- 作成日:2021.09.16
- 更新日:2023.03.30
アメリカの弁護士「米国弁護士」の年収│日本との違いや米国弁護士になるために必要なこと
同じ弁護士でも、日本とアメリカではさまざまな違いがあります。
この記事では、日本とアメリカの弁護士の年収差やその背景について知りたい人に向けた情報を解説します。
アメリカと日本の弁護士の年収や資格の違いなどに触れたうえで、アメリカの弁護士になるメリットを解説するため、ぜひ参考にしてください。
INDEX
アメリカの弁護士の年収事情
アメリカの弁護士の年収はどの程度なのでしょうか。ここでは、弁護士の年収事情について解説します。
平均年収
アメリカの弁護士の平均年収に関する正式な情報はありません。
一般的には、アメリカの弁護士の平均年収は1,000万円以上だといわれています。
実績や人気がある弁護士なら、さらに高い年収を得ている可能性があるでしょう。
グローバル化により国境を超えた取引が増加しているため、アメリカの弁護士に対する需要もどんどん高まっています。よって、今後はさらに平均年収が上がると予想できます。
日本の弁護士の年収
日本弁護士連合会の調査結果によれば、2018年における日本の弁護士の平均年収は約1,200万円(中央値)でした。
ただし、日本の弁護士の年収は年々下がっているといわれています。
司法試験に合格して弁護士を目指す人が増えており、弁護士が多くなっているためです。
また、弁護士にとって、消費者金融への過払い金請求のサポートは大きな収入源となっています。
しかし、その業務が落ち着いてきており、弁護士への依頼が減っています。
日本とアメリカで収入差がある理由
アメリカは日本と比べて人口が多く、ビジネスの規模も大きいです。
そのため、弁護士にとってのビジネスチャンスもたくさんあり、高収入を目指しやすくなっています。
また、アメリカでは、世界的に通用する言語の英語が使用されています。さらに、アメリカの通貨であるドルは、世界の主要な通貨です。
日本以上に世界のさまざまな国から注目されており、弁護士への依頼がしやすい環境が整っています。
アメリカの弁護士は、日本の弁護士以上に高い需要がある点が収入差が生じている理由と言えるでしょう。
アメリカの弁護士資格のデメリットとは
アメリカの弁護士は日本の弁護士よりも年収が高い傾向がありますが、デメリットもあります。
アメリカでは、州ごとに弁護士資格が定められています。
資格を取得した州以外では弁護士として仕事ができないため、注意が必要です。
たとえば、カリフォルニア州で弁護士資格を取得しても、テキサス州では弁護士として活動できません。
一方、日本の弁護士資格があれば、日本国内のどの地域でも弁護士として活躍できます。
年収以外のアメリカの弁護士になるメリット3つ
アメリカの弁護士資格を取得するメリットは、高年収以外にもいろいろあります。
ここでは、具体的な3つのメリットを解説します。
1.海外で活躍できる
すでに触れたとおり、アメリカの弁護士は世界中から仕事を依頼される可能性があります。
そのため、アメリカの弁護士資格を取得すれば、海外で幅広く活躍することが可能です。
グローバル化はどんどん加速しているため、今後もさらに活躍の幅を広げられるでしょう。
アメリカの弁護士資格を取得するためには、アメリカの法律に関する知識や国際的な感覚などを身につけなければなりません。
それらは、どのような企業においても役立てられます。
勉強の過程で英語力も磨かれるため、海外とのやり取りもスムーズになります。
2.修士号を1年で取得できる
外国人がアメリカの弁護士資格を取得するためのプログラムを活用すると、修士号を1年で取得できます。
日本で修士号を取得するためにかかる期間は2年です。
できる限り短期間で資格を取得したいならアメリカの弁護士のほうが向いています。
ただし、それぞれ学習できる内容は異なるため、学ぶ内容にこだわりがある場合は注意が必要です。
資格取得までの期間だけでなく、どのような弁護士として活躍したいかについても配慮しましょう。
3.キャリアアップの選択肢が増える
アメリカの弁護士資格があれば、キャリアアップの選択肢も増やせます。
日本国内でアメリカの弁護士資格を取得している人は少ないため、貴重な人材として扱われています。
早い段階でアメリカの弁護士資格を取得しておけば、さらにチャンスをつかみやすくなるでしょう。
特に、日本とアメリカの弁護士資格の両方を取得している人は、活躍の場を大きく広げられます。
一般的な弁護士以上に高収入を得られる可能性があります。
弁護士としての専門性を高めたいなら、アメリカの弁護士資格の取得は有効な手段のひとつです。
アメリカの弁護士(米国弁護士)になるために必要なことは
アメリカの弁護士になるには、どのようなことが必要なのでしょうか。以下で具体的に解説します。
