【一般民事弁護士の転職インタビュー】地方法律事務所への移籍で年収アップ

一般民事事務所→企業法務事務所&予備校講師→地方の法律事務所に転職された、東先生にインタビュー。

  • 1所目の一般民事事務所での仕事
  • 一般民事から企業法務事務所への転籍
  • 司法試験の予備校講師とは
  • 転職/移籍での年収や待遇の変化
  • これから転職する方へメッセージ

などを伺いました。

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1所目に選んだ一般民事事務所

――京都大学のロースクール・既習コースに入学後、1年目で予備試験に合格し中退。司法試験に合格後、札幌修習に行かれた、東先生にお話しを伺います。最初の勤務先として一般民事事務所を選択されていますが、そこではどういった業務を主に取り扱っていたんですか?

元々そこは交通事故を主力として大きくなった事務所で、僕が入ったのも交通事故の部門でした。その時ぐらいから債務整理をもう1つの柱としてやり始めていて、今は債務整理の方が主力になってるようですね。

――入所されたときの人数規模はどのくらいですか?

結構出入りが激しくて、20人前後くらいです。

――入所されてから、どのように執務をスタートされたんですか?

最初は簡単な研修ですね。勉強とか、電話対応の仕方のようなマニュアル的なこととか、社会人作法的なこととか、本当にちょっとだけ研修を受けました。

あとは、兄弁(先輩の弁護士)と一緒に交通事故をちょこちょこやりながらも、基本的にはすぐ自分1人でやってましたね。入所後1~2か月ぐらいで単独でやってた感じです。

――やりがいや大変だったことを教えてください。

やりがいはありましたが、大変かと言われると僕はそんなにで。

交通事故って結構人によるんですけど、交渉事が多かったりするので依頼者の対応が難しかったり、保険会社との対応が難しい人とかは苦手で、精神的にしんどいという人もいます。僕はあまりそういうのがなかったので、仕事のうえで辛いとかは全然無かったですね。

――忙しさはどうでしたか?法律事務所はやっぱり忙しいと聞きますが・・・

全然忙しくないっていうと語弊があるかもしれないですけど、いわゆる大手事務所と比べたら全く忙しくないところでした。大体僕は10時に行って、お昼休みがあって、帰宅が20時ぐらい。土日祝日は休みでした。

――普通にあれですね、企業勤めみたいな。

でも、いわゆる大企業で20時帰りだったら「ちょっと遅いんじゃないの?」とか今だったら言われるんじゃないかなって気はしますけど。そんなでもないですか?(笑)

ただ僕よりもっと長く働いてる人は普通にいましたし、僕の先輩ですごく遅くまで働いてる人もいました。

――人によって個人差が大きいんですかね。

個人差も大きいですし、時期とかもあるでしょうし。僕は5ヶ月で辞めてしまったんで、そんなに働いた記憶がそもそもないですね。

――初年度の報酬はどれぐらいだったんですか?

月40万円の雇用契約(厚生年金あり)でした。

賞与が出ないって噂だったり、報酬体系の変更もあって、出張手当があったりもして、厳密に月40万円じゃないこともあります。最低年収560~600万円ぐらいのイメージじゃないですかね。

実は健康保険はトラブルの1つでした。「社保あり」って書いてあったら普通は厚生年金と健康保険負担で、雇用保険ありと思っていました。聞いたら「健康保険は自分で加入してくれ」という話で、僕は自分で弁護士国保(弁護士が入る国民健康保険)に加入してました。

ただ、雇用契約で厚生年金があるのは大きかったですね。いわゆる普通の弁護士事務所じゃなかなかないと思うので。

――5ヶ月でそこは退所して転職されてますが、なぜそういった意思決定をされたんですか?

すごく言語化が難しいんですが、さっき言った条件面が聞いていたことと違うことから若干不信感はありました。

それとやっぱり何ていうか、事務所が仕事をする方向性と、僕のやりたいような仕事の方向性が違うって言ったらいいんですかね。同じ交通事故でも、これはこういうふうにして事件を受けて進めていきたいのに、事務所としては違う。そういうちょっと空気感の違いがあって、合わないからもう辞めようって感じですかね。

――転職先、次のところが決まってから辞められたんですか?

