新卒で企業内弁護士(インハウスローヤー)になるのは「あり」か「なし」か
- 更新日:2025.04.28
今まで、司法修習後の弁護士は、法律事務所に所属するのが一般的でした。
法律事務所で一定期間働いた後は、独立や他事務所への移籍などが中心でした。
しかし最近では、法企業のリーガル領域の強化などによって、企業内弁護士(インハウス)を募集する企業も増え、企業で従業員として働く選択肢をとる弁護士が増えてきています。
企業内弁護士に転職する人が増えているとはいえ、新卒では法律事務所に就職するものと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、新卒で企業内弁護士に就職する選択肢について検討しています。
企業内弁護士ならではのメリットやデメリット、法律事務所で働く弁護士との違いがわかります。
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新卒で企業内弁護士に就職する選択肢は「あり」
現在、企業内弁護士(インハウスローヤー)として働いている弁護士は約2600人います。※2021年3月現在
10年前までインハウスローヤーは約400人と、弁護士の中ではマイノリティな存在でした。
M&Aやファイナンスなどの資金運用、社内コンプライアンスの整備が必要となったり、会社法上の内部統制システムの構築が求められる範囲が拡張しつつある中で、企業内弁護士(インハウスローヤー)の需要は年々、高まっています。
長時間労働・ハードワークになりがちな企業法務系の弁護士事務所の労働環境に比べて、企業で従業員として働くインハウスローヤーの労働環境は比較的整っており、ライフワークバランスを調整したい方に人気があります。
企業の従業員としての報酬になるため、超高額な報酬にはなりづらいですが、案件数などによらず安定的な収入を得られるのも魅力のひとつです。
また、インハウスローヤーを募集する企業は、業界をリードするような大企業やイノベーティブなサービスを提供しようというスタートアップなどが多く、業務内容もダイナミックで魅力的なものと言えるでしょう。
こうした企業内弁護士としての働き方・キャリアを魅力に感じ、就職時点で企業内弁護士を選ぶ方もいます。
新卒でインハウスローヤーになることのメリットの詳細を解説します。
労働基準法で働き方が守られる
弁護士が法律事務所で働く場合、労働法の適用はありません。
通常弁護士は法律事務所と雇用関係にたつのではなく、委託契約関係にたつからです。
したがって法律事務所で働いているとはいえ一個人事業主に過ぎないので、労働基準法によって残業時間に関する規制などが適用されません。
有給取得の義務づけも法律事務所になされることはありません。これは弁護士の稼働時間が長時間となる原因となっています。
一方、企業内弁護士は企業と雇用関係にあり、労働者として労働基準法による保護を受けます。
労働基準法の適用があるからこそ、インハウス弁護士は育児や家事など私生活と両立した生活を送ることができます。
ワークライフバランスを大切にしたい弁護士