
キャリア羅針盤
人事労務問題の専門性を高められる杜若経営法律事務所
杜若経営法律事務所
所属弁護士
中村 景子
弁護士・法務領域に特化した転職エージェント・アガルートキャリアは、50年以上にわたり経営者の労働問題を解決してきた杜若経営法律事務所にうかがい、インタビューを行いました。
代表弁護士の岡弁護士にお話をお聞きした前編に引き続き、後編では中途入所をされた中村弁護士にお話をお聞きしました。杜若経営法律事務所での業務内容や働く環境、事務所内の雰囲気などについて詳しくお話しいただいています。
弁護士として転職にご興味のある方、また杜若経営法律事務所について詳しく知りたい方は、ぜひお読みください。
幼いころから労働問題に興味を持ち続け弁護士を目指した

杜若経営法律事務所 所属弁護士 中村 景子様
まずは自己紹介をお願いします。
弁護士の中村と申します。修習期は72期です。2016年に法政大学を卒業後、2018年に中央大学のロースクールを卒業しました。
現在は2所目で、杜若経営法律事務所で弁護士として執務をしています。よろしくお願いします。
中村先生が弁護士を目指した理由を教えてください。
私が弁護士を目指したのは、幼いころから労働問題に興味を持っていたことがきっかけです。
私の父はいわゆる転勤族で、幼いころは四国を転々としていました。
父は転勤を繰り返しながら非常に忙しく働いており、深夜2時ごろに帰宅して朝5時ごろに出勤することがよくありました。そのせいで体を壊してしまった時期もあり、「なぜ体を壊すまで働いてしまうのだろう」と疑問に思ったのです。
父自身は「仕事が楽しくて誇りでもあるんだ」と言っていましたが、幼い私には理解できませんでした。
仕事を原因として家族がケンカをすることもあり、「なぜそこまで働くのか」に興味が生まれました。そのことをきっかけに労働問題に関心を持ち、法律の仕組みを知りたいと思うようになったんです。
また、法律の仕組みを利用して働く人々の環境を改善する仕事ができないかと考え、弁護士という職業に漠然と興味を抱きました。
志望した分野に触れられないもどかしさから転職を決意
1所目はどのような事務所で、どのような案件を担当されたのでしょうか。
初めて入所したのは一般民事の事件を扱う法律事務所でした。具体的には、家事事件の調停や相続事件の調停が多かったですね。
その他、建物の明け渡し請求や債務整理、破産申し立てなども担当していました。一般的な民事事件だけを扱う事務所だったので、顧問業務はありません。
幅広い業務を担当されていたのですね。どのくらいの規模の事務所だったのですか?
その当時は私を含めて弁護士が3名所属していました。
転職をしようと思ったのはなぜですか?
私の原点である労働問題に関わる仕事ができないことへの物足りなさが大きかったです。
また、さまざまな分野に対応できるようにはなりましたが、自分の強みと言える分野がないことに不安を感じるようにもなりました。
同期が「この分野を極めたい」と話すのを聞いたとき、私は自分が5年後、10年後にどうなっているのかを見通せず、このまま続けても弁護士を目指した理由に近づけないジレンマに囚われていたんです。
それで転職活動に踏み切りました。
それでは、転職の「軸」は比較的明確だったのでしょうか。
はい、はっきりしていました。
先輩アソシエイト弁護士の姿に信頼感があった
杜若経営法律事務所はどのようにして知ったのですか?
