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マクニカHD 執行役員 林氏が語る、ジェネラル・カウンセルという生き方

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マクニカHD 執行役員 林氏が語る、ジェネラル・カウンセルという生き方

マクニカホールディングス株式会社
執行役員ジェネラル・カウンセル
林 大介

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企業を取り巻く法規制や事業環境が急速に変わるなかで、法務部門に求められる役割も変化しています。契約審査や紛争対応といった従来の業務にとどまらず、経営の意思決定そのものに関わる存在として、ジェネラル・カウンセル(GC)やチーフリーガルオフィサー(CLO)というポジションを置く日本企業も少しずつ増えてきました。

今回お話を伺ったのは、マクニカホールディングス株式会社で執行役員ジェネラル・カウンセルを務める林大介様です。

若手のうちから裁量を任された伊藤忠商事での10年、31歳での外資系への転職、36歳での経営参画、そして初代CLOへ──。法務パーソンがどのようにして経営の一角に加わっていくのか、その道のりを率直に語っていただきました。

※本記事は取材当時の役職・組織体制に基づいています。

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「33年間、企業法務一貫」というキャリアの輪郭

まずは自己紹介からお願いできますでしょうか。

林 マクニカホールディングス株式会社 執行役員ジェネラル・カウンセルの林大介です。

新卒で総合商社の伊藤忠商事に入社いたしまして、以降33年間、企業法務の仕事に従事してまいりました。その間、外資系企業、それから人材サービス会社で、執行役員、取締役・監査等委員等を務めてまいりました。本日はよろしくお願いします。

マクニカホールディングス株式会社 執行役員ジェネラル・カウンセル 林大介 様

「技術に強い商社」マクニカグループと30名の法務組織

マクニカホールディングスの事業概要を教えていただけますでしょうか。

林 マクニカグループは、主に半導体事業とサイバーセキュリティ事業をコア事業としています。

世界33の国と地域で事業展開していまして、従業員は全世界で約5,000人。そのうちの3分の1がエンジニアということで、商社ですが非常に技術に強く、お客様の課題解決を技術面でサポートしていくというところに、非常に特色がある会社です。(※2026年4月時点)

法務組織についても伺わせてください。法務組織は会社によって規模感やカバーする範囲が違ってくると思うのですが、マクニカの場合はいかがでしょうか。

林 マクニカグループの法務部門は、事業会社であるマクニカの中にありまして、部署名としては「ガバナンス・リスクマネジメント本部」という組織になります。その中に、いわゆる法務部門と、ガバナンス・リスクマネジメント室がある形です。

法務部門の中には、法務課と安全保障貿易管理課とがありまして、合わせて総勢30名ぐらいで行っています。

輸出管理のところまでカバーされているのですね。

林 そうですね。そこは商社ということもあって、1つの特色だと思います。

「想像していた通り面白い」入社1年で感じたこと

林様が2025年にマクニカに入社されて、ちょうど1年ですね。入社後に気づいた面白みはありますか。

林 入社前から社長の原とはいろいろ話をして聞いてはいたので、想定と大きく異なった点は全然ないんですけど、やはり様々な事業に挑戦をしている会社なので、色々な新しい案件、事業開発でしたり、あるいはサービスモデルの変革だったりみたいなことが多く、言っていた通り色々あって面白いなと。

私自身はどちらかというと、同じ仕事を毎年毎年やるというよりは、いろんな新しいことにチャレンジすることが個人としては非常に好きなので、そういう意味では合ってるかなと思います。

思っていた通りの経験ができていらっしゃると。

林 そうですね。やはり入社前から聞いていた課題や、期待されている役割という点では、想定していた通りのところが多いですね。

「2年目でフィリピンへ、調印式まで」伊藤忠商事の若手時代

ここからはキャリアについて伺わせてください。現在はマクニカホールディングスの執行役員ジェネラル・カウンセルという立場でご活躍されていますが、どういう変遷を経てそうなっていったのか、この辺りを色々とお聞きできればと思っています。まず、ファーストキャリアの伊藤忠商事には何年程いらっしゃったのですか。

林 合計10年ですね。

その10年の中で、法務パーソンとしての原体験になるような経験はありましたか。

林 伊藤忠商事というのは、若手に仕事を任せる文化が総合商社の中でも強い会社でした。

私も1年目は先輩について色々学んでいましたが、2年目から担当の事業部門を持ちまして、「この事業部門は林さん担当で」ということで、基本的には担当者としてやっていく。若手の頃から仕事を任せるという文化があったということですね。

