【弁理士の年収を徹底解説】働き方やスキル別の相場

弁理士は特許や商標、意匠など、知的財産に関する手続きを専門的に行う国家資格保有者です。

その専門性や希少性から比較的高収入のイメージを持たれることが多く、平均年収やキャリアパス、転職や独立を含めた将来の働き方について詳しく知りたいかたも多いのではないでしょうか。

この記事では、弁理士の平均年収の相場や、特許事務所勤務や企業内知財部勤務など働き方の違いによる収入の特徴、さらに年収を上げるためのスキルや行動のポイントを解説します。

弁理士の平均年収の相場

一般に弁理士の平均年収は、600万円から1,000万円程度の範囲に収まることが多いとされています。

もちろんこの幅には大きな差があり、同じ資格を持っていても働く環境や経験年数、取り扱う技術分野によって実際の収入は上下します。

国税庁の「民間給与実態統計調査」の結果を見る限りでは、管理的職業や専門的職業の給与水準は他の職種に比べて高い傾向にあり、弁理士もそうしたカテゴリに近い存在です。

弁理士が比較的高収入と言われる理由としては、まず一つに、特許法や商標法などの専門知識に加え、理系分野などの技術知識も求められるという専門性・希少性の高さが挙げられます。

最近では海外への特許出願や外資系クライアントへの対応など、語学力を活かせる場面が増えた結果、国際的な業務で高い報酬を得るケースも見られます。

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年齢や経験年数による年収の目安

弁理士は資格取得後すぐに高収入が得られるわけではなく、実務経験を積むことで案件を任される範囲が広がり、徐々に年収も上がっていくのが一般的な流れです。

経験のあさいうちは実務研修中や見習い的なポジションが多いため、年収としては400万円~600万円台に留まることもあります。

しかし30代以降になって担当案件が増えたり、特許事務所などでの成果に応じたインセンティブが適用されやすくなったりすると、600万円から800万円以上を狙える可能性があります。

さらに経験を積んでキャリアアップする方は、1,000万円以上の年収に到達する例も多く見られます。

実際に上記のリンクから確認できるアガルートキャリアに掲載されている弁理士の求人は、400万円台から1,500万円程度で分布しています。

経験年数の少ないジュニアクラスは400~600万円、経験が豊富であれば800万円以上の求人になることがわかります。

こうした収入は、あくまで平均的な例であり、勤め先の経営状況や自身のスキルセット、営業力などで個人差が出る点には注意が必要です。

とりわけ高額の年収を得ている弁理士の多くは、大手クライアントから複数の特許出願を担当し、安定的にリピート案件を得る仕組みを築いていることが多いと言われています。

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勤務先・働き方での年収の違い

弁理士として働く場合、主な働き方としては「特許事務所勤務」「企業内の知財部勤務(インハウス)」「独立開業(個人事務所)」の三つが挙げられます。

まず特許事務所に勤務する場合は、様々な企業や発明者から案件を受けるため、経験できる分野が広いのが特徴です。事務所によっては基本給に加えてインセンティブが設定されており、自身がどれだけ多くの案件をこなしたかによって収入が変動する場合もあります。

成果を出せば高収入に直結しやすい一方、受注の波によって忙しさにバラつきがあることや、常に高品質の業務を提供しなければならないというプレッシャーが大きいという面もあります。

企業内の知財部で弁理士として勤務する場合は、安定的な給与体系や福利厚生が魅力です。

会社員として雇用されるため、収入が極端に上下するリスクは少なく、ワークライフバランスを取りやすいという利点があります。ただし、専門とする技術分野が自社の事業範囲に限定されがちなため、幅広い案件に触れる機会は特許事務所勤務に比べて少ないことも珍しくありません。

