外資金融コンプライアンス部門のキャリア【転職体験談】

金融業界の法務・コンプライアンス領域でキャリアを積まれてきた渋江様に、

  • これまでのキャリア
  • 実務で用いる英語のキャッチアップ方法
  • 働きながらMBAを取得された背景
  • 転職理由
  • 入社を決めた理由
  • これから転職活動をされる方へのメッセージ

等を伺いました。

※この記事はYouTubeチャンネル「アガルートキャリア」でアップしている2本の動画をまとめたものです。

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これまでのキャリア

――本日は金融業界の法務・コンプライアンス領域でキャリアを積まれ、ちょうど転職活動を終えられたばかりの渋江様にお話を伺います。まず、ご経歴を含めて自己紹介をお願いできますでしょうか。

渋江と申します。

新卒から約10年間、信託銀行で業務を経験しました。その後、現職である保険業界で約9年間勤めて、金融業界で約20年弱キャリアを積んできたところです。

社会人12~13年目頃、人生100年時代と言われる中で私自身が今後見据えていくべきキャリア志向の模索を始めた時期でして、選択肢の1つとして国内で取得できるMBAを取得するため、社会人大学院に行きました。

MBAを修了し、今後のキャリアを見据えていくところも含め、今回転職活動でアガルートキャリアにお世話になりました。

――新卒で入社された信託銀行では、どのような業務を担当されていたのでしょうか?

信託銀行でしたので、銀行の中でも特殊な部類に入ってくるかとは思います。

ざっくりと申し上げると、企業年金、確定拠出年金だとか確定給付年金などのコンサルティングをしながら、営業も行っておりました。

ここではいわゆるリーガルやコンプライアンスといった業務には全く携わっていませんでした

――現職の保険会社に転職されたときは、応募されたポジションがコンプライアンス領域だったのですか?それとも入社されてから異動になったのでしょうか?

もともとの応募ポジションがコンプライアンス領域でした。

――そうすると、いわゆるコンプライアンスは未経験で転職されたということですね。なぜコンプライアンス領域に行こうと思われたのですか?

そうです。当時私の中でコンプライアンスは未知の領域でしたので、まずチャレンジしてみたいという気持ちは強くありました。

ただそれ以前の私の志望動機として、マネージャー募集であることが第一でした。

その時29歳くらいだったんですが、今後キャリアを構築していくにあたって、早期にマネジメントを習得していかないといけないという思いが強くあったこともありました。

そこで現職にチャレンジしてみようと思ったのが第一前提で、コンプライアンスはコンプライアンスとして学べるのであればチャレンジしたいという動機でしたね。

――転職活動の軸がコンプライアンスが先だったのではなく、マネジメント経験を積みたいということがあったわけなんですね。弊社でコンプラ領域への転職をご支援する機会もあるのですが、未経験からの転職ハードルが低いわけではないと思います。渋江様が1回目の転職の際、未経験の領域に応募するにあたって気を付けたことやアピールしたことがあれば是非教えてください。

コンプライアンスは確かに未知ではあったので、「自分で勉強していかなければいけないな」という想いはありました。

面接や面談のなかでお話ししたことは、未知の領域であっても自分の努力でこれまでも取得をしてきたということと、学ぶ素地や努力をする手順・手段を構築しているので他の方の手をそんなに借りずとも取得できるよう頑張っていけるということです。

――今までのご経験の中で未知の領域をキャッチアップされてきたことをアピールされたことが評価に繋がったのかもしれませんね。現職には9年お勤めですが、具体的な業務内容ややりがいなどを教えていただけますか?

コンプライアンスの領域のなかでも、反社会的勢力やアンチマネーロンダリングといった領域の知識・経験が求められ、関心が高いといいますか、非常に注力をしている分野で現在業務に携わっています。

あとはハラスメントや内部通報、エシックス分野、懲戒、社内の規定違反・法令違反といった分野にも携わっています。

コンプライアンスの側面から、会社の方針を決めていくにあたっての助言だったり、軸がずれそうになった時の羅針盤であったり、そういった役割も担っています。

――結構幅広いですよね。何人くらいのチーム・部署で業務をされているんですか?

