憲法は短答式試験・論文式試験ともに難易度が高いといわれることが多いです。

短答式試験では、細かい正確な知識が必要となり、平均点も他科目と比べ低いため、点数が上がらない方も少なくありません。

また、論文式試験では、他科目と異なり条文が少ない分、抽象的で、どのように論文を書けばよいか迷われている方も多いのではないでしょうか。

このコラムでは、憲法の短答式試験・論文式試験に合格するための勉強法を解説します。

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司法試験・予備試験における憲法の重要性と難易度

司法試験・予備試験における憲法は、非常に重要かつ難易度の高い科目として知られています。

憲法は、大まかに総論、人権、統治の3つのカテゴリーに分けられ、それぞれの分野での出題の特性を理解することが成功の鍵となります。

特に短答式試験では、全選択肢の正誤を判断しなければ正解に至らない問題が多く、これは他の科目でよく用いられる消去法が難しいことを意味します。

この特性は、行政法にも見られるため、受験者は高いハードルを感じることが多いです。

一方、論文式試験では、過去には事例を基に憲法上の問題を特定し、当事者の主張と反論、そして自らの見解を展開するスタイルが主流でした。

しかし、最近の傾向としては、「憲法適合性」というテーマが中心となってきています。

具体的には、特定の法律が憲法に適合しているかどうかを、弁護士の視点から論じる形式の問題が増えてきました。

この際、関連する判例や異なる見解にも触れることが期待されることが多いです。重要なのは、結論が合憲であるか違憲であるかよりも、その結論に至る過程を論理的に、事実に基づいて説明することです。

総じて、司法試験・予備試験の憲法は、深い理解と論理的な思考が求められる科目です。

受験者は、各分野の特性や最新の出題傾向をしっかりと把握し、効果的な学習方法を探ることが成功への道となるでしょう。

短答式試験に合格するために必要な憲法の勉強法

ここでは、短答式試験に合格するために必要な勉強法について説明します。

  • 判例百選を読み込む
  • 芦部憲法を読む
  • 過去問演習を繰り返す

憲法の短答式試験で問われること

憲法の短答式試験では、総論・人権・統治分野について、判例や学説の知識が問われます。

憲法の選択肢では、多くの場合、以下の通り、消去法が使用できなくなっています。


ア ~~

イ ~~

ウ ~~

1.ア〇 イ〇 ウ〇 2.ア〇 イ〇 ウ✕ 3.ア〇 イ✕ ウ〇
4.ア〇 イ✕ ウ✕ 5.ア✕ イ〇 ウ〇 6.ア✕ イ〇 ウ✕
7.ア✕ イ✕ ウ〇 8.ア✕ イ✕ ウ✕


したがって、すべての選択肢について正誤を正確に解答する必要があり、精度の高い知識が必要となります。

憲法の出題形式には、

  1. 判例の知識確認問題
  2. 見解問題
  3. 学説・条文確認問題

の3つがあります。

①判例の知識確認問題は、「判例の趣旨に照らして」と設問に書かれている問題です。憲法では、判例の細かい言い回しについても出題されているため、句読点ごとに正誤を判断する必要があります。

②見解問題は、「bの見解がaの見解の批判となっている場合」「bの見解がaの見解の根拠となっている場合」かどうかを答えさせる問題です。判例や学説の見解に対する批判や論拠となる見解、考え方を理解できているかが試されます。

③学説・条文確認問題は、学説の見解(特に通説とされている見解)、憲法の条文の知識が出題されます。学説については後述する通り芦部憲法を読んでおくことが重要です。憲法の条文は、条文の素読をしておけるとよいです。

判例百選を読み込む

憲法では、判例知識が細かく問われています。

結論は合っているものの、その理由を導く理由が異なる選択肢や、判例百選の解説部分に掲載されている関連判例についての知識を問う選択肢が出題されることが多いです。

したがって、判例百選を読む場合には、事案の概要と判例の結論だけではなく、その結論を導いている理由・判例解説についても確認しておく必要があります。

特に、過去問で何度も出題されている判例については、判示内容の言い回しの正誤を答えさせるような問題も出題されています。

過去問演習を行う際に、どの判例についてよく出題されているかを確認し、当該判例については細かく判示内容を確認しておけるとよいです。

芦部憲法を読む

憲法では、芦部憲法(「憲法」芦部 信喜 著|高橋 和之 補訂)に書かれている見解が通説として扱われていることが多いです。

短答式試験でも、芦部憲法に書かれている見解がそのまま選択肢として出題されることが多くあります。したがって、芦部憲法を読み、その見解が何か、それに対する批判は何が挙げられているか、確認しておくことが重要だといえます。

