契約法務とは
- 更新日:2025.07.09
契約法務とは、企業間で取り交わされる契約書の審査や作成を行うことです。
企業では日常的に多くの契約書がやりとりされているため、契約法務は法務部における中心的な業務といえるでしょう。
この記事では、契約法務とは何か、具体的な業務内容やポイント等について解説していきます。
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契約法務とは
そもそも、契約法務とはどのような業務なのでしょうか。
この章では、契約法務とは何か、契約法務の位置づけについて紹介します。
契約法務とは
契約法務とは、前述の通り企業間で取り交わされる契約書の審査や作成を行うことです。
企業が取引先と取り交わす契約書には、企業間の取引内容の詳細や、紛争発生時の解決手段など、企業に大きな影響を与えうることが書かれています。
問題やトラブルの発生を未然に防いだり、自社に有利な契約を締結するためには、法務担当による相手方との交渉や駆け引きが重要です。
なお、企業法務のさまざまな業務の中で、最も一般的な業務は契約法務といわれています。契約法務の実務を経験すると、リスク管理や法律に関するさまざまな知識・経験を積むことができます。
契約法務の位置づけ
契約法務は、法務部の三大機能である「紛争処理法務」「予防法務」「戦略法務」のうち、「予防法務」に該当する業務と言われています。
予防法務とは、企業間の紛争の発生を未然に防ぐ企業法務の機能です。
ひとたび紛争が発生すれば、損害賠償請求や裁判への対応などの紛争処理が必要となり、時間的にも金銭的にも企業に大きな負担がかかります。
このような紛争が発生しないよう、契約法務においてはさまざまなリスクを想定したうえで、リスクが最小になる契約を締結することが重要です。
法務部において最も一般的な業務でありながら、最も重要な業務の一つが契約法務の仕事であるといえるでしょう。
なお、企業法務の業務の中には、契約法務以外にも、取締役会や株主総会の運営に携わる商事法務などの業務もあります。
具体的な契約法務の業務内容
契約法務の業務は、どのように進めていくのでしょうか。
この章では、具体的な契約法務の業務として、契約書審査・契約書作成について紹介します。
契約書審査
契約書審査とは、主に相手方から提示された契約書ドラフトの内容をチェックすることです。
審査においては、自社に不利益になる内容の有無や、さまざまなリスクの発生可能性と重要性の見極め、法令違反箇所や誤字・脱字の確認などを行います。
相手方の契約書ドラフトに問題があれば、法務部内や関係部署、顧問弁護士などとともに対応方針を検討し、場合によっては記載内容の改変を相手方に求めることになるでしょう。
記載内容を改変する場合は、ドラフトに具体的な修正案を付すなどしてやり取りをしていきます。
相手方の契約書ドラフトに問題がなければ、そのまま契約締結に向けて段取りを進めます。
契約書作成
契約書作成とは、相手方に提示する契約書を作成することです。
契約書作成の業務には、さまざまな場面で流用するための契約書のひな型の作成や、取引先に送付する契約書ドラフトの作成が含まれます。
作成した契約書は、法務部内や関係部署、顧問弁護士などに確認のうえ、相手方に送付します。
特に、これまで導入したことのないひな型を新たに作成する際や、特殊な内容が含まれる契約書を作成する際などには、顧問弁護士に相談・リーガルチェック・作成依頼をするケースもあるでしょう。
相手方に送付後、改変依頼などを受けた場合は、社内確認のうえ相手方と交渉を進めます。
特に問題がなければ、そのまま契約締結に向けて段取りを進めます。
契約法務の業務におけるポイント
契約法務の業務では、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
この章では、契約法務の業務におけるポイントを紹介します。
契約目的の確認
契約法務において最も重要なポイントは、契約目的の確認です。
一つひとつの契約書の背景には、契約を取り交わすことによって実現したい自社の利益があります。
「この契約を通じて自社はどのような利益を実現したいのか」「そのためにどのような条項を盛り込む必要があるのか」と考えることで、担当者はスムーズに契約書の審査や作成ができるようになるでしょう。
まずは、自身が取り扱う契約書の契約目的について、しっかりと理解することが重要です。
自社の利益の追及
契約法務の担当者は、契約書の中で可能な限り自社の利益を追及する必要があります。
契約法務の仕事は、紛争を未然に防ぐ予防法務としての側面がある一方で、自社に有利な契約内容を締結することで企業の営利活動に貢献するという側面もあります。
