事務所を知る
「弁護士はどこまで行っても自営業者」——事務所とインハウスを往復した56期弁護士が語る、AI時代のキャリア論
法律事務所ZeLo
弁護士
桐谷 曜子
弁護士のキャリアは、いまや一本道ではない。大手事務所でのキャリアスタート、事業会社へのインハウス転身、そして再びプライベートプラクティスへ——組織の内と外を行き来しながら、自らの専門性と生き方を編み上げていく道が、少しずつ一般的になりつつあります。
修習56期、長島・大野・常松法律事務所でキャリアを始め、大和証券の自己投資部門への出向後転籍、農林中央金庫を経て、現在は法律事務所ZeLoに所属する桐谷曜子先生。「食農弁護士」という独自の肩書きを掲げ、食品・農業分野からファイナンスまで幅広い領域を手がける、まさに越境的なキャリアを体現する一人です。
本記事では、桐谷先生が事務所とインハウスの双方で得たもの、キャリアの節目における思考、そしてAIと中年の危機が同時に訪れる時代に弁護士がどうキャリアを描くべきかについて、じっくりと伺いました。既成概念に囚われず、自分の性質と世の中のニーズを掛け合わせていく——その姿勢に、これからのキャリアを考えるすべての方へのヒントが詰まっています。
「食農弁護士」を名乗る——セクター法務という発想

法律事務所ZeLo 弁護士 桐谷曜子 様
まず、現在主にどのような案件を扱われ、どの領域を強みとされているのか伺えますか。
桐谷 私は1つの肩書きとして「食農弁護士」というのを掲げています。農林中央金庫に所属したことで食品農業分野の知見を総合的に得たということもあるので、セクター法務という考え方からこの肩書きを掲げるようになりました。
キャリアとしてはプライベートエクイティというかファンドロイヤー、資金調達系が中心です。ベンチャーファイナンスの観点でベンチャー支援をしたり、ファンドのバックオフィスを支える観点でデューディリジェンスを含めたサポートをしたりしています。
食農弁護士としては、ベンチャー支援をしている中でもフード・アグリ分野の方がたくさんいらっしゃいますし、農業法人さんもいれば、企業として農業参入したい方や、農業知見を用いたビジネスを作りたいという方もいるので、そういった方のお手伝いをしています。あとは周辺のテック分野ですとか、クロスボーダー案件にも長く携わってきたので、クロスボーダー系のトランザクションや共同研究契約のお手伝いもしています。ジェネラルコーポレート的なこともたくさんしていますし、労務案件があれば、その延長線上の訴訟も対応しています。
そういう意味では、「なんとなくこういうセクターに注力したいな」というのがありつつ、元々の業務領域が広いので、時には他の方の力も借りながら、「何でも屋さん」としてやっている部分が大きいですね。
かなり幅広く対応されているなかで、やはり「食農」というセクターが一番の軸になってくる感じでしょうか。ちなみに、ファーストキャリアは長島・大野・常松法律事務所でいらっしゃいますよね。
桐谷 そうですね。実はその頃、留学する予定だったんですよ。留学しようと思って試験のスコアも出て、レポートも書いて、現地見学に行って戻ってきたんですが——なんだか盛り上がらない。
「楽しいよ」と自分を鼓舞しても、なんだか気持ちが動かなくて。ちょうど金商法(金融商品取引法)の施行年だったんですよね。ファイナンスローヤーを目指す以上、金商法の施行年に留学することはできませんでした。
向こうの司法試験を受けたりするのも、箔が付くところは結構大きいと思うんですけど、そのために費やす時間で何か別のことができないかなと迷って考えて、モヤモヤしていました。そんな中で、いろいろなことがあって転職を決めました。
「事務所の会議室に座っていてはいけない」——退院翌朝のノック

「その辺が足りていかないと、いい弁護士にはなれないな」——退院した翌朝、桐谷様はボスの部屋のドアをノックした
その後、事業会社に入られるわけですが、どういうきっかけで企業内弁護士として就業しようとお考えになったのですか。
桐谷 ちょうど留学するかしないか迷っていた時に、5月の連休の初日に入院して、手術もしたんです。2週間ぐらい働けなかったので、その間に「さて、これからのことを考えよう」という時間が偶然にできました。
