法務部インサイド
「成功は担当者の手柄、失敗は上司の責任」─マクニカ法務部が挑戦を後押しできる理由
株式会社マクニカ
ガバナンス・リスクマネジメント本部 法務部長
山本 祐基
ひとくちに「法務部」と言っても、カバーする業務範囲も、組織としての立ち位置も、企業によって大きく異なります。契約審査を中心に据える組織もあれば、コンプライアンスやリスク管理まで含めて経営に近い位置で機能している組織もある。事業のスピードが上がるほど、法務に求められる役割も変わっていきます。
今回お話を伺ったのは、株式会社マクニカの法務部長を務める山本祐基様。同社の法務部が立ち上がったその時から、組織とともに歩んでこられた方です。
半導体・サイバーセキュリティ・CPSソリューションという3つの事業領域を持ち、33の国と地域で事業を展開する同社。その法務組織はどのような体制で、どんな人が、どんな働き方をしているのか。組織の全体像から、キャリアの作り方、「一言で言うとフットワーク」と語る同社法務の特徴、そしてマネジメントの考え方まで、じっくり伺いました。
※本記事の内容は取材当時のものです。
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「半導体・サイバーセキュリティ・CPSソリューション」3つの事業の柱
まずは、簡単に自己紹介からお願いできますでしょうか。
山本 株式会社マクニカのガバナンス・リスクマネジメント本部で、法務部長をさせていただいております、山本と申します。
20年以上前になるのですが、新卒で営業としてマクニカに入社しました。数年ほど営業を経験させてもらってから、当時マクニカで法務部を立ち上げようという動きがあったので、そのタイミングで異動してきて今を迎えている、というようなキャリアです。
マクニカがどのような事業を展開されている会社なのか、教えていただけますか。
山本 マクニカの主な事業領域としては、半導体事業、サイバーセキュリティ事業、CPSソリューション事業の3つです。
ビジネスモデルとしては、商社としてのビジネスモデルと、自社開発のサービスソリューションの提供をしています。モデルとしては2つ、事業は3つというような整理になっています。
3つ目のCPSソリューション事業というのは、どういう事業なのでしょうか。
山本 CPSソリューション事業は自社ソリューションとして立ち上げています。マクニカが半導体、サイバーセキュリティの市場で有名になっているなかで、サービス・ソリューションプロバイダーを目指して行っている事業体になります。
身近なところでいうと、自動運転のバスや、ペロブスカイト太陽電池などの事業も行っています。
時代とともに事業も少しずつ変わっていったり、新しいチャレンジをされていると。
山本 そうですね。今まさに3つ目の柱を立てに行こうというのをビジョンとして掲げて、みんなで向かっているという形になります。
本社は新横浜ですが、拠点は多くあるのでしょうか。
山本 日本国内は、大阪・九州などの主要都市に拠点を構えており、地方にも一部拠点があります。海外では、33の国と地域で事業展開しております(※2026年4月時点)。法務のメンバーは、基本的には新横浜におります。

株式会社マクニカ ガバナンス・リスクマネジメント本部 法務部長 山本祐基 様
約30名の本部を3課で──法務組織の全体像
マクニカの法務組織は、どのような体制になっているのでしょうか。人数感も含めて教えてください。
山本 本部であるガバナンス・リスクマネジメント本部は、約30名の組織です(※2026年4月時点)。その中に、法務部とガバナンス・リスクマネジメント室の二部署があるという形です。
法務部の中には、法務第1課、法務第2課、安全保障貿易課という3つの課があります。
山本様は、法務部とガバナンス・リスクマネジメント室の両方を統括されていると。
山本 はい。メンバーも、一部は兼務したりしていますね。
それは状況や人によって、どちらか専属の方もいれば、兼務される方もいると。
山本 そうですね。あと、どうしても線引きが難しい業務が出てくるので、そこはやはりチャンスを広げるという意味においても兼務しています。
キャリア採用では、商社以外の業界出身の方もいらっしゃるのでしょうか。
山本 そうですね。メーカー・IT系・大企業・コンサル会社など、様々です。
年齢層や男女比はいかがですか。
山本 年齢層は20代~50代まで幅広く在籍しています。あえてボリュームゾーンを言うと、30代~40代前半ぐらいが多いかなと思います。男女比は、30名のうち女性が約10名で、少し男性が多いですね(※2026年4月時点)。
法務組織は企業によってカバーする範囲が異なるかと思います。マクニカの場合はどのあたりまでカバーされているのでしょうか。