直属の上司の方が「これは任せるから、何か困ったら相談してくれ」という方で、ある意味、裁量を持って仕事ができたというのは良かったなと思いますね。

2年目から担当事業部に紐づいて、いろんな法務案件を担当されていたのですね。

林 はい。例えば私が初めて海外出張に行ったのは2年目の夏ぐらいなんですけども、その際も、事業部門長の方と担当者の方がいる中で、私は法務から1人で行って、1週間フィリピンにて合弁契約の交渉をして、相手と色々契約交渉の最後の詰めを行って、調印式までやって帰ってくる。それをもう2年目で任せられるという感じで仕事をしていたので、非常にやりがいもあり、楽しいところではありましたね。

そうした社風だと理解されたうえで選ばれたのでしょうか。

林 そうですね。全般的に、やはり伊藤忠商事の当時の社風というのは、他の総合商社と比べて駐在員の年齢も低かったですし、若いうちに駐在に出るということもありましたし、権限委譲が進んでいる会社であるというのは、就職活動の時に聞いていました。

財閥系商社に「追いつき追い越せ」みたいな社風で、そのためにはやはり若手も含め1人1人が活躍しないとだめだというような雰囲気でした。

「調印式までやって帰ってくる。それをもう2年目で任せられるという感じで仕事をしていた」。若手のうちから裁量を持って任される環境が、法務パーソンとしての原体験になった

「経営者の懐刀」20代で出会ったジェネラル・カウンセルという仕事

伊藤忠商事にいらっしゃる時にアメリカへ留学され、ニューヨーク州弁護士資格を取得されていますね。どういう経緯で留学することになったのですか。

林 留学の前にですね、実は…

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「31歳で外資へ」自分の力を試すという選択

その後、転職されたと思うのですが、順調に過ごされている印象の中、どういう経緯で転職しようと思われたのですか。

林 ロースクールに行ってニューヨーク州弁護士の資格を取って帰ってくると、いろんなヘッドハンターの方からお声がけをいただくのです。

その時に1つ思ったのが、総合商社は非常に仕事のバラエティもダイナミズムもあって面白いのですが、一方で非常に大きな組織、伝統的な組織なので、担当者がいて、係長、課長、部長、その上に法務担当の役員がいて、3階層4階層を説明して回ってやっと方向性が決まる。たまたま私の場合、直属の上司だった課長が最初3年は自由にやらせてくれましたけれど、やはりある程度決められたルールの中で、7〜8年目としての動きを求められるというところは正直ありました。

一方で米国法人で働いていた時は、担当として責任を持ってやってくれ、という期待をされていました。そういった中で、もう少し若手の頃から裁量・権限を持って自分の力を試したいという思いが強くなり、留学から戻ってきて2年ぐらい働いた後、外資系で自分の力を試してみようということで、31歳の時に転職をしました。

「外資系で自分の力を試してみよう」。階層を説明して回る大組織を離れ、31歳で最初の転職に踏み切った

当時、どのようなキャリアを思い描いていらっしゃったのですか。

林 基本的には、伊藤忠商事の米国法人で働いてみて感じたことがベースになっています。ジェネラル・カウンセルというのは法務部門のトップで経営陣でありますけど、その下のいわゆるインハウスカウンセルの人たちも、当然ですけど専門職・プロフェッショナルとして、ある程度の裁量と権限を与えられて、自律的に仕事をしていました。

そこはやはり、日本の法務部員や法務スタッフとはちょっと働き方が違うというか、プロフェッショナル意識だったり、自己研鑽だったり、あるいは裁量だったりというのが、当時はかなり違ったわけですよね。

そういう中で、やはり外資系企業の方が私には合っているというか、プロフェッショナルとして扱われますし、ある程度の裁量を与えられて、「ここはもう任せるので、あなたの判断でやるんだ」と。当然、一定を超えればエスカレーションしなければいけないんですけど、やはりそういうところは大きくありましたね。

そういう経験を積める場所を選んで、その先に、経営に参画していくということも、当時から結構イメージはされていたのですか。

林 イメージはしていましたね。将来的にはやはりジェネラル・カウンセルみたいな仕事をしてみたい。名称はともかくとして、単なる法務の責任者ではなくて、経営陣の一員として会社全体の経営に関わってみたいという思いは、一貫してありました。

そのためには、やはり裁量のある環境を選んで、自分が成長していくことも重要だと。

林 そうですね。

「36歳で経営会議メンバーに」法務が重い会社を選ぶという軸

ちなみに、その経営に参画するのは何歳ぐらいまで、と考えていらっしゃったんですか。

林 何歳というのはないですが、実際は…

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「もう一度、日本企業の本社で」初代CLOへの道

ソニー・ピクチャーズの次はパーソルですかね。この時は何を求めて転職を決意されたんですか。

林 外資系に10年いたんですが、やはりヘッドクォーターではないという限界がありました。日本法人の法務責任者であって、グローバル全体での戦略やポリシーを決められる立場ではない。もう一回、日本企業のヘッドクォーターで経営陣としてやってみたいという思いがありました。

