検事から渉外法律事務所へ|若手キャリアチェンジ成功の秘訣
- 更新日:2025.07.01
国家公務員としての安定や社会的信頼とは裏腹に、自らの強みや将来像とのギャップに気づき、渉外系法律事務所への転職を果たした若手検事。司法試験合格者の中でもさらに狭き門である検察のキャリアを手放し、弁護士に転職したのはなぜなのでしょうか。
今回も担当キャリアアドバイザー・森へのインタビューを通じ、多くの検事が転職を志す背景や、法律事務所が検事経験者を求める理由などを詳しく紹介します。
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若手検事としてキャリアをスタートされた方が、将来への不安や自らの適性、強みの活かし方を見直し、渉外系法律事務所への転職に成功しました。転職の主な理由は、捜査公判業務へのフィット感のなさや、英語力を活かせる環境を求めたこと。渉外事務所では年収が検事時代の倍以上となる可能性もあり、職務内容・収入両面で満足のいく結果となりました。経験が浅くても検事経験者は法律事務所からのニーズが高く、適切な支援と環境選びがあれば、理想的なキャリアチェンジが実現できることを示す好例です。
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なぜ今、検事の転職相談が増えているのか?
森さん、最近検事の方からの転職相談が増えていると伺っていますが、実際のところどうなのでしょうか?
森 はい、おっしゃる通りです。私のところに相談に来られる検事の方は非常に多くなっていますね。その背景には、大きく分けて二つの理由があると感じています。
一つ目は、「転勤問題」です。検事という職務の性質上、全国各地への転勤は避けられません。もちろん皆さん覚悟の上で検事を目指すのですが、ライフステージが変化し、家族が増えたりすると、全国転勤が難しくなる方もいらっしゃいます。仕事は好きだけど、やむを得ず転職を考えるケースですね。
二つ目は、「業務内容への思いや将来のキャリアパス」に関するものです。捜査公判業務とは異なる形で、もっと社会貢献をしたい、あるいは弁護士として将来的に独立する可能性も含め、長く活躍できるスキルを身につけたいと考える方も一定数いらっしゃいます。
弁護士には定年がありません。60歳以降も自分で事務所を立ち上げるなど、キャリアを継続できる点が魅力に映るようです。とはいえ経験ゼロでいきなり弁護士が務まるわけではありませんから、実務を経験できる場を求めて早めに転職を考える方が多いですね。
法律事務所が「若手検事」を採用したがる理由
今回の事例で取り上げる方は若手検事だそうですが、転職市場で若手検事のニーズは高いのでしょうか?
森 実は、転職市場、特に法律事務所側から見ると、若手の検事というのは「一番求められるゾーン」なんです。ものすごくニーズが高いんですよ。これは皆さん、あまりご存じない方が多いですね。
それは意外です。なぜそこまで検事が求められるのですか?
森 そもそも検事になれるのは司法試験合格者の中でも上位層ですから、司法修習でも優秀な方々です。「検事である」ということが採用する上での「優秀さの証」になっているんですね。
たとえ事業会社の法務を志向している方でも、企業法務の経験がないと待遇はあまりよくありません。ですから検事から法律事務所にまずは転職し、経験を積んでから企業法務にサイド転職するのが王道のキャリアパスでもあります。
現場での適性は実際に働いてみないと分からないことも多い
この方はどのような経緯で転職を考えられたのでしょうか?
森 いえ、この方はまだ若手でしたので、転勤問題が直接の理由ではありませんでした。実はこの方、元々は弁護士志望だったんです。
そうだったんですね! なぜ検事の道に進まれたのですか?
森 司法修習中に教官から熱心にオファーがあり、「検事に向いている」と言われたことで検事の道を選ばれたそうです。修習中に教官の熱意で気持ちが変わる方は一定数いらっしゃいます。
ただ、実際に検事として働き始めると、イメージと現実のギャップを感じたそうです。特に若手時代に経験する捜査公判業務は対人での業務が中心になるのですが、ご自身がそこにあまり向いていないと感じるようになったと。
司法試験の順位が優秀かどうかに関わらず、実際に業務をやってみないと分からないことって多いと改めて感じさせられますね。
他に転職を後押しした要因はありましたか?
森 はい。この方は英語も得意な方だったのですが、地域の捜査公判業務では英語やグローバルな案件に触れる機会はほとんどありません。
そのため「自分の強みを生かせているのか」という疑問が生まれ、グローバルな企業の対応ができる法律事務所を目指すようになったんです。
同期が大手法律事務所に進む話なども聞き、自分のやりたいことが徐々に変化していったという側面もありました。
個人では分からない情報も転職エージェント経由で知ることが可能
転職先としてインハウスローヤーも検討されていたと伺いましたが、最終的に法律事務所を選んだのはなぜでしょうか?