山本 ビジネス法務・商事法務・コーポレート関連や、ERM・輸出管理・不正調査・内部通報対応など、ほぼすべて網羅しているのではないかと思います。
法務部の中では、どのように業務を分けているのでしょうか。
山本 いわゆるビジネス法務と呼ばれている所に絞ると、法務第1課で半導体事業とサイバーセキュリティ事業を担当、法務第2課で新規事業や商事法務を担当している、という感じです。
入って数年経つと、そこをチェンジすることもあるのでしょうか。
山本 もちろん、ありますね。
「キャリアの作り方も人それぞれ」異動と育成の考え方
それだけ広範な業務範囲をカバーしているなかで異動していくとなると、かなりいろいろな経験が積めるということになりますか。
山本 経験は1年目からすぐに積めますし、積み方も人それぞれです。キャリアの作り方も個々に合わせて作っていく、というスタンスでやっています。
任せる業務も、ご本人の志向や経験に合わせていくということでしょうか。
山本 そうです。やはり仕事をやっていく上で本人のやりがいも感じてほしいですし、楽しいほうが絶対に仕事はいいので、できるだけ本人の希望には沿うような形を取ろうとはしています。
もちろん会社側の都合もあるので、全部が全部叶えるというわけにはいかないのですが、基本的にはキャリア面談をしていくなかで、希望の業務に沿っているという形ですかね。
育成方針としては、スペシャリスト・ゼネラリストどちらのイメージでしょうか。
山本 あえてどちらかと言うと、いろいろな分野にチャレンジ、経験できるという方が多いかとは思います。ただ、やはり一部の分野に関しては、コーポレート系など特化して活躍するメンバーも勿論います。
そうなのですね。安全保障の領域なども、専門性が高い部分かと思います。
山本 はい。まさに輸出管理のところは、かなり専門性が高く、そこに特化しているという感じですね。
その専門性を軸にしながら、他の経験を積むこともできるのでしょうか。
山本 はい。やはり違う世界を見てみたい、というのもあるかと思いますし、法務の業務だけをしている法務パーソンがいいのか、というところもありますよね。
今リーガルテックなども普及して、業務と業務の線引きがどんどんなくなっているなかで、「法務だからここまで」という枠にとらわれるよりかは、営業・経理・財務など、いろいろな分野を経験するというのは、これから特に若い方がキャリアを積む時には視野に入れておいたほうが良いのではないかなと。私個人の考え方ですけれども、そう思ってはいます。

「『法務だからここまで』という枠にとらわれるよりかは」。分野を越えて経験を積むことの意味を語る
「一言で言うとフットワーク」現場に入り込む法務
いろいろな会社から転職されてきた方の声も含めて、マクニカ法務のここが特徴だ、強みだと感じられている部分があれば伺いたいのですが。
山本 一言で言うとフットワークというところで、現場に寄り添うというのが一番のキーワードとして思っています。それなので、…
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「成功は担当者の手柄、失敗は上司の責任」任せきるマネジメント
山本様が法務部長として、マネジメントの観点で特に重視されているポイントがあれば教えてください。
山本 私自身も先輩にそうしていただいたところがあって、任せきるというところはすごく意識しています。
答えを先に伝えようとしてしまうのが、どうしても出てくるんですけど、やはりそこは我慢してその人に任せきって、相談するタイミングもすべて任せるという形を取っています。
放置するわけではなく、必要なフォローはする、ということですね。
山本 そうです、もちろん。放任主義とはまた別になるので。
よく社内で言われるのは「成功したらその担当者の手柄で、失敗したらそれは上司の責任だ」という考え方です。それが比較的徹底できている会社だなと思っています。
法務に限らず、会社のカルチャーとしていろいろなところで言われていることなのですね。
山本 はい。仕事自体は基本的には任せるという形ですね。
任せた仕事のアウトプットに対して、必要な振り返りは一緒にやっていくと。
山本 はい。新しく入社した方が委縮してチャレンジできないというような事は避けたいので、ある程度はやってくれという形でお任せしています。
自分で進めたいという意思がある方には、すごく合いそうですね。逆に、教えてほしいというタイプの方だと、どうでしょうか。
山本 マニュアル通りにしたいとか、過去の正解をコピーして持ってくるようなやり方が必要な業務ももちろんあるんですけど、当社においては、どちらかというと変化を好む人とか、新しいことをどんどんしたいという方のほうが親和性は高いかなと思っています。

「成功したらその担当者の手柄で、失敗したらそれは上司の責任だ」。社内で共有されているこの考え方が、任せきるマネジメントを支えている