転職エージェントに登録し、そこから紹介を受けた事務所のうちのひとつでした。
転職について知人に相談したところ、知り合いに聞くだけでなく転職支援を行うエージェントを活用するのも手段のひとつだとアドバイスをもらったんです。
最終的に入所の決め手となったのはどのような点でしょうか。
パートナー弁護士だけでなく、アソシエイト弁護士の皆さんに対し、面接の場で受けた信頼感です。皆さんの姿を見て、自分もこんな風に成長できるんだと感じました。
面接の場で私がそう感じるということは、相談の場でクライアントの方も同じように信頼感をいだくのではないかと思います。
杜若経営法律事務所のアソシエイト弁護士の皆さんが、私が目指している弁護士像にとても近いように思え、1次面接後、ここで働きたいと強く思うようになったんです。
それほど印象が良かったのですね。
はい、今でも覚えています。面接の場にいた皆さんが私の話を聞きながら、大きくうなずいてくださる姿が印象的でした。
また、面接でパートナー弁護士の向井が「うちの事務所はみんなで決めるんですよ」と言ったのですが、当時は「本当かな?」と思ったんです。面接ではどの事務所も自分のところをよく見せようとするものだと思うので、半信半疑というか(笑)。
しかし面接中にアソシエイト弁護士の皆さんが一生懸命メモを取っている様子を見て、「みんなで決めるために判断材料を集めているんだ」と気づきました。
その姿勢が、事務所の運営に自分たちの意見も取り入れられることを前提とした姿勢を表しているように感じられ、私もここで働きたくなりましたね。
「みんなで決める」は本当だった

事務所内の透明性の高さいことで、自身の貢献が可視化されモチベーションにつながるという。
実際に働いてみて、入所前とのギャップはありましたか?
ギャップというより、驚いたことがありました。
ひとつは「みんなで決める」文化が本当だったこと。もうひとつは透明性が非常に高く保たれていることです。
たとえば当事務所で実施するサマークラークやウィンタークラークのプログラムは、所属弁護士がそれぞれ案を出し合い、事務所全体で内容を決めています。
パートナー弁護士だけが決めるのではなく、アソシエイト弁護士も加わりそれぞれの担当を持ち、プログラムの内容を決めていくんです。
採用会議も同様で、全員で膝を突き合わせて話し合い、決定しています。
透明性については、当事務所では年に一度「経営企画会議」のような会を開催し、その年の売上や目標を共有しています。
そこまでメンバーに開示する事務所は少ないと思います。
非常に透明性が高いおかげで、自分が何をすべきか、事務所の目標達成に向けてどのように貢献できるかが明確になると感じますね。
弁護士の過重労働をなくす仕組みを導入
業務内容について、具体的に教えてください。
現在は事件でいえば、人事労務に関連する訴訟や交渉をそれぞれ担当しています。
他は、顧問契約を結んでいるクライアント様からの法律相談に対応する業務が主ですね。クライアント様のご相談に対し、メールや打ち合わせを通じて解決策を提示します。
前回、岡弁護士から「働きやすい環境」とうかがいました。実際に働いていてどう感じますか?
正直に言って、とても働きやすいです。
当事務所では弁護士と事務所が労働契約を結び、所定労働時間内で業務が管理されています。この環境を弁護士業務には馴染まないのではと思う方も多いようですが、実際に、アソシエイト弁護士の負担軽減のための取り組みが多数行われています。
たとえば各弁護士の労働時間はクラウド上のタイムカードで管理したり、担当表を作って担当事件が多すぎる場合はアサイン量を調整してくださったりします。
また、パートナー弁護士がアソシエイト弁護士の業務を助ける仕組みも整えているため、過重労働を防ぎながらも、業務効率を落とさずに働ける環境です。
私の場合は、所定の勤務開始時間が9時半で、大体20時ごろには業務を終えることが多いですね。
「労働審判を急に依頼されて2週間後に書面を出さなければならない」といったことも結構あり、そういった急ぎの仕事があるときは22時ごろまで働くこともあります。しかし、22時以降の労働は深夜労働にあたるため、パートナー弁護士の許可がなければできません。
22時以降まで働いたり、休日出勤をするケースも実際にありますか?
たまにはあります。
お客様の都合で平日にお会いするのが難しい場合など、パートナー弁護士に相談し、担当のパートナー弁護士と一緒に休日にうかがうことがありますね。
しかしパートナー弁護士からも「できるかぎり平日にしてください」とお伝えいただいているので、休日に働くことはあまりありません。
レアケースなんですね。
はい。そうなるのであれば、きちんと相談するよう言われています。
それを実現するために仕組みも作られていると。
おっしゃる通りです。
リモートワークも導入されているのですか?
