企業の法務部の重要性が増している背景
- 更新日:2025.07.08
企業のコンプライアンスが重要視される現代社会において企業の事業活動や取扱商品などに法令違反があると、損害賠償や商品の自主改善(リコールなど)を余儀なくされ、企業に多大な損害をもたらします。
マスコミによって法令違反が報道されると企業の社会的信用低下という損害をもたらします。
企業は現在行っている事業活動は当然のこと、将来的に計画している事業や市場展開においても法的な問題がないか常に注意を払わなければなりません。
したがって企業内部のあらゆる法的な問題に対処する業務を行う企業法務の重要性は高まっています。
経済産業省は平成30年に「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」を発表しました。
この中で企業の法務機能は、
- ビジネスのグローバル化のさらなる進展
- イノベーションの加速
- コンプライアンスの強化
といった環境変化に伴い、「リーガルリスクを『チャンス』に変えていく戦略的な法務機能が不可欠である」とその重要性が述べられています。
この記事では企業における法務部の重要性が増している理由を考察します。
企業にとっての法務の採用背景、ニーズを深く理解でき、現職で働くうえでも、転職をする上でも役に立つ内容になっています。
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企業の法務部の重要性が増している背景
企業の法務部の重要性が増している背景には
- 事業環境の変化
- 予防法務の認知拡大
が考えられます。
以下、それぞれについて解説します。
事業環境の変化
経産省「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」によると、日本経済を取り巻く事業環境の変化として、
- ビジネスのグローバル化のさらなる進展
- イノベーションの加速
- コンプライアンスの強化
があげられています。
ビジネスのグローバル化の進展により、企業には海外取引などにおいて国ごとに異なるルールに対応する能力が求められます。
イノベーションの加速により、企業には通信技術の発展などにより法制度が整備されていない市場の創出・拡大に対応する能力が求められます。
コンプライアンスの強化は企業活動が単に違法ではないというのみならず社会的に受け入れられるものかという視点が重要視される傾向にあり、このような社会的要請に対応する能力が企業に求められます。
事業環境の変化はいずれも法的な対応を必要とするため、企業の法務部の重要性が増している要因となっています。
予防法務の認知拡大
企業法務の重要性の高まりは、予防法務の社会的認知が拡大していることも影響していると考えられます。
例えば、契約書の不備により取引先との紛争が生じると損害を賠償する必要が生じます。
訴訟事件に対応するためのコストが生じたりする上、社会的信用の低下に繋がる可能性もあります。
こういった可能性を予防するための法務が「予防法務」です。
法的なトラブルは企業にとって大きな損害となり得るため、予防法務の重要性が認知されてきています。
予防法務の認知が拡大し、相乗的に企業の法務部の重要性が増してきているといえるでしょう。
企業における法務の役割
企業における法務の役割は、法的側面から企業活動の推進をし、リスクを回避することです。
法務の具体的な仕事内容は、
- 契約、取引法務
- 組織法務
- コンプライアンス法務
- 紛争対応法務
- 社内の法務相談
等があります。
法務の役割や仕事内容の詳細は、下記記事で詳細を説明しています。
▶法務とは法や法律に関する事務や業務を行い、事業を推進・リスク回避をすること
これからの企業に求められる法務機能
これからの企業に求められる法務機能は、
- 守りと攻めの法務
- 外部弁護士の活用
について解説します。
守りと攻めの法務
企業の法務機能には大別すると
- 守りの法務
- 攻めの法務
があります。
守りの法務は、発生した法的トラブルを解決するための機能であり、企業に発生した損害を最小限に抑えるために必要です。
具体的には、取引先の未収債権の回収、訴訟事件への対応などです
攻めの法務は法的トラブルを未然に防ぐための機能であり、企業のみならず顧客や社会に損害を発生させないために必要です。
具体的には、契約内容の確認、社内規則の作成・改訂などです。
外部弁護士の活用
特に高度な法的問題や訴訟事件の代理人を必要とする場合、外部弁護士を活用することが求められます。
先程掲載した資料、経済産業省「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書」の中では、外部弁護士を活用する場面として、
- 高い専門性が必要となるとき(社内でノウハウが蓄積しない分野)
- セカンドオピニオンを取りたいとき(リスク、インパクトの大きな事案についてステークホルダーへの説明責任を果たすため)
- 訴訟、行政処分等に対応するとき
- 中立性・客観性が求められる時(ex.第三者委員会の委員への委嘱)
- リソースが足りないとき
の5つが挙げられています。
外部弁護士を活用する際、企業は紛争の内容や目指す解決の方向性を分かりやすく伝える必要があります。
重大な事件や重要な期日においては、訴訟事件を傍聴するといった対応も必要です。
まとめ
企業法務には企業に起きた紛争を解決すると共に、企業に起こり得る紛争を未然に防止するという役割があります。
現代社会は高度経済成長期のような右肩上がりの経済発展期ではありません。
企業の利益を確保し継続的な企業活動を続けるには、発生した紛争を早期に解決し、将来の紛争を防止するという損害の回避が重要です。
企業法務は今後も重要視されることでしょう。
▶未経験者の法務への転職が難しい理由と、あきらめたくない人へのアドバイス
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この記事の監修者
弁護士・法務・コンプライアンス・特許・知財など、リーガル領域を中心とした管理部門の方のキャリア支援を行う。東証一部上場企業での人材紹介事業部の立ち上げ等も経験。中途採用・転職に関する深い知見を有し、選考企業ごとの個別面接対策も行い、多くの求職者の転職支援実績を有する。
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