地方法律事務所から大手PEファンドに転職した弁護士
- 更新日:2026.05.11
弁護士の転職市場において、PEファンドは四大法律事務所や外資系法律事務所の出身者を中心に非常に人気の転職先として知られています。またPEファンド側においても、組織の基盤を支えるリーガル人材のニーズは高まっています。
本記事では、外資系法律事務所のカウンセルや事業会社の法務責任者など、数多くのハイレイヤー層を支援してきた弊社・キャリアアドバイザーの森に、地方都市の法事務所在籍弁護士がいかにして大手PEファンドへの切符を手にしたのかを聞きました。
INDEX
社会人で司法試験合格後、事務所を経てPEファンドへ転職
まずは、今回転職を成功させた方のプロフィールを教えていただけますか。
この方は、法学部からロースクールを経て司法試験に合格するという、一般的な弁護士の道を歩んだ方ではありませんでした。
大学は一般的な学部を卒業され、ロースクールに進学されています。新卒では一般企業に入社し、不正取引の調査や独占禁止法、競争法関係のリサーチを行うドキュメントレビュアーとして約2年間勤務されていました。
司法試験に合格される前にも、金融実務の経験をお持ちだったのですか。
そうですね。新卒で入社した企業から大手証券会社に転職し、売買審査全般やコンプライアンス業務に数年間従事されています。その後、司法試験に合格されました。
合格後は証券会社を退職し、法律事務所に入所しています。企業法務専門の大手事務所ではなく、企業法務と一般民事双方を扱う地方の事務所でしたが、そこでM&Aのデューデリジェンスやメガバンクとの付き合い、さらには金融レギュレーション、アンチマネーロンダリングといった専門性の高い業務にも携わっていらっしゃいました。
ご年齢は30代後半で、修習期でいうと70期代前半の方になります。
PEファンドを志望した理由
その方は、どのような経緯でPEファンドへの転職を志すようになったのでしょうか。
当初、その方は地方の法律事務所で、ご自身で企業法務の案件を開拓して取り組んでいらっしゃいました。
ただ、地方にいるとメガバンクや大手金融機関が関わるような大規模な金融案件に深く携わることが物理的に難しいという課題を感じていたそうです。
将来的にはもう一度金融業界に戻りたいという思いがあり、40歳を目前にしたタイミングでご相談をいただきました。
ご相談をいただいてから、すぐに現在の内定先に決まったのですか。
実は、最初にご相談いただいた時点では、今回の案件の募集はまだ出ていなかったんです。PEファンドの求人はいつ動いても必ずあるというものではありません。
そのため、数ヶ月のあいだ市場をウォッチしながら「いい案件が出た時にその機会を掴みに行く」という姿勢でじっくり待ちました。転職の温度感が最高潮に達する前から情報収集を始め、適したタイミングでエントリーできたことが成功の一因と言えます。
実務で英語を使う経験などはあったのでしょうか。
過去の実務の中で少し活用されていた経験はありましたが、もっと積極的に使っていきたいと考えていたそうです。今回のPEファンドは国内外で積極的に展開している大手でしたので、英語を使う環境への憧れも重なった形ですね。
PEファンド側の募集背景
今回、PEファンド側が採用を強化していた背景には、どのような事情があったのでしょうか。
募集の背景は単純な増員でしたが、その中身が重要でした。現在、そのファンドでは国内外でのグローバル投資が非常に加速しており、特にエネルギー分野などの成長著しい分野への投資を積極的に拡大しようとしているタイミングだったんです。
投資が活発になれば、当然ながら法的な守りも重要になりますね。
その通りです。人員を増員して積極的に拡大していく中で、内部体制の強化が優先度の高い課題となっていました。
今回の方は証券会社時代に金商法や資金決済法などの金融コンプライアンスの知見が深く、事務所時代にも細かな対金融当局対策やリーガルチェックを丁寧に行っていました。
この守りの体制をきっちりと整えられるキャリアが、拡大を急ぐファンド側のニーズと合致したようです。
選考で評価されたポイント
PEファンドといえば、やはり投資の実行、つまりトランザクション業務が花形というイメージがありますが、そのあたりはどう評価されたのですか。
ここが非常に重要なポイントなのですが、もしこの方が最初から「トランザクションにだけ関与したい」という強い希望を持っていたら、おそらく採用には至らなかったでしょう。ファンド側はまずコンプライアンスやガバナンスという土台を固めたいと考えていたからです。
ご本人も、まずは自分の得意とするコンプライアンス領域でバリューを発揮し、そこから少しずつトランザクション側へと軸足を移していくというキャリアプランに合意されました。
段階的に取り扱い分野を拡げていく方針も、ファンド側が想定していた成長イメージに合っていたようです。
まずは経験のある分野で貢献し、そこから広げていくと。
ええ。実はPEファンドに限らずメガバンクなどでも、まずはコーポレート側やコンプライアンス側から入って、そこから社内で異動していくというパターンはよくあります。特定の領域に固執しすぎないことが、結果として大きなチャンスを引き寄せました。
PEファンドの報酬水準・キャリーについて
PEファンドへの転職で多くの弁護士が期待するのは、やはり高い報酬水準だと思います。今回の条件について教えてください。
この方は大手証券会社時代にかなりの年収を得ていましたが、地方事務所に移った際に一時的に年収がダウンしていました。
今回の転職により、法律事務所時代からは数百万円アップし、賞与を含めれば大手証券会社時代の水準を上回る形となりました。ご本人も納得のいく金額でのオファーとなりましたね。
PEファンド特有の「キャリー」については、具体的にどの程度の期待値があるのでしょうか。
ファンドの実績や職位にもよりますが、今回のケースでは、1回の賞与で年収の50%前後、うまくいけば100%が出る可能性があります。つまり、年収と合わせて2倍近くの金額を手にできる幅があるということです。
年収2,000万円や3,000万円、あるいはそれ以上を目指せるというのは、他の業界とは一線を画す水準ですね。
そうですね。大手事務所から移ってくる方にとっても、このキャリーやストックオプションといったボーナス額の大きさは、非常に大きな魅力となっています。
PEファンドでのキャリアに関心のある弁護士の方へ
今回の事例を振り返って、PEファンドでのキャリアに関心のある弁護士の方々に伝えたいことはありますか。
大手渉外事務所の出身ではない、あるいはファイナンス領域の経験が乏しいからといって、道が閉ざされるわけではありません。大切なのは、ご自身がこれまで培われた経験・スキルが、募集ポジションでどのように活かせるか、貢献できるかを見極めることです。
その見極め方やより具体的な情報に関しては、是非アガルートキャリアにご相談ください。
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この記事の監修者
リーガル専門コンサルタントとして、弁護士・法務人材を中心に転職支援を行う。中国発大手テクノロジー企業の日本法人にて創業メンバーとして事業開発・推進に従事。スタートアップ〜大手事業会社での事業開発、マネジメント経験を有していることから、様々な角度からの俯瞰したアドバイスを強みとする。
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