自分がこれから弁護士としてお客さんと向き合っていく上で、足りないものを補った方がいいなと、ずっと思っていたんです。お客さんが会議室に来てお話ししてくださって、こちらがプロダクトを出す。そして次の会議で、「社内で検討した結果、こういう形で進めようと思います」とお話しいただくんですけど、「なぜそうなるんだろう」と思うことがいろいろあったんですよね。
どういう人が何を言ってそういう結論になったのかは分からない。でも、彼らなりの事情があってそうなるんだな、これぐらい時間がかかるんだな、ということは感じていました。私達のファーストプロダクトからこちらにリーチしていれば、もっとお互いハッピーだったのではないかと思いました。
目の前のお客さん——法務や、経営企画の方と仕事をするわけですが、彼らの上司である役員がどんな世界を見ているのか、いろんなことが分からなかったんです。その辺が足りていかないと、いい弁護士にはなれないな、事務所の会議室に座っているだけではいけない、とにかく何かを知らなければならない、とその時に思って。退院した次の日の朝にボスの部屋へ行って、その話をしました。
早いですね。
桐谷 早いです。働き始めたら気持ちが変わってしまうかもしれないので、すごく新鮮な気持ちのまま、朝一番でノックしました。
その後どうなったんですか。
桐谷 「いいよ、いいよ!いいね、いいね!」と言われて。「ちょっと待って」と、引き出しの奥からプリントみたいなのを出してきて、「誰かいないって言われていたんだよね」とピピピッと電話をかけて。すると、出向が決まりました。
早いですね。クライアントである企業の意思決定のロジックや力学は、法律事務所のアソシエイトの立場からは見えにくいものですよね。
桐谷 会社によって課長の偉さなど、全部違いますよね。それぞれの組織で、技術職の方や経営企画の方がどんな重責を担っているのかということは、日々大人になり、いろんなニュースに触れる中で知っていくものです。中小企業でもベンチャーの人たちが「どうやって従業員を養っていくか」という気持ちでやっている、そういったところも、知って寄り添えるようになることが、大人になるということなんだと思います。
「サラリーマンはRPG」——専門職ではなく総合職を選んだ理由

「どうせだったらRPGをちゃんとプレイヤーとしてやりたい」。専門職の“薬草屋さん”ではなく、総合職の道を選んだ
ご経歴を拝見すると、いわゆる弁護士業務以外の業務も結構やっていらっしゃった印象があります。これはある種、戦略的に取りに行ったということなのですか。
桐谷 そもそも事務所を出ようと思ったのは「世の中をちゃんと知ろう」ということだったので、リーガル業務ができればいいというわけではありませんでした。できるだけ広く何事も見たいというところを叶えてくれる環境を望んでいました。
当時は、ちょうどリーガルとコンプライアンスを分けた方がいいのではないか、という気運の入り口でした。コンプライアンスは内部統制的な第二線を守るところ、リーガルはフロントをサポートして走っていくところ、と役割を分ける。私は「いいとこ取り」、いわばコンプライアンスも深掘りしつつ、ミドルとしてフロント業務を兼務しながら、フロントについては新人のつもりでやってミドルとして付加価値を出すという形を、大和証券の時からさせていただけました。農林中央金庫に入る時も「そういう形でないのであれば嫌です」という趣旨のことを伝えました。
入社を検討している段階で、という事ですよね。
桐谷 そうですね。若い頃の転職なので、言っていいこと・そうではないことがあると思いますが、農林中金には「採用して年俸をいただく限りは、それに応じた貢献をします」と話しました。当時はオルタナティブ投資の強化が必要な時期で、リーマン後のレガシーの精算をして投資プロセス自体を健全化する時期だったので、そこは貢献します、と。他方で、私は欲しいものがあるので、それを吸収させていただいて返すということも考えていただきたい、と結構率直に人事部に話をしました。
丁寧にすり合わせたのですね。
桐谷 私も頑張りましたし、エージェントの方にもとても頑張っていただきましたが、役員面接は「何をしてもいいから」という面接でしたね。
