法務の職務経歴書作成ガイド
- 更新日:2025.07.09
企業の法務部門や法律事務所への転職では、職務経歴書が重要なアピールの材料となります。
履歴書では伝えきれない「専門的な知識や実務経験」こそが、書類選考のカギを握るからです。
しかし実際には、「自分の法務経験をどのようにまとめればよいのか分からない」「専門用語をどう使えばよい?」といった声が多く聞かれます。
そこで本記事では、法務職の転職を成功させるための職務経歴書のポイントを解説します。
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INDEX
法務職の職務経歴書が重要視される理由
法務分野では、実務能力や対応可能な業務の範囲が採用側にとって大きな判断材料となります。
たとえば、下記のような点が注目されやすいです。
契約書レビューやドラフティングの実績
- 取り扱った契約書の種類(秘密保持契約、ライセンス契約、売買契約、M&A関連契約など)
- 具体的な担当件数・難易度・金額規模
コンプライアンスやリスクマネジメントの経験
- 社内規程の作成・整備、研修の企画・実施など
- 不祥事やコンプライアンス違反の防止にどの程度貢献したか
係争・紛争対応の経験
- 裁判・調停・ADRの対応件数や結果
- 社内外の関係者との調整能力
国際法務や英文契約のレビュー経験
- 外資系企業や海外との取引における契約書、現地法令の調査
- 英語力・コミュニケーション力
職務経歴書では、上記のような実務の経験と成果を分かりやすくまとめ、採用担当者が「この人は即戦力として活躍してくれそうだ」とイメージできるようにすることがポイントです。
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職務経歴書の基本構成と書き方のコツ
基本構成
以下のような項目立てでまとめるのが一般的です。
- 職務要約
- 社歴・職歴を簡潔にまとめた行程度3-5行程度の文章
- 例:「日系〇〇メーカーにて約5年間、契約書のレビュー・リスク管理を担当。その後、外資系企業で国際法務に従事し、英文契約レビューや海外子会社管理を経験」など
- 職務経歴詳細(時系列またはプロジェクト別)
- 勤務先企業の概要(業種、規模、担当部署)
- 期間・役職・担当業務の具体的内容
- 担当案件での実績(件数、金額規模、成果など)
- スキル・知識
- 保有資格
- 使用可能な言語(英語・中国語など)・ツール(契約書管理システム等)
- 得意な法務領域(M&A、労務、国際取引など)
- 自己PR
- 自分の強みや、採用企業にどのように貢献できるかを述べるパート
書き方のコツ
業務範囲や成果を定量的に記載
- 「年間○件の契約書レビュー」「取引金額○億円規模の訴訟対応」など
プロセスだけでなく、成果や改善点もアピール
- 「社内規程の見直しにより、クレーム件数を○%削減した」
- 「海外子会社とのやりとり効率化のため、オンライン会議体制を整備した」など
難解な法律用語は噛み砕いた説明を併記
- 専門用語を使いすぎると読み手が理解しにくい場合があります。
- ただし、法務部門の採用担当や法務責任者が読む前提であれば、基本的な専門用語は問題ありません。
ポイント別に見る、法務職ならではのアピール方法
契約書レビュー・ドラフティング
具体例
- 「売買契約、ライセンス契約、代理店契約など年間200件以上のレビューを担当し、誤記や抜け漏れを防止」
- 「ドラフティング時にリスク条項を盛り込み、取引先とのトラブルを未然に防ぐ体制を構築」
アピールのコツ
- 契約書の種類や年間レビュー件数を具体的に書く(何の領域で、どのくらいの業務量をこなしていたか)
- 差戻し率やトラブル件数の減少など、成果・工夫点が伝わるエピソードを含める
コンプライアンス関連
具体例
- 「社内のコンプライアンス研修を年2回企画・実施し、参加率を○%から○%に向上」
- 「法改正に合わせて内部規程を整備し、業務マニュアルのリスク管理体制を刷新」
アピールのコツ
- コンプライアンス体制の構築や運用にどれくらい関わったか
- 関係部署を巻き込んだプロジェクト推進力やコミュニケーション能力
紛争・係争対応
具体例
- 「年間5件の紛争対応(うち2件は訴訟)を担当し、和解金の減額交渉や相手方との折衝を行った」
