弁護士の留学後のキャリアについて解説

留学は弁護士としてのキャリアに新たな視野を開く貴重な経験となります。

この記事では、海外のロースクールでLL.M.や法学関連の修士号を取得した後の、キャリアの選択肢について解説しています。

もちろん個々人のキャリアプランや志向する専門分野によって異なりますが、ここでは一般的によく挙げられる例をご紹介します。

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元の所属先(法律事務所・企業法務部門など)への復帰

留学後のキャリアとして、元の所属先に戻る、あるいは転職するという選択肢があります。以下では、法律事務所や企業法務部門での復帰・転職に関する特徴とメリットについて説明します。

法律事務所に戻る

まず、法律事務所に戻る場合です。帰国後、国際案件やクロスボーダーM&A、金融取引などの分野に携わる事が考えられます。留学を通じて得た海外の法制度や実務知識を活かし、外国のローファームとのリエゾン(連携)、契約書のドラフティング、交渉などでリーダーシップを発揮することができます。

キャリアアップが期待でき、また、事務所内で国際業務を扱うグループに配属されることで、幅広いクロスボーダー案件を経験し、専門性をさらに高めることができるでしょう。

企業法務部門(インハウスロイヤー)に戻る/転職する

企業内弁護士(インハウスロイヤー)に戻る、または転職する場合です。特に多国籍企業やグローバル企業の法務部門では、国際契約、コンプライアンス、M&Aなどを扱う機会があるでしょう。留学先で学んだ法体系(米国法、英国法など)や英語力を活かして、海外子会社との連携や交渉を行う役割が求められる事も考えられます。

企業内弁護士としてのキャリアのメリットは、ビジネス全体を俯瞰しながら法的リスクをマネジメントできる点です。また、企業によっては、法律事務所に比べてワークライフバランスが取りやすい場合があり、ライフスタイルを重視する人にとって魅力的な選択肢となることもあります。

現地(アメリカ・イギリスなど)や海外拠点での就業

留学後、現地や海外拠点での就業を目指す道もあります。

外資系法律事務所(ローカルオフィス)への就職

外資系法律事務所への就職が一つの選択肢です。例えば、アメリカのニューヨーク州やカリフォルニア州などでは、一部の州で米国司法試験を受けて合格すれば、現地弁護士として活動することができます。

また、日本法弁護士として在外オフィスに駐在し、日本企業向けの案件を担当するケースも見受けられます。このようなキャリアは、国際感覚を磨く絶好の機会であり、グローバルなキャリアを築くチャンスとなります。しかし、就労ビザや米国司法試験合格のハードル、現地でのネットワーキングが必要となり、一定の難易度を伴います。

現地企業やスタートアップでのインハウスロイヤー

また、現地の企業やスタートアップでインハウスロイヤーとして働く道もあります。シリコンバレーのテック企業やニューヨークの金融関連企業、ロンドンの金融街などでは、インハウスロイヤーを募集することがあります。

留学先で学んだ法体系や英語力を活かし、現地法に基づく法務を担当しながら、日本企業との連携をサポートする役割を担うことが多いです。最先端のビジネス領域で活躍する可能性がありますが、ビザや就労許可の取得には個人のネットワークや企業からのサポートが必要な場合もあります。

国際機関・政府関連機関、NGO/NPOへのキャリア

国際法や公共政策に興味がある場合、国際機関や政府機関、NGO/NPOへの進路も考えられます。

国際機関(国連、世界銀行、WTOなど)

国際機関(国連、世界銀行、WTOなど)では、国際法や人権法、開発金融などの分野に強い関心がある場合、法務部門やリーガルポジションでの勤務が考えられます。

アメリカや欧州のロースクールで国際法のLL.M.を取得した後、インターンシップやジュニアポジションに進む道もあります。国際的な課題に直接関わることができ、非常にやりがいのある仕事ですが、採用競争が激しいです。

NGO/NPO、国際的な非営利団体

NGOやNPOでは、人権や環境、教育支援などの社会課題に取り組む団体でリーガルサポートを行います。海外でのフィールドワークやプロジェクトのマネジメントでは、法的リスクの検討や契約交渉が必要となります。