契約書作成の際には、まずは自社に有利になるよう契約書ドラフトを作成したうえで、相手方の反応を伺うのが基本スタンスといえるでしょう。
対して、相手方から契約書ドラフトが提示された際には、自社に不利益になる内容の有無などをしっかり確認したうえで、必要に応じて改変などを求めていきます。
リスクマネジメント
法務ならではの視点として重要なポイントがリスクマネジメントです。
契約締結においては、常に自社の想定通り物事が動くとは限りません。
自社から提示した契約書ドラフトに対して相手方から改変を提案されることもありますし、相手方の提示したドラフトにさまざまなリスクが含まれていることもあるでしょう。
そのため、契約法務担当者は、契約目的を阻害する可能性があるリスクについて、その発生可能性や重要性を見積もり、それぞれに対する対応方針を検討する必要があります。
コンプライアンスの徹底
法務業務においては、コンプライアンスの徹底も非常に重要なポイントです。
ひとたび法令違反が発生すると、企業の社会的信頼が失われてしまいます。相手方との取引が中止となってしまったり、既存の顧客や取引先が離れる原因にも繋がりかねません。
特に契約法務においては、自社の立場を利用して相手方に無理を通すような「優越的地位の乱用」や、下請会社に不当な要求をすることで生じる「下請法や独占禁止法の違反」などに注意を払う必要があります。
また、企業の業種や契約内容によって抑えるべき法令は変わるため、自社の取引に関連する内容から正しい法的知識を身に着けましょう。
明確かつミスリードのない記載
見落としがちですが、明確かつミスリードのないよう契約内容を記載することも重要なポイントです。
契約書の記載が曖昧だと、自社と相手方との間で認識の齟齬が発生してしまい、いざというときにトラブルを引き起こしかねません。
契約内容が定まったら、誰が読んでも同じ認識となるよう、明確かつミスリードのないよう記載しましょう。
なお、「この記載内容で伝わるだろうか」と不安になった際は、法務部内の上司などの第三者に確認を仰ぐと安心です。
契約法務としてスキルアップする方法
契約法務としてスキルアップするには、どのような方法があるのでしょうか。
この章では、契約法務としてスキルアップする方法について紹介します。
各種資格取得など法的知識の獲得
契約法務としてスキルアップする方法の一つは、各種資格取得などを通して法的知識を獲得することです。
法務担当に必要な法的知識が獲得できる資格としては、以下があります。
- ビジネス実務法務検定
- ビジネスコンプライアンス検定
- 知的財産管理技能検定
- 弁護士
- 弁理士
- 司法書士
- 行政書士
弁護士や弁理士、司法書士などの士業を取得すると、広範な法的知識が獲得でき、業務の幅が広がります。ただし、士業の取得は難易度が高く、多忙な日常業務の中では取り組みにくいかもしれません。
その点、企業活動における法的知識を実践的かつ体系的に学べる「ビジネス実務法務検定」や、コンプライアンスに対する積極的な理解を深められる「ビジネスコンプライアンス検定」、さまざまな知的財産のマネジメント能力を鍛えられる「知的財産管理技能検定」などの資格は、比較的取り組みやすく、学んだ内容を実務にも活かしやすいと考えられます。
自社の経営環境やビジネスの理解
自社の経営環境やビジネスに対する理解が深いほど、契約法務担当者としてのスキルアップに繋がるといえます。
契約法務の仕事では、取り扱う契約書の契約目的を確認することが非常に重要です。
しかし、自社のビジネスに対する理解が曖昧であったり、最新の経営動向に追いついていないと、契約目的を捉え違えてしまうかもしれません。
契約法務の仕事は、自社の経営戦略の実現を法的側面から支援する重要な仕事です。
日頃から視座を高く持ち、情報収集に取り組むことがスキルアップに繋がるでしょう。
また、外国企業との契約締結が盛んに行われる企業では、外国語の習得を求められることがあります。
海外展開の状況を見通しながら、必要な外国語のスキルを磨くのもおすすめです。
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この記事では、契約法務について解説しました。
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この記事の監修者
弁護士・法務・コンプライアンス・特許・知財など、リーガル領域を中心とした管理部門の方のキャリア支援を行う。東証一部上場企業での人材紹介事業部の立ち上げ等も経験。中途採用・転職に関する深い知見を有し、選考企業ごとの個別面接対策も行い、多くの求職者の転職支援実績を有する。
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