ABA認定のロースクールを修了する
アメリカの弁護士資格を取得するためには、まず日本の大学を卒業して法学の学位を取得する必要があります。
そのうえで、ABAが認定しているロースクールのLL.M.コースを修了し、資格取得を目指すケースがほとんどです。
ABAとは「American Bar Association」の略称であり、全米法曹協会を表しています。
ただし、LL.M.コースを修了しても、必ず弁護士試験の受験資格が認められるわけではありません。
州によっても判断基準は異なるため、ロースクールへの入学前に司法試験委員会へ条件を確認しておくと安心です。
アメリカの弁護士試験を受験する
アメリカの弁護士資格を取得するためには、州ごとに行われている弁護士試験の「Bar Exam」に合格する必要があります。
Bar Examの受験資格は個別に審査されるため、条件を満たして準備しておく必要があります。
司法試験の内容も州によって異なるため、それぞれの出題傾向にあわせた対策をしなければなりません。
日本人の場合、ニューヨーク州の弁護士試験を受ける人も多いです。
ニューヨーク州の試験は3つの形式にわかれています。
具体的には、法律文書を起案する「MPT」、米国連邦法について記述式で回答する「MEE」、すべての州で共通している択一問題の「MBE」です。
弁護士登録を行う
弁護士登録をするためには弁護士試験の「Bar Exam」に合格したうえで、さらに「MPRE」に合格する必要があります。
MPREは「Multistate Professional Responsibility Examination」の略称であり、法曹倫理についての試験です。
また、50時間のプロ・ボノ活動も行う必要があります。プロ・ボノ活動とは社会貢献につながるボランティア活動のことです。
すべての条件を満たすと、アメリカの弁護士として登録できます。
どこの州で弁護士資格を取得すればよいのか
日本人は、ニューヨーク州やカリフォルニア州でアメリカの弁護士資格の取得を目指すケースが多いです。
それぞれどのような違いがあるのでしょうか。以下では、具体的な違いについて解説します。
ニューヨーク州弁護士の特徴
ニューヨーク州で弁護士試験を受験するには、定められたロースクールを修了している必要があります。
日本の弁護士として登録を済ませているだけでは、ニューヨーク州の弁護士試験の受験資格は得られません。
日本の弁護士の資格がある人も、すぐに弁護士試験を受けられるわけではない点に注意が必要です。
ニューヨーク州の弁護士試験に合格するには、400点満点中266点以上を獲得する必要があります。
MPTは20%以上、MEEは30%以上、MBEは50%以上に正解することも条件です。
ニューヨーク州の弁護士試験を2020年10月に初めて受験した人の合格率は89%で、そのうち外国人は70%です。
カリフォルニア州弁護士の特徴
ニューヨーク州とは異なり、日本の弁護士として登録していればカリフォルニア州ですぐに弁護士試験を受験できます。
改めてアメリカのロースクールを修了する必要がないため、スムーズに資格取得を目指せます。
日本の弁護士資格がない場合も、所定のロースクールを修了して条件を満たせば、カリフォルニア州の弁護士試験の受験資格を獲得することが可能です。
カリフォルニア州の弁護士試験の基準は、2,000点満点中1,390点をとなっています。
「Essay Questions」は35%以上、「Performance Test」は15%以上に正解しなければなりません。
2020年2月に実施されたカリフォルニア州の試験の合格率は約27%でした。
弁護士の転職・キャリア形成はアガルートキャリアにご相談ください
アメリカの弁護士資格を取得すると、キャリアの選択肢が増えたり、年収が上がったりする可能性もあります。
アメリカの弁護士資格は州ごとに定められているため、希望にあわせて選びましょう。
国際的な仕事がしたい、クロスボーダーのM&Aを担当したい、英文契約に関わりたいなどの希望がある場合、米国弁護士にならなくとも実現出来る可能性があります。
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この記事を書いたコンサルタント

森俊之
リーガル専門コンサルタントとして、弁護士・法務人材を中心に転職支援を行う。中国発大手テクノロジー企業の日本法人にて創業メンバーとして事業開発・推進に従事。スタートアップ〜大手事業会社での事業開発、マネジメント経験を有していることから、様々な角度からの俯瞰したアドバイスを強みとする。
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