HRBP(Human Resources Business Partner)とは?人事・管理部門専門の転職エージェントが解説
- 更新日:2025.01.27
この記事では、弁護士・法務・管理部門専門の転職エージェント「アガルートキャリア」が、近年人事の募集で多く見られるHRBPについて解説しています。HRBPとは何か、仕事内容やいわゆる人事との違い、
INDEX
HRBP(Human Resources Business Partner)とは
HRBP(Human Resources Business Partner) とは、組織・事業部門ごとに密接に寄り添い、そのビジネス戦略を人材面から支援する人事の役割を指します。従来のように人事部という部署だけで人事業務を一括管理・運用するのではなく、各事業部の目指す方向性や経営戦略を深く理解したうえで、人材戦略を立案・実行する「ビジネスパートナー」として機能する存在です。
人事領域には「採用」「評価」「労務管理」「教育研修」など多岐にわたる専門的な業務があります。一方、HRBPはそうしたピースを切り分けるのではなく、「ビジネスを推進させるにはどんな人材が必要か」「組織課題をどのように解決すべきか」といった経営・事業の視点に立って、人事全般を横断的に捉え、解決策を提示・実行するという特徴があります。
HRBPが注目される背景
事業環境の変化スピードの加速
ビジネスを取り巻く環境は日々変化し、そのスピードも年々加速しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や、テクノロジー・市場動向の変化は、企業が柔軟かつ機動的に組織や人材を再編成する必要性を高めました。そうした状況下、戦略的に人事施策を打つために、HRBPが注目されるようになっています。
経営と現場の結びつきを強化
人事機能を中央集権的に行うのではなく、事業部門や現場に近いところで人事施策を検討・実行することで、経営層との意思決定のギャップを埋められます。HRBPがビジネスパートナーとして機能することで、経営レベルの課題を現場に落とし込み、現場の声を経営層にフィードバックする「橋渡し役」を担うことができます。
組織・人材課題が企業の成長を左右する
企業が優秀な人材を採用・育成し、組織を拡大していくには、継続的な施策が不可欠です。HRBPはそういった組織・人材課題を経営課題と同等のレベルで捉え、素早くかつ的確に対応するために必要とされる役割となっています。
HRBPと従来の人事部との違い
項目 | 従来の人事部 | HRBP |
---|---|---|
ミッション | 採用・労務管理・給与計算・評価管理・研修など、人事に関わる各種オペレーションを一元管理 | ビジネス戦略に沿った人材課題の抽出と解決策の立案・実行を、事業部門と二人三脚で推進 |
活動範囲 | 人事部門内で完結することが多い | 経営層・各事業部門への深い入り込み、現場連携 |
視点 | 組織全体を俯瞰して共通の人事施策を整備 | 各事業部のKPIや組織状況を踏まえ、人材戦略をカスタマイズする |
ポイント
- 人事部: 従来は「労務管理」「給与関連」「評価制度運営」「研修企画」などのオペレーションが中心。
- HRBP: 事業部門に密着し、経営課題や事業戦略を前提とした人材戦略を提案・実行する役割がメイン。
HRBPに求められる主な役割・業務内容
組織課題の抽出と解決策の提案
- 事業部門のKPIや目標の達成状況をモニタリングし、組織面での課題(採用不足、リーダーシップ不在、定着率低下など)を洗い出す
- データ分析やヒアリングを通して、経営や事業部門と共に戦略的な解決策を立案
採用計画の立案・実行支援
- 事業計画に基づく人材要件の定義と採用手法の検討
- 選考プロセスの整備や媒体選定、外部エージェントとの連携調整など
タレントマネジメント
- 社員のスキルセットや強みの可視化
- 人材育成計画、後継者(サクセッション)プランの策定
- 異動・配置計画の最適化
労務課題への迅速な対応
- 現場で起きる労務上のトラブルやコンプライアンスリスクを早期に察知し、解決をサポート
- 就業規則や法改正への対応、現場への落とし込み
経営層との連携・報告
- 現場の実態や要望を経営層にフィードバック
- 組織変更や報酬設計、評価制度変更など経営レベルの意思決定をサポート