大和は自己投資部門で機能子会社だったので、社長と話し合いながらいろいろできましたが、大きい会社の人事制度はそうはいかないんです。私はそれが分かっていなくて、そこから日本の人事についてちゃんと知っていくことになります。
大和の時は専門職採用でしたが、専門職採用だと、みんなと完全に仲間になりきらない寂しさがありました。人事評価制度もちょっと違いますし、若干「お客様感」が残っていて、それが寂しかったのと、やっぱりサラリーマンはRPGですから。
RPG、ですか。
桐谷 専門職採用だと、なんだか「薬草屋さん」みたいになってしまうんですよね。回復魔法だけ時々撃つ人になってしまいます。やっぱりパーティーを組んで野に出たいと思うと、総合職にならないと。どうせだったらRPGをちゃんとプレイヤーとしてやりたい、という気持ちがありました。
こだわりを持って総合職で入られたと。やりたいこともちゃんとお伝えして幅広い業務をやられて、表情的にもすごく楽しかったのかなという感じがします。そこから、なぜまたプライベートファームの方に戻られたのでしょうか。
桐谷 そこもやっぱり時代の変化だと思います。「部長とかになれたらいいな」という気持ちはありつつ、その先の人生がよく分かっていない。45歳を過ぎた先の自分の人生は、30代だとあまり想像できていないわけです。
50歳以降、稼ぐ力を持っていくことはサラリーマンにも要求されていますし、7年ぐらい自分の好きなポストに張り付いて仕事をさせていただいて、その後どうするというのは、あまりわがままは言えないな、という気持ちもありました。
コンプライアンスや法務にマネジメントとして関わるという責任も出てくるだろうし、それが嫌という訳ではありませんでした。ただ、「そういう人生にするのか。全然違うことをやるなら、今腰を上げないと間に合わないぞ」と散々迷ったあげく、45歳の誕生日までには絶対辞表を出すと決めて、実行しました。
周りの方にはキャリアの相談を結構されていたのですか。
桐谷 かなり相談していました。「こんな会社やめてやる」と言ったら誰も真摯には相談に乗らないですが、「この先どうしたら自分と会社が一番幸せな形なんだろう」ということをいろいろな人に話しました。
「使える時間が2,000時間あったら」——ZeLoとの運命的な出会い
そうした過程を経て、ZeLoに出会われて入られたわけですが、2025年でしたね。元々、法律事務所ZeLoという事務所自体はご存知だったのですか。
桐谷 知ってはいました。これが運命的で、実はここの窓口をやってくれた先生とは2022年ごろ、全然違う飲み会のような場でお会いしていて、その時妙に印象に残っていたんです。
あとメンターになってくれる人に「1人でやるのがちょっとしんどい時があって、バックオフィスの支えも必要だし、若手と一緒に仕事するのもいろいろ考えていきたいんだよね」と相談したら、「ZeLoじゃない?」と言われて。その先生はZeLoの先生ではないのですが、それから数日以内に、エージェントさんが「先生、ZeLoどうですか?」という電話をくれたんです。
すごいですね。もちろん繋がってないですよね。
桐谷 全然繋がってない。こういうシンクロニシティは乗らねばならぬということで、ほぼほぼそれでZeLoに決めました。
ZeLoに来る時も、私はまためんどくさく、「使える時間が2,000時間あったとして、こういうことになるし、稼ぐのも最初はこうだし頑張らなきゃいけないと思うけど、あとは経費がどうとか……」と、いろいろな話をA4で2枚ぐらいのQAのような形でまとめました。すると代表の小笠原弁護士から、きちんと書面で回答をいただけたんです。「あ、もうこれですよ」と思いましたし、信頼も生まれましたね。
代表弁護士の小笠原先生が、自ら書面で。
桐谷 返してくれましたね。農林中央金庫の時は人事制度とシステムがあって採用条件がそこで設定されているのですが、法律事務所になると再び人的組織的な部分が入ってくるので、お互いの不満がないようにどうするかを丁寧に話し合いたいと思いましたし、途中で不満が出てきた時にも話して解決できる相手であることがとても大事だと思っていました。誠意を持って接してくれるのであれば、私自身がダメな時やお互いミスマッチが生じた時も、間を取って乗り越えていける、という信頼感を抱くことができました。
「稟議書を書いたりします」——インハウス経験が血肉になる瞬間