独立開業を選択する場合は、弁理士に限ったことではなく、他の士業でも同様ですが、弁理士としての営業力や経営手腕がそのまま収入に結びつくのが最大の魅力です。

経営基盤が確立し、優良クライアントを抱えることができれば高額報酬も実現できますが、固定客を得るまでは収入が安定しにくいのがデメリットです。

マーケティングやマネジメント、資金繰りなど、自分自身が事務所全体の経営を管理する必要があるため、弁理士としての専門スキルだけでなく広範なビジネススキルが求められます。

弁理士の年収を上げるには

弁理士として収入を高めるために特に有効とされるのが、専門分野の強化や語学力の習得です。

専門分野については、AIやバイオテクノロジー、医薬など需要の高い領域に強みを持つ弁理士は案件の単価や数が増えやすい傾向にあります。

新技術分野は今後も特許出願が増加する見込みがあり、大手企業やベンチャー企業いずれからも注目を集めやすいです。

こうした先端技術に関する知識を常にアップデートし続ける努力が、報酬アップに直接つながるケースは少なくありません。

語学力の面では、英語や中国語を使いこなせる弁理士は海外クライアントへの対応や国際出願を担当できるため、さらに高額の報酬を得る可能性があります。

国際的に事業を展開する企業は特許を海外でも押さえる必要があるため、そのサポートを担う弁理士には高い需要があります。

特許文献は専門用語が多いため、技術・法律用語を正確に理解しつつ英文で読み書きができる力が求められますが、逆に言えばそれを身につければ強みとして大きくアピールできます。

知財の需要拡大と弁理士の将来性

デジタル化やグローバル化が進み、企業が国内外で知的財産をしっかりと保護・活用する重要性はますます高まっています。

特にソフトウェアやインターネット関連の特許、さらには医薬やバイオテクノロジーの特許など、新しい領域での出願件数が増え続けているため、これらを専門的に扱える弁理士に対する需要が拡大しています。日本国内においても、スタートアップ企業の台頭やオープンイノベーションの活発化に伴い、特許出願や商標出願のサポートを必要とする場面が増えています。

今後の展望としては、弁理士が単に出願手続きを代行するだけでなく、知財戦略のコンサルティングやビジネスモデル構築のアドバイザーとして活躍する場面が増えると予測されています。

企業が競争力を高めるうえで知財は不可欠なリソースになり、弁理士が経営層や開発部門に対して助言を行う機会が増える可能性があるからです。

そのため、法務や財務、マーケティングなどビジネス全般への理解を深めることで、より多彩なキャリアパスを描けるのではないでしょうか。

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弁理士として年収を伸ばすには

この記事で触れてきたように弁理士の年収は、勤務先の形態や担当分野、スキルによって大きく変動します。

平均的には600万円から1,000万円程度が目安といえますが、実務経験を積んで専門性を高めたり、英語などの語学力を磨いたり、顧客基盤を拡充するなど地道な努力を重ねることで、より高い収入を得ることも可能です。

特許事務所勤務であれば多彩な分野に触れながら成果報酬で高収入を目指せますし、企業内弁理士として安定した環境で働きながらキャリアアップする選択肢もあります。さらに独立開業に挑戦し、経営者として事務所を軌道に乗せる道もあります。いずれの方法でも本人のスキルと行動力次第で年収を大きく伸ばすチャンスがあるのが弁理士の魅力です。

今後も知的財産の重要性は高まる一方で、AIやバイオテクノロジーなど先端技術の伸びしろは大きく、グローバル化による海外案件の需要も増加傾向にあります。

こうした潮流の中で弁理士の活躍の場はさらに広がり、結果として年収の可能性も拡大していくと考えられます。

この記事の監修者

株式会社アガルート取締役(株式会社ファンオブライフ取締役を兼任)。 領域特化型転職エージェントを運営する株式会社ファンオブライフを創業し、アガルートへ売却後、同社取締役に就任。 弁護士・法務・管理部門専門エージェント「アガルートキャリア」を立ち上げ、弁護士専門エージェント エイパス株式会社を買収・吸収合併。 特化型エージェント運営やリーガル・管理部門の専門職の転職・キャリアに関する深い知見を有する。 早稲田大学経営管理研究科修了。

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