未経験の法務転職は難しいがポテンシャル採用もありうる
- 更新日:2025.07.28
国際的に事業を展開する場面、新規事業立ち上げ、ビジネスのデジタル化など、企業にとって様々な場面で法律的な観点で事前にリスクを検討し、潰しておくことは必須となっています。
事業が複雑化する中で企業における「法務」の重要性は年々高まり、企業は積極的に法務の人材を募集しています。
未経験での法務転職は難しいですが、ポテンシャル採用もゼロではありません。
この記事では未経験だけど法務に転職したい、法務の仕事をするにはどうしたらよいのかと考えている人に向けて、
- 未経験から法務に転職するのが難しい理由
- 法務の仕事をするために大切な考え方や行動
をまとめています。
最後まで読んでいただくと、「未経験者が法務の仕事を得るために必要なこと」が理解出来るようになっています。
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INDEX
未経験の法務への転職が難しい理由
冒頭でも述べたように、未経験者が法務へ転職することは、不可能ではないものの非常に難しいです。
理由は、
- 中途採用は即戦力採用
- 法務は倍率が高いポジション
の2点が挙げられます。
中途採用は即戦力採用
中途採用で企業が募集する人材は、基本的には経験者・即戦力です。
新卒採用を行っている企業は、未経験者を中途採用で採るのであれば、新卒社員を配属して育成します。
そのため未経験者を採用してもよいと考える中途採用の募集自体が非常に少ないことが、未経験者の転職が難しい大前提になります。
法務ポジションは経験・スキルの具体性が求められる
そうした前提があることに加え、さらに法務のポジションでは、
- 契約・取引業務
- 組織業務
- コンプライアンス業務
- 紛争対応業務
などの業務経験が求められることはもちろん、不動産や金融、製造業といった特定の業界における商習慣の知見などを求められることが多くあります。
営業の募集であるような、顧客との折衝経験、販売・サービスなどの経験といった比較的多くの人に当てはまる経験やスキルではなく、限定的・具体的な募集であることが多く、経験・スキルを問うことが多いことも挙げられるでしょう。
倍率が高い
上記のような、経験が求められることがそもそも多いことに加え、倍率が高いことも未経験者の法務への転職を難しくしている要因です。
法務などのバックオフィスは募集人数が少ない
倍率が高くなる理由の一つは、法務に限ったことではありませんが、人事や経理、財務、広報といった企業のバックオフィス・管理部門の仕事は、募集人数が少ないことがあげられます。
多くの企業で管理部門の社員数は、営業などの社員と比べて少数です。
さらに人事や経理などの他の管理部門と比べて、法務の人材は少ないことが多いです。
専属のスタッフや法務部がある会社は、かなり規模の大きな会社になるでしょうし、数百名規模の会社でも法務部が存在しない会社も多くあります。
そもそも法務のポジションが会社に少ないため、法務への転職は倍率が高くなります。
希望者は比較的多い、転職・異動も少ない
一方で、法務の仕事をしてみたい、関心がある方は少なくありません。
人事や広報など他の管理部門と比べれば、希望する方は多くないかもしれませんが、営業などの仕事と比べると、バックオフィス・管理部門の仕事をやってみたい方は比較的多いです。
また、これは弊社の感覚値になってしまいますが、法務の方は比較的勤続年数が長く、専門性も高いため他の部署への異動も少なく、ポストが空きづらいことも要因と言えるでしょう。
募集自体が少ないことに加え、希望者が比較的多く、入れ替わりも少ないことから、法務ポジションの倍率は常に高い傾向にあります。
未経験者が法務に転職するために陥りがちな勘違い
未経験者が法務に転職するのが難しい理由を解説しました。
それでも、法務の仕事にチャレンジしてみたい、専門性を身に着けて法務としてキャリアを歩んでいきたい方もいらっしゃいます。
弊社は士業・管理部門専門の転職エージェントですので、法務としての経験はないものの、法務として働きたいとご要望をお持ちの方が、よくご相談にいらっしゃいます。
そうした相談者の方の中には、法務のキャリアを歩むには遠回りをしている方が少なくありません。
未経験の法務転職希望者が陥りがちな考え方の解説をします。
資格をとれば良い
法務の仕事だけに限るわけではありませんが、将来の転職のために資格取得しようと資格の勉強をされる方がいます。
これは、転職にだけ話を絞った場合の行動としては間違いです。
例えば、法律知識を有することをアピール出来るような以下のような資格は、転職活動の選考においてはほとんど影響を与えません。
- ビジネス実務法務検定(1級、2級、3級)
- 法学検定(上級、中級、初級)
- ビジネスコンプライアンス検定(上級、初級)
※自身の知識向上などには有用かもしれませんが、転職活動に有利になるかといった視点のみで話をしています
法律系の資格の中には、
- 司法試験
- 司法書士
- 行政書士
- 弁理士
などの独占業務を行うための資格がありますが、こういった資格は別です。
弁護士や司法書士、行政書士として働くためには当然ですが、その試験の合格は必要です。
