法務の転職の最新動向|ガバナンス・コンプライアンス強化時代に求められる人材像

企業を取り巻くビジネス環境は大きく変化し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やグローバル化、コーポレートガバナンスやリスクマネジメント体制の強化などが一層求められるようになっています。

そうした状況下で法務部門の重要性は増すばかりであり、それに応じて転職市場でも法務人材に対するニーズが高まっています。

この記事では、法務の転職の最新動向から、求められるスキルや業界別の特徴、キャリアアップの方法までを、弁護士・法務専門の転職エージェント「アガルートキャリア」が分かりやすく解説します。

最後までお読みいただくことで、法務の転職市場の動向と、キャリアアップのために何が必要かを理解出来るようになっています。

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法務の転職市場の最新動向

社会情勢の変化と法務ニーズの高まり

ここ数年、企業は環境変化への迅速な対応を求められています。

新規事業の立ち上げ、海外進出、データ活用といったビジネスチャンスを逃さないため、企業の内部統制やリスク管理をしっかりと行う法務部門の役割は一段と重要になっています。

とりわけ、契約レビューやコンプライアンスチェックにとどまらず、事前にリスクを洗い出し、社内外のステークホルダーへ適切に説明できる法務人材を求める声が増えています。

グローバル化・DX推進で求められる法務人材

グローバル市場を狙う企業やIT・デジタル領域で急成長する企業では、海外子会社の設立やM&A、データの国際的な取り扱いなどを円滑に進めるために、国際法務の知識を持つ人材が特に重宝されます。

さらにDXの加速に伴い、AIやクラウドサービスなど新しい技術にまつわる法的リスクへの対応も急務になっています。

多様な技術やビジネスモデルを理解しながら最適なリーガルアドバイスを行える法務人材は、採用市場で大変高い評価を受けます。

コーポレートガバナンス・コンプライアンス・リスクマネジメント強化の重要性

近年、投資家や社会が企業に期待するのは、持続可能な経営と透明性の高いガバナンスです。

コーポレートガバナンス・コードの改訂やESG投資の拡大などにより、企業は経営の健全性や法令遵守を徹底する必要に迫られています。

この記事を公開している2025年にも、フジ・メディア・ホールディングスや日産など、コーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメントについて考えさせられるニュースが世の中を騒がせています。

予想外のリスクが発生した際には経営を守る対応が重要となるため、コンプライアンスやリスクマネジメント体制を主導できる法務担当者が求められています。

経営陣と連携しながら組織全体を統制し、リスクを未然に防げるスキルや経験は、転職市場において大きなアドバンテージとなります。

法務の転職で求められるスキルと経験

法務の専門スキルの向上

契約書の作成やレビュー、訴訟や紛争対応、社内規程の整備など、法務ならではの実務スキルを向上させることはキャリアアップに直結します。

特に、国際取引やIT分野の法規制、個人情報保護やプライバシー対応など、専門領域が広範囲に及ぶため、ある程度のジェネラリスト能力を持ちながらも、特定の分野で強みを発揮できるスペシャリストが高く評価される傾向があります。

論理的思考能力・コミュニケーション力

法務の仕事は、ただ法律を知っているだけでは成り立ちません。

複雑な事象を整理し、論理的に因果関係を見極める能力が不可欠です。

経営陣や事業担当者、外部の法律事務所など、多様な相手と連携しながら業務を進めるため、高度なコミュニケーション力も求められます。

相手の意図をくみ取りつつ、自分の考えやリスク情報をわかりやすく伝えられる人材は、組織において欠かせない存在となります。

マネジメント力

組織として法務部門を強化し、複数名のチームを編成する企業が増えています。

そのため、法務としての業務遂行だけでなく、メンバーを率いて業務効率を高めたり、社内外のステークホルダーとの関係をマネジメントしたりできる能力が求められています。

チームビルディングやプロジェクト管理の経験があると、転職市場で管理職としてのポジションに挑戦しやすくなり、年収アップも期待できるでしょう。

業界の知見

転職市場においては、業界への知見も求められます。不動産、金融、製造業(自動車etc..)など特定の業界での実務経験を求められる求人は多いです。

業界をまたがる事業も増えてきており、IT企業が金融の法務経験がある人材を募集するといった求人も増えています。

経験を積めば積むほど、業界への深い知見が求められますが、若手であれば業界知識はそれほどでなくとも、一定の法務としての経験があり、学習意欲があれば選考の土台にのることもできます。

