71期独立弁護士の異色のキャリア【弁護士×コメンテーター×舞台女優】​

71期弁護士で、22年4月に独立された阪口先生にインタビュー。

現在は弁護士のほかに、舞台女優やコメンテーターとしても活躍されています。そんな阪口先生に、

  • 一所目であるレイ法律事務所での仕事
  • 移籍された背景
  • 独立のきっかけ
  • キャリアに関するアドバイス

などを伺いました。

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一般民事・エンタメ系事務所での仕事内容

――(一所目である)レイ法律事務所には2年ぐらい在籍されてたんですね。どういった案件を担当されてたんですか?

そうですね、2年ちょっといました。担当したのは主に一般民事と、エンタメ分野。そしてドラマ監修です。

――エンタメとドラマ監修は別なんですか?

別です。エンタメだと、例えば芸能人、タレント、Youtuber、アイドルとかの「事務所から独立します」とかって問題の、主にタレント側をやってます。

――なるほど、個人側のってことなんですね。一般民事ではどういう案件をやってらっしゃったんですか?

一般民事だと離婚とか男女問題です。

――入所して「はい、やって下さい」って訳にはいかないと思うんですけど、最初は研修とかOJTみたいな期間があったんですか?

そうですね。基本的にはレイ法律事務所にパートナーの先生がいっぱいいらっしゃるんですけど、そのパートナーの先生に付くみたいな感じになってます。

OJTという形でやってもらって一緒に相談に入って進めていくうちに、じゃあ1人で入りますかってなっていきます。

――1人でやられるようになったのは大体何月ぐらいですか?

1月に入所して、初めて1人で入ったのは4月とかですね。

弁護士の「ドラマ監修」とは

――ドラマ鑑賞をやってた弁護士の方とお話しするのは初めてで、どういう事やるのかが正直よく分からないんですけど、どんな事をやってらっしゃったんですか?

そうですよね(笑)

ドラマ監修って3パターンありまして、1番多いのが脚本監修、台本監修です。台本を送って頂いて、その中で用語があってるか、話の進み方はこれでいいか等を監修します。

稀にあるのが「このストーリーの展開でこの犯罪が成立するようにしたいけど、この犯罪を成立させる為にはどの段階でどういう要素を足した方がいいですか?」とか。逆のパターンで「このストーリーの流れだと何罪が成立しますか?」とかもあります。

――そういうのをチェックされるんですね。

はい。もう1つが現場監修です。法廷シーンとかよくドラマで見ると思うんですけど、その現場に行って動き方とかを指導します。

もう1つが小道具監修なんですけど、ドラマとかで訴状や書面が一瞬ぱっと映る時があると思います。

その時一瞬でも訴状とかが映ると、止めて見る人がいるんです。その人の為に・・・その人だけの為じゃないんですけど(笑)一応ちゃんと作ってるんですね。

ストーリーに沿った訴状になってるんです。それを作ってました。

――止めて見る方がいるんですね!見られてもちゃんとしてる、となるように監修していらっしゃったんですね。

一般民事・エンタメ系事務所での働き方・報酬

――それでは当時大きく3領域をやってらっしゃったと思うんですが、忙しさはいかがでした?

当時はめちゃめちゃ忙しかったです。大体終電まで仕事していて。0時回ったら事務所を出て、そしたら終電ちょうど乗れるのでみたいな。

――終電で帰宅されて、翌日は何時ぐらいに行くんですか?

朝が大体10時から相談だったりするので、そういう時は(10時の)ちょっと前に行って。たまに9時から相談入ってたりするので、そういう時は8時とか。

――いやぁきついですね(笑)土日はどうだったんですか?

土日は一応休みではあるんですけど、終わらなかったら行ってました。あとドラマの監修は現場が土日関係ないので、だいたい土日も現場行ってましたね。

なのでなんだかんだで土日のどっちかは働いてました。

――可能な範囲でですけど、報酬はどのくらいだったか覚えてらっしゃいますか?

報酬は年500+賞与でしたね。

――賞与があるんですね。それはご自身の頑張りというか、携わった案件の数とかで評価されるんですか?

