法務部インサイド
契約締結後が“本番” アクセンチュアのコントラクトマネジメント部が担う、ビジネスと法務の架け橋
アクセンチュア株式会社
法務本部 コントラクトマネジメント部 シニア・マネージャー
伊中 英輔/田上 愛華
世界最大級のコンサルティングファームとして知られるアクセンチュア株式会社(以下、アクセンチュア)。近年の急速な成長とともに、その法務組織も大きく拡大しています。
今回は、アクセンチュアの法務本部の特徴でもある「コントラクトマネジメント部」に所属する伊中様と田上様に、業務内容から働き方、アクセンチュア法務部で得られる経験まで、幅広くお話を伺いました。
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契約締結後に本領を発揮する「コントラクトマネジメント部」の役割

アクセンチュア株式会社 法務本部 コントラクトマネジメント部 シニア・マネージャー 伊中 英輔 様
まずはお2人の自己紹介をお願いします。
伊中 アクセンチュアの法務本部に所属する伊中です。前職は政府系の金融機関で海外向けのプロジェクトファイナンスの契約交渉を担当していました。
ニューヨーク州の弁護士資格を取得したことをきっかけに、アクセンチュアの法務本部に入社しました。現在は田上とともに金融サービス本部向けの契約管理を行っている部署をリードしています。
田上 アクセンチュア法務本部コントラクトマネジメント部の田上です。私はコンサルタント職として新卒でアクセンチュアに入社しました。
4年ほど現場で働いた後に現在のコントラクトマネジメント部に移りました。アクセンチュアに16年ほど勤め、現在はシニア・マネージャーとして、伊中と一緒に金融サービス本部の案件の契約を担当しています。
ありがとうございます。アクセンチュアはこの10年で大きく成長していますが、法務組織の全体像はどのようになっているのでしょうか。
田上 法務本部としては約150名ほどおります。法務本部内部は5つのファンクションに分かれており、私たちの「コントラクトマネジメント部」、それから「営業法務部」、「Geographic Compliance & Corporate」、労働法関係を担当する「労働法務」、そして「社内調査部」となっています。
コントラクトマネジメント部は他の会社ではあまり聞かない部署ですが、どのような業務を担当している部署なのでしょうか。
伊中 やはり、いろんな方から「何をしているのか想像しにくい」と言われます(笑)。
一般的な法務部ですと、契約を締結するところで仕事が一区切りすることが多いかと思いますが、コントラクトマネジメント部は、その契約を結んでからがむしろ主戦場です。
アクセンチュアは非常に大きな企業ですので、大規模なシステム開発やアウトソーシング、様々なサービスが絡み合った複雑な契約があります。
契約締結後、プロジェクトが立ち上がってからデリバリーが済むまでの間、契約関連のさまざまな交渉を調整したり、実際の状況との乖離があれば契約修正を行ったりといった管理を担っています。
コントラクトマネジメント部には何名ぐらい所属されているのですか。
伊中 約100名のメンバーがおります。
法務本部全体で150名ということでしたから、大半がコントラクトマネジメント部に所属しているのですね。その中でどのようにチームが分かれているのでしょうか。
田上 ビジネス部門が業界別にグループに分かれているのと同じように、コントラクトマネジメント部も産業別グループに分かれています。私と伊中は金融機関向けの案件を担当するチームをリードしています。
長期的にクライアントと向き合うからこそ、コントラクトマネジメントが必要