- 「外部弁護士との連携を通じて、最適な争訟戦略を立案し、敗訴リスクを最小化」
アピールのコツ
- どのようなプロセスで紛争解決に寄与したか
- 自分の役割と、最終的な成果や改善点の明確化
国際法務・英文契約
具体例
- 「米国子会社とのジョイントベンチャー契約を締結し、英文契約ドラフトを自ら作成」
- 「海外展開に伴う現地法令調査を主導し、進出リスクを事前に洗い出し」
アピールのコツ
- ビジネス英語力(実務経験、TOEICスコア、英検)※求人にもよりますが経験者ほどスコアよりも実務経験が重視されます
- 外国籍弁護士との連携実績など、グローバルコミュニケーションスキルを具体的に示す
企業がチェックするポイント
採用企業・法務部門の責任者は、以下の点を特に重視する傾向があります。
即戦力・実務能力
求められる領域(契約、リスク管理、コンプライアンスなど)をどこまで対応できるか
コミュニケーション能力
- 法務は経営者や他部署、外部弁護士など多くのステークホルダーと連携が必要
- 実際にどのように社内外と調整したか、具体的事例があると印象が良い
スピード感と柔軟性
- 法改正や突発的なトラブルが起きた際、素早く対応できるか
- 業務フローや組織体制を見直す提案力など
リーガルマインド
- リスクを的確に捉えつつも、ビジネスを前向きに進められるか
- 企業経営への貢献意識があるか
これらの観点を踏まえ、職務経歴書に「自分が企業にどのように貢献できるか」を明確に示すことが大切です。
よくある失敗例・注意点
専門用語の乱用
- 採用担当が法務部門出身とは限らない場合、分かりにくい専門用語ばかりだと理解されにくい
実績・成果が抽象的
- 「契約書をたくさんレビューしてきました」だけでは不十分。「年間○件」「金額規模○億円」など具体的数字を盛り込む
自己PRが事実ベースでない
- 「常にリスクを想定して行動します」といった抽象的PRは評価されにくい。実務上の具体的エピソードを添える
資格やスキルを羅列するだけ
- 「資格を持っている=即戦力」ではない。実際に資格・スキルを使ってどのように成果を上げたかが大切
弁護士・法務専門の転職エージェントを活用するメリット
法務職の職務経歴書作成には、専門的な知識と実務への深い理解が必要です。弁護士・法務専門の転職エージェント「アガルートキャリア」は、法務の転職ご支援実績が豊富にございます。
活用することで、以下のようなメリットが得られます。
書類添削・アドバイスの精度が高い
法務分野の採用担当がどこを重要視するかを熟知しているため、具体的な改善点を指摘できる
最新の転職市場動向がわかる
経験・スキルに対してどのようなオファーが見込まれるか、どんな企業が求める人材なのかを把握している
企業ごとの選考ポイントを教えてもらえる
業界や企業カルチャーに合わせた書類・面接対策が可能。選考企業の募集背景、組織構成も把握しているためどのようなアピールの仕方をすべきか伝える事が可能です。
非公開求人の紹介を受けられる
法務職は非公開で募集されることも多いため、エージェントを通じて選択肢が広がる
まとめ
法務職の職務経歴書は、実務経験の詳細と成果を具体的に示すことが最重要です。
契約書レビュー、コンプライアンス、係争対応、国際法務など、どの領域でどれほどの実績を積み、どのように会社に貢献してきたかを明確に示しましょう。
- 定量的な数値とエピソードを組み合わせる
- 専門用語だけでなく、成果や工夫をわかりやすくアピール
- 転職エージェントの活用で、より効果的な書類作成を
法律知識や制度対応など、専門性を備えた法務職こそ、しっかりと実務能力をアピールすることで転職活動を有利に進められます。
とはいえ職務経歴書の作成は、機会が多いものではないと思います。
ご自身だけで悩むよりも、法務領域に特化した転職エージェントをぜひご活用ください。
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この記事の監修者
弁護士・法務・コンプライアンス・特許・知財など、リーガル領域を中心とした管理部門の方のキャリア支援を行う。東証一部上場企業での人材紹介事業部の立ち上げ等も経験。中途採用・転職に関する深い知見を有し、選考企業ごとの個別面接対策も行い、多くの求職者の転職支援実績を有する。
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