弁護士と弁理士の違い│両方の資格を活かすメリット
- 更新日:2024.12.26
弁護士資格があれば、所定の手続きを済ませると弁理士としても働けます。
この記事では、転職を検討中の弁護士に向け、弁護士と弁理士の2つの資格をもつメリットや扱える仕事の内容について解説します。
弁護士と弁理士のダブルキャリアを目指す人は、参考にしてください。
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INDEX
弁理士と弁護士の仕事の違い
弁護士の仕事は法律全般にかかわります。一方、弁理士の仕事は知的財産にかかわる案件に限定されます。
弁理士の仕事
弁理士のおもな仕事は、特許の出願・登録にかかわる手続きの代行です。
特許を出願する際は、発明のポイントを文章にまとめます。
先願特許を侵害せず広い範囲の権利を得るためには、知的財産にかかわる深い知識が必要です。また、弁理士は特許以外にも、商標権や意匠権、実用新案権にかかわる仕事も請け負います。
弁護士の仕事
弁護士は企業または個人を顧客とし、訴訟や紛争の解決を手助けします。
弁護士の扱う内容は知的財産にとどまらず、相続・離婚・民間の取引・事故の示談交渉・刑事犯罪など多岐にわたります。
企業同士が争う際、争点の多くは特許関連です。多くの弁護士は、会社法や民法の知識に精通しています。
知的財産を扱う弁護士としても、特許の出願ではなく特許に関する紛争を扱う人が多いでしょう。
弁護士は弁理士としても働ける
弁護士資格があると、弁理士・税理士・社会保険労務士・行政書士・海事補佐人としても登録できます。
各士業にかかわるためには、それぞれ決められた機関への登録が必要です。たとえば、弁理士は日本弁理士会に、税理士は日本税理士連合会に登録します。
資格は複数登録でき、弁護士との兼務も可能です。
それぞれの士業の経験を、弁護士としてのキャリアに活かすこともできるため、兼務をしている弁護士もいます。
そもそも弁理士とは
弁理士について、業務内容の詳細と弁理士になるための手順について紹介します。
弁理士の業務内容
弁理士は知的財産権にかかわる専門家です。
知的財産権とは、知的活動から生まれたアイデアや創作物を指します。特許権・著作権・意匠権・実用新案権などは、いずれも弁理士の守備範囲内でしょう。
弁理士の使命は「知的財産権の形成」や「知的財産にかかわる相談」です。
また、顧客が最大限の知的財産権を獲得できるよう、申請内容を吟味します。他社や個人による先願を避けるために、ビジネスの相談にも対応することもあります。
知的財産権にかかわる法律やルールは難解です。
そのため、知的財産権の申請が認められず困っている人は少なくありません。
弁理士は、最新の法律を把握しているため、正しい出願手続きを代行します。
拒絶理由通知に対する、反論や出願内容の補正も請け負います。
弁理士になるためには
一般の人が弁理士として登録するためには、弁理士試験に合格しなければなりません。
成人していれば、学歴や経歴に関係なく弁理士試験を受けられます。
ただし、過去に刑事処分・業務上の処分を受けた人は、試験に合格したとしても弁理士にはなれません。
弁理士試験は年に1回実施され、受験料は12,000円です。
試験は短答式・論文式・口述式の3段階で、試験期間は半年にも及びます。
試験の日程や会場は特許庁のホームページで確認でき、例年1月中旬から下旬頃にかけ、試験の詳細が掲示されます。
平成29年度の弁理士試験によると、受験者の平均受験回数は4.2回でした。弁理士試験の難易度の高さがわかるでしょう。
一方、弁護士であれば弁理士試験が免除され、しかるべき登録を済ませると弁理士になれます。
※参考:弁理士になるには│日本弁理士会
弁護士が弁理士になるためには
弁護士の資格を有している人は、まずは弁理士実務修習を受けましょう。
修習後に弁理士に登録すると、晴れてダブルキライセンスを獲得できます。
弁理士実務修習を受ける
弁理士実務修習では、弁理士の職業倫理や実務のポイントを学びます。
