30代弁護士が年収を下げずにITインハウスへ転職|ワークライフバランスとキャリアアップを両立した方法
- 更新日:2025.06.19
30代半ば、弁護士経験7年。企業法務の第一線で活躍してきた彼女が転職で目指したのは、「年収を落とさず、ワークライフバランスを手に入れること」。
本記事では、事務所からインハウスへとキャリアチェンジを実現し、報酬水準を維持しながらも柔軟な働き方を手に入れた転職体験談をお伝えします。
「選択肢を広げるセカンドオピニオン」や「自分の専門性を最大限活かす交渉術」など、30代の弁護士なら誰もが知っておきたい転職術がここにあります。
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子育てと事業への深い関与を望む30代半ばの弁護士Bさんの転職事例です。法律事務所から企業法務部へ出向経験を持ち複数の最終選考に進んでいましたが、業界や報酬、専門性の活かし方への不安から弊社にご相談いただきました。その結果、元の年収とほぼ変わらない水準(他社の提示額より200~300万円以上高額)を維持し、柔軟なリモートワーク環境も得て、理想以上の好条件で転職を成功させました。
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INDEX
転職のきっかけと「事業に伴走したい」という想い
この転職者様はもともと法律事務所から企業に出向されていたんですね。この方が転職を考え始めたきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
森 大きく分けて次のような理由がありました。
- ライフイベントとワークライフバランス
- 事業への強い関心
お子様がまだ小さく、子育てにもう少し柔軟な体制を取りたいという希望をお持ちでした。法律事務所からインハウスへの転職を考える方だと、ワークライフバランスは非常に代表的な理由ですね。
また出向先で事業に深く関わる中で「事業に伴走することの面白さ」を痛感されたそうです。事務所側ではなくインハウスローヤーとして長期的にビジネスの先を見て、支援していきたいという思いが芽生えたと仰っていました。
これもまた事業に寄り添い意思決定に関与したいという、インハウスを志向する弁護士に共通する典型的な動機と言えるでしょう。
「今の選択で本当にいいの?」セカンドオピニオンの重要性
この方はどのような状況で森さんのもとへ相談にいらっしゃったんですか?
森 実はご相談にいらっしゃった時には、すでに複数の企業の最終選考を迎えているフェーズでした。かなり選考が進んでいましたね。
え、もう最終フェーズだったんですか? それはなぜでしょう?
森 彼女の中に「今選考が進んでいる企業で本当に腹落ちしきれていない部分」があったからです。具体的には、以下のような点で迷いを感じていらっしゃいました。
- 業界や業務内容
- ご自身の専門性を活かせるかどうか
- 報酬面
- 企業の社風やフィット感
彼女はライフスタイル系インターネットビジネスを展開する企業への出向経験があり、そこで若いエンジニアたちとの交流もあったため、全く異なる鉄工業やサービス業といった業界へのフィット感を懸念されていたんです。
なるほど。「本当にここだけで意思決定していいのかな」という不安があったわけですね。まさにセカンドオピニオンのような形でご相談にいらっしゃったと。
森 まさにその通りです。「これで正しいのか、これしか道がないのか、もっと選択肢があるのか」という可能性を知りたいとご希望されていました。
転職エージェントによっては様々な理由から、ご本人の専門性や強み、業務経験が十分に考慮されていない求人を紹介しているケースも少なくありません。
弊社ではたとえ選考が進んでいたとしても客観的に見てより良い選択肢があればご提案しますし、逆に「今のまま進めるのが良い」とアドバイスすることもあります。
結果としてどうなったのでしょうか?
森 当初選考を進めていた企業から先に内定が出たのですが、弊社が紹介した企業の一次面接に進んだ段階で「こういう案件の方が自分自身が目指していたものに非常に近い」と感じられたそうです。
結果として当初選考が進んでいた企業は辞退し、最終的には弊社がご紹介した企業に入社を決めました。
他のエージェントも利用して比較検討することは、キャリアを考える上で非常に重要だと改めて感じますね。
専門性を活かす!最適な転職先の見つけ方
森さんが紹介されたのはどのような企業だったのでしょうか?
森 出向されていた企業でFinTechサービスに携わっていたご経験や、法律事務所で金融商品取引法や資金決済法などを専門とされていたことから、この専門性を捨てるのはもったいないと考えました。
そのため「新規事業に常に触れていたい」「できればBtoCのFinTech関連であればなお良い」というご希望に合う企業として、テック関連の企業が候補となりました。
年収を下げずにインハウスへ転職するには?
