
法務部インサイド
法務のスペシャリストの存在が、事業成長の力になる
レバレジーズ株式会社
執行役員
森口 敬
アガルートキャリアが今回取材したのは、人材や医療ヘルスケア、海外展開など50もの事業を展開し、毎年120%を超える驚異的な成長を続けるレバレジーズ株式会社。同社執行役員・森口敬様へのインタビューを通じて、「社会課題の解決」という独自の視点で次々と新規事業を立ち上げるその背景と、事業規模拡大に不可欠な「法務人材」の重要性についてお聞きしました。
新規事業やM&Aが日常的に行われる成長企業において、法務がいかに経営戦略と直結し、ビジネスを牽引しているのか――。企業法務の新たな可能性に関心がある方、法務人材として経営の中心で活躍したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
人材から医療ヘルスケアまで、50もの事業を展開する成長企業
まずは森口様の自己紹介をお願いします。
レバレジーズ株式会社執行役員兼人事戦略部長の森口です。
もとは中堅中小企業向けのコンサルティング会社に3年半ほど勤めていましたが、2011年にレバレジーズにジョインし医療ヘルスケア領域の立ち上げから大阪支社の支店長を務めました。
その後、人事部に移動して新卒採用の責任者を務めた後、また医療系の事業の方に戻り約7年ほど、子会社の役員も含めて従事しています。
おととしから中途採用や入社後の研修、配置・評価・報酬などの領域全般を担当しています。
レバレジーズ株式会社はさまざまな事業を展開されていますが、そもそもどのような企業なのでしょうか。
当社は本当に多岐にわたる事業を行っています。PLがあるという観点で見ると、現在約50事業ほど抱えています。また現在、正社員だけで約3,000名ほど所属しています。
当社は人材の会社だと思われることが多いのですが、人材事業は全体の6割ほどで、実はそれ以外の事業が半数近くを占めています。
人材事業ではITや医療・ヘルスケア領域、若年層向け、海外人材など幅広い領域をカバーしています。
その他の事業ではメディア事業やスクール系事業、HRテックなどSaaS事業も行っていますし、M&Aの仲介事業もありますから、本当に多岐にわたる事業を展開しています。
最近はコロナ禍がひと段落したこともあり、海外事業にも力を入れ始めました。
「社会課題の解決につながるか?」を考えて新規事業を創出

レバレジーズ株式会社 執行役員 森口 敬様
多岐にわたる事業を展開するにあたり、事業の軸や展開の基準となる共通項はありますか?
実は事業領域やどの国に進出するかは決めておらず全てOKとしていますが、「社会課題の解決につながるかどうか」を土台に置くことにしています。
マイナスをゼロに近づけて、困っている人たちを救うようなビジネスであるかどうかを重要視しているんです。
例えば他のベンチャー企業が「ゲーム」領域に進出することがあると思います。しかし社会において、ゲームはプラスアルファの印象が強いものですよね。ですから弊社はそういった領域ではなく、社会課題といわれるような領域で真っ向勝負ができるかを軸に考えています。
毎年120%以上の成長のために投資も欠かせない
現在、従業員は3,000人いるとおっしゃっていましたね。
はい。現在、正社員が3,000人ほどおります。人員の成長率は年度によって違いますが、だいたい120%か130%ぐらい増えていくので、来年は3,500人とか4,000人近くになると思います。
現在もう売上が1,000億円を超えていますよね。それでいて120%、130%の成長をずっと継続しているのはすごいですね。
ありがとうございます。設立直後の120%、130%ではなくて、売上1,000億を超えてってなると、伸びるだけでも200億、300億のお金がないといけないので、既存の事業をしっかりと磨き上げていくことが重要です。
また毎年少なくとも5、6個。多い年だと10を超える新規事業が立ち上がっています。もちろん形にならないものもありますが、会社として新しいことに投資していく文化がありますから、採用も含めてどんどん投資していこうと考えています。
M&Aも積極的に行っているのですか?
はい。昨年は国内のITコンサル企業とM&Aをし、グループに加わっていただきました。海外ではアメリカの企業にグループに加わってもらい、日本から駐在員としてメンバーを派遣するなど、様々な形でM&Aを続けています。
弊社は弁護士やリーガルパーソンの転職支援に特化したサービスを展開しているのですが、新規事業やM&Aが多い社内だとリーガルパーソンの活躍する場が広そうですね。
そうですね。
それこそ海外企業を買収してPMI(M&A後の企業統合)をしていく際、社内の法務の専門家に参加してもらえることは非常に大きな力になります。
もちろん社外の知識を借りる場合もありますが、専門家と協業して形にしていけるのは、うちの強みでもあるし、面白さでもあるのかなと。
インバウンドでの労働力獲得に向けた事業を複数展開