森 そうですね、当初はこの方もインハウスに興味を持たれていました。しかし、ご相談にいらっしゃった際にさまざまな事例と求人票を合わせて、経験値的にどのような年収に落ち着くかをお伝えしたんです。
経験数年の若手検事の場合、インハウスだと年収が500万円前後になる可能性が高いとお伝えしました。
それに対し、渉外系の法律事務所であれば、スタートから1,000万円を超えるケースも珍しくありません。そういった話を聞いて大変驚いていらっしゃいましたね。
検事の年収は経験年数でほぼ決まっているため、法律事務所の相場感が全く分からなかったようです。
求人票に幅広い年収レンジが書いてあると、どうしても高いほうを期待してしまいがちですよね。
森 そうですね。キャリアアドバイザーとして具体的な経験値に基づく現実的な年収をお伝えしたところ、年収面を優先して法律事務所に絞って選考を進めていただけました。
理想の経験につながる環境を見つけるには?
法律事務所と言ってもたくさんありますが、どのように転職先を選定していったのですか?
森 この方は最初、どういった事務所が自分に合うのかイメージが湧いていなかったようでした。そこで、大手事務所から小規模な事務所までさまざまな事務所をご紹介し、本人の反応を見ながら「どんな環境を求めているのか」を探っていきました。
この方が最も重視されたのは、実は「優秀な先生のもとで学びたい」という思いです。世間に名が知られていて、信頼できる先生のもとで弁護士としてのキャリアをスタートしたいと仰っていました。
そこで私からは、歴史のある渉外系の少数精鋭事務所を紹介しました。事務所規模は大きくありませんが、しっかりと新人の面倒を見てくれる教育体制が整っています。
代表パートナーが今も現役ですし、弁護士ランキングでもさまざまな分野で名前が挙がるような先生が多くいらっしゃる事務所です。
この転職者様はその事務所のことを知っていたのですか?
森 いえ、この方は知りませんでした。五大事務所以外の法律事務所のことは詳しく知らない方がほとんどです。たとえ名前は知っていても、実際にどのような分野に強いのか、どのような業務に携わるのかなどは情報がないことがほとんどですね。
転職者様のプロフィールによって紹介する求人も大きく変わってきますよね。
森 そうですね。今回は若手の方ですが、転職者様によっては10~20年の経験がある方もいます。そういった方々へのご提案はガラッと変わってきますね。
留学経験・中央省庁や海外大使館、外務省などへの出向、検事であれば東京地検特捜部への配属といったキャリアがある方からの転職のご相談もよくあります。
特に留学などで海外案件に携わった方は、帰国後に貿易・商事関係をやりたいという想いで転職を考える傾向が強いですね。
この方の転職活動はスムーズに進みましたか?
森 はい、ご本人の意思が固く、比較的早く進めることができました。選考も滞りなく進み、法律事務所側の評価も非常に高かったですね。
まさに「どストライク」の人材だったようで、先方からは一次面接の段階から「ぜひ来てほしい」と非常に強いラブコールがありました。
それでは他の事務所は検討しなかったのでしょうか。
森 いえ、ご本人もまだ世の中にどんな事務所があるのか手探りの状態でしたので、興味は高くても「他との比較検討もしたい」という気持ちをお持ちでした。
そのためいくつかの事務所を並行して選考を進めましたが、結果的に最初に強いオファーをくれた事務所に決定し、無事に転職を成功させました。
転職により報酬面が大幅アップ
転職後の年収面も大きく変わったと伺っていますが、いかがでしょうか?
森 はい、相当上がりましたね。
検事の年収は年次によってほぼ決まっているのに対し、法律事務所、特に渉外系を扱う事務所では、初年度から1,000万円を超えることもあります。
もちろんどの事務所に行くかにもよりますが、場合によっては年収が倍になる方もいらっしゃいます。それくらい弁護士と検事の待遇には違いがあるんです。
検事からのキャリアチェンジは多様な選択肢とニーズがあるのですね。森さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!
森 こちらこそ、ありがとうございました。
動画:【転職事例】検事から渉外系法律事務所
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この記事の監修者
リーガル専門コンサルタントとして、弁護士・法務人材を中心に転職支援を行う。中国発大手テクノロジー企業の日本法人にて創業メンバーとして事業開発・推進に従事。スタートアップ〜大手事業会社での事業開発、マネジメント経験を有していることから、様々な角度からの俯瞰したアドバイスを強みとする。
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