
法務部インサイド
「チームだから強い」2人1組で戦うコロプラ流「事業法務」の魅力
株式会社コロプラ
法務知財部
清水 康太/中條 秋子
スマホゲームやエンタメ領域で多彩なビジネスを展開する株式会社コロプラ。その法務知財部では、一つの案件を2人1組で担当する独自の“チーム制”を導入し、毎日のミーティングでノウハウを共有し合いながら案件を進めています。
そんな活気ある環境で働く清水さんと中條さんに、株式会社コロプラの法務ならではの魅力ややりがい、入社を決めた理由などを伺いました。
ゲーム業界特有の刺激的な課題や、柔軟な制度・風土が生み出す「事業法務の面白さ」はどこにあるのでしょうか。ぜひ最後までお読みください。
エンタメ企業を支える法務の現場に飛び込んだお二人

株式会社コロプラ法務知財部 清水 康太様・中條 秋子様
お二人の自己紹介をお願いします。
清水 株式会社コロプラ法務知財部コーポレート法務チームの清水と申します。本日はよろしくお願いいたします。
私は司法試験に合格した後、中小企業をコンサルティングする会社に入社しました。そこには法務という組織がなかったため、事業面も兼ねながら法務部の立ち上げに携わり、およそ5年ほど勤務しておりました。
その後は楽天に入社し、最初は広告事業に関する法務や事業法務を担当し、楽天市場をはじめとする事業領域も含めて5年ほど経験しました。
半年前に現職へ入社しました。
ありがとうございます。では続いて中條様、自己紹介をお願いいたします。
中條 株式会社コロプラ法務知財部コーポレート法務チームの中條と申します。
私のキャリアは大きく二つに分かれています。まずは海外に強い興味があったため、大阪に住む外国人向けのFMラジオ局や在ミクロネシア日本国大使館など、海外関連の仕事に従事していました。
その後、法学部出身ということもあり、司法書士事務所にて補助業務を経験しました。さらに前職では製造メーカーの法務部を立ち上げる業務に携わり、約4年ほど従事しました。
そこから2年前に現職に入社し、現在に至ります。よろしくお願いいたします。
チームで案件に取り組む体制に魅力を感じた
お二人はどのような理由で株式会社コロプラに入社されたのでしょうか。
中條 私は山崎(現上席執行役員CLO)との面接の際、法務部がチームで案件に取り組んでいるという話を聞き大きな魅力を感じました。
「2人1組で案件を担当すること」「コミュニケーションを密に取りながらナレッジの平準化を図っていること」などですね。
前職では上司と私の2名だけで法務を担っており、状況によっては不安を抱えながら進めることが多かったのです。そのため、チームとして協力し合える環境は大変魅力的でした。
清水 私は転職先を探していた際、アニメやゲーム、声優などがもともと好きで、エンタメ関連に携わりたいという思いがありました。
当社のゲームをプレイした経験もあり、興味を持ったのです。面接では山崎からチーム性や会社の方針について詳しくうかがい、そこに共感して入社を決めました。
チームで取り組むという点は、やはりお二人とも大きな魅力に感じられたのですね。そのほかにも、ここに魅力を感じたという点があれば教えてください。
中條 当時代表だった馬場が「世の中のコンテンツの『祖』となるものを作りたい」という理念を掲げていることを知り、素晴らしい考え方だと思いました。それも決め手の一つでしたね。
清水 私の場合は、山崎が当時法務知財部長を兼務しながら取締役を務めていた点も大きかったです。
山崎から「会社として法務・知財を重視しているから、経営層に自分のような法務の専門家が入っている」と聞き、もともと持っていた「法務やコンプライアンスを重要視する企業で働きたい」という思いに合致したのです。
ビジネス・コーポレート双方の案件に触れる機会が得られる