グローバルな事業展開に向け、国内外の人材が働きやすい環境の実現を目指す。
グローバル事業の取り組みについて教えてください。
日本の人口が減っていくことが分かりきっている今、経済面で国力回復していくには海外の方に来てもらわなければいけません。そこで、海外から日本に来たい方のご支援として「グローバルサポート」というサービスを提供しています。
さらに国外拠点を増やし、現地での人材やメディアのビジネスも行っています。拠点が増えることで、クロスボーダーでの人材活用ができるのではないかと検討しているところです。
また、各国の文化を知らないことが国から国へ人が移動するときにハードルになりがちですよね。その知識を得るためのWeXPats(ウィーエックスパッツ)というメディアを運営したり、買収したアメリカの企業で新しくメディアを立ち上げたりもしています。
海外拠点は今どの国にあるのでしょうか。
今はアメリカ、メキシコ、ベトナム、インドネシアですね。ここから東南アジア圏や先進国、例えばドイツなどの重要な国々にも展開する構想を練っていました。しかし、コロナ禍で海外に行きづらくなって一旦保留にしています。
各国間の移動は徐々に解禁されてきていますし、まずは海外から日本に来ていただく部分を強化していこうと思っています。
「外国人技能実習制度」や「特定技能外国人制度」など、海外人材の呼び込みに関する法律はどんどん変わっていきます。こういった法律面の変化に対する対応は法務人材を一番頼りにしている部分で、事業を一緒に作っていきたい部分でもあります。
10年以内に現在の10倍の売上を創り出したい
今後の会社としての展望や方向性についてお聞かせいただけますか。
理念やビジョンを実現していく方針は変わりませんが、定量的な目標として10年以内に1兆円という売上規模を目指しています。
売上1兆円はなかなかすごい目標ですね。
そうですね。今1,000億ちょっとなので、10年以内に10倍ぐらい。毎年だいたい130%成長ぐらいがマストです。このペースの成長をずっと続けていくと、10年後に1兆円が見えてきます。
既存事業の成長で大体5,000億から6,000億ぐらいまでは達成できるだろうと思います。となると、残りの5,000億から4,000億ぐらいは新規事業もしくはM&Aで作ることが必要です。ですから新しいビジネスの種を探して形にしていくことが必要不可欠なんですよね。
しかも社員数も増えていくのでリスクも増えるでしょうし、事業数も増えれば専門性も必要になるでしょうね。
スペシャリストの採用を通じ競合優位性を確保
それだけ組織を拡大して成長を目指していくとなると、採用は経営課題の中でもかなり重要な位置づけになりそうです。
おっしゃる通りです。創業以来、採用は一番力を入れている部分であり、当社が成長できている大きなポイントのひとつだと思っています。
各部門のスペシャリストをインハウスで採用していることに組織としての強みがあると思うのですが、リーガル領域でも専門性が高い方を積極的に採用していく動きがあるのでしょうか。
はい、おっしゃる通りです。スペシャリストが社内にいることが他社では真似できない競合優位性にもなると思います。柔軟に自社の経営戦略や事業戦略に寄り添えるスペシャリストがいることは、目に見えづらい部分かもしれませんが確実に差分になっていくはずです。
直近も資格を持っている方の採用を強化しておりますので、スペシャリストになり得る方、もしくはスペシャリストである方々に、どんどん入社してほしいと思います。
また、外部の専門家に意見をいただいたら、インプットを自社に還元していく取り組みもしています。できる限り自分たちで考えようとはしているのですが、新規事業やM&Aをしていると知らないこともたくさん出てきます。
そういった部分では外部の知恵をお借りしつつ、社内の専門家もノウハウを吸収して蓄積してしていく流れがありますね。
法務的観点からビジネス上の戦略的なアドバイスができる人材が欲しい

同社法務部 合田様・廣澤様と。
専門性のある方の採用の中でも特に法務の採用の重要度はどの程度でしょうか。
非常に高いです。
当社の今年のテーマは「次代を創る、土台を創る」としているのですが、新規事業やM&Aを進めていく中で起こりうるリスクに私たちが気づけていないこともたくさんあります。
そんな時に「事業としてはスピード感を求めたいと思うけれど、リスクとしてはこういうことがあります」と、インハウスで一緒に考えて動いていける法務人材はとても大事ですね。
ただ法的な知識を持ってリスクを判断するだけでなく、どこまでリスクを取っていいとか、事業を前に進めていくためにはどういう解決策があるかとか、よりビジネスに近い法務組織にしたいと。
もちろん白黒はっきりつけなきゃいけない部分もあるので、「これはやめてください」「避けてください」と言ってもらうのもすごく大事だと思います。ただ、それ以上に戦略法務というか、一緒にビジネスを作っていく意識の方が合うはずです。
法務人材の転職支援をしていると、法務のプレゼンスが高い企業に行きたいとおっしゃる方が多いんです。それは求職者からは見えにくい部分ですし、実際その辺りどうなのか経営層目線でお教えいただけますか?
当社は法務のプレゼンスが高いというか対等だと思います。
社内にいる営業やマーケティング、システム、デザイナーなどの職種と変わらない扱いです。法務が事業側の言いなりになるわけではなく対等に話をしていくのが基本的なスタンスですね。
どうしても法務部門って「守りの部門」とか、法律関係の質問に答える部門という位置づけの企業もまだまだある印象です。その点、ビジネスの成功に向けて一緒にやっていく部門と位置づけているレバレジーズ株式会社は、他社と比べると法務のプレゼンスが高いと感じました。
執行役員・森口様から転職活動中の方へのメッセージ
転職活動中の法務人材に向けて、森口様からメッセージをお願いします。
この動画(記事)を見ていただいた方が、少しでも当社に興味を持っていただけたらとても嬉しいです。
当社はここから年間で130%、140%の成長を続けていく企業です。新規事業やM&Aをどんどん行う中で、法務的観点から一緒にビジネスを作っていく気概を持った方に加わってほしいと思います。
また、新しいものが生み出されたり変化が大きい環境の中で、自分が事業や会社を作っていこうというビジネス・戦略的観点を持っている方と一緒に働きたいと考えています。
動画:売上1兆円を目指すレバレジーズ法務部のプレゼンスとは

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