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「企業の成長を間近で見る」AZX Professionals groupで知るスタートアップ支援の面白さ
AZX Professionals group
所属弁護士
貝原 怜太/横田 隼
前編に引き続き、後編ではAZX Professionals group(以下、AZX)でパートナーを務める横田先生と貝原先生にインタビューを行いました。
お二人からはファーストキャリアから現在までの働き方の変遷や、AZXの特徴などについてお話をお聞きしました。前編とあわせ、ぜひお読みください。
横田先生・貝原先生自己紹介
まずはおふたりの自己紹介をお願いします。
横田 2014年に慶應義塾大学の法科大学院を卒業し、2016年に弁護士登録をしました。最初は労務や紛争関係を扱う事務所に勤めていましたが、弁護士になって2年目ごろにAZXに入所し、2023年からパートナーを務めています。 よろしくお願いいたします。
貝原 貝原と申します。私は桐蔭横浜大学の法科大学院を卒業し、2015年に弁護士登録しました。修習期は67期です。最初は非上場企業のインハウスローヤーとして3年半ほど経験を積みました。その後、弁護士になって4年目でベンチャー・スタートアップに関わりたいと考え、AZXに入所し、2024年にパートナーになりました。よろしくお願いいたします。
スタートアップ支援に興味を持ったきっかけ

AZX Professionals group パートナー弁護士 横田 隼様
横田先生は前職で主に使用者側の労務案件を担当されていたそうですが、移籍のきっかけは何でしょうか。
横田 前の事務所と並行して、厚生労働省が運営するベンチャー向け労務相談窓口で相談員を務めていました。そこでベンチャー起業家の方々から労務案件の相談を受けるうちに、労務以外の領域やスタートアップのビジネス全体に深く携わりたいと思うようになったんです。
スタートアップに可能性を感じたこと、また労務以外にも幅広い業務を経験したいと考えた結果、その領域を専門的に扱っているAZXに入所しました。
選考を受けて内定が出てからは、すぐに入所を決めたのですか。
横田 はい。別の労務案件中心の事務所からも内定をいただいていましたが、最終的にはスタートアップ分野が魅力的だと感じ、AZXに決めました。
入所前のイメージと、実際に入ってからの印象にギャップはありましたか。
横田 スタートアップ支援を行う事務所なので、勢い任せな部分もあるのかなと想像していました。
しかし、実際にはチェックリストなどによる契約書レビューの品質担保など、非常にシステムが整っています。 しいて言えばその点にギャップを感じました。
一方で、スタートアップの案件が多いことや業務範囲が幅広いことは想定通りでしたね。
前職で「最も面白かった」のはAZXと取り組んだ案件だった

AZX Professionals group パートナー弁護士 貝原 怜太様
ファーストキャリアでインハウスローヤーを選ぶ方は少ないと思うのですが、貝原先生がインハウスローヤーでスタートされた理由は何でしょうか。
貝原 私は67期で、当時は就職氷河期と呼ばれていました。一般的な法律事務所から内定はいただいていたのですが、他の弁護士と同じ道を選ぶよりもユニークなキャリアの方が後々良いではないかと考えました。
私自身、サーバーを立てるなどITに興味があったので、システムインテグレーター企業のインハウスローヤーを選びました。また、父が会社員だったこともあり、会社員として働いてみたかったという思いもありましたね。
インハウスローヤーというと上場企業を想像される方も多いと思いますが、私が勤めたのは非上場企業で、弁護士は私だけでした。そういった環境だったので、入社して即パイオニア的な立場で働けることや、将来の上場経験がキャリアに活きると考えたのです。
入社当初、法務部は4、5名ほどしかいませんでした。しかし仕事を続けるうちにだんだんと担当業務が増えていき、経営企画部を兼任したり、監査役の下でスタッフとして幅広く業務を担当したりと、多様な経験を積むことができました。
ここからAZXへ転職されたのはどのような経緯でしょうか。
貝原 弁護士1年目を終えた頃は「まだ学ぶことが多い」と感じていましたが、3年目に改めてキャリアを考えた際、会社はすぐに上場する見込みは薄かったんです。
さらに3年間で最も面白かったのは、インハウスローヤー時代にこちらから発注する形でAZXの菅原弁護士と取り組んだ案件でした。
また、社内ベンチャーでスタートアップに携わる仕事が非常に面白かったため、AZXに入所することを決めました。
AZXでの業務内容
お二人のAZXでの業務内容について教えてください。
貝原 私はVTuber、YouTuber、ゲーム関連、アイドルの案件など、エンターテインメント分野を多く扱っています。また、大手化粧品会社の顧問も務めているので、サロン経営など美容系事業のアドバイスや、化粧品会社がスタートアップへ投資する際のサポートなど、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)関連にも対応しています。
横田先生はいかがですか。
横田 最近はディープテック、特に大学発スタートアップの案件が多いですね。
