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ビジネスを加速させる日本HP法務・コンプライアンス本部の「スマートなリスクテイク」とは
株式会社日本HP
法務・コンプライアンス本部長/ニューヨーク州弁護士
野口 京子
企業の法的リスクを管理し、法令遵守の「最後の砦」として機能する法務部門。しかし、現代の急速に変化するビジネス環境においては、単なる守りにとどまらず、事業の成長を後押しする機動力も求められています。
本記事では、株式会社 日本HP(以下、日本HP)で法務・コンプライアンス本部長を務める野口様にインタビュー。経済学部出身からニューヨーク州弁護士へ至る異色のキャリアや、多岐にわたる業界経験を経て辿り着いた「スマートにリスクを取る」という法務のあり方について、詳しくお話を伺いました。
本記事では伺ったお話から一部を抜粋して紹介いたしました。インタビューの全編を収めた完全版動画は弊社メールマガジンへのご登録者限定でご提供しております。
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経済学部からニューヨーク州弁護士へ至るキャリアの原点

株式会社 日本HP 法務・コンプライアンス本部長/ニューヨーク州弁護士 野口 京子様
本日はよろしくお願いいたします。まずは、野口様のこれまでの歩みを知るために、簡単な自己紹介からお願いできますでしょうか。
私は現在、日本HPの法務・コンプライアンス本部長を務めております。もともと海外生活を経験しておりましたが、大学は慶應義塾大学の経済学部を卒業しました。
法学部の出身ではないのですが、当時の周囲は公認会計士を目指す優秀な学生ばかりで、あえて別の道を追求したいという、いわばあまのじゃくな気持ちから法律の世界を志すことになったのです。
その後、国内の法科大学院を経て、カリフォルニア大学のロースクールへ進学しました。サンフランシスコのロースクールではカリフォルニア州法を学んでいましたが、当初からニューヨーク州の試験を受けるつもりでした。
というのも、私にとってニューヨークは子供の頃に過ごした「心の故郷」のような場所であり、いつかまたその地に関わりたいという強い思いがあったからです。
IT、通信、医療機器。業界の垣根を超えて発揮されるリーガルの専門性
経済学部から法律の世界へ進まれ、ニューヨーク州の資格も取得されたのですね。これまでの職歴についても教えていただけますか。
私のキャリアは、日本IBMがロータス株式会社を吸収合併する際、その担当法務として入社したことから始まりました。
その後はアメリカのサンフランシスコにある小規模な法律事務所でアソシエイトを経験し、イギリスのテレコミュニケーション企業、米国系の医療機器メーカーのリーガルカウンセルを経て、現在の日本HPに至ります。
ITから医療機器、そして再びITへと、異なる業界を渡り歩いてこられたのですね。業界が変わることへの不安や難しさはなかったのでしょうか。
結論を申し上げますと、リーガルの仕事の本質において、業界による違いはそれほど大きくないと考えています。
確かにIT業界から医療機器や製薬業界への転身は多少の挑戦ではありましたが、実際に経験してみると、基礎となる日本法やビジネスに不可欠な独占禁止法などの知識は共通していました。
医療機器業界特有のルールとして、景品表示法に関連する「医療機器業公正競争規約」などを学ぶ必要はありましたが、それも少しの学習で対応でき、あとはこれまでの経験を応用することが可能でした。法務の専門性を駆使することができれば、業界を超えた活躍ができるというのが私の実感です。
日本HPへの参画と製造現場へのこだわり

これまでの経験を活かしつつ、さらなるチャレンジができる環境を求めて転職。
現在の日本HPに転職された理由についても、詳しくお聞かせください。
前職でも非常に充実した日々を送っていましたが、仕事に慣れてくるにつれて、業務における新たな挑戦が少なくなってきたと感じていました。そこで、さらなるキャリアアップを目指し、よりチャレンジングな環境である現在のポジションに応募したのです。
日本HPはIT業界のグローバル企業でありながら、メーカーとしての側面も持っています。前職の医療機器メーカーも日本国内に生産拠点があり、私は工場のリーガルマターにも携わっていました。
日本HPも東京に生産拠点を持っているため、これまでのキャリアを活かして製造やサプライチェーンに深く関与できる点に大きな魅力を感じました。
経験を活かせる土壌があったのですね。入社の決め手となった出来事は他にもありましたか。
実は、現在はクアラルンプールにいる上司との面接が始まって最初の5分で、「この人とは非常に馬が合う」と直感したことが大きかったですね。
その瞬間に「この上司のもとで働きたい」と強く思い、入社を決めました。実際に入社したのは今年(2025年)の5月1日で、現在は半年ほどが経過したところです。
法令遵守とアジリティを両立させる「ビジネスに参加する法務」

法令を遵守しながらも、ビジネスを前に進める迅速さを保つことが法務の責務だと語る。
現在は本部長としてどのような役割を担い、どのようなミッションを大切にされていますか。
私の役割は、日本HPの法令遵守を全うするための「最後の砦」として会社を守ることです。その上で、法務部に求められる最も重要なミッションとして2つの柱を掲げています。
1つは当然ながら法令遵守ですが、もう1つ、私が非常に大切にしているのが「アジリティ(迅速さ)」です。
法務において「迅速さ」を強調されるのは興味深いですね。
私たちは、ただ法令をチェックするだけの部門ではなく、ビジネスに参加する法務でありたいと考えています。リスクをどう特定し、どのようにそのリスクを取ってビジネスを前に進めるかに注力しています。
ですから、私自身も部下も、法令遵守を理由に保守的な立場を優先して、「ノー」と言って仕事を終わらせるようなことはしません。
これまでの私のキャリアの中でも、今が最も「スマートにリスクを取る」ということに専念している時期だと言えます。これは日本だけでなく、グローバルのカウンセルとも共有されている共通認識です。
安全性とスピードの葛藤を越え、ビジネスの成功に貢献する
リスクを取りながらビジネスを加速させる際、特に意識されていることは何でしょうか。
そこは日々悩み、模索している部分でもあります。法令遵守を極めて保守的に捉えれば安全性は高まりますが、それではスピード、つまりアジリティが失われてしまいます。一方で、アジリティを追求しすぎれば、今度は「本当に法令遵守は100パーセント大丈夫か」という不安が生じます。
相反する要素のバランスをどう取るかというのは……
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