実務修習は、例年11月頃に受付が始まり、12~3月頃にかけ約4カ月間行われます。
実務修習に参加しなければ弁理士として登録できません。
申請書類の一式は、Web上で作成し、日本弁理士会事務局宛に配達証明郵便にて送付します。
Web上の書類作成のみでは、申請が完了していないため注意しましょう。
実務修習の受講料は11万8,000円で、eラーニングと会場のいずれかを選べます。
日本弁理士会に登録
実務修習後に、必要書類をそろえ日本弁理士会に提出しましょう。
「弁理士となる資格を証明する書類」については、「弁理士試験の合格証明書」「弁護士となる資格を証明する書類」などが該当します。
「弁護士となる資格を証明する書類」とは、司法修習修了を証明する書面、あるいは所属弁護士会の登録証明書です。
弁理士への登録にあたり、登録免許税60,000円と登録料35,800円、会費15,000円を支払います。
登録免許税は麹町税務署に納付し、登録料と会費は「弁理士登録申請の手引き」で指定された銀行口座に振り込んでください。
弁理士資格と弁護士資格を両方持つメリット
弁護士が弁理士の資格をもつと、以下のようなメリットを得られます。
知的財産知識のエキスパートになれる
弁理士の資格を得る過程で、知的財産に関する知識を得られます。
知的財産の権利範囲が広くなるほど、顧客が得られる利益は大きくなります。
そのため、権利関連の紛争は激化し、裁判で争うケースも少なくありません。
知的財産権の形成から紛争までを一任できる弁護士は、顧客にとって力強いパートナーになるでしょう。
M&Aをスムーズにサポートできる
M&Aを行う際は、ターゲットとなる企業の価値やリスクを評価します。
なかでも、知的財産にかかわる評価は「知的デューデリジェンス」と呼ばれます。
知財デューデリジェンスを行う目的はさまざまです。たとえば、技術獲得型のM&Aでは、ターゲットが保有する知的財産の内容から、将来の収益見込みを判断します。
知的デューデリジェンスはM&Aの締結前に行い、評価結果をもとに契約書を作成します。
知的財産は「無形」であるため、価値の判断は容易ではありません。
知的財産を的確に評価し、顧客に有利なM&Aを提案する弁護士は信頼されます。
業務の幅が広がる
複数の専門分野を手掛ける弁護士は、対応力に優れているといえるでしょう。
弁護士と弁理士が関わる案件でも、顧客は一人に依頼すれば済むため、複数のエキスパートを雇わずに済みます。
弁理士の扱う内容は専門性が深く、弁護士が得意とする法学の知識のみでは、知的財産の新規性・創作性の判断は難しいでしょう。
知的財産分野での専門性を認められると、顧問先を増やせる可能性もあります。
転職を考えているならアガルートキャリアへ
弁護士と弁理士のダブルライセンスを武器にすると、転職先の幅が広がる可能性があります。
この強みを活かした転職を考えているのであれば、アガルートキャリアへの登録がおすすめです。
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経営上の理由から一般的には非公開扱いの求人も紹介可能です。
まとめ
弁理士は、知的財産にかかわるエキスパートです。
弁護士は弁理士試験を免除されているため、弁理士実務修習を経て日本弁理士会に登録するだけで、弁理士として活動できます。
弁護士と弁理士のダブルライセンスは仕事の幅を広げられるでしょう。
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この記事の監修者
リーガル専門コンサルタントとして、弁護士・法務人材を中心に転職支援を行う。中国発大手テクノロジー企業の日本法人にて創業メンバーとして事業開発・推進に従事。スタートアップ〜大手事業会社での事業開発、マネジメント経験を有していることから、様々な角度からの俯瞰したアドバイスを強みとする。
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