そうですね。1年を通した活動を見て、賞与は年末に出ます。なので大体年収は550万円ぐらいでした。

一般的な相場と言われてるのが600万円なんでそれよりはちょっと低いんですが、私はそれよりもドラマ監修やりたくてしょうがなかったので。

――やりたい事を優先されてたんですね。ということは入所時にも報酬はそんなに気にされてなかったんですかね。

はい、全然気にしてないですね。

参考:弁護士の転職・求人の市場、中途採用の動向を専門エージェントが解説

事務所移籍の経緯

――レイ法律事務所に2年程いて、やりたかった仕事をやった後に退所されたと思います。なぜ次のキャリアに移られたのでしょうか?

年齢的にも当時29だったのかな?なので、20代最後にやりたい事を全部やりたいと思いまして。

私がテレビのコメンテーターだったり、あとは弁護士あまり関係ないんですけど舞台に立ったりとか、そういう活動もやっていまして、そうなるともう少し時間が取れる働き方にガラッと変えようと思い、移籍しました

――テレビのニュースや情報番組に弁護士のコメンテーターの方出てるの見ますけど、そういうのですよね。あと個人の舞台の活動とかの時間を優先していくというか捻出するには、前職だと難しかった。今は独立されていますが、当時は独立ではなく移籍にされたんですね。

ちょっとまだ独立っていうのが怖くて、一応事務所に所属して仕事も事務所から頂きつつ、他の活動をしていけたらいいなと思っていたので、独立ではなくて移籍にしました。

――入所時から「弁護士業の方はちょっと抑え目にしたい」みたいなことは伝えてたんですか?

そうですね。舞台にも出ますし、コメンテーターもやりますと。

舞台は特に稽古期間があったりするので、結構まとまった時間を取られるんですよね。なので、弁護士業できない時があるって伝えた上で、その分もちろん報酬も減らして下さいっていう所で条件が合致しました。

――転職活動はどうされたんですか?どうやって移籍先見つけたんです?

委員会ですね。委員会でよくして下さってる先生だったり…

私の場合移籍先の事務所が少し特殊なんですけど、私が司法試験が終わってから合格発表までの間の数ヶ月間、法律事務所でアルバイトしてたんです、事務局の。そのアルバイト先の先生が作った事務所なんです。

っていう繋がりで、私は第二東京弁護士会の所属なんですけど、アルバイト先の先生がたまたま委員会でも一緒になって、また仲良くして下さっていて。

で、その先生にちょっと相談したら「じゃあうちに来るか?」って言って頂いたので入ったんです。

――なるほど。そういう繋がりがあっていいご縁になったんですね。

独立のきっかけ

――移籍をして1年ぐらいやったけど、この春に独立をされたと。独立するきっかけはどんなものだったんですか?

独立のきっかけはやっぱりコメンテーターをやっていきたいなっていう所です。

コメンテーターの業務って収録じゃなくて生放送が多いんですね。そういう時にやっぱり事務所に入っていると、事務所の見解ってものが出てきてしまう。そこをいちいち確認できないんです。

確認できずにぽんって言わなければいけないので、そういった所で事務所に入っているよりも1人でやっていた方がいいなと思って。例えば事務所の見解ってもう自分なので

――いまは事務所=自分ですもんね。でも事務所在籍時はそうはいかなかった。

そうです。やっぱり事務所の見解っていうのが出てくるとそれに沿った、ちょっと気にした発言しなきゃいけない。

なんとなく自分の見解と違う時、自分の見解言いたくなってしまうんです(笑)。

――そうですよね。答えが明確にあるものじゃないからこそ難しいし、モヤモヤしちゃうやつですね。

そうなんですよ。そのあと受け答えをするんですね、他のコメンテーターの方とかゲストの方とかと。その時やっぱり答えれなくなる時もあるので(笑)。

――就活のお話で出た、「本当に思ってない事をぼろっと言っちゃって突っ込まれた時に困る」っていうのと同じですね(笑)

そうなんです。っていうこともあって、やっぱり自由に発言できる環境がいいなと思って独立を選びました。

――事務所移籍する時は「ちょっと独立は不安だな」って思いがあったと仰ってましたが、独立を決めたときはそれよりもやりたいを優先されたんですか?