HRBPに必要なスキル・経験
人事領域全般の知識
- 採用、評価、労務、教育研修、報酬制度など、人事関連の幅広い専門知識
- 法務面(労働基準法、派遣法、職業安定法など)への理解も必要
ビジネス理解・事業理解
- 担当する部門の事業モデル、ビジネス構造、KPIなどを深く理解
- 数値分析力や市場トレンドへのアンテナを張る力
コミュニケーション・ファシリテーション能力
- 経営層・現場間の橋渡し役として、双方の意見をまとめ、合意形成を図るスキル
- 組織課題をヒアリングし、論点整理・課題抽出する力
プロジェクトマネジメント力
- 人事施策を立案し、周囲を巻き込んでプロジェクトを完遂する力
- 目標設定、リソース配分、進捗管理、リスクマネジメントなど総合的な管理能力
データドリブンの視点
- HRテック(人事系システム)や各種ツールを活用した人事データの分析・活用
- エビデンスベースの意思決定を支援する知識と経験
HRBPを採用するメリット
事業推進力の向上
HRBPが各部門に深く入り込み、現場の状況を踏まえた柔軟な人材施策を立案・実行することで、事業目標の達成を後押しします。優秀な人材の獲得や適切な配置が可能になるため、業績向上に直結する可能性が高まります。
組織課題の早期発見と迅速な対策
現場や社員との接点が多いHRBPは、組織のリアルな声や課題を素早くキャッチできます。経営層へ直結して報告ができるため、従来の人事体制よりも早い段階で対策に着手できるのが大きなメリットです。
経営視点と従業員視点の橋渡し
経営と従業員の間に立って、双方の視点を理解し、最善策を模索するHRBPがいることで、企業全体のエンゲージメント向上にもつながります。
HRBPとしてキャリアを築くには
人事オペレーション経験を積む
幅広い人事業務の知識や経験が必要となるため、まずは採用や労務、評価制度の運用など、人事のオペレーション経験を積むことが大切です。
事業部門での経験や他部署との連携
HRBPは経営・事業に深くコミットするポジションです。
- 事業部門に在籍した経験
- プロジェクト横断で他部署と協働した経験
- マーケティングや経営企画などビジネス領域に関わる知識
これらが強みとして生きることがあります。
コミュニケーション・調整力の強化
企業全体を横断して課題を捉え、解決に向けて関係部門を動かす必要があるため、ファシリテーションやプレゼンテーション能力、交渉力を磨くことが重要です。
HRBPポジションへの応募・転職
冒頭にも述べたように、HRBPを専門に募集している企業も増えてきています。弊社のような転職エージェントを活用し、HRBPへの応募をすすめていくと良いでしょう。企業にとっての重要度が高いポジションのため、非公開求人も多く、転職エージェントを活用することをおすすめします。
まとめ
HRBP(Human Resources Business Partner)は、経営や事業戦略と人材戦略をつなぐ重要な役割として、多くの企業で注目を集めています。従来の人事オペレーションを担うだけでなく、事業部門に寄り添い、組織課題の解決とビジネス目標達成をサポートする人事の戦略パートナーです。
- 変化の早い事業環境に対応し、人材面から経営課題を解決する
- 組織と従業員の声を吸い上げ、経営層へフィードバックして橋渡し役となる
- データに基づき、採用・組織開発・タレントマネジメントを推進する
こうした役割が期待されるHRBPには、人事の専門知識に加え、事業視点やコミュニケーション力、データ分析のスキルが欠かせません。企業としても優秀なHRBPを採用することで、戦略的に組織・人材を活用し、持続的な成長の実現が可能になります。
この記事の監修者
株式会社アガルート取締役(株式会社ファンオブライフ取締役を兼任)。 領域特化型転職エージェントを運営する株式会社ファンオブライフを創業し、アガルートへ売却後、同社取締役に就任。 弁護士・法務・管理部門専門エージェント「アガルートキャリア」を立ち上げ、弁護士専門エージェント エイパス株式会社を買収・吸収合併。 特化型エージェント運営やリーガル・管理部門の専門職の転職・キャリアに関する深い知見を有する。 早稲田大学経営管理研究科修了。
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