はい。当事務所はリモートワークで働くこともできます。
入所して1年目の若手の弁護士などは、電話の取り方など事務所での作法を身につける必要があるので、なるべく出社することになってはいます。
しかし年次を重ねるにつれご家庭を持たれる方も増えますし、プライベートに配慮してリモートワークを柔軟に活用可能です。
労働問題が専門だからこそ、事務所の労働環境から整える

労働問題を扱う事務所だからこそ、率先して労働環境の適正化に取り組んでいる。
中村先生は2所目ですが、以前の事務所とは異なりますか?
そうですね、違います。ただ、コロナ禍を経て大きく変わった部分もあると思います。
私は2019年12月に、弁護士登録と同時に前事務所に入っているため、一概に比較することは難しいです。しかし、他事務所の話を聞く分には、当事務所はアソシエイト弁護士の働き方にかなり配慮されていると思います。
さすが労働問題を専門になさっているだけのことはあるなと感じます。
そうなんです。自分の事務所ができていないのにお客様に「こうしてください」と言っても、言葉に重みが出ないというか……当事務所自体が働き方を良くするにはどうすればいいかを常に考えているからこそ、お客様にも経験から来るお話ができるのだろうと感じます。
その他、働きやすい点として、当事務所はフリーアドレス制です。以前は固定席だったのですが、現在は代表やパートナー弁護士も含め、全員フリーアドレスで業務をしています。
特にルール化されているわけではありませんが、皆さん前日に座った席には座らないようにしています。これの良さは、まず机が綺麗に保たれるということがあります。
お恥ずかしながら私も前の事務所ではそうだったのですが、弁護士はたくさんの書面が机にどんと載せっぱなしのイメージなのですが、毎日席を替え書類をキャビネットに片づけることによって気持ちよく仕事ができるんです。
また同じところで毎日作業していると、ちょっと飽きてしまう部分がどうしてもあると思うんですが、場所が変わるので新鮮な気持ちで毎朝仕事を始められます。
それに隣り合う弁護士も日々変わるためコミュニケーションも生まれやすくなりました。
案件に関して「一般的な法律問題だとこれはこう解決するよね」と話すこともあれば、「このお店のこれが美味しい」といった普通の雑談もあり、パートナー弁護士の方も含め気兼ねなくにこやかな会話が生まれている印象があります。
アソシエイト弁護士間の仲もよくなったように思います。
メンバー間のやりとりで自然と知見が深まる
業務の専門性が高い分、専門分野の知見を深めていくことが大事かと思います。そのために役立てられる事務所の制度はありますか?
当事務所は50年の歴史があるので、これまでに提出してきた書類などの蓄積した資料を見れば過去の裁判例などは分かるようになっています。
より大切なのは新しい裁判例です。労働事件もやはり裁判例が重要なので、最高裁の裁判例が出るとなったら判決日を所内で共有し、速報をみんなで分析することもありますね。
所内勉強会を設けている事務所は少なくないと思いますが、当事務所では実施していません。その代わり、月1回顧問先向けの勉強会を開催しています。
1年目のうちからその場で自分の経験や取り扱った事件、裁判例の分析などをお客様に説明する機会が得られるので、実質的に勉強会の代わりになっているように思います。
また、当事務所は経営法曹会議に加入しており、その速報誌が弁護士一人ひとりに届くため、届いたらすぐ読んで内容について議論することもあります。
これも事務所の雰囲気あってのことかもしれませんね。
事務所内の人間関係は非常に良好
外からでは見えにくいですが、求職者は皆さん気にする部分だと思います。事務所は和やかな雰囲気がありそうですよね。
ありがとうございます。皆さん和やかで、朗らかな人柄です。
所内の人間関係はよいですか?