現時点ではチームには30名弱のメンバーがおります。

私自身は様々な部署にまたがって仕事をしている関係上、5~6人のスタッフと共にマネージャーをさせていただいています。

中間管理職になりますので、部下の人事評価も上期・下期通じてやっています。

英語のキャッチアップ方法

――業務では英語を使う機会があったのでしょうか?

そうですね、特にAML(アンチマネーロンダリング)領域になってきますとグローバルな展開をしていくことが多いので英語を使います。

本社がアメリカにありまして、本社とのやりとり(メールや会議)でも英語を使うことがございます。

――昨今、ビジネスのいろんなところで英語を使う機会が増えてきていますよね。1社目の信託銀行では英語を使う機会はありましたか?

全くございませんでした。

――転職して、現職に入社されてから業務の中で英語をキャッチアップされたのでしょうか?

まさにその通りです。英語が使えないと業務が進まないことが多くありましたので、自ら勉強する習慣を付けていきましたね。

元々、英語はどちらかというと得意ではない方だと思います。

大学院でも使う機会がありまして、結構そこでも鍛えられはしましたが、オンライン英会話やTOEICスコアアップのための勉強、書物を読んだりして日常的に鍛錬しました。

――転職とは少し話がずれますが、仕事をしながら英語を勉強するのが結構大変というお声をよく聞きます。渋江様が実際にやられてみて、効果的だった勉強方法などがあれば教えてください。

1番私が良かったと思うのは、毎日自分に課せるオンライン英会話なんですね。

巷にもビジネスに特化したオンライン英会話があるかと思います。1日30分でも「継続は力なり」で、かなり習得ができるなと思いました。

あとは「ネイティブの方のスピーチを自分が追って話す」という方法も、英語力アップにつながりました。

社会人大学院でのMBA取得

――冒頭でお話し頂いたように、働きながらMBAを取得されていらっしゃるんですよね。改めてMBAを取得しようと思われた理由を教えていただけますか?

「人生100年時代」と言われてきた盛りの頃だったんですが、ある書物に「自分の今の職業が30年後、40年後もあると思うな」という話がありました。

30、40年後の自分を想像したときに「今の職業でやっていけるのか」とすごく不安に思ったんですね。

手に職を持ちながら、かつ、長く人生を謳歌していくにあたっては知識と経験も必要だなと思いました。

自分で希望しても就けない職業があるのであればまずは知識をつけなければいけないということで、経営について学ぼうと思ったのが大きな動機でMBAという選択に至りました。

――2年間仕事を続けながら大学院に行かれたんですよね。すごい大変だったのではないかと思うのですが、実際いかがでしたか?

本当に大変でした。寝る間も惜しんで、土日も勉強が中心になってくるので、プライベートは全く無い状況でした。

ただ知識が積みあがっていけばいくほど、自分の中での知識欲も高まりますし、自分がどれだけ世間や物事を知らずに生きてきたのかを痛感しました。

そういった意味では2年間通って良かったと思います。

――MBAを取得されてからすぐに転職ではなく、そこから現職の実務もやられていたと思います。学びが仕事に活かされたと感じたご経験があれば教えて下さい。

コンプライアンスの領域は視野が狭くなりがちですが、より広い視点を持つことができるようになりました

外の世界を通じてのコンプライアンス、今で言うとESGやガバナンス等は非常に世間から求められているんですが、世間から見た当社の立ち位置といいますか、ガバナンスの観点はとても仕事に役立っています。

非常に俯瞰的かつ経営の視点で物事を見ながら、業務を進めていけますね。

転職を考えた理由

――英語を実務で使うようになって、MBAも取得されて、マネージャーとして業務もやって、順調にキャリアを築かれている印象です。今回、転職を決めたのはなぜでしょうか?

