法務の年収をリーガル領域専門の転職エージェントが解説

法務は、契約書の作成・レビューやコンプライアンス対応、訴訟・紛争管理など多岐にわたる業務を担う重要なポジションです。

その年収は法律知識だけでなく、企業のビジネスモデルや収益性、さらに専門スキルの有無によって大きく変わります。

年収水準を左右する最も大きな要因は「業界」です。金融や製薬などの収益性が高い業界では、全体的に給与レンジが高くなるため、法務人材の年収相場も自然と高まる傾向にあります。

本記事では、法務の年収相場や業界別の特徴、さらに年収アップを目指す方法までをまとめて解説します。転職やキャリアアップをお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

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法務の年収相場と押さえておきたいポイント

国税庁の調査やアガルートキャリアにご依頼頂いている法務求人の年収や実績をもとにすると、一般的な20代を対象とした、法務の年収相場は400〜600万円程度です

若手、経験年数2-3年程度は大きな差は出づらいです。大きく差がついてくるのは、20代後半以降です。

法務の仕事は企業規模や業界によって、1,000万円超の高い年収も十分に狙える職種です。

法務は会社の経営と法律の接点を担うため、どんな業界・企業で働くかによって扱う案件の難易度や必要スキルが異なり、それが年収の差につながります。

参考:国税庁:「標本調査結果

参考:法務の求人一覧(アガルートキャリア掲載)

年収を左右する主なポイント

  1. 業界の収益性、ビジネスモデル
  2. 業界内の立ち位置
    • シェア(市場シェア上位のほうが高くなりやすい。ニッチな市場だとしても)
  3. 担当分野の専門性
    • M&A、コンプライアンス、リスクマネジメント、知財、国際法務などは高くなりやすい傾向
  4. スキル経験
    • マネジメント経験
    • 語学力

業界の収益性・ビジネスモデルによる違い

収益性の高い業界は年収も高い傾向

法務の年収を考えるとき、最も大きな要因は業界の収益構造です。

金融や製薬業界、IT、コンサルティングファームなど、利益率が高い業界ほど人件費に回せる予算が大きく、結果的に法務も含めた全社員の年収水準が高くなる傾向にあります。

一方で小売やサービス業は、人件費に回せる予算が少なく、年収水準も高くなりません。

上記はあくまで一般論で、大きな成長資金を得ている場合など法務人材に投資する意欲が高いことがあり、そのぶん年収が上乗せされるケースもあります。

企業ごとのシェア・収益力も影響

同じ業界内でも、シェアの高い企業や外資系企業では給与レンジが高くなる傾向があります。

たとえばIT業界でも、大手の外資系IT企業や国内有数のプラットフォーマーは年収相場が高めに設定されることが多いです。スタートアップや中小企業でも、急激な事業拡大やM&Aが絡むケースでは、法務機能を強化するために高い年収レンジを提示する場合もあります。

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業界別・法務の年収相場

ここからは、代表的な業界の年収相場と特徴を見ていきます。

あくまで目安となるため、実際の求人や企業によっては上下幅がある点にご注意ください。個別企業の求人について詳細が知りたい場合はぜひ弊社の無料面談をご予約ください。

下記で示す、若手はざっくり20代前半~後半、ミドルクラスは30代、管理職クラスは30代後半以降というのを目安にしています。20代で管理職など年代関係なく、昇格・昇給をされる企業も増えているので、あくまで目安です。

金融(銀行・証券・保険など)

  • 年収相場:若手で700〜900万円、ミドルクラスで900〜1,100万円、管理職クラスは1,200万円超も
  • 特徴:金融庁の監督下にあり規制が多い一方、金融商品の利益率は高く、給与全体が高めに設定されがちです。外資系金融や投資銀行では、さらに高年収を期待できます。英語力(語学力)も当然求められます

製薬・医療機器・ヘルスケア

  • 年収相場:若手で600〜800万円、ミドルクラスで800〜1,000万円、管理職クラスで1,100万円以上
  • 特徴:研究開発の利益率が高いトップメーカーでは人件費も潤沢で、法務部門の年収も高い傾向です。英文契約や知財関連を扱う機会が多く、そうした専門性があればさらに評価されます。家賃補助などの福利厚生が充実している企業も多くあるため、実質の年収はかなり高水準な場合があります。

IT・通信

  • 年収相場:若手で550〜750万円、ミドルクラスで700〜900万円、管理職クラスで900〜1,200万円以上
  • 特徴:SaaS契約やライセンス契約などIT特有の契約形態が多く、海外展開が進む企業では英語や国際法務スキルが必須となる場合もあります。スタートアップでも資金調達が大きい企業では高報酬が期待できます。

製造業(自動車・電機・化学など)