この分野で働くことで、社会貢献性が高く、グローバルな経験を積むことができますが、給与や待遇が民間に比べて低い場合が多いです。

政府や官公庁での勤務

政府機関での勤務もキャリアパスとして考えられます。

外務省・経産省などの官庁

外務省や経産省などでは、国際交渉や条約関連業務、通商交渉など、国際法の知識が求められます。留学経験や英語力、海外での人脈を活かして、海外駐在や在外公館勤務に就くことも可能でしょう。

この道では、国家レベルの外交や政策形成に携わる貴重な経験が得られますが、公務員試験や省庁内部の採用プロセスを経る必要があります。

裁判所・検察庁など

裁判官や検察官が在職中に留学し、帰国後に国際関連案件を担当するケースもあります。法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)には、海外留学の奨学金制度や派遣制度があることもあり、日本の司法システム内で国際事案や外国法文書の取り扱いに強みを発揮することができます。

アカデミック・研究職への道

大学・研究機関の教員(法学部・ロースクール)

アカデミックなキャリアを目指す場合、大学や研究機関での教員職が選択肢としてあります。LL.M.取得後、さらに博士課程(S.J.D. / Ph.D.)に進学して、研究者としてのキャリアを重ねることができます。

自分の専門分野を深めながら、教育や研究に集中できる点が大きなメリットです。また、実務家としての経験と研究実績を併せ持つ法学者として大学教員などのポジションを得る可能性もあります。

シンクタンクや研究所

シンクタンクや研究所では、法律や公共政策、国際関係などの分野で調査研究を行います。

法的分析力や英語力、海外の法制度に関する知識を活かして、レポート作成や政策提言に携わることができます。研究と社会実務を橋渡しするような仕事ができる点が魅力です。

コンサルティング分野への転身

経営コンサルティングや戦略コンサルティング

コンサルティング分野では、経営コンサルティングや戦略コンサルティングに転身する道もあります。法律の専門知識と英語力を活かして、企業再編やM&A戦略に関わることができます。

ロースクールで学んだ分析力やロジカルシンキングは、コンサル業界でも高く評価されます。弁護士資格を持つことで、企業経営の上流工程に携わる機会が増え、コンサル会社のリーガル関連プロジェクトで重宝されることもあります。

リスクマネジメント・コンプライアンス分野

リスクマネジメントやコンプライアンス分野では、企業のリスク管理やコンプライアンス体制の構築を専門とするコンサルファームで働く選択肢があります。

金融規制やデータプライバシー、贈収賄防止規制など、留学先で学んだ先進的な制度を紹介・導入するケースもあるでしょう。グローバル・コンプライアンスに携わることができ、留学で築いた国際的なネットワークや法知識を活かせます。

まとめ

留学後のキャリア選択肢は非常に多様であり、どの道を選ぶかは、留学前の専門分野や興味、将来のキャリアビジョンによって決まります。

  • 法律事務所・企業法務でのさらなる活躍
    • 多くは留学前の法律事務所や企業に復帰し、クロスボーダー案件に携わる。
    • 外資系事務所への転職、海外拠点での就業もあり得る。
  • 国際機関・政府機関・NGO/NPO
    • 国際法や公共政策に強い関心がある場合、国際機関などへチャレンジする道も。
    • 官公庁で国際交渉や政策立案に携わる事例も増えている。
  • アカデミック・研究職
    • LL.M.を足がかりに研究者を目指す場合、大学院でさらに学位を重ねるキャリアや大学教員への道も選択肢の一つ。
  • コンサルティング分野
    • M&Aやコンプライアンスなどビジネス色の濃い領域で戦略コンサルやリスクマネジメントの専門家として活躍できる。

いずれの選択肢でも、海外ロースクールで培ったグローバルな法知識・英語コミュニケーション能力・ネットワークが大きな強みとなるでしょう。

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この記事の監修者

株式会社アガルート取締役(株式会社ファンオブライフ取締役を兼任)。 領域特化型転職エージェントを運営する株式会社ファンオブライフを創業し、アガルートへ売却後、同社取締役に就任。 弁護士・法務・管理部門専門エージェント「アガルートキャリア」を立ち上げ、弁護士専門エージェント エイパス株式会社を買収・吸収合併。 特化型エージェント運営やリーガル・管理部門の専門職の転職・キャリアに関する深い知見を有する。 早稲田大学経営管理研究科修了。

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