大学院卒業が1番大きくございました。

大学院において私が関心を高めたのがESG領域だったんですね。これを自分の業務に携わらせていく方法を考えると、現職ではできないことが非常に多くありました

新しい道を模索するなら転職だなと思い、転職活動を開始しました。

――現職ではESG領域に中心的に携わるのは難しかったのでしょうか?

日本法人の中では自由度合高めに業務をさせてもらっていたと思います。

ただ組織の構造上、決定権は本社であるアメリカに委ねる部分があるんですね。

そうなると日本法人で独自にESG領域に携わるのは少々難しいところがございました。

転職活動の進め方

――転職活動にも、転職エージェントや直応募、知人経由、リファラルなどいろいろなチャネルがあると思います。渋江様はどのように転職活動を進められたんですか?

まずは転職サイトに登録して、どのような企業からスカウトしていただけるのかを客観視していました。

その中でエージェントからもさまざまお声掛けをしていただきました。

――何社くらい書類応募されましたか?

10社前後は応募しました。

――どのような軸で応募する企業を選定されたんですか?

大きく3つあります。まず1つはいまの経験領域をどれだけ伸長させられるか、深掘りできるか

2点目は先程からお伝えしている、ESG領域に企業がどれだけ注力をされていて、これから深めようとされているのか

最後に企業がどれだけにサスティナブルにと言いますか、ステークホルダーに対して企業責任を果たしているかどうかです。

ステークホルダーに対して責任明示をされている企業はこれからも請われていく企業であると思っているので、「責任感のある企業」かは重視しておりました。

――面接に行かれたのは何社くらいだったんですか?

6~7社ほどは面接に伺いました。

――一般的な書類の通過率と比べると高いですね。

そうかもしれません。

金融業界の法務・コンプライアンスは、もしかしたらあまり人が動かれないのかもしれないと思ったのですが、それもあって書類選考は比較的通りやすいように感じました。

――金融業界のご経験を長くお持ちですし、コンプライアンスの方々は専門性が高いというか特殊性があるので、スキルマッチ度が高かったのかもしれないですね。軸に当てはまる企業のなかで、どういった職種に応募されていたんですか?

ESGとコンプライアンスでしたね。

――ESGのコンサルティングをやる仕事も受けられていましたし、事業会社のなかでコンプライアンスをやっていくポジションも受けられていたと把握しています。その場合、仕事内容も変わりますし職種も違うので、どこをもって意思決定をするか、優先順位をつけるのかが難しそうですね。

内定を頂いて選択をするフェーズになったときに、最後に考えたのは「その企業が何を求めていて、何に注力をされて、企業運営をされているのか」です。

最終的に入社を決めた企業は、ESGに特化されていて、かつサスティナブルに責任明示をしっかりされていて、そしてコンプライアンスを深めることができる、そしてまたグローバルに、という全ての条件が重なって良いところだなと思いました。

意思決定のポイント

――4社から内定を得られて、1社に絞るのに悩まれていましたよね。

かなり悩みました。

いろいろアドバイスを頂いたんですが、「今後の自分や会社の将来を見据えたうえでニュートラルに選ばれたらどうですか」というお話を頂いたのをすごく覚えています。

エージェントからすると、おすすめした企業に進んでもらうのが1番良いのかもしれません。

ただ私としては人生を基軸に考えていくことが重要という話をいただいて、「まさにその通りだな」「私が生きていく上での重要な意思決定をしていく企業は俯瞰をした目線でかつ自分自身の人生のメリットになるような企業であることが重要だな」と、改めて思わせていただきました。

目先の収入や得ることだけでなく、これからの自分の人生が素晴らしいものになっていけるかどうかという観点で考えました。

――そもそもなぜ転職しようと思ったんだっけ?とか、転職して何を叶えたいんだっけ?みたいな、初心に戻ることがその時は大事だったのかもしれませんね。

仰る通りですね。原点って活動をしていくと忘れてしまいがちなので、そこを思い起こさせてさせて頂けたと思います。

条件だけでいうと、入社を決めた企業よりも、もっと良いオファーをご提示くださった企業がありました。

最終的な選択は条件面だけではなく、自分が何をやりたいか、自分の人生をどうしていきたいかということがポイントになりました。

――転職エージェントは紹介した企業に入社してもらって、企業側からフィーを頂くのがビジネスモデルです。どう綺麗事をいったところで入社してほしいのが本音です。転職活動をされる方はそういったことを踏まえて、いい意味でエージェントをうまく使ってもらえればと思います。

転職活動で使ってよかったサービス

――転職活動で使ってよかったサイトやサービスはありますか?