大きく「ビジネス」「コーポレート」に分かれる法務。しかし案件は所属を横断して割り振られるのだとか。
お二人は法務知財部のうち、法務グループに所属していらっしゃると聞いています。特にコーポレートを中心に担当しているとのことですが、どのような業務を行っているのでしょうか。
清水 当社はビジネスとコーポレートで大きく分かれていますが、日々の法律相談や契約書レビューは区別なくアサインされています。
私はコーポレート寄りの仕事として、個人情報の管理や社内規程の運用をメインに担っています。入社当初に個人情報の社内規程を全面改定するプロジェクトに参加し、今は取扱状況の確認などコンプライアンス面を中心に進めている状況です。
中條 私も契約書レビューなどはビジネス・コーポレートを問わず対応しています。一方で、コーポレートならではの機関法務、たとえば株主総会や省庁への届出、株式実務なども担っています。
前職では製造メーカーの法務立ち上げを経験しましたが、株主総会は初めての経験でしたので、非常に勉強になりました。
前職と比較して、株式会社コロプラの法務にはどのような違いがありますか。
中條 やはりゲームを扱うので、景品表示法や資金決済法など、ゲームに関連する法務案件が多いですね。
私は前職が製造業でしたしゲームをプレイした経験もなかったので、実際にゲームを遊びながらキャッチアップしていきました。難しい面もありますが、非常に刺激的です。
清水 私は楽天で広告事業やEC事業を中心に担当していたため、景品表示法に慣れていた部分はありました。
しかしコンプガチャなどゲーム特有の問題にはあまり触れていなかったので、実際に入社して「なるほど、こういう論点があるのか」と学ぶことが多いです。
推進力となるのは「2人1組のチーム」を軸とした活発なコミュニケーション
業界的な違いに加え、法務組織としての違いを感じた部分はありますか。
清水 先ほどの「チーム制」はまったく違う部分だと思います。他社では案件に対して1人がメイン担当者としてつき、基本的に1人で進めていくケースが多いのではないかと。
当社では基本的に案件には2人1組で当たります。どちらがメイン担当かサブ担当かを決めるわけではなく、同じ立場で案件を進めるスタイルです。
案件が進行するうちに自然と役割が決まってくることもありますが、2人ともが「自分の案件」として扱うことは変わりません。
さらに法務グループ全員が、毎日1時間ほどかけて各案件の進捗や新規案件の割り振りを行っていますね。
中條 チーム内や事業部とのミーティングの機会が多いのも特徴です。コミュニケーションが非常に活発だと思います。
割り振りそのものは15時のミーティングで行い、担当は基本的に立候補制です。管理職が全体の業務状況を見ながら調整する場合もありますが、まずは「やりたい方はいますか」というかたちで決めています。
清水 加えて、朝には15分ほど進捗共有のミーティングを実施し、皆が他の案件を把握できるようにしています。
毎日行うのは大変そうですが、メリットも多そうですね。具体的にはどのようなメリットを感じていますか。
中條 法務メンバーのバックグラウンドはさまざまなので、疑問点を壁打ちのように相談できるため、知識や経験を共有しやすいです。コミュニケーションを取りながら業務を進めることで仲間意識も芽生えます。
清水 業界特有の過去事例や慣習も、全員で話し合う場があることでスムーズに確認できて助かっています。
事業部とも連携しゲーム開発の最前線で働く
貴社の法務部は事業部との距離も近いのではないかと思います。事業に深く関わっていると感じるエピソードはありますか。
中條 リリース前のチェックが特にそうですね。新作をリリースする3週間前や2営業日前をめどに、利用規約やプライバシーポリシー、資金決済法の表示など必要事項を整備します。
事業部と連携して足並みをそろえ、リリース当日を一緒に迎えられるのは大きなやりがいです。
清水 施策の相談を受ける際にも、事業部が「ここは絶対に実現したい」という強い要望を持っていることがあります。
たとえば法務側から「法的に厳しい点がある」と指摘しなければならない内容でも、何とか折り合いをつけようと一緒に検討します。
そういった過程を経た案件がリリースされている様子を見ると、「貢献できたな」という達成感がありますね。
中條 法務に相談すること自体、高い壁を感じている方も少なくありません。「うまく落としどころを見つけられて助かった」「ありがとうございます」と言われると嬉しいです。
ハードルの高い業務を乗り越えるたびに成長が実感できる
では、逆に大変だった案件や、苦労した経験はありますか。
中條 私は、初めて担当した株主総会がとても大変でした。前任が不在のタイミングでもあり、かなりハードルが高い状況でした。
当社の株主総会はバーチャルオンリー総会です。開催に向けて山崎をはじめとするチームのメンバーと、日々コミュニケーションを取りながら乗り越えました。
本当にタフな案件ではありましたが、第2回以降の総会も含め、無事進行できたことは大きな自信につながりました。
清水 日々の法律相談や契約書レビューの観点からお話しすると、当社が持つ長期運営のゲーム特有の過去仕様や対応を把握するのに苦労しました。
長いものではもう10年ほど運営しているタイトルもあります。それだけの年数積み重ねてきた事情のキャッチアップに時間を要しましたね。
ゲーム内の用語を理解するために実際にプレイしたり、法務内のナレッジ共有サイトを読み込んだり、山崎に直接質問したりと。
ゲーム開発企業らしい「ユニーク」なオフィス