「上司報告用のものまでご用意させてください」。インハウスで培った視点が、依頼者への提案に生きる
事務所にいて、企業に入って、また事務所に来て、という中で、一度企業に入った経験は結構血肉になっているという感じですか。
桐谷 そうですね。お客さんが来た時に——ZeLoにはベンチャーのお客さんが多いのですが、そうでない方の時に、「こういうお立場ということは、こういうことを考えてこういう形で来ているんですよね」と具体的にお聞きするようにしています。「予算はどうですか?」「他の事務所を使っている中でどう考えていますか?」「どういうところを期待されていますか?」といった形で、ニーズドリブンの気持ちが持てます。
問題解決する時も、その会社にとっての事業の重要性、ここがどれぐらい柔軟であるかによってどういう影響が出るのかを踏まえて、優先度の高いところを丁寧にお答えします。これは経験がないよりはできているのではないかと思います。
相手のニーズをしっかり汲み取って対応しやすくなった、と。
桐谷 そうですね。もう稟議書を書いたりしますね。
なるほど。
桐谷 弁護士としてのスキのない、完璧に全ての事項が網羅されている突っ込みどころのない回答をお渡しすることと、上司に報告するというのは全然違いますので。「上司報告用のものまでご用意させてください」と。
それは先方に喜ばれそうですね。
桐谷 喜ばれます。「何分の会議で何分喋れますか?」と確認し、ご回答によって「じゃあここは絶対言ってください」とご案内しています。そういうところまで「一緒に働く」という気持ちを持てたらいいなと思っています。
「アンビシャスではあるけどグリーディーじゃない」——ZeLoに集う弁護士像
今いらっしゃる法律事務所ZeLoについて、簡単な概要を教えていただけますか。
桐谷 所属弁護士が60名超で、その他士業を含めて80名以上の専門家がいて、それにスタッフ陣がついています(※2026年6月時点)。広報や人事といったバックオフィス、マーケティングやセールス部門もあります。もうすぐ、2027年に10周年を迎えます。
10年もまだ経っていない、という事ですよね。
桐谷 そうです。今のZeLoの雰囲気は、私が長島・大野にいた頃の、100名前後になるかどうかという時期に近いと感じます。人数的には、長島・大野・常松が合併した後ぐらいなんじゃないかな、と思います。
この事務所に参画してみて、すごく面白いなと感じられるところはありますか。
桐谷 Zeroの「R」を、Legalの「L」にしているんですね。長島先生が法律事務所のスタイルを革新したように、ZeLoも「法律事務所の次の形」を探している心意気が名前に出ているわけです。
リーガルテック、AIのサービスの会社を同時創業したという点と、事務所の中の生産性、人の育成も含めて、常に生まれ変わり続けてベストな形を探しているところが、ZeLoのあり方ですね。IPOのコンサル業務も含めてやっていたり、知財のチームもしっかりあったり、セールスのメンバーと一緒に自分の営業活動をしていく、といったこともあります。伝統的事務所とちょっと違って、すごく新鮮ですね。
グループで税理士法人やFASも持っていらっしゃる。グループで専門家が連携してことにあたることも多いのですか。
桐谷 そうですね。でも他の税理士法人やコンサルティングファーム、いろんな弁護士、いろんな人とも仕事はしていますよ。ガチガチのグループ企業というわけではないのですが、ZeLoの中がちょうど充実していく頃なので、そこはどんどん変わっていくのかなと思います。
どういう弁護士の方が集まってきているのか気になっていて。共通する価値観やスタンスのようなものはあったりするのでしょうか。
桐谷 やっぱり「ただの優等生じゃ良くないよね」ということでしょうか。仕事ができることは大事なんだけれども、ただ能力値が高いだけではなくて、事務所全体として新しい形を担おうとしているわけなので、それぞれの個々人も自分で新しく何かを担う気概を持っていこうというメンバーが多いですね。
若手に関しても、いろんな経験を踏まえて「自分はこういうことを頑張りたい」というアンビシャスな人を採用するようにしています。「創業者を超える心意気」というところを掲げているので、割とアンビシャス系の人は多いですね。