そうですね。もうコメンテーター自由にいきたいっていうのでいっぱいになって(笑)

独立後の働き方・報酬

――今お仕事はご自身で営業して取ってきてらっしゃるんですか?弁護士業とか、コメンテーターの仕事も含めて。

コメンテーターの仕事は、法律事務所とは別でマネジメント事務所に所属してまして。「文化人」として登録してるんですけど、そこからお仕事を貰ってやってます。

弁護士の仕事の方は特にホームページもまだ作ってなくて、一般で募集とかはしてないんですけど、前の事務所から引き続き担当してる案件だったり、友人からきた紹介案件をやってます。

――弁護士目指す方とかまさに今弁護士の方とかで、独立考えてらっしゃる方はやっぱり多い職業だと思うんですよね。一方で特に若い方だと「今この段階で独立しても仕事あるのかな」とかそういうの不安に感じて、どうしようかなってなる方もいらっしゃると思うんですね。阪口さんは意外と食うには困らない、何とかなってるなって感じですか?

そうですね。私も色々やってるので、トータルでなんとかなってるかなっていう感じです。

――なるほど。やりたい事があったりとか、自分で自由にやりたいみたいな方だと、独立も1つの選択肢としてありなんですかね。

ありだと思います。

――報酬面で言うと今いろんな事やってらっしゃると思うんですけど、弁護士業が1番稼ぐという点では手っ取り早いんでしょうか?

まぁ、でもそうですね。

やっぱり弁護士業が、例えば時間対費用っていう意味でいくと、めちゃめちゃ割に合うかって言ったら割に合わない仕事ももちろんあるんですけど、トータルで見た時にはやっぱり弁護士業だけをずっとやってるのが報酬は良かったですね。

――やりたい事がある方だと、弁護士と両輪でやっていくこともできそうですね。弁護士業でしっかり金稼いでおいて、自分のやりたい事がすぐにお金になんなかったとしても。

できると思います。そのやり方するなら独立のがいいと思います。

――どこかに所属するとどうしても自分でコントロールできない所は少なからず出てくるので、バランスでしょうか。何をやりたいかと、何を優先したいかで決まってくるのかもしれないですね。

参考:弁護士の年収はいくら?キャリア別・分野別の相場と年収アップの秘訣

キャリアのアドバイス

――最後に、これまでのいろいろなご経験を踏まえて、今弁護士の方とか弁護士目指されている方に対してキャリアのアドバイスを頂けますか?

私の場合は最初の事務所で弁護士業をがっつりやったからこそ、今自由にできてるんじゃないかなと思うんです。

なので、まずは1つやりきってみる。まぁ私はやりきったって言っても2年しかやんないで決めたのですごくおこがましいんですけど(笑)

弁護士って何でもできる職業なので、「もうちょっとこういうのやってみたいな」が出てきたらそっちにも手を伸ばすのもありかなと。

弁護士としてがっつりやった気持ちがあるからこそ、いつでも弁護士業だけをやるっていうのには戻れるなと思います。新しい事に挑戦するのって1番労力がいる。続けることは一歩踏み出すよりかはやりやすいと思うんです。

だから、ずっとやっていくうちにこれやりたいって思ったら挑戦する。それがせっかくできる仕事なのでやってみると楽しいかなと思います。やっぱり人生一度だし。

――すごくそうだなと思います。一般的なキャリアの話でも、軸となるものが1個あるとチャレンジもしやすくなるし、それが2個になると選択肢が広がったり、活躍の度合いが広がったりするっていうのは非常によく言われるんです。あとキャリアの希少性も高くなりますね。弁護士って珍しいですけど、たくさんいるっちゃいる。でもその中で弁護士×これができるって掛け算で増やしていくと、人材の希少度があがってくるので、それを地でいってらっしゃるのかなと思いました。今後もテレビ等で拝見するのを楽しみにしています!ありがとうございました。

本記事の内容は動画でもご視聴いただけます
動画:若手弁護士の移籍・独立の経緯とは❓/弁護士×コメンテーター×舞台女優のキャリア

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この記事の監修者

2016年創業期の株式会社ファンオブライフに参画し、人材紹介サービス立ち上げ・拡大に従事。現在はリーガル専門のエグゼクティブコンサルタントとして、弁護士・法務パーソンのキャリア支援を行う。国内外の法律事務所や、メーカー・商社・金融・IT業界等の企業法務部とのネットワークが強み。​

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