株式会社コロプラ法務部の皆さま。同社が日々行うチャレンジをリーガル面から支えるタフなチームだ。
法務知財部の雰囲気や、社内でのコミュニケーションについても教えてください。イベントや制度は活用されていますか。
清水 部活制度やチームビルディングランチなど、社員同士が交流できる仕組みが用意されています。
中條 法務に限らず、会社負担でチームでランチに行ける制度があるため、コミュニケーションを取りやすいです。
清水 所属するメンバーのプロフィールは、驚くほどバラバラです(笑)。経験業種を見ても金融やIT、エンタメなどさまざまですし、人となりも多様ですね。
中條 ただ、全体的に穏やかで真面目な方が多いのは間違いないですね。年齢層は30~40代が中心で、男女比もほぼ同じくらいです。
「コロプラのここが好き」というポイントはどんな部分でしょうか。
清水 オフィスは広々としていて、清潔な環境であるところです。入社前にオフィスを見学した時から、オフィス環境がすごくいいなと思っていました。執務スペースにも仕切りがなく、窮屈さを感じません。
中條 全体に遊び心がありますよね。「無限バナナ」といってバナナが房ごと社内に常備されているので、残業をする際などに利用する社員もいます(笑)。
清水 会議室の名前もゲームにちなんだユニークなものが多いです。たとえば、今いるこの会議室は「広大な大地」という名前です。また、オフィスにはゲームが置かれていて昼休みに皆で遊ぶこともあります。
中條 福利厚生が充実している部分もそうですし、法務に限らず全社的に「やりたいことを応援する」「新しいものをすぐに取り入れる」風土がある点が良いなと感じます。
どういう時に「新しいものを取り入れる」と感じたのですか?
中條 法務のことで言えば、山崎はいわゆる「ガジェットオタク」で、業務に役立ちそうなツールを次々に導入しています。
他社と比べても当社の法務の環境はかなり整備されていると思います。たとえば書籍の閲覧サービスやAIによる契約書レビューツールなど、さまざまなツールが自由に利用できます。
フレックス×チームプレイが生む働きやすさと情報共有の課題
働き方や制度面での特徴はありますか。
中條 10時30分~15時30分をコアタイムとし、8時~22時の間で8時間働くフレックス制です。
清水 10時30分ごろ出社する社員が多いですかね。11時からの進捗共有と15時からの案件割り振りのミーティングには、全員揃っています。
案件の状況によっては残業もあるものの、業務の進行に問題がなければ有給を取りやすかったり、コアタイム以降は早めに退勤しやすい雰囲気があります。
リモートワークも可能なのでしょうか。
中條 出社での勤務が原則ではありますが、上長の承認のもと、月単位でリモートワークをすることも可能です。基本的にチームで進めることを重視しているため、特別な事情が無ければほとんどの者が出社を選んでいます。
月ごとに「リモートか出社か」を完全に選ぶ形態なので、たとえば私は子どもが長期休みになる8月などはリモートを活用しています。
ナレッジマネジメントはどのように行っていますか。
清水 法務内サイトに、過去事例や弁護士事務所の見解などを保管しています。通常業務の合間に行うので少しずつではありますが、陳腐化してしまった過去のノウハウのメンテナンスを含め、日々知見を積み重ねていますね。
中條 ナレッジの構築も普段のコミュニケーションの場であるSlack上で行っていたので、検索性が低く、すぐにアクセスできないという問題がありました。現在は本腰を入れてナレッジのアクセシビリティの改善に取り組んでいます。
契約書のレビューは「Hubble(ハブル)」というツールを利用しています。一つの契約書について2人一組で共同編集するため、作業を通じて自然にナレッジが蓄積されています。
出社での勤務が主な環境でも、日々のやり取りはSlackなのですね。
中條 山崎が「Slackで仕事をしよう」というスタンスで、率先して体制を整えています。
清水 口頭でのやり取りも行いますが、業務上の記録は文面で残しておこうという意識があります。先にSlackでメッセージを送っておき、補足的に口頭で説明を行うこともありますよ。
グローバル展開を視野に、求める人物像と今後の挑戦

株式会社コロプラは中長期的に海外展開も見据える。「携われば大きな経験になる」と意気込む。
今後、貴社でどのような経験を積みたいか、展望をお聞かせください。
中條 当社は中期経営方針として積極的な海外展開を掲げています。今後は海外とのクロスボーダー契約やライセンスアウトが増えることが想定されるため、そこでさらにスキルアップを図りたいです。
清水 私はまだ半年ほどの在籍ですが、エンタメ業界やアプリゲーム特有の案件に幅広く取り組みたいと思っています。海外展開のプロジェクトにも積極的に関わりたいです。
採用面では、どのような方が貴社に向いているとお考えですか。
清水 案件をチームで進めるため、自分事として捉えつつも、周りとしっかりコミュニケーションを取りたい方が向いていると思います。新しいことに挑戦したいという姿勢も歓迎です。
中條 ゲーム業界は動きが早いので、柔軟さやコミュニケーション力、そして人と関わることを好む方はフィットしやすいでしょう。
転職検討中の法務パーソンへ
最後に、転職を検討されている法務パーソンや弁護士の方にメッセージをお願いいたします。
中條 当社は幅広い業務を経験できるので、さまざまな知識やスキルを身につけやすいと思います。
新しいものやスピード感のある環境を好み、人とのコミュニケーションが得意な方には大いに活躍の場があるのではないでしょうか。ぜひ一緒に働いていただけると嬉しいです。
清水 当社の法務部は、ユニークな事業と伴走する「事業法務」の醍醐味がつまっています。一方で事業法務だけでなく、それ以外の領域にも携われます。
また今回お話しした通り、非常に働きやすい環境です。当社のゲームや事業に関心を持ってくださった方は、ぜひご検討ください。
動画:転職者が語る|コロプラ法務のチーム力とナレッジマネジメント


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