう場合、ただAIに聞けば分かるようなことを伝えるだけでは不十分で、「課題は何なのか」をいっしょに整理してあげる必要があります。
また、AIからの答えを右から左へ流すだけでは相手は動けません。AIが80点の回答を出してくれるとしたら、人間が追加で20点分の補足をしてあげる。
そうしたコミュニケーションが、人だからこそ果たせる役割だと思います。
自分の判断がビジネスを動かす責任と面白さ

佐藤様は、ビジネスに「一歩踏み込む」ことが法務パーソンに大きな価値を与えると語る。
御社の中で、法務コンプライアンス人材の専門性を高めるための支援制度はありますか。
たとえば英語学習や、資格受験の費用補助などがあります。海外のロースクールへの留学を支援する制度もあります。
プロフェッショナルとしてしっかりした知識やスキルを身につけるのは大前提なので、会社としても十分サポートできる仕組みを設けています。
実際に、英語が得意ではなかったけれど留学したことで大きくハードルが下がり、いきなり海外拠点のメンバーに電話するようになった人もいます。
法務コンプライアンス人材がキャリアアップするうえで、大事だと思われる経験はありますか。
これは法務コンプライアンスに限りませんが、自ら判断を下していく経験が非常に重要だと思います。
自分が下した判断がビジネスに影響を与えるとなると、真剣に考えますよね。上司の指示で言われたことだけをやっていればいい、というスタンスだと大きく成長しにくいのではないでしょうか。
例えば、私自身、前職でヨーロッパに赴任したときは、現地の法務責任者として最終判断を任されていました。プレッシャーもありましたが、やりがいがありましたし、学ぶことがとても多かったですね。
佐藤様ご自身の「法務コンプライアンスはこうあるべきだ」という哲学やお考えを教えてください。
法務コンプライアンスは、どの会社でも人数が限られた専門家集団だと思います。
問われたことに対して正しい回答を出すのは大前提ですが、領域外だからと線を引いてしまうケースもあると思うんです。例えば「これはコンプライアンスの話ではなくビジネス判断だから、ここから先は経営側でやってください」などですね。
しかし私は、一歩踏み込んでいろんな意見を言うべきだと思っています。ビジネスの現場では、お金を稼ぎたい、前に進めたいというモチベーションがある一方で、当事者たちは法的リスクや世間の目線まで頭が回らないことがあります。
そこにいる私たちだからこそ、「違法ではないけれども、本当にその進め方で社会から受け入れられるのだろうか」といった点を指摘できるはずです。
そういう意見は、法的見解を求められた範囲を超えているかもしれませんが、積極的に提示していくことが、これからの法務コンプライアンスには求められていると感じます。
法務パーソンへのメッセージ
このインタビューを読んでいる方は、現役の法務パーソンが多いと思います。最後にメッセージをお願いします。
今回、当社の法務コンプライアンス本部に関して包み隠さずお話ししてきました。
少しでも興味を持たれた方には、ぜひ仲間になることを前向きに考えていただきたいです。当社ではチャレンジできる場が多く、成長の機会がたくさんあります。
私も本部長として、そうした機会をどんどん作っていきたいと考えています。ぜひ当社で一緒に働いていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
動画:モビリティ業界を牽引する法務コンプライアンス|キャリアにおいて重要となる経験とは

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