裁判官から法律事務所カウンセルへ。海外経験を武器に掴んだ新しいキャリア

20年近くにわたり司法の最前線で活躍してきた裁判官が新たな道として選んだのは、グローバル案件に強みを持つ準大手法律事務所のカウンセルポジション。

その背景には、子どもの成長を間近で支えたいという想いと、留学や海外駐在の経験をさらに活かしたいという強い想いがありました。

初めての転職活動をどのようにサポートし、満足のいく転職を成功へと導いたのか。担当キャリアアドバイザー・森へのインタビューを通じてポイントを紹介します。

【この事例のポイント】
新卒から約20年間、裁判官としてキャリアを積んできた方の転職事例です。家族との時間を大切にしたいという想いや、留学・海外駐在経験を活かしてグローバルな分野で活躍したいという希望から法律事務所への転職を決断されました。地理的に対面選考が難しい地方からでも、リモート面接を活用して都内事務所の選考に参加。語学力や海外経験が高く評価され、複数の事務所からカウンセル職での内定を獲得しました。年収も裁判官時代に比べ、大幅にアップしました。

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約20年務めた裁判官からキャリアチェンジを決めた理由

今回ご紹介いただくのはどのような方でしょうか?

 今回は新卒から約20年、裁判官一筋で経験を積んでこられた方です。司法修習は60期前後で経験豊富なベテラン法曹と言えるでしょう。

それだけ長い間働いた職場を去ろうというのは、一大決心ですよね。裁判官の方だと転職が選択肢にすら上がらない方も多いと思うのですが、何か特別なきっかけがあったのでしょうか?

 大きな理由としては、ご家族、特にお子様の成長に伴うサポートの必要性が増したことがあります。

裁判官の仕事は単身赴任が非常に多いので、ご家族は都心部にいらっしゃるにも関わらず、ご本人は各地を転々とされていたんです。この「転勤問題」を解消したいという強い思いがありました。

ご家族との時間を大切にされたかったと。

 ええ。ご本人としては、20年ほど続けてきて「裁判官の業務をやりきった」という感覚もお持ちだったようです。

さらに、裁判官のキャリアの中で留学をしてLLM(Master of Laws:法学修士)を取得したり、海外での駐在経験もお持ちだったりと非常に優秀なご経歴の方でした。

その中で国際仲裁の案件などに携わる機会が多かったため、「自分はグローバルな分野で活躍したい」という思いがありました。

海外での刺激的で学びの多い経験を経て国内に戻り地方の裁判所で勤務するうちに、国内業務に若干の物足りなさを感じていた部分もあったそうです。

そこで、海外での経験を生かして海外業務にもっと深く携わりたい、そのためには準大手クラスの事務所に行く必要があるという明確な目標が生まれたとおっしゃっていました。

法律事務所への転職は長いキャリアがハードルになることも

ご相談にいらっしゃった際、次のキャリアについては具体的な目標があったのでしょうか?それとも、漠然とした感じでしたか?

 最初は「どういうところに可能性があるのか、まずは知りたい」というお気持ちでご相談いただいたので、まずは広く可能性のある事務所を探していくというスタンスでスタートしましたね。

20年近くのキャリアを持つ裁判官だと、法律事務所側も採用のハードルが高い部分もあるのでしょうか?

 おっしゃる通りです。

若手であればジュニアアソシエイトとして迎え入れやすいのですが、20年選手となると法律事務所ではパートナークラスとなり、みずから売上を作る能力が求められます。もちろん裁判官時代に個人の顧客などは持てませんし、かといってジュニアアソシエイトとしての受け入れは年齢的に難しい面がありました。

そこで私が提案したのは、ご本人が国際仲裁や国際紛争といった国際業務、そして裁判官としての訴訟経験を生かせるような事務所です。まずは幅広くエントリーしていきました。

その中で、いくつかの事務所で選考が進んでいったと思いますが、特にどういった点が評価されたと感じますか?

 最も高く評価されたのは、やはり留学経験ですね。TOEICやTOEFLも満点に近いスコアをお持ちで、そもそも旧司法試験の順位も高かった方です。

そして海外でのLLM取得経験に加え、海外駐在の経験が、非常に強く評価されました。もしこの海外経験がなければ、また別の事務所を提案していた可能性も十分にあります。

タイミングも重要ですよね。事務所の抱える案件や人員構成とのマッチングも。

 まさにそうです。しかしこの方の場合、一次面接を通過した事務所は軒並み内定が出ました。それほど優秀で、事務所のニーズと完全に合致したと言えるでしょう。

転勤が多い裁判官にとってリモート面接の普及は追い風

最近の転職活動で特徴的なのがリモート面接ですよね。裁判官の方々は全国に赴任されますが、弁護士事務所は首都圏に集中していることが多いので、昔は大変だったのでは?