英語

定番ですが、英語力も市場価値を高めるには有用です。

国際法務や英文契約が仕事内容に含まれる求人も非常に増えており、英語力があることは大きなアドバンテージになります。

誤解してほしくないのですが、英語だけ出来ればいいわけではありません。法務としての仕事が出来る上で、英語力を身につけることが重要です。

また転職市場では、TOEICなどのスコアは一つの指標にはなりますが、英文契約を扱っていた経験のほうが評価対象になります

市場価値を高める、キャリアアップという視点では、もし今の環境で英文契約や国際法務に関与出来るチャンスがあるのであれば、積極的にトライしましょう。

そうした経験を積んだ上でTOEICで高スコアを取ると評価されやすいです。あくまで実務経験を積むことを優先し、TOEICなどは補完してくれるものだと考えましょう。

業界別・ポジション別に見る中途採用のニーズ

金融・フィンテック

金融商品取引法や資金決済法など独自の規制が存在し、コンプライアンス対応が厳格に求められる業界です。

伝統的な銀行や証券会社だけでなく、急成長しているフィンテック企業でも、高度な規制対応を担える人材が不足している状況です。監督当局との折衝や国際金融取引に慣れている人材は、各社奪い合いとなっています。好条件での転職が期待出来る業界といっていいでしょう。

商社・製造業

商社は海外子会社の管理やクロスボーダー案件が多く、グローバル法務の経験を積むには最適な環境です。製造業も、海外生産拠点やサプライチェーンの複雑化に伴い、現地法や国際法務への対応力が必要とされています。

輸出入関連の規制や取引慣行を理解できる人材は、多様な分野に転職可能な強みを築けるでしょう。

IT・インターネット領域

IT・インターネット企業では、新サービスの立ち上げや個人情報の取り扱いに関する相談が絶えず、新しいビジネスモデルに対応できる柔軟な法務担当者が重宝されています。

AIやビッグデータ、クラウドサービスにまつわる法規制は頻繁にアップデートされるため、最新情報を追いながら事業サイドに適切な提案を行える能力が求められます。

製薬・ヘルスケア業界

薬事法や医療機器の承認手続き、臨床試験など専門性の高い法規制が存在するため、実務経験者は転職市場で優遇される傾向があります。

研究開発に伴う契約やライセンス交渉なども多く、さらに国際的な共同研究が増えていることから、英語力やグローバル対応力を備えた法務人材は特に高い評価を受けるでしょう。

市場価値を高めるキャリアアップ方法

実績を言語化し、スキルを明確にする

日常の契約レビューや社内プロジェクトへの参画など、法務として取り組んだ業務をしっかり記録し、数値や成果指標を交えて言語化することが大切です。

担当した案件数や契約金額、リスク低減に成功した事例などを客観的に示せるようにしておくと、転職時に大きな説得力を発揮します。

ビジネスサイドとの連携でリスク予測力を磨く・攻めの法務の姿勢を身につける

法務は、法律やルールを守るだけでなく、事業の背景や目的を踏まえながらリスクを予測し、解決策を提示する役割が重要です。

社内の事業担当者や経営陣と積極的にコミュニケーションを取り、ビジネスの最前線で起こる課題や新たなサービスに伴うリスクを理解しておくと、より高度なアドバイスができるようになります。

戦略法務と言われますが、事業を推進するための法務人材であることが非常に重要視されます。

組織を牽引するマネジメント経験を積む

法務部門が拡大し続ける中、プレイヤーとして業務をこなすだけでなく、チームを率いて組織全体を強化するリーダーシップが求められます。

人材育成や業務の効率化、部門間の調整などを経験しておくと、上級管理職や役員候補としてのキャリアパスが開け、より高い報酬水準での転職も可能になるでしょう。

資格よりも実務経験

法律系の資格、語学のスコアなどは一定の評価材料になりますが、実際の企業法務では「どれだけ具体的な事例に対処してきたか」が重視されます。

海外拠点の管理やM&A、DX関連の法務サポートなど、実務での成果を示せると市場価値は格段に高まります。資格の取得はあくまで補完的な位置づけで、実務経験を通じた実力の証明が重要です。

※弁護士・弁理士などの高度な有資格者は別です(圧倒的な需要があります)

法務の転職活動で年収増・ポジションアップを目指すには

年収相場と役職による違い

法務の年収は、企業規模や業界、ポジションによって大きく変わります。金融や商社、ヘルスケアなどの業界は年収水準が極めて高く、サービス・小売業などは年収水準が低い傾向があります。

一般スタッフクラスでもかなり差がつきます。また同じ役職でも、グローバル契約や高度なコンプライアンス業務を担当する場合には平均より高い水準を提示されることがあります。