いくつか転職サイトには登録しましたが、1番私にフィットしたのは「エージェントにどういう担当者がいるか」というところです。

担当者の方が担当者の利益ではなく私の利益のために良いと思う企業を勧めてくれたりニュートラルにご意見をいただけたりしたところは、良いサービスだと思いました。

――それってサイトの登録時はあまり判別がつかないですよね。最初はいろいろなエージェントの方とお話しされたんですか?

はい、自分でコミュニケーションをとって「ここは信頼できるな」「ここは…」といった判断をして、利用するエージェントを選びました。

面接を受けるにあたっても、エージェントの方と企業担当者がどれだけ密接につながっているかを重視していましたね。

実績をたくさんお持ちの方や、具体的なアドバイスをいただける方はとても安心感を得られました。

――エージェントは大手や個人でやっている所、業界特化などさまざまあると思います。実際に転職活動されて、例えば「大手がフィットした」「ブティックでやってる方が良かった」「規模はあまり関係なく結局人だった」など印象はありますか?

どこであっても、人(担当者)だと思います

企業の人事や現場の方と密接に関係性を構築されているかで考えると、大手でもブティックでもないな、人だなと感じます。

――エージェントは良くも悪くも属人的な仕事ですし、相性もありますからね。エージェントとダイレクトリクルーティングを使ってみた感想として、メリット・デメリットに感じたところがあれば教えて下さい。

エージェントを利用するメリットはすごく大きく感じています。

聞きにくいことや言いにくいこと、すべてエージェントを通して話してもらえることと、企業に良い形で伝えていただけたことです。

言葉をそのまま伝えて、いろいろ誤解を与えてしまうことも中にはあると思いますが、後々現場の方と直接お話しをしてみると私の伝えたかったことがとても良い形で伝わっていました。

逆にデメリットとしては、ダイレクトリクルーティングのメリットと比較するとタイムラグがあることです。

あとは、ダイレクトリクルーティングの方が現場の声を如実に聞くことはできると思います。

――例えば「残業時間どのくらいですか?」という質問でも、企業に意図に反した印象を持たれてしまうこともあるあるなので、エージェントを使って疑問点等を確認できるのはたしかにメリットですね。

これから転職活動をされる方へ

――最後に、これから転職活動をする方へメッセージをお願いします。

転職は人生の大きな岐路に立つ選択なので、「なぜ転職しようと思ったのか」という原点を忘れずに活動をしていくことが重要だと思いますね。

様々な条件提示とか業務の内容を聞くと目先のことにとらわれがちなので、ご自身の人生とか、大きな視点に立って今後を考えて、そのうえで転職活動をされると良いと思います。

あとはコミュニケーションを密にとるのが重要で、私は特に今回、エージェントにとにかく相談することが重要と思いました。

悩んでいても始まらないこともありますし、いろいろ相談する中で知見・経験を踏まえたアドバイスを本当に親身になってしていただけるので、忌憚なく相談していいと思います。

――エージェント側からしてもいろいろお話し頂いた方が理解が深まるのでありがたいです。面倒くさいこともあるかと思いますが、コミュニケーションを取って頂いた方が支援がしやすくなるので、双方に利益があると思います。

――本日はお時間を頂きましてありがとうございました。新天地でも頑張ってください!

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この記事の監修者

弁護士・法務・コンプライアンス・特許・知財など、リーガル領域を中心とした管理部門の方のキャリア支援を行う。東証一部上場企業での人材紹介事業部の立ち上げ等も経験。中途採用・転職に関する深い知見を有し、選考企業ごとの個別面接対策も行い、多くの求職者の転職支援実績を有する。

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