インハウスへの転職となると年収面を気にされる方も多いと思います。この方の年収交渉はどうでしたか?
森 そうですね、年収は皆さん非常に気にされますね。
30代半ばで弁護士経験7年目の方の場合、企業法務系の事務所だと年収1,000万円から1,500万円、準大手・大手事務所なら1,500万円から2,000万円、四大事務所であれば2,000万円から3,000万円といった相場感です。
しかし大手メーカーでもインハウスではそこまで大きく年収が上がるケースは少なく、1,000万円前後が現実的なラインになることが多いです。
では、今回の方はどうだったのでしょうか?
森 彼女の希望は「インハウスに行っても報酬をそこまで落としたくはない」ということで、1,000万円から1,500万円のレンジを希望されていました。
結果として、最終的には複数の企業から内定が出た中で、IT業界の企業が提示金額として一番高かったです。しかも、元の事務所とほぼ変わらない水準の年収を提示してくれました。
それはすごいですね!事務所からインハウスへの転職は、ワークライフバランスが改善される一方で、報酬は下がるのが一般的だと言われる中で、報酬水準を維持できたのは異例なのでは? しかも、業務委託から雇用契約への変更ですよね。
森 まさにその通りです。雇用契約で報酬水準が変わらないどころか、実質的にはプラスと言えるかもしれません。
当初選考を受けていた鉄工や専門商社、サービス業といった企業から提示されたオファー額は、800万円から900万円程度でした。
それに対して最終的に決めたIT企業のオファー額は、なんと200万円から300万円以上の差が開く結果となりました。
200万円~300万円もの差が出るなんて、驚きです。
森 「専門性がある人材をどれだけ欲しいか」という採用側の温度感や、その企業の給与テーブルの柔軟性によってオファー額が大きく変わるという良い例だと思います。
IT企業などは、年功序列にとらわれず、優秀な人材を取り込むために柔軟な給与テーブルを用意しているケースが多いですね。
しかもキャリアがつながることにより、次の転職の際のオファー金額も大きく変わってきますから。
諦めない条件交渉!エージェント活用の秘訣
この方は、条件交渉もされたのでしょうか?
森 はい、条件交渉は行いました。
そのあたり、転職エージェントはどのように動くものなのですか?
森 これは他社の人事との「駆け引き」になるのですが、我々転職エージェントは、候補者の方が「他にどういう業界や会社を受けているのか」「うちへの志望度はどのくらいか」「いくらくらいの報酬であれば入社してくれそうか」といった情報を、人事側と密にコミュニケーションを取りながら探っています。
最終面接や内定のフェーズになると、先方が「他社ではどのくらいのオファーが出ているのか、あるいは出そうなのか」と聞いてくることも多いです。もし候補者の方にとって一番志望度の高い企業であれば、より良い条件で入社していただきたいですよね。
そこで、求職者様と相談の上で「他社からはこのくらいの金額で話が進んでいますが、御社ならこの金額であれば入社したいと仰っています」といった交渉をするんです。
それは心強いですね!自分で交渉をして逆効果になるリスクを考えると、エージェントに頼るのは非常に重要だと思います。まさに「代理人」としての醍醐味ですね。
森 おっしゃる通りです。その結果、今回は「想像していた水準かそれ以上の条件」が提示されました。特にIT企業は個別の対応において柔軟性や余白があるケースが多いものですが、今回は想像以上に良い結果となりました。
弁護士の転職を成功させる秘訣
今回の転職はどのような点で成功だったと言えますか?
森 彼女のケースは、以下の3つの要素が理想的に合致した成功事例と言えます。
- 経験と専門性を活かせる環境:事務所や出向で培った専門性を、そのまま次のキャリアで活かせた。
- ワークライフバランスの実現:リモートワークも柔軟に活用できる環境で、子育てとの両立も可能に。
- 希望以上の報酬水準の維持:一般的なインハウス転職では難しいとされる年収維持・向上を達成。
彼女はオファーが出たら承諾すると事前に決めていたほどの企業でしたし、まさに文句なしの意思決定だったと言えるでしょう。
動画:30代弁護士の転職|年収を下げずに事務所からインハウスへ
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この記事の監修者
リーガル専門コンサルタントとして、弁護士・法務人材を中心に転職支援を行う。中国発大手テクノロジー企業の日本法人にて創業メンバーとして事業開発・推進に従事。スタートアップ〜大手事業会社での事業開発、マネジメント経験を有していることから、様々な角度からの俯瞰したアドバイスを強みとする。
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