「月1回出社」権限委譲が前提の自由な働き方
働き方についても伺いたいのですが、リモートの活用はどのような頻度で、どのように決めていらっしゃるのでしょうか。
山本 マクニカの考え方として、各部門に権限委譲されているというのが大前提としてあります。
業務のアウトプットと効率を最大化する運用判断が、各部門に委ねられています。
ガバナンス・リスクマネジメント本部としては、基本的にメンバーが一番アウトプットを出しやすいやり方でやっています。ルールとしてあえて言うと、月1回の出社程度に絞っています。
この日は在宅でやったほうがいいとか、逆にこれはフェイス・トゥ・フェイスで話したほうがうまくいくプロジェクトだから出社したほうがいいとか。そこの判断ももちろんメンバーに任せていますので、一律に週何回来なければいけない、といったものは一切ないという形になります。
逆に、組織として集まる場はあるのでしょうか。
山本 四半期に1度あります。年間の経営の重点方針が出ていて、そのなかで本部としての重点方針、各部・各課それぞれの方針を、当社は「OST(Objective・Strategy・Tactics)」と呼んでいるんですけれども、その重点方針の振り返りと、来期何をやるかというところを、全員が1度に集まって意見交換しています。
そこは対面でやると決めていらっしゃるのですね。
山本 はい。ただ、どうしても来られない時は、それもハイブリッドでやったりはしています。
「こんなに面倒を見てもらえると思ってなかった」メンター制度
中途入社の方へのフォロー体制はどうでしょうか。最初から自由にと言われても不安な方や、家庭の事情でリモート中心にしたいけれどキャッチアップが不安、という方もいらっしゃるかと思います。
山本 実際に過去にそういう声もあったので、…
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「やはり主体性」活躍している方に共通するもの
マクニカの法務にいらっしゃる方に共通するマインドセットのようなものがあれば、伺いたいのですが。
山本 一言で言うと、やはり主体性というところですかね。面接の時なども、そういうところはすごく気にして見させていただいています。
無理やり主体性を見せるという意味ではなくて、本当に行動として主体性が伴っているかというところは、すごくみんな持っているなと思って見ていますね。
たしかに、「権限委譲」「自由」「任せる」といった環境だと、主体性を持つ方がマッチしそうですね。
山本 そうですね。やはり変化を好む人とか、主体性を持っている人のほうが、すごく合いやすいというのはもちろんあると思います。
ただ一方で、ガンガン前に出るのが苦手という方も別にいるんですよね。一見そういう方は主体性がないように見えたりするんですけど、そうではなくて、本当に考え方というところの主体性なので。イケイケどんどんみたいな人ばかりが集まっている会社ではなくて、いろいろなキャラクターの人が、マインドとして主体性を持って仕事をしているという感じですかね。
面接には、山本様は必ず入られているのですか。
山本 はい、必ず入っています。

「いろいろなキャラクターの人が、マインドとして主体性を持って仕事をしている」と山本様は語る。
「手を上げたら大体やらせてもらえる」成長できる環境
マクニカに入社すると、こういう経験が積める、キャリア上こういうメリットがある、というアピールポイントがあれば伺いたいです。
山本 入社後すぐに仕事を任せてもらえるというところですね。これはベテランの方であってもそうですし、新卒として入社し、企業法務実務の経験がない方でも、入社数ヶ月で仕事をポンと任せてもらえるので、成長曲線はすごく早いと思います。
キャリア採用で入られた方でも、1年ほどで大きく成長されたという方はいらっしゃいますか。
山本 そうですね。やはりメンバーがやりたい仕事で成長を感じて、評価もされて、やる気が起きて、というポジティブサイクルを回していけるように、管理職もサポートをしていくので、そういう意味では挑戦はしやすい環境かなと思います。あと、手を上げたら大体やらせてもらえるという感じですかね。
無茶はもちろんダメですけど、最低限努力していれば基本的には手を上げれば抜擢してもらいやすい環境が、この規模感の会社としてはずば抜けてあると思います。
拡大を続ける法務組織と、これからの法務パーソンへ
会社の成長に伴い、法務組織も今後拡大していくのでしょうか。人数もここ数年で増えているのですか。
山本 はい、大幅に増えています。それこそ…
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※取材対象者の所属・役職等は取材当時のものです。
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