もちろんマネージャーや部長クラスのマネジメントレイヤーになると一気に年収帯は上がります。

管理職とスペシャリストのキャリアパス

法務では、プレイヤーとして専門分野を極める「スペシャリスト路線」と、チームをまとめる「マネジメント路線」があります。

高年収を狙う場合、マネージャーや部長など管理職としてのキャリアを目指すほうが一般的かもしれません。一方、スペシャリストとして独自の強みを持つことで差別化を図る方法も有効です。

どちらを選ぶかは、自分の適性や今後のキャリアビジョンに合わせて考えるとよいでしょう。

法務の年収相場をリーガル専門の転職エージェントが解説

法務の転職を成功させるポイント

キャリアビジョン(まずは転職理由)の明確化と情報収集

自分が法務として何を実現したいのか、どのような業界や分野で専門性を伸ばしたいのかを明確にしたうえで転職活動に取り組むと、ブレが少なくなります。

とはいえ、いきなりキャリアビジョンと言われてもピンとこない方も多いかと思いますので、(転職を検討している場合)なぜ転職をしようと考えているのかの転職理由をはっきりとさせましょう。

そうして自身の優先したいこと、キャリアで得たいことをはっきりさせた上で、求人情報や業界動向を幅広く収集し、志望企業の事業内容や組織構造をしっかりと把握してから応募することで、面接時に適切なアピールができるようになります。

面接時のアピール方法

実績やスキルを言語化し、どのような成果を出してきたかを具体的に示すことが重要です。数字や事例を用いると説得力が増し、論理的思考能力やコミュニケーション力の高さもアピールしやすくなります。

事業戦略や企業文化への理解を示しながら「自分がその会社でどのように貢献できるか」を語ることで、採用担当者の評価を高めることができます。

転職エージェント活用のメリット

上記で述べたような、キャリアビジョンの明確化や情報収集は、自分自身だけで行うのには限界があります。客観的な視点を持ちづらいですし、情報も偏りがちです。

そんな場合に領域専門の転職エージェントを活用するのは、壁打ち相手にもなりますし、自身の強みを客観的に整理し、最適なキャリアプランを考えるうえでも有益です。

また、法務のキャリアは専門性が高く、選考する立場の人事にとっても理解が難しい職種です。

そのため転職を成功させるには、どのように職務経歴書、面接でアピールするのが良いかも重要です。

領域に特化した専門のエージェントを活用すると、企業がどのような人材を求めているかをもとに、どのような書類の制作、面接対策が有効かなど、実践的な情報を得ることができます。

この記事を記載している弊社運営の弁護士・法務専門の転職エージェント「アガルートキャリア」は、法務人材のキャリア支援を多数行っておりますので、お気軽にご相談ください。

法務の転職活動でよくある質問

未経験からの転職は可能か

ポジション次第ですが可能です(もちろん簡単ではないです)。ロースクールや法学部出身など素養があるとみなされる方はその中でも需要があります。

未経験の法務転職は難しいがポテンシャル採用もありうる

資格の有無は影響するか

弁護士、弁理士などの有資格者を対象とした求人はありますし需要が高いことは事実です。

が、それ以外の資格を問わない法務の求人のほうが大多数です。

弊社が公開しているアガルートキャリア掲載中の法務求人をご覧になっていただくとわかりますが、資格はプラスになることはありますが、それだけを求めているわけではありません。

むしろ実務経験が圧倒的に重要です。

年齢によるハードル

法務人材の採用ニーズに比べ、専門性を持った供給が少ない状況が続いています。

選考の基準を若手に絞っていた企業でも、年齢の条件を緩和する動きが顕著です。

経験年数が増すと採用へのハードルは高くなりますが、実務経験と実績を適切にアピールできればチャンスは十分あります。

法務の転職市場は今後も高い需要が続く

法務の転職市場は、DX推進やグローバル化、コーポレートガバナンス・コンプライアンス強化といった最新のビジネス潮流を背景に、今後も高い需要が続くと考えられます。

具体的な求人情報や応募のタイミング、面接対策などを知りたい方は、法務・リーガル領域に特化した転職エージェント「アガルートキャリア」へお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

弁護士・法務・コンプライアンス・特許・知財など、リーガル領域を中心とした管理部門の方のキャリア支援を行う。東証一部上場企業での人材紹介事業部の立ち上げ等も経験。中途採用・転職に関する深い知見を有し、選考企業ごとの個別面接対策も行い、多くの求職者の転職支援実績を有する。

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