業界を問わず法務部を持たないスタートアップも多く、契約書レビューや日常的な法律相談など、法務全般を一括で担当するケースが増えています。
ほぼインハウスローヤーのような立ち位置ですね。
横田 そうかもしれません(笑)。
クライアントファーストを体現する取り組み
AZXのWebサイトを見ると、クライアントファーストの理念を強く打ち出されている印象です。具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか。
横田 当事務所には「スタートアップ特約」という顧問プランがあり、月額1,000円で毎月1時間まで口頭での相談を受けることができます。
スタートアップは初期に費用をかけにくい反面、法務リスクを放置するとIPOの際など後で大きな問題になる恐れがあります。そこで、相談しやすい環境を整えました。
その企業が成長して本格的な法務が必要になったときには、別のプランをお申込みいただくという。
横田 そういった形態です。
VCと起業家をマッチングする「Series AZX」とは
VC(ベンチャーキャピタル)や証券会社との連携も多いとのことですが、通常のクライアントワーク以外に事務所としてどのような施策を行っているか教えてください。
貝原 昨年から「Series AZX」という企画を始めました。これはVCと起業家をマッチングする取り組みです。
当事務所は20年以上スタートアップ業界に関わり、多くのVCとのネットワークを持っています。そこで起業家と信頼できるVCをつなぎ、資金調達を後押しする仕組みを作りました。
起業直後や準備中のスタートアップが資金調達する場合、通常は自力でVCを探す必要がありますが、「Series AZX」にご応募いただければ、信頼できるVCにご紹介することが可能です。
スタートアップとの交流とエピソード
法律事務所らしからぬ取り組みにも見えますが、スタートアップのエコシステム構築に貢献しているのですね。
貝原 そのとおりです。私はそのプロジェクトを担当していますが、実はそれほど弁護士としての業務はありません。当事務所としては、スタートアップエコシステムの一端を担うために取り組んでいるものですね。
それは貝原先生が自ら立候補して担当なさっているのですか?
貝原 「キャラ的にそういうのが合うんじゃないか」と代表に指名されたのがきっかけですが、話を聞いて「ぜひやります」と。ちょうど興味がある分野でもありました。
横田 当事務所では別の施策としてスタートアップとの交流会も行っています。月に一度、パートナーがクライアント企業の代表者とランチに行き、交流を深めるイベントです。
そうした取り組みを通じて、クライアントや事務所にどのような働きかけをしていますか。
貝原 単なるマッチングだけでなく、起業準備段階の疑問にも対応できるので、法務以外の実務面などでも「こんな風にするのが一般的ですよ」とさまざまなアドバイスをする機会があります。
横田 クライアントももちろんですが、私はアソシエイトのモチベーション向上への影響が大きいかなと感じます。リモート下ではクライアントの顔が見えにくくなりますが、交流会で直接話すと「この人のために頑張りたい」と思えるようになるという声をアソシエイトから聞いています。
中途入所からパートナー昇格までの経緯
中途入所後のキャッチアップや育成体制についてお聞きします。お二方とも前職がありながら、AZXで着実にステップアップされていますが、具体的な流れを教えてください。
貝原 私は弁護士4年目で転職しました。インハウスローヤー出身だったので、法律事務所に移る際に不安もありました。
インハウスローヤーだと自社業界に特化できる反面、法律事務所ほど横断的な経験を積む機会が限られるので、事務所の弁護士としては当たり前に経験していることであっても、意外と抜けがあるなと感じました。
ですから、最初の1、2年は経験不足を痛感することが多く、必死に案件をこなしながら学びましたが、徐々に法務デューデリジェンスや大きな案件を任されるようになりました。
私の場合、人と打ち解けやすい性格を評価していただいた面もあり、弁護士10年目にあたる2024年にパートナーになりました。
横田先生はいかがでしょう。
横田 私は弁護士2年目で入所し、前職とは全く異なる分野だったので、1年目のつもりで基礎から学び直しました。
契約書レビューやファイナンス、ストックオプションなどの基礎案件を重ね、3、4年目になると海外VCからの調達や大規模資金調達、M&A、IPOなど複雑な案件も担当するようになりました。
そうした経験で品質管理のスキルを磨き、入所から5年半後の2023年にパートナーに昇格しています。
入所後の育成制度・キャッチアップ体制
入所してからパートナーになるまで、育成制度として助けになったものはありますか。
横田 当事務所では「アソシエイトカルテ」という仕組みがあります。これはアソシエイトが現状の業務や希望する分野を記入し、全パートナーと共有するためのものです。
他にも制度はありますか。
横田 毎月行う「リーガルテスト」も特徴です。
事務所に用意されている、案件において「ここは気を付けなければならない」というポイントをQ&A形式でまとめた問題集を使い、内容を順次覚えて毎月テストを受けます。
実務でも「これはリーガルテストの内容だね」と会話になることが多いですね。
アソシエイトの方は全員テストを受けているのですか?
