スタートアップ・ベンチャーにおける法務の役割|有力なキャリアの選択肢

スタートアップやベンチャー企業は、アイデアとスピードを武器に急成長を目指します。一方で、法務リスクを適切に管理しなければならないという課題を抱えています。

ビジネスモデルや提供サービスが新規性に富み、未整備の規制領域に取り組むケースも少なくありません。大企業のような既存の枠組みにとらわれない反面、法律のグレーゾーンをどう扱うかという責任が経営や法務に重くのしかかります。

こうした環境下で、法務部門は企業の成長を支えるための攻守両面を担い、極めて重要な役割を果たします。

本記事では、スタートアップ・ベンチャーにおける法務の具体的な役割、必要とされるスキルセット、そして法務スペシャリストとしてキャリアを築いていくためのポイントについて、弁護士・法務専門の転職エージェントが解説します。

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スタートアップ・ベンチャーの成長フェーズと法務リスク

スタートアップ・ベンチャー企業が事業を拡大させる過程では、サービス・製品のグローバル展開や新規事業の立ち上げ、資金調達など、多岐にわたる変化が起こります。

これらの動きは企業に大きなチャンスをもたらす一方で、以下のような法務リスクも高まります。

  1. 契約リスク
    新しいサービスの提供先やパートナー企業との契約条件が複雑化し、締結プロセスや契約書内容の不備により紛争が発生する可能性があります。
  2. 規制リスク
    イノベーティブな領域では既存の法律・規制が十分整備されていないケースがあり、当局の見解次第では事業モデル自体の変更を迫られる場合もあります。
  3. 知的財産リスク
    技術やサービスの独自性が競争優位の鍵となるスタートアップでは、特許・商標などの知的財産をいかに保護・活用するかが重要課題です。また自社のサービス・プロダクトが他社の知的財産を侵害していないのかという視点も重要です。
  4. コンプライアンスリスク
    個人情報保護(プライバシー)や金融商品取引法など、多方面に渡る法規制を遵守しなければなりません。特にデジタル領域では、国や地域ごとに異なる規制が存在し、グローバル展開時に問題が顕在化しやすいです。

これらのリスクを未然に防ぎ、企業の成長をスムーズに進めるためには、適切な法務体制の確立が不可欠です。

早い段階から法務の専門家を招き入れ、社内外の法的リスクを俯瞰的に管理することが求められます。

スタートアップ・ベンチャーで求められる法務の業務内容

スタートアップ・ベンチャーで法務が担当する業務は、法務の担当者が少なく、業務も分割されていない傾向があるため、大企業と比べて広範囲かつスピード感が求められます。

主な業務内容は以下のとおりです。

  1. 契約書のドラフト・レビュー・交渉
    契約締結のスピードが勝負を決める場面も多いスタートアップでは、ドラフト・レビュー・修正を迅速かつ的確にこなすスキルが重要です。
  2. 規制リサーチ・行政対応
    事業内容が従来の枠組みを超える場合、法律や規制との整合性を調査し、適宜行政と連携する必要があります。場合によっては、法改正の動向を追いつつ、将来的な影響を見越した対応を行います。
  3. ガバナンス体制の整備
    スタートアップといえど、取締役会や株主総会の運営、社内規程の整備、コンプライアンス教育など、企業としての統治・管理体制を整える必要があります。
  4. 資金調達・IPO準備支援
    株式発行や資金調達のスキーム検討など、コーポレートアクションに関する法的手続きのサポートは、スタートアップ法務において極めて重要です。IPOを目指す企業では、上場審査に耐えうる内部統制や開示体制の整備が求められます。
  5. 知的財産戦略・リスクヘッジ
    技術やブランドの保護、他社特許との抵触リスクの回避など、知的財産権をいかに活用し、守り抜くかを戦略的に検討します。

スタートアップ・ベンチャーの法務は「なんでも屋」として幅広い役割を担うため、ビジネスサイドと密にコミュニケーションを図りながら、スピードと品質を両立させる能力が求められます。

大きな組織から転職する場合、こうした点でギャップが生まれるも多いです。大企業の法務部からスタートアップ・ベンチャーへの転職は、ある種の覚悟が必要とも言えるでしょう。

参考:法務の求人一覧(アガルートキャリアへの掲載求人)

法務スペシャリストのキャリアパスと求められるスキル

スタートアップ・ベンチャーの法務担当者は、組織が成長するにつれて次のようなキャリアパスを描くことができます。

  1. ゼネラリストとしてのスキル習得
    契約、コンプライアンス、知財など幅広い実務に携わることで、大企業では得られないスピードと裁量の中で実践的なスキルを磨くことができます。
  2. 責任者・管理職ポジションへの昇進
    法務部門の立ち上げ期から関与している場合は、部長や執行役員など、経営陣に近いポジションへ早い段階で昇進するチャンスがあります。
  3. 社外でのステップアップ
    スタートアップで培った法務経験を活かし、大手企業や専門ファームでのさらなるキャリアアップを目指すことも考えられます。以前はスタートアップやベンチャーから大企業への転職はあまり見られなかったですが、近年では当たり前のように増えてきています。

また、スタートアップの法務担当者には以下のようなスキルが特に求められます。

  • ビジネス理解・柔軟な対応力
    新規事業のために既存の法律の適用可否を多角的に検討するなど、ビジネスサイドの意図を汲み取る能力が重要です。
  • スピード感と実務能力
    日々の契約締結や問題対応でスピードが勝負を決めるため、スピーディーかつ正確な判断ができる実務能力が重視されます。
  • コミュニケーションスキル
    技術者や経営者、営業チームなど、様々なバックグラウンドを持つメンバーと協議・交渉する場面が多いため、高いコミュニケーション能力は必須です。

参考:法務の業界別年収相場をリーガル専門の転職エージェントが解説

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    スタートアップ独自の組織や文化、成長ステージに応じたキャリア形成の提案や、候補者のこれまでの経験・志向とのマッチングを総合的にサポートします。
  3. 選考・面接対策の支援
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この記事の監修者

株式会社アガルート取締役(株式会社ファンオブライフ取締役を兼任)。 領域特化型転職エージェントを運営する株式会社ファンオブライフを創業し、アガルートへ売却後、同社取締役に就任。 弁護士・法務・管理部門専門エージェント「アガルートキャリア」を立ち上げ、弁護士専門エージェント エイパス株式会社を買収・吸収合併。 特化型エージェント運営やリーガル・管理部門の専門職の転職・キャリアに関する深い知見を有する。 早稲田大学経営管理研究科修了。

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