【女性弁護士の割合は約18%】都道府県別、諸外国との比較など
- 更新日:2025.06.10
例えばわいせつ被害を受けた女性が弁護士に相談しようと考えた場合、女性弁護士を希望するのではないでしょうか。
男性でも紛争相手が女性である場合等、女性特有の視点からのアドバイスを期待して女性弁護士を希望することがあるでしょう。
しかし、女性弁護士が少ないとそういった希望が叶いません。
この記事では女性弁護士の割合と、法科大学院生に占める女性の割合などについて解説します。
今後の展望なども解説しますので気になる方はぜひご覧ください。
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INDEX
全弁護士のうち女性の割合は18.8%
上のグラフは全弁護士の男女別の割合の推移(1991~2016年)をまとめた、100%積み上げ縦棒グラフです。
上のグラフは女性弁護士のみの数の推移を棒グラフに、割合を折れ線グラフで表しています。
全弁護士のうち女性弁護士の割合は18.8%です。
単純計算で女性弁護士は5人に1人以下となり、少ないようにも思えます。
推移をみると、人数は300~500名ほど、割合は1~2%ずつ、毎年増加しています。
以降で、女性弁護士の割合はどうなるのかを、
- 法科大学院生に占める女性の割合
- 予備試験合格者に占める女性の割合
- 司法試験合格者に占める女性の割合
から推測していきます。
法科大学院生に占める女性の割合
2019年度の全法科大学院生は1,624名で、そのうち女性は485名で、割合は29.8%です。
法科大学院に進学する学生の多くは、司法試験合格を目標としています。
法科大学院生の女性割合が18.8%(2019年3月末時点における女性弁護士の割合)を超えているということは、女性弁護士の割合が増える可能性があると言えます。
また、2011年度における法科大学院生のうち女性の割合は25.8%(全法科大学院生3,619名、女性937名)だったので、割合が増加していることがわかります。
参考:文部科学省「学校基本調査 平成30年度 高等教育機関《報告書掲載集計》」
予備試験合格者に占める女性の割合
2019年度における予備試験全合格者は391名で、そのうち女性は85名、割合は17.8%となっています。
予備試験受験者の多くは、司法試験合格を目標としています。
備試験合格者に占める女性の割合が18.8%(2019年3月末時点における女性弁護士の割合)に近いということは、女性弁護士の割合が現状より下がる可能性は低いことと言えるでしょう。
2011年度における予備試験全合格者に占める女性の割合は11.2%(全合格者103名、女性13名)だったため、法科大学院生に占める女性の割合と同様に、女性の割合が増加していることがわかります。
参考:「法務省:令和元年司法試験予備試験口述試験(最終)結果」「法務省:平成23年司法試験予備試験口述試験(最終)結果」)。
司法試験合格者に占める女性の割合
2019年度における全司法試験合格者は1,502名で、そのうち女性は366名で、割合は24.3%となっています。
司法試験合格者の多くは、司法修習を経て弁護士になります。
司法試験合格者に占める女性の割合が18.8%(2019年3月末時点における女性弁護士の割合)を超えているということは、女性弁護士の割合が増える可能性が高いことを示すものと言えます。
なお、2011年度における全司法試験合格者に占める女性の割合は23.1%(全合格者2,063名、女性478名)であり、女性の割合はわずかに増加しています。
参考:「法務省:令和元年司法試験の結果について 総合評価」
都道府県別の女性弁護士の割合
2019年3月末時点における日本国内の地域別の女性弁護士の状況をまとめました。
女性の割合が10%未満の弁護士会
- 徳島弁護士会:8.6%
女性の弁護士の割合が20%以上の弁護士会
- 東京弁護士会:20.1%
- 第一東京弁護士会:20.2%
- 第二東京弁護士会:21.1%
- 京都弁護士会:20.6%
- 滋賀県弁護士会:22.7%
- 岡山県弁護士会:20.8%
- 島根県弁護士会:23.8%
大都市圏の弁護士会(20%超を除く)
- 愛知県弁護士会:19.3%
- 大阪弁護士会:18.0%
- 兵庫県弁護士会:20.0%
以上の状況からすると、女性弁護士の割合は大都市圏で高く、地方で低い傾向にあると言えます。
参考:日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2019年)」
諸外国の女性弁護士の割合
2017年における諸外国の女性弁護士の割合は以下の通りです。
日本の女性弁護士の割合18.8%は諸外国に比べると低いことがわかります。
- アメリカ:34.4%
- イギリス:48.8%
- 韓国:25.4%
- ドイツ:34.4%
- フランス:55.4%
参考:日本弁護士連合会「基礎的な統計情報(2018年)」
女性の企業内弁護士の割合と推移
日本組織内弁護士協会「組織内弁護士の統計データ」によると、2019年における女性の企業内弁護士の割合は40.6%です。
2001年における全企業弁護士に占める女性の割合は13.3%で、約20年で3倍以上に増えています。
要因としては、女性の社会進出に対する社会全体の意識向上や、出産や育児に伴う育休制度等が整っている一般企業に所属することでワークライフバランスを実現したいという女性の意向が考えられます。
最近は法律事務所でも育休制度等が整っている事務所が増えてきました。性別に限らず組織内弁護士を選択肢とする弁護士も増えています。
今後の女性弁護士の展望
日本における女性弁護士割合は20%くらいまでの増加が見込めます。
しかし30%を超えるような見込みはありません。
弁護士は司法試験に合格し司法修習を経ればなることができるため、日本の司法試験制度が女性弁護士の割合の増加を拒んでいる要因とは考えにくいです。
将来的に女性弁護士の割合を増やすためには、
- 女性弁護士のニーズを社会的に認知してもらう活動
- 法律事務所が社会保障を充実させて出産や子育てに対する不安を解消する
といった法曹全体の取組みが必要でしょう。
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この記事の監修者
リーガル専門コンサルタントとして、弁護士・法務人材を中心に転職支援を行う。中国発大手テクノロジー企業の日本法人にて創業メンバーとして事業開発・推進に従事。スタートアップ〜大手事業会社での事業開発、マネジメント経験を有していることから、様々な角度からの俯瞰したアドバイスを強みとする。
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