 その通りです。一昔前は対面での面接が基本でしたから、転職活動をするとなると何日も仕事を休まなければなりませんでした。それが転職活動を検討しない大きな理由の一つにもなっていたんです。

それがこの数年で大きく変わりましたよね。

 はい。特に裁判官や検察官の方々は、リモート面接の恩恵を非常に受けやすいと言えます。

今回の転職者様も地方にいらっしゃいましたが、一次面接や二次面接はリモートで実施していただけました。そのおかげで選択肢を広く持って複数の選考を受けることができましたね。

リモート選考ができなかったら、選考先を少数に絞らざるを得ませんでしたから。

ちなみに、最終面接は対面だったのでしょうか?

 最終面接は対面でした。

複数の最終面接があったのですがご本人の負担を減らすために、選考を同じ日にまとめて調整するなどの工夫をしました。

事務所側も候補者が複数の事務所を比較・検討している状況を理解してくださり協力的なことが多いので、転職活動は以前よりも非常にしやすくなっていると思います。

高い専門性を持っていれば「カウンセル」ポジションが用意されることもある

最終的に3つの内定の中から1つの準大手事務所に決まったとのことですが、どのようなポジションとなったのでしょうか。

 この方はカウンセルポジションでの内定となりました。

カウンセルというと、アソシエイトでもパートナーでもない、その間の位置づけというイメージでしょうか?

 おっしゃる通りです。

裁判官や検察官、中央省庁にいた方など、特定の分野で専門性が高く、かつある程度の経験を積まれている方の場合、専門家として「カウンセル」のポジションで迎えられることが多いです。

若い年代の方であればアソシエイトとしての入所もありますが、この方は「カウンセル」として年収面も配慮いただいての入所でした。

年収面も気になりますね。裁判官の方でも15~20年近く経験すると、相当な年収になると思いますが、そこからさらに上がったのでしょうか?

 はい。現年収よりも高い年収でオファーが出されました。

裁判官の方の年収はこの方と同じくらいの年次の方では1,000万円台前半といったところですが、法律事務所では同じ年次だと1,000万円台の中盤から後半になることが多いので、かなりプラスになりました。

ご本人も非常に喜んでいらっしゃいましたね。

関連記事:弁護士の平均年収は?アソシエイト・パートナー・分野別の相場と年収アップの秘訣

それは素晴らしいですね!個別交渉の賜物という感じですね。

 事務所側も市場相場をあまり知らないケースや他の競合先の状況があるため、転職エージェントが水面下で交渉し、最も良い条件を引き出せるようサポートします。

結果としてご本人も事務所も納得し、気持ちよく意思決定できる条件にまとまったのはエージェントとして関わった意味があったなと思います。

初めての転職、唯一の課題は「情報格差」

裁判官ならではの「困った部分」や「プラスに働いた部分」はありましたか?

 ご本人が転職自体初めてで、情報を全くお持ちでなかったことはハードルのひとつでした。

どういう事務所があるのか、具体的にどのようなプラクティスがあり各事務所では何をするのか、選考の日程調整や待遇交渉の方法など、弁護士事務所についての知識はもちろん、転職自体の知識もゼロの状態だったんです。

一般企業に勤めていると「転職」という言葉も日常的に聞きますし情報も多いですが、裁判官という特殊な環境だと情報が入ってきにくいようですね。

私たち転職エージェントはご相談者様の前提知識や情報量に応じて、どこから支援を始めるかを変えています。そのため今回は転職に関する基本的な部分から丁寧に説明をしました。

その方に応じた転職支援のスタイルで対応してもらえるということですね。森さん、本日は貴重な解説をありがとうございました。

 ありがとうございました!

本記事の内容は動画でもご視聴いただけます
動画:【転職事例】裁判官から準大手法律事務所へ

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この記事の監修者

リーガル専門コンサルタントとして、弁護士・法務人材を中心に転職支援を行う。中国発大手テクノロジー企業の日本法人にて創業メンバーとして事業開発・推進に従事。スタートアップ〜大手事業会社での事業開発、マネジメント経験を有していることから、様々な角度からの俯瞰したアドバイスを強みとする。

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