企業で法務の仕事に転職するには、上記のような資格は必ずしも必要ではありません。※近年増えている社内弁護士・インハウスローヤーなどは当然弁護士資格が必要です
また、不動産業における「宅地建物取引主任者」など特定業界の法務として働くには、持っていれば評価されるものもありますが、その資格があるから採用されるということはほとんどありません。
英語を勉強すれば良い
国際的業務を行う企業では法務でも英語力が必要です。英語の出来る法務経験者の需要が転職市場で高いことは間違いありません。
しかし、英語力があれば法務に転職できるわけではありません。
企業が希望するのは法務としての経験・スキルであって「英語屋」ではないからです。
企業が求めているのは法務としての経験・スキルと掛け合わせて英語が使えることです。
TOEIC900点以上など高い英語力があったとしても、法務の業務ができないのであれば、法務としては当然採用されません。
単に英語力が高い「英語屋」を求めているわけではないので、法務の仕事に就くためにまず英語を勉強するのは間違いです。
誤解していただきたくないのは、法務としての経験・スキルがある人が英語力を身に付ければ、確実に武器になります。
つまり、英語の勉強は法務としての経験がある人のプラスαには非常に有効です。
「法務の仕事をするために英語の勉強をする」は遠回りです。
関連記事:法務の転職の最新動向|ガバナンス・コンプライアンス強化時代に求められる人材像
未経験者が法務に転職するためのアドバイス
ここまで述べてきたように、法務への転職に重要なのは法務としての経験・スキルです。
矛盾しているようですが、法務としてのキャリアを積むためにはいち早く法務の仕事を始めることです。
未経験者が法務に転職するのは難しいですが、それでも法務として働きたい人のために大切な考え方・行動が2つあります。
未経験でも募集している法務求人に応募する
法務の募集の多くが、スキル・経験を求めるのは、ここまで述べた通りです。
しかし、数は決して多くありませんが、法務未経験でも募集を行っている求人が存在します。
法務の未経験募集には、
- 法務経験は求めるが業界経験は不問
- 法務経験は不要だがロースクール出身者
- 法学部出身者に限る
- 特に条件はない
など様々なものがあります。
ここで覚悟してほしいのが、こうした未経験者を対象とした求人は、給与面は恵まれていないことです。
未経験者を対象としたポジションの選考の場合、比較対象が新卒社員や、他の若手社員であることが多く、年収は低めに設定されていることが多いです。
こうした募集では、年収を上げるのは難しいです。
※年収を上げたいのであれば、同職種で転職するほうがよいでしょう
年収が下がったり、未経験の仕事で学習が多く必要になることなどを踏まえ、それでもなお法務の仕事をしたいと考えるのであれば、積極的に未経験求人に応募する姿勢が必要です。
資格取得や語学学習をやってからという考え方は捨てる
法務だけの話ではないのですが、未経験の仕事をしたいのであれば、少しでも早く(若く)法務の仕事を始めるという考えを持ちましょう。
自分の年令が上がれば上がるほど、未経験の仕事をするハードルがあがるのは間違いありません。
資格をとってから、語学を身に着けてからといった考えは、「百害あって一理なし」です。
※業務経験を積める期間がもったいないですし、そもそも資格取得、語学などの学習が転職に役立つ可能性は低いです
資格取得や語学学習によるスキルアップは法務としてキャリアを歩み始めたあと、さらなるスキルアップとして行う方がよいでしょう。
転職せず異動で法務を目指すのもあり
ここまで、未経験で法務に転職するのが難しい理由、それでも転職したい人が大事にすべきことをまとめました。
ひとつ、未経験で法務の仕事に就くために、述べていないことがあります。
それは、もし今勤めている環境で法務の仕事が出来るチャンスがあるのであれば、その機会を狙うことも一つの選択肢だということです。
未経験の仕事に転職する場合、ほとんど年収は下がりますが、同じ会社で異動した場合、給与はそのままスライドされることも多く、転職のリスクを追うことなく職種のチェンジが可能です。
業界や社内事情を把握しているので、業務にも馴染みやすいでしょう。
現在の勤務先で法務の経験・スキルを積むことができれば、法務経験者となりますので、その後別の会社に法務経験者として転職も出来るようになります。
転職自体さまざまな環境変化があるものですが、未経験の仕事となればなおさらです。
そうした負荷を減らせる意味でも社内異動でチャンスがあるのであれば積極的に目指すのがよいでしょう。
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この記事の監修者
弁護士・法務・コンプライアンス・特許・知財など、リーガル領域を中心とした管理部門の方のキャリア支援を行う。東証一部上場企業での人材紹介事業部の立ち上げ等も経験。中途採用・転職に関する深い知見を有し、選考企業ごとの個別面接対策も行い、多くの求職者の転職支援実績を有する。
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