アクセンチュア株式会社 法務本部 コントラクトマネジメント部 シニア・マネージャー 田上 愛華 様
1人の担当者が並行して見る案件数はどのくらいになりますか。
田上 案件やプロジェクトによって違いが出るので一概には申し上げられないのですが、コントラクトマネジャー1人あたり、2社から3社のクライアントを担当します。
契約上の揉め事の相談もありますし、また、契約書を作る前段階の「ふわっとした相談」を現場の方から伺うこともあります。クライアントと交渉を経て契約調整に至ったり、新しい契約を作ったりすることもあるので、かなり流動的に様々なフェーズで仕事をしていますね。
ビジネス領域に近い立ち位置なのかなと感じますが、社内の方だけでなくクライアントと直接やり取りすることもあるのですか。
伊中 はい。それがコントラクトマネジメント部の魅力の一つです。
プロジェクトメンバーの一員として、法務部として完全に独立した形ではなく、プロジェクトにより近いところで仕事ができます。
クライアントとミーティングする機会も少なくありません。私も、担当しているアカウントでは、毎週のようにお客さんのところに伺っています。
大型案件や中長期にまたがるプロジェクトでは、進行中に状況が変わって契約を修正しなければならないという場面はよく起きるのでしょうか。
田上 そうですね。基本的に長期・大型・複雑な契約は、何らかの前提事項を置いた上でお見積もりをして契約書を作っているので、そこに変化が生じることは常にあります。常にあるがゆえに我々が存在しているとも言えますね。
最近は私たちがTER(トータル・エンタープライズ・リインベンション)と呼んでいる、お客様の会社全体をコンサルティングして変化のパートナーとして伴走していくような案件も多くなってきています。そうなると、完全には見通せない中でプロジェクトが始まることも往々にしてあります。
プロジェクトの状況把握はどのように行っているのですか。
田上 大抵は週次でプロジェクト内部の進捗会議や課題を話し合う場があって、そこにコントラクトマネジメント部のメンバーも入れていただいています。
その中で契約関連の事項をフォローしたり、今は契約マターではないけれど将来的には問題になりそうな話しを早めに拾っていったりしています。
ビジネスのメンバーだけでは気づけないこともありそうですね。
田上 そう思います。そこに私たちが入っている意味があると感じています。
ライフスタイルの変化があっても働き続けられるフレキシブルな環境
リモートワークと出社のバランスはどのような状況ですか。
田上 全社的には原則出社という方針に切り替わっているのですが、それとは別に「ロケーション・フレキシビリティ」という制度が導入されています。
例外承認を受けることで自宅からの勤務が認められております。ちょうど私がその制度を活用しており、普段は自宅で勤務し、ちょっとしたことであればチャットでやり取りをしています。
この制度を使っている方は多いのでしょうか。
田上 結構いらっしゃいますね。ご家族の転勤の都合で東京を離れるけれど仕事は続けたい、という方が多いと思います。
伊中 顔を合わせてミーティングすることの重要性も分かりますが、ご家族の都合でリモートにせざるを得なくなった時に、貴重な人材と引き続き仕事ができるのは嬉しいです。
個人の状況に応じて柔軟な働き方が認められているのは、非常に良いところだと感じています。
伊中様ご自身はいかがですか。
伊中 私は出社するのが好きなので、出社できる時には出社しています。
どんな形であれ、それぞれの環境できちんとアウトプットを出してくれることが重要と思っています。
コンサルティングファームというと忙しいイメージもありますが、実際の労働時間はどうでしょうか。
田上 もちろん残業が必要な時もありますが、常に残業前提での仕事の配分になっているということはありません。子育て中の方や家族の事情がある方でも、気兼ねなくフレキシビリティを持って働けているなと感じます。
フレックス制度もあるので、日によっては中抜けしたりすることもできます。コントラクトマネジメントの場合は基本的に1つのプロジェクトに複数名でチームを組んで入るようにしていますので、誰かが対応できない時間帯があっても他のメンバーがバックアップできる状態になっています。
コントラクトマネジメント部は法務とビジネスの「潤滑油」になる

ベストプラクティスを遂行するだけではなく、個人の裁量でどう進めるかをコーディネートできる環境だという。
コントラクトマネジメントの業務を通じて、どのような経験やスキルが得られるのでしょうか。
伊中 いわゆる日系企業の法務部とはちょっと異なるかなと思っています。リーガルとビジネスの潤滑油のような役割です。
法務としての契約知識はもちろんのこと、より大きなビジネスをどう円滑に進めていくか、お客様とどう信頼関係を築きながら交渉していくかという、幅広い人間力やコミュニケーション能力まで含めて身につけられるのが面白いところだと思います。
田上 いい意味で「決まった型」がないんですよね。ベストプラクティスはありますが、それをどう現場に適用するかはメンバーの裁量と力量にかかってきます。
現場にどのように働きかけ、何を課題として見つけ、自分なりのアプローチでどう解決するか。仕事を自分でコーディネートしていく面白みがありますし、そういう力がつけられる環境があります。
田上様は新卒で入社されて、最初はコンサルタントとして4年ほど現場で経験を積まれたんですよね。その後、コントラクトマネジメント部へ異動されたのですか。
田上 実はですね……
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