横田 代表も含め、全員受けています。
その他にもキャッチアップに役立ったことはありましたか。
横田 入社後はシニアアソシエイトが指導担当としてつきます。不明な点があれば随時尋ねられるほか、月1回以上は1on1を実施し、悩みや疑問を相談できます。
貝原 私たち自身もまだスタートアップであるような気持ちで活動している面もあります。キャッチアップの役に立つ制度・社内環境などは、毎年アップデートされ整ってきていると感じる点です。
AZXでの働き方・評価制度
AZXでの労働時間や稼働の目安はどのようなものですか。
横田 アソシエイトの場合は時期にもよりますが月250時間ほどが平均的でしょう。 個人の希望によって、もっと長く稼働する方もいれば、プライベートを優先するため少なく抑える方もいます。
リモートワークの活用状況はいかがでしょう。
貝原 リモートワークが可能な環境は整っていますが、弁護士同士のコミュニケーションや指導面などを考えると、基本的には出社のほうが良いと考えています。とはいえ、家族の事情などでリモートワークが必要な場合は柔軟に対応できます。
評価制度についても伺えますか。
貝原 各弁護士には「アソシエイトランク」が定められています。ランクに応じて期待されるスキルセットやだいたいの年次が決まっています。
「アソシエイトランク」は一般企業のように報酬と直結するものではなく、どちらかといえばパートナーになるまでの距離感を表したものです。
これをもとに半期に1度代表やマネージングパートナーとの面談を行い、各アソシエイトは自分に不足しているスキルが明確にし、次の半期に臨むことができる仕組みになっています。
横田 この評価はマネージングパートナーだけが行っているわけではありません。まず数名のパートナーが評価したのち、全パートナーが出席する会議でランクが決まります。
事務所のコミュニケーション・雰囲気

AZXはお互いを「先生」と呼ぶのはNG。フラットなコミュニケーションを徹底し、所属弁護士の目線を顧客に合わせる。
事務所内のコミュニケーションはどのように行っていますか?
横田 若いメンバーも多く、互いを「先生」ではなく「さん」付けで呼び合います。
それは何か意図があるのでしょうか。
横田 なるべくフラットな組織にしたいという代表の意向です。弁護士は「先生」と呼ばれがちですが、呼称を受けて「自分はえらいんだ」と勘違いしないように、あえて「さん」付けをしているとも聞いています。
オフィスは個室席もなく、オープンなフロアになっているそうですね。
貝原 代表ですら個室はなく、パーティションがある程度でワンフロアがつながっているので、すぐに声をかけたり雑談したりしやすい環境ですね。
横田 けっこうブース内で話していることも多いですね。
貝原 私もよく「横田さん、ちょっとこの案件なんだけどさ……」と話しかけに行っています(笑)。
事務所の雰囲気が伝わってきますね(笑)。
AZX総合法律事務所の魅力
お二人が感じる、AZXの魅力ややりがいを教えてください。
横田 最大の魅力は、創業期からIPOまで企業の成長を継続的に支援できる点です。
さまざまな業務を経験しながら、クライアントの事業拡大を間近で見られるのは大きなやりがいだと思います。幅広い分野を扱いたい方や、前向きな企業を応援したい方に向いていると思います。
貝原 大手企業の法務ですと担当者とのやり取りが中心ですが、スタートアップの場合、経営者が最初の相談者になることが多いです。少人数から始まった会社が成長して人が増えるとともに、経営者もどんどん頼もしくなっていくのを間近で見られるのは最高の体験ですね。
あと、業務を通じて「あの起業家さんいいよね」「あの会社いいよね」と応援をする立場になるため、「推し活」が好きな方は向いているかもしれないと、あるアソシエイトが言っていました(笑)。
転職検討中の弁護士へのメッセージ
最後に、この動画をご覧の弁護士の方々へメッセージをお願いします。
貝原 スタートアップやベンチャーの支援に興味のある弁護士は、ぜひ当事務所をご検討ください。 インハウスローヤーの方などは事務所での業務に不安があるかと思いますが、私自身、インハウスローヤーから事務所へ移ってからでも十分キャッチアップし、スタートアップのご支援ができるようになりました。ぜひご連絡ください。
横田 企業の成長を間近で支えたい方や、伴走型の支援に魅力を感じる方には非常に向いていると思います。業務範囲が広いため、多様な経験を積みたい方にもおすすめです。また、当事務所は長年の歴史やVCとのネットワークが強い点も特徴です。興味を持たれた方は、ぜひご応募ください。
動画:移籍・転職からパートナー昇格までのキャリア
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