そこで選んだのが、パーソルホールディングスの前身であるインテリジェンスという会社でした。当時はプライベート・エクイティ・ファンドの傘下にあり、株主である米国ファンドがジェネラル・カウンセルを重要ポジションだと考えて、外部から呼ぼうとしていました。米国風のGCとして期待されている状況で、かつ再上場もありえる時期だったので、これはいいなと思い、インテリジェンスのジェネラル・カウンセルとして入社しました。

その後、テンプホールディングス(現パーソルホールディングス)に買収された後、インテリジェンスの法務責任者を2年ほど務めていたのですが、「グループ全体で一番法務に詳しいのは林さんだから全部見てくれ」という話になり、パーソルホールディングスに転籍して全体を統括するようになりました。その翌年の2015年に執行役員(初代CLO)に就任しました。

「グループ全体で一番法務に詳しいのは林さんだから全部見てくれ」。買収を機にパーソルホールディングスへ転籍し、その翌年、執行役員(初代CLO)に就任した

「執行と監督は全く違う」監査等委員という立場

その後に、監査等委員も経験されていますね。執行と監督という両方の立場を経験されて、見えてきたものはありますか。

林 元々パーソルグループには法務部門がありませんでした。そういう意味では…

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「もう一度、法務の責任者として」マクニカを選んだ決め手

監査等委員を務められた後、現職になられたと。その時のキャリア選択はどういうお考えだったんですか。

林 監査等委員として職業人生を終える選択肢もありましたが、もう一度、法務部門の責任者として会社に貢献したいという思いがありました。

2期4年務めて監査等委員会としての活動の型もできましたし、パーソルで後任のCLOが育ってバトンタッチできる環境が整ったこともあり、外の選択肢を考える中で、マクニカと縁がありました。

最終的にマクニカを選んだ一番の決め手は何ですか。

林 私は会社を選ぶ際にいくつかあるのですが、1つは「社風」です。やはり…

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「社外に出ると視野が開ける」戦略法務・ガバナンス研究会

林様は「戦略法務・ガバナンス研究会」という活動もやってらっしゃいますよね。

林 2023年に設立された会で、企業価値を高めるために法務機能をどうレベルアップしていくか、という思いで始まりました。法務だけでなく、人事、経営企画、ファイナンス、知財など、法務機能に関わりがある方々が集まっています。

私は設立当初からお声がけいただいて副会長を務めており、年に4回ほどの講演会や、分科会長を兼務している「グローバルグループガバナンス分科会」で、様々な企業の先進的な取り組みをヒアリングしたり、情報交換をしたりしています。

お忙しい中、こうした活動に取り組むモチベーションは何ですか。

林 私は30代のはじめ位から色々な勉強会に参加しているのですが、これはなぜかというと…

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「アンラーニング」経営陣に選ばれたことが最大の転機

改めて振り返ってみて、一番のターニングポイントはどこでしたか。

林 色々ありますが、やはりパーソルグループで経営陣に選んでいただいたことは大きいかなと思っています。

それまでは法務の専門家として、法務やコンプライアンスに閉じた議論をしていましたが、約10人の経営陣の1人として選んでいただいたことで、経営戦略、財務戦略、事業ポートフォリオ、人的資本といった、法務の仕事だけでは入ってこない分野を議論しなければならなくなりました。そこで一気に視野が広がりました。

法務の経験は活かしつつも、過去に得た知識ややり方を一度アンラーンして経営陣としてディスカッションに加わっていく経験は、非常に苦労しましたが自分の成長に繋がりました。

「キャリアオーナーシップ」を持つということ

これからの時代、若手がキャリアを構築していく上で大切な考え方は何だと思われますか。

林 繰り返しになる所はありますが、やはり…

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マクニカホールディングス株式会社 執行役員ジェネラル・カウンセル
新卒で伊藤忠商事に入社して以来、33年間にわたり企業法務一筋のキャリアを歩む。米国ロースクール留学とニューヨーク州弁護士資格取得を経て31歳で外資系企業へ移り、ソニー・ピクチャーズで36歳から経営に参画。その後パーソルホールディングスで初代CLO、取締役監査等委員を務め、2025年より現職。「戦略法務・ガバナンス研究会」副会長。

※取材対象者の所属・役職等は取材当時のものです。
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