いや、次は決まってないですね。先に辞めることを決めました。

辞めるって言ってから引き止められたり、ちょっと考える期間が1ヶ月ちょっとぐらいありました。その間に出身の大阪に戻ったり、知り合いの先生に声をかけたりして「まあなんとかなるか」とか「大阪戻って独立しようかな」とかそういう風に思ってました。

一般民事事務所から1回目の転職活動

――それで転職活動を進めていかれたと思います。いろいろな方法がありますが、最初は何をされたんですか?

多分普通はエージェントに登録するとか、ひまわりで検索するとかが一般的な転職ルートだと思うんですけど、僕はまずとにかく知り合いに片っ端から声をかけていきました。で、「困ったらおいで」って言ってくれた先生がいて、その中の1人が当時アガルートで講師をやられてた丸野先生でした。

ただ丸野先生には「ちょっと面倒見てください」とか言ってたわけじゃなくて、「僕辞めて大阪行きます」みたいな話をしたら、「それやったらアガルート来なよ」みたいなことを言われて。

当時僕はいやなんか胡散臭いなみたいなぐらいにしか思ってなかったんですけど(笑)、1回面接をということで丸野さんが間を取り持ってくださって。

――アガルートは業務内容が結構特殊ですよね。法律事務所の案件をやりながら、いわゆる司法試験予備校の講師もやっていく形。こういった働き方に関心があったんですか?

ありましたね。司法修習中、ロースクール生や友達からお願いされて、要はボランティアみたいな感じで教えたりすることがありました。家庭教師的なことをしたり、あと「伊藤塾」でゼミを持って教えてたりだとか。

実は丸野先生とはその時からの関係で、僕が「伊藤塾」でゼミをしてるときに、そのさらにボス的な存在というか、僕を監督する側の立場の方でした。その繋がりがあるので、丸野先生は僕が教えてることは知ってましたし、僕が教えるの好きだったのもあります。

――アガルートの面接に行ってからはパパパっと入社を決められたんですか?

そうですね、これは僕の思い上がりか分からないですけど、ほとんど内定が決まってたような感じで(笑)。

「来てくれるんだよね?」ぐらいの感じで、面接という面接でもなくて。「履歴書送ってくれ」って言われたから送って、「じゃあお話を」って面接行って、ほとんど聞かれることもあまりなく、「来てくれるんだよね?」みたいな、そんな感じでした(笑)。

お互いに挨拶して、条件面とかを確認するための面談みたいな感じに近かったと思います。また、面接前から内部事情をよく聞いてたので、「来てくれるよね?」にすぐ「はい」と言えました。

――では他社と比較したり、悩んだりはされなかったんですね。

はい、そうですね。

参考:弁護士の転職・求人の市場、中途採用の動向を専門エージェントが解説

企業法務+予備校講師の仕事

――それでアガルートに入社されて予備校講師も事務所の仕事もやってと。講師業務と事務所の仕事はそれぞれ何割ぐらいなんですか?人によって違うのかもしれないですけど。

業務は講師業と、事務所の事件と、僕の個人事件の3つに別れているんですね。

感覚的には講師業が5くらい、事務所の事件が1~1.5くらい、自分の個人事件が3.5くらいでした。

――個人事件の割合も結構多いんですね。ご自身で営業して案件を持ってくるんですか?

それもありますし、大きかったのはやっぱり紹介案件とか、知り合いからですね。

――個人事件は自由にやっていいんですか?

いや、そうなんですよ。常軌を逸した話で僕も信じられなかったので、何回も確認したんですけど(笑)。個人事件、自由にやっていいです。そして上納金的なのが一般的な事務所は売上の3~4割と言いますが、それも0でいいと。

「嘘やろ」「詐欺じゃないのかな」って思ってたんですけど(笑)、本当に0でしたね。1回もそういうのは求められなかったです。

――確かに珍しいですね。結局個人受任を好きにやってよくても、事務所受任してる案件がすごく量があって、それどころじゃないみたいなこともありますよね。

まさにそのパターンなんですよね。普通の弁護士事務所って、時間の拘束じゃないというか。この事件やっといてって言われてどれぐらい拘束されるか分からない。だから結局個人事件をやる暇ないってことですね。

アガルートは勤務時間が決まってるんで、逆にそれ以外の時間は好きにやっていい。だから自分がどれぐらい入るかをこっちで決められます。

――ある程度コントロールしやすいわけなんですね。では報酬は個人受任の量によって上下すると思うんですけど、ベースは大体どのくらいなんですか?