とても良いと思います。
パートナー弁護士も含め、所内では良好な人間関係が築かれていると思います。
今年の夏はアソシエイト弁護士ほぼ全員でバーベキュー大会をしたほどです。というのも、ある日たまたま20時ごろまで残っている弁護士が多かったときがあって。
話の流れで「バーベキューの季節だね」ということになり、「じゃあバーベキューしますか」となってそのままバーベキューをすることになりました。
流れで始まって、そこから日取りを決めて、みたいな。
そうなんです。それも誰かに幹事を任せるわけでもなく、おのおのが「これもいいんじゃない」「このワインも持っていきます」と案を出していて。買い出しも気づけばほぼ全員その場にいたので、みんなで買い出しをして、そのままバーベキューをして、花火もして帰る……という。
誰か一人に何かをやらせるのではなく、自然と助け合いの精神で動いていました。
普段の仕事でも、誰かが電話口で困っていたときなどは「今の電話大丈夫?」とか「ちょっとシビアな話してたみたいだけど、方針問題ない?」など、自分の案件でなくても声をかけることがよくあります。
杜若経営法律事務所で得られるやりがい・フィットする弁護士像
杜若経営法律事務所で得られるやりがいを教えてください。
これは「杜若経営法律事務所だから」というものではないかもしれませんが、私はやはりお客様からいただく「ありがとう」「解決してよかったです」の一言が、一番の原動力です。
難しい案件だったとしても、お客様やメンバーと一緒に頭をひねった結果がお客様にとってよいものだったからこそ「ありがとう」と言っていただけると思います。
感謝の言葉をいただいた時は、弁護士冥利に尽きるなといつも感じていますね。
また、当事務所に入ってよかったのは、人事労務問題の経験をたくさん積めることです。
72期の弁護士の中ではそれなりに労働事件を扱っているのではないかという自信もついてきました。
中村先生から見て、貴事務所にフィットしそうなのはどのような人物でしょうか。
当事務所の業務の9割は人事労務の話ですから、やはり人事労務問題に興味をお持ちの方がよいと思います。
それと、朗らかで人の話によく耳を傾ける方が合うのではないかと思います。
転職検討中の弁護士の方へメッセージ
最後に、キャリア情報を収集している弁護士の方にメッセージをお願いします。
私は自身の転職活動を通じて、自分のやりたいことやなりたい弁護士像からキャリアを考えることで、納得のいく転職ができると感じました。
結果として私は杜若経営法律事務所に出会え、やりたいと思っていた労働事件に携わることで、お客様に満足いただけるサービスを提供でき、非常に充実した日々を送れています。
皆さんもご自身のやりたいことに挑戦してみてください。司法試験に合格した皆さんであれば、きっとどんな困難も乗り越えられると思います。
本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
動画:人事労務に特化した弁護士を目指して転職

Recommend
おすすめ記事
-
- トップに訊く
沖縄から世界へ広がる琉球スフィア 「法の護り」を広げるカギは「人間力」にあり
弁護士法人琉球スフィア 代表弁護士
久保 以明
- パートナー・代表
- グローバル
- 一般民事
- 企業法務
-
- 事務所を知る
クライアントのビジネス成長に真に貢献できる弁護士へ
弁護士法人スフィア東京 弁護士、日本プロ野球(NPB)選手会公認選手代理人
久世 圭之介
- M&A
- グローバル
- 若手弁護士
- 企業法務
-
- ヤメ検・ヤメ判録
キャリア12年の元検事に聞いた検察官の仕事内容
アガルート法律会計事務所 弁護士・アガルートアカデミー講師
江原 佐和
- リモートワーク
- 検察官・裁判官
- 一般民事
-
- トップに訊く
QVCジャパン法務トップが語る「優れた法律家であり続ける」ためのキャリア戦略
株式会社 QVCジャパン ジェネラル・カウンセル
西岡 志貴
- 企業内弁護士
- 企業法務
-
- トップに訊く
アジア案件を軸に急成長するスフィア法律事務所の「強み」とは
弁護士法人スフィア東京 代表弁護士・通知弁護士
小堀 光一
- パートナー・代表
- M&A
- グローバル
- 企業法務
-
- 法務部インサイド
法務のスペシャリストの存在が、事業成長の力になる
レバレジーズ株式会社 執行役員
森口 敬
- M&A
- 企業内弁護士
- スタートアップ
- 企業法務