特に、総論・統治についての出題では、学説の見解を問う問題がよく出題されています。

芦部憲法の中でも、総論・統治についての記述を読んでおくとよいでしょう。

過去問演習を繰り返す

他科目でも共通しますが、短答式試験では過去問演習を繰り返すことが最重要の学習です。

憲法においては、①出題傾向をつかむこと、②再度の出題に備えることの2点から重要と考えられます。

①出題傾向をつかむ

憲法では、総論・人権・統治機構のそれぞれの中でもよく出題される分野があります。また、それぞれの分野でよく使われる出題形式があります。

過去問演習を繰り返して、よく出題されている判例をつかみ、判例百選で該当判例について読み込みを行ったり、出題される形式をつかみ、判例や基本書を読む際にその形式を意識して学習したりすることができるようになります。

②再度の出題に備える

他科目と同様に、憲法でも過去に出題された選択肢が、再度出題されることが多いです。

過去に出題された時には結論が合っているかを問う問題が、理由が正しいかを問う問題として出題されることも多いため、過去問演習を行う際には、理由まで答えられるかをチェックできるとよいです。

論文式試験に合格するために必要な憲法の勉強法

論文式試験の憲法における勉強法は下記3点が重要です。

  • 答案の型を意識する
  • 判例を意識する
  • 過去問演習を繰り返す

論文式試験における憲法で問われること

憲法の論文式試験の出題形式には、①主張反論型、②リーガルオピニオン型の2つがあります。

令和4年司法試験では、

〔設問1〕

・・・ X大学の立場から、決定①及び決定②それぞれについて、次回の面会において どのような憲法上の主張が可能かを述べなさい。

〔設問2〕

〔設問1〕で述べられた憲法上の主張に対するYからの反論を想定しつつ、あなた自身の見解を述べなさい。 

法務省:令和4年司法試験より引用

 という出題がされました。

一方当事者の立場に立って主張を論じ、そのあと、他方当事者からの反論を想定しつつ、私見を述べるという出題形式です。

令和3年司法試験では、

〔設問〕

あなたが検討を依頼された法律家甲であるとして、規制①及び②の憲法適合性について論じなさい。なお、その際には、必要に応じて、参考とすべき判例や自己の見解と異なる立場に言及すること。

法務省:令和3年司法試験より引用

という出題がされました。私見を論じることが求められており、その際に私見に対する反論を交えながら答案を作成する必要があります。

出題形式は異なるものの、いずれの形式でも、憲法では、問題となる法令の合憲性を論じること、私見に対する反論を論じることが求められているといえます。

答案の型を意識する

憲法の論文式試験では、人権ごとの答案の型を意識することが重要です。

再頻出の人権のひとつである経済的自由については、

1.問題提起

  本件法律〇〇条が、~~の権利を制約し、憲法××条に反するか。

2.人権保障の有無

  ~~の権利は、憲法××条により保障されるか。

3.人権制約の有無

  本件法律〇〇条は~~の権利を制約しているか。

4.違憲審査基準の定立

  厳格・中間・緩やかのどの基準により判断するか。

5.個別具体的検討(あてはめ)

  目的の審査

  手段の審査

6.結論

  合憲/違憲

という流れです。

答案をこの流れで書くことによって、採点官にも伝わりやすい答案になるだけでなく、論点漏れを防ぐことができます。

インプットの勉強を行う際にも、答案の型のどこの部分に関連する論点なのかを意識することで、アウトプットに生かせる知識を効率的につけることができるようになります。

判例を意識する

憲法では、ある判例をもとに、その限界を問う問題が出題されることが少なくないです。

判例から考えると当然に違憲になる事例で合憲の結論を取る、反対に、判例から考えると当然に合憲となる事例で意見の結論を取るという場合には、判例でどのような結論が取られており、判例と本件でどこが異なるのかを示すことが求められています。

また、違憲審査基準の定立では、判例を意識して基準を定立することが求められています。

判例がどのような考慮要素で違憲審査基準の定立をしているのか、各人権で厳格・中間・緩やかの基準のうち、どれを用いているのかを確認しておけるとよいでしょう。

過去問演習を繰り返す

現行の司法試験制度となってから、憲法では人権分野に関する問題が続いています。そして、よく出題される人権と、そうでない人権があります。それらを過去問演習でつかみ、今後の出題に備えられるとよいでしょう。