特定の事務所から来る方が多いというより、いろんなバックグラウンドの方が集まってくる感じですか。
桐谷 そうですね。ただダイバーシファイしていればいいというよりは、ある種の「毛並みの良さ」のようなものはあるとは思います。あと、こう言うとグリーディーな人がいそうなイメージだと思うのですが、そうではないんですよね。
「俺のものは俺のもの」という人ではないんですよ。割とみんなの共同精神というか、みんなで良くなっていこうというところもあるし、事務所の心理的安全性はすごく高いんです。「アンビシャスではあるけどグリーディーじゃない」というのは結構ありますね。
「どこまで行っても自営業者」——自分の性質と世の中のニーズを掛け合わせる

「人の数だけ生き方がある」。自分の性質と世の中のニーズが噛み合う場所を見つけてほしい——桐谷様はそう語る
弁護士が増え、知識の民主化が進む中で、若い弁護士やこれから目指す方は「どういう経験を積んでいくべきか」と悩まれると思います。正解はないと思いますが、先生のお考えを伺えますか。
桐谷 やっぱりどこまで行っても「自営業者」です。大きい事務所にいてもそうでなくても、自分の作ったものでお客様からお金を頂戴できるかどうか、というすごくプリミティブな自営業だと思っています。工場を持って回していくことができる職種でもないので。
じゃあ自分はどういう形だったら人からお金をもらえるだろうかと考えることが大切だと思います。人を喜ばせることなのか、安心させることなのか、豊富な知識を提供することなのか、一緒に伴走して頑張っていくことなのか。あとは、人をリードして旗を掲げてみんなを引っ張って新しいものを作っていきたいという発想もあると思います。私はどちらかというとサポーター気質なので、人をサポートするのが好きです。そこに法律職としての専門性や経験値がついていくと思うので、結構自由な発想で考えていけばいいんじゃないかなと思っています。
「自分をよく知る」ということもすごく大事なのですね。
桐谷 そうですね。世の中の成功ヒストリーで露出している人たちは、露出することによって生きるための理由があって、性格や好き嫌いに関わらず仕事として露出しているわけです。でも、ぼんやり見ていると「こういう人じゃないと生きていけないんじゃないか」と思いますよね。
ちゃんと世の中に目を向けると、長く同じことをコツコツ積み上げて、どこにも出ていかないけどしっかりした基盤を持っている方もたくさんいる。人の数だけ生き方があるんですよ。いろんなところに目移りするのではなくて「自分はどういう人たちと一緒にやるのが近い気質なんだろう」と考えることが大事だと思います。
長いことやる価値って、ものすごく大きいですから。地道で顧みられなくても、自分はこれは尊いと思うからちゃんとやる、という人はそれを早く見つけていけばいいと思います。とにかく話題になっている所に走って行ってやっていくという人は戦国武将のように生きていけばいいと思います。その辺を見極めて仲間を作って、弁護士になったけど起業しました、コーチングしています、ケアが好きです、と、いろんな生き方になっていくんじゃないかなと思います。
最近は、司法試験に受かって弁護士になったけれど全然違う仕事をされる方もいらっしゃいますね。
桐谷 「弁護士になったけど人と争うのが嫌いだからお坊さんになった」という人の動画を見たこともあって。いいなと思いましたね。お坊さんの世界にリーガルの人が行くことの価値がすごくあったりして。自分の気質と世の中のニーズを見つめていって、掛け合った時に歯車が合って前に進んでいく時って、すごくいいですよね。
自分がやりたいだけで世の中のニーズがなくても違いますし、トレンドだけあってもやりたくないことをやるのは辛いですよね。
桐谷 そうですね。だから私も食農が好きです、やりたいです、やらせてくださいという気持ちでやっているのですが、やりたいだけではやっぱりダメで。いくつかサービスを整理していく中で「私がやった方がいいこと、私じゃない人と一緒にやった方がいいこと、私がやらない方がいいこと」を、ここから先より精緻に考えていくんだと思っています。

※経歴・所属は取材当時のものです。
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