アガルートから提示されたのは年俸800万円(月67万円×12カ月)でした。

賞与はないです。雇用じゃなくて業務委託なので厚生年金とかもない。あと、1所目の一般民事事務所は弁護士会費は会社負担でしたが、アガルートは自己負担ですね。

収録をやって、その収録の売り上げの10%が入ってくるとかのインセンティブはありました。

――1所目にいたときと比べると、働いてる時間は長くなりました?

いや、微妙ですね。波があります。

労働時間を計算したことがあって、収録をたくさんしてたときは300時間ぐらい働いてましたね。ただ収録は強制じゃなくて、やりたくなかったらやりたくないでいいです。僕は当時新人だったので収録にどれぐらい時間かかるかわからずに、「東くんこれやって」って言われて引き受けたらめっちゃ大変で、みたいな(笑)。

安易に受けてしまったからこうなってしまいましたけど、収録がなかったら1所目にいたときと総労働時間は変わらない気がします。

――個人受任はそれとは別ですか?

いや、個人事件も入れてですね。ただいわゆる10時、20時みたいな働き方ではなくて。

アガルートでラウンジがある日は、例えば11時からは19時はここのラウンジに居てくださいとか、13時から21時はここのラウンジに居てください、みたいな感じです。なので朝が遅かったりとかします。

――土日はどうでした?

土日もラウンジがある日は行きますけど、逆に平日ない日は家にいるとか、よく決まってないって言うんですかね。シフト制までいかないと思うんですけど都度相談しながら決めていくみたいな感じです。

2度目の転職のきっかけと札幌の法律事務所での仕事

――アガルートは2年半くらい在籍されたんですね。その後、今お勤めの北海道の事務所に転籍されましたが、どういった理由で動かれたんでしょうか?

やっぱ個人として仕事やってるだけだと、どうしても仕事の幅に限界があると思いました。例えば今後独立するとか考えると、もう少し幅の広い仕事を経験しておきたいなという思いがあったんですよね。

あと東京の生活費高いなとか、元々北海道好きだしとかもありましたが(笑)、当時は個人事件をやってそれなりにお金は潤ってはいたんですけど、それは短期的なものであって、長期的な意味で自分のスキルや独立するための経験を養えてるかでいうと結構微妙だった。

で、どうしようかなと思ってたところで、今いる札幌の事務所の先生からお声がけをいただいて。僕の修習先なんですよね。札幌修習の修習先の事務所なんですよ。転職をしようと思ってたというよりは、本当にポンとそういうお話があって、漠然と考えていたところがクリアになるんじゃないかな、いろんな経験積めるんじゃないかなっていうのがピタッとはまったみたいな。

修習先の事務所なんで、どういう仕事をしてるかもよく知っていましたから、こういうところ行けば次は僕が今まで経験していなかったような事件に触れられるんじゃないかと。

今更そんなとこに行くのもどうなんだ、そういうことは最初に就活のときに考えとけよと言われたらそれまでなんですけど。多くの人はそう考えるかもしれないですけど、僕は今更でもやっときたいなと思いました。

――具体的にはどう言った経験を積みたいと思われてたんですか?

まずは刑事の否認事件。東京はそもそも刑事事件の案件数が少ないんですけど、案件数が少ない中、さらに認め事件しかほとんどがなかった。だから、やっぱ刑事事件の否認事件の経験が積めないのはかなり大きくて。

否認事件は経験のある人じゃないとなかなかできない。認め事件を100件やったところで否認事件の経験には満たないということを言われたりするぐらいです。

ただ、今の札幌の事務所は、私選で刑事事件が集まってきたり、否認事件もしょっちゅう集まってくるので、そういう経験が詰めるというのが大きかったです。

あと民事訴訟もそうなんですけど、レパートリーが非常に多いですね。いわゆる交通事故1本とか離婚1本とかではない。企業間の取引の紛争とか顧問も結構あるので、そういう意味では企業法務なんですけど、顧問先の企業の紛争処理のトラブルで受けて事件にして訴訟を起こすとか、そういうことをいろいろやれるのもありました。

あとは破産管財系も、これはなかなか東京にいたらできない事件かな。今の事務所はそういう事件もかなりやってます。

――事務所の規模感はどのくらいなんですか?

弁護士は2人です。

――今は個人事件はどうされているんですか?

今の事務所はですね、個人事件の制度がないと言ったらいいんですかね。個人で受けたものは全部事務所で受けて、事務所で精算するということになっています。

僕そもそも東京と大阪の人間なので、大阪・東京の方から相談されてどうしても僕に受けてほしいものがあれば、事務所で受けるんですけど、基本はやっぱり大阪とか東京の知り合いの弁護士を紹介しますね。

――働き方や報酬面は変わりましたか?

働き方は、1所目の一般民事事務所に近いです。大体9時半頃から勤務して、19時半頃には家帰ってますね。土日祝日は働いてないです。

今は雇用契約なので、そういう意味でも1所目にかなり近いですね。

給料は1所目からは大幅に上がってます。アガルートとの比較は結構難しくて、アガルートは個人事権もあるので、アガルート単体の業務委託800万円と比べるとかなり高いです。

例えば同じ1,000万円でも、業務委託で1,000万だと消費税はこっちが納めないといけなかったりするので実は900何万みたいな話になりますが、雇用だと1,000万丸々ですし。そういう話を抜きにしても今の方が多いですね。だから相当、実質的にも大きいと思います。

アガルートでは個人事件が結構あったのでそれを換算するとどうかなという感じですけど、生活費は札幌の方が安いし。あと税金が軽くなったので、そういうのを考慮するとあんま変わらない感じはします。

アガルートの時の個人事件は、ベースの倍くらいあったんですね。要は800万ぐらいがアガルートからもらってその倍くらい自分で稼いでました。その金額よりは雇用で今貰っている金額は少ないですけど、実質的にはトントンぐらいな気はしています。

移籍・転職を考えている弁護士の方へ

――最後にこれまでのご経験を踏まえて、いま移籍・転職を考えてる方に向けてメッセージをお願いします。

やっぱり転職の目的を明確にしておくのが、大きいんじゃないかなと思いますね。

何か漠然とした不安とか悩みで転職すると、何のために転職したんだっけ、となりかねないと思うので。何をして、どういうところでどういう働き方をするというのを明確にした上で転職しないとマッチしないことも多いと思います。

あと、条件面に関してはシビアに見た方がいい。そういう不満は大きくなると思うので。

――確かになんで転職するのかは活動していくとつい忘れがちですね。目先にいい話あるといいなと思っちゃうので。原点に帰るのが大事かもしれないですね。

結局は将来設計だと思いますね。将来的に自分がどうなって、どういう人生を送っていきたいかの逆算で、今はこういうことをしておいた方がいいなとか、こういうことやっておきたいなっていうことです。

ゴールと言ったらいいのかあれですけど、どういうふうに生きていきたいのかをしっかり考えるが1番じゃないかなと思いますね。

――ほかに何かアドバイスはありますか?

強いて言うなら、人付き合いは大事かなと思います。

打算的な感じがして「人脈」って言葉はあまり好きではないんですけど、結果的な話をするとアガルートは丸野先生にお声がけいただいたのがきっかけですし、今の事務所も修習中に評価していただいたことがきっかけでした。2社とも、そういう繋がりがある。

自分がやってたことをどこかで誰かが見て、それをどっかで評価してもらって、拾ってもらうみたいなことがあると思うので、どこで誰が見てるかわかんないですよね。

だから意図しているしていないは置いといて、そういった繋がりを大事にしていくとか、それこそ自分発信でそういう話を聞きに行くとか、そういうことのは回り回って自分に返ってくるのかもしれないです。

――大変勉強になりました、ありがとうございました!

参考:弁護士の年収はいくら?キャリア別・分野別の相場と年収アップの秘訣

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この記事の監修者

2016年創業期の株式会社ファンオブライフに参画し、人材紹介サービス立ち上げ・拡大に従事。現在はリーガル専門のエグゼクティブコンサルタントとして、弁護士・法務パーソンのキャリア支援を行う。国内外の法律事務所や、メーカー・商社・金融・IT業界等の企業法務部とのネットワークが強み。​

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