  • 年収相場:若手で500〜700万円、ミドルクラスで700〜900万円、管理職クラスで900〜1,200万円
  • 特徴:大手メーカーはグローバル展開を行っており、契約実務や知財管理のニーズが高いです。製薬ほど利益率が高くない分、金融やITに比べるとやや落ち着いたレンジになりますが、海外子会社管理や特許戦略でキャリアを積むと大きく年収アップを狙えます。額面はさほどではないものの福利厚生などが充実しており、実質で考えた場合に恵まれているケースがあります。

不動産・建設・インフラ

  • 年収相場:若手で500〜700万円、ミドルクラスで700〜900万円、管理職クラスで900〜1,200万円程度
  • 特徴:大手デベロッパーや建設会社は高額なプロジェクトを複数抱えるため収益も大きく、法務に対しても十分な予算が割かれます。海外不動産投資や再開発事業など、国際法務の経験があれば高評価につながります。

商社

  • 年収相場:若手で600〜800万円、ミドルクラスで800〜1,000万円、管理職クラスで1,000〜1,300万円以上
  • 特徴:総合商社では資源開発や海外投資など多角的な事業を展開しており、利益率の高い事業を手掛けるケースも多いです。M&Aや合弁事業に伴う契約、海外法務への対応が必要となり、経験豊富な法務担当者には高い報酬が提示されやすいです。総合商社の報酬水準は日系企業の中ではかなり高いです。

小売・サービス

  • 年収相場:若手で450〜650万円、ミドルクラスで650〜800万円、管理職クラスで800〜1,000万円程度
  • 特徴:薄利多売のビジネスモデルが多いため、他の業界と比べると基本給与はやや低めです。

法務が年収を上げる方法

現在の勤務先での昇格・昇給

社内の人事考課制度や昇格要件をしっかり理解し、管理職ポジションを目指す方法です。

係長、課長などの昇格はもちろん、部長や執行役員、CLO(Chief Legal Officer)など、経営に近い立場で活躍できれば年収1,000万円以上になるケースも珍しくありません。

ただし、昇進に専門性のみが求められるわけではなく、マネジメント力やコミュニケーション力が問われるようになりますし、ポジションが上がるほど、事業に対するコミットメントを求められます。

転職で年収アップを図る

大前提として、年収相場の高い業界や収益性の高い企業に転職することで、法務としての年収アップを狙いやすくなります。

特に金融・製薬・商社などは高年収帯の求人が多めです。

また、ITベンチャーや外資系企業でもM&Aや海外事業展開が盛んな場合は、高度な国際法務スキルを持つ人材を求めているため高額オファーを提示されることがあります。

自分のキャリアや得意分野に合わせて業界を選ぶことで、市場価値の高い人材として評価されるでしょう。

年収1,000万円を超えるケースと背景

法務で年収1,000万円を超える代表的なケースとしては、以下のような例があります。

大手企業の管理職ポジション

部長職やシニアマネージャークラスでは、給与水準が1,000万円を超えやすくなります(控えめな表現ですが、かなりの確率で超えます)

外資系企業の法務

人事考課が能力重視であることが多く、収益性の高い外資系では年収が1,200〜1,500万円に及ぶこともあります。

ベンチャー・スタートアップの法務責任者

資金調達が成功し、事業拡大を急ぐベンチャーでは、高度な経験を持つ法務責任者に1,000万円以上のオファーを出すことがあります。また年収とは別ですが、ストック・オプションが付与され、事業が順調に拡大した場合、給与とは別の報酬を得られる可能性もあります。

いずれのケースでも、企業の収益性が高く、かつ法務機能を強化したいという明確なニーズがある点が共通しています。

まとめ

法務の年収は、業界の収益性やビジネスモデル、そして企業ごとの事業フェーズによって大きく変わります。

高収益を上げやすい金融や製薬、商社などは年収レンジが高く、さらに外資系企業や新規事業投資に積極的なベンチャーでは、経験豊富な法務人材に高い報酬を提示する傾向があります。

現職での昇給を目指す場合も、転職で年収アップを狙う場合も、どの領域・どの企業に身を置くかが重要なポイントです。

ご自身の専門性やマネジメント力を身につけながら、自分に合ったキャリアを模索してみてください。

具体的な求人動向やキャリア相談などを希望される際は、ぜひ弁護士や法務領域に特化した転職エージェント「アガルートキャリア」にご相談ください。非公開求人のご紹介含め、中長期でキャリアのご支援をいたします。

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この記事の監修者

弁護士・法務・コンプライアンス・特許・知財など、リーガル領域を中心とした管理部門の方のキャリア支援を行う。東証一部上場企業での人材紹介事業部の立ち上げ等も経験。中途採用・転職に関する深い知見を有し、選考企業ごとの個別面接対策も行い、多くの求職者の転職支援実績を有する。

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