また、司法試験も回数を重ねている以上、再度出題される人権が多くなっています。過去の司法試験の出題趣旨や採点実感から、各人権について出題者がどのように論じてほしいかを確認しておくことで効率的に点数を稼ぐことができるようになります。

例えば、営業の自由が出題された平成30年司法試験の出題趣旨では、

青少年の健全育成という目的と一般市民がむやみに 卑わいな画像等に触れないようにするという目的をどのようにとらえ,制約される権利の性質,制約の程度等との関係で,どのような審査基準を設定するかの議論をする必要がある。 その際,小売市場許可制判決や薬事法判決等の既存の営業の自由に関わる判決との対比をすることや,積極目的,消極目的等の規制目的の区別に基づいて審査基準を立てるべきかを議 論することが考えられよう。

平成30年司法試験の出題趣旨

と述べられています。

これらのため、違憲審査基準の定立では、少なくとも、規制の目的、制約される権利の性質、制約の程度について考慮し、小売市場許可制判決・薬事法判決との対比をしながら論じることが求められていると考えられます。

このように過去の出題趣旨や採点実感から、各人権で意識すべきポイントのヒントを得ることができます。

再度の出題可能性に備え、過去問演習をしておく必要性は高いといえるでしょう。

憲法の勉強法においてやってはダメなこと

最後に、憲法の勉強でやってはダメなこととして、以下3点を説明します。

  • 条文を意識しないこと
  • 複数の基本書、問題集に手を出してしまうこと
  • 答案の添削を受けないこと

条文を意識しないこと

憲法は条文が少ないため、条文を見ずに答案を書き始めてしまいがちです。しかし、憲法は条文が少ない分、複数の人権がひとつの条文にまとめられていることが多いです。

例えば、憲法21条1項は、

「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」

と規定されています。

条文を細かく見ると、ひとつの条文に、集会の自由・結社の自由・言論の自由・出版の自由・その他一切の表現の自由の5つの自由が保障されていることとなります。

それぞれの事例問題において問題となる自由が、21条1項に規定されているどの自由に該当するのかを考える必要があります。

このように、頻出条文についても、条文を確認して条文に基づいて答案を作成していく必要があります。

複数の基本書、問題集に手を出してしまうこと

憲法は議論が抽象的になりやすく、わかりづらいと感じる人も少なくありません。そのため、わかりやすい説明を求めて複数の基本書に手を出してしまいがちです。

また、憲法の問題では、その問題ごとに架空の法令が作成され、法令の合憲性が論点となります。そのため、どのような法令が出題されるかわからない不安から、できるだけ多くの問題集にあたり、答案を丸暗記しようとしてしまう方も多いです。

しかし、憲法には各論点で複数の学説があり、各基本書で書かれている学説の相互関係がわからず、複数の基本書を読んだことによって、答案で何を書けばいいのか、わからなくなってしまう恐れもあります。

また、どれだけ多くの問題集にあたっても、司法試験では初見の法令・事例が出されることがほとんどです。丸暗記するという勉強は、当該法令と同一の法令が出題された場合には有効である可能性がありますが、司法試験には太刀打ちできないことが多いです。

ひとつの基本書・ひとつの問題集を基本とし、それを何度も読み込むことによって合格に必要な基礎的な力を付け、わからないこと、また、1冊の基本書では足りないと感じた分野のみ、辞書的にほかの基本書を使うという方法がおススメです。

答案の添削を受けないこと

答案の添削を受けることが重要なことは他科目でも共通しますが、憲法では特に重要であると考えられます。

憲法の答案は、「法令で侵害される権利」と「法令で守られる利益」の対立関係を論じることが求められています。

したがって、民法や刑法のように、条文上の要件が細かく決まっており、それに当てはめていって答えが出るという問題ではありません。その結果、法律論とは離れてしまい、自らの価値判断のみで結論を導いてしまいがちです。

第三者からの答案の添削を受けることによって、法律論としての憲法の答案の書き方を身に着けることが重要です。

まとめ

  • 憲法の短答式試験は、細かい判例知識が問われ、消去法が使いにくい形式が多い。判例百選や芦部憲法を活用し、判例の趣旨や通説を正確に理解することが必要
  • 論文式試験では、条文が少なく抽象的な議論が求められ、論理的な思考が重要

憲法の勉強法では、判例の細かい理解と論理的な論述力が不可欠です。過去問や基本書を活用し、答案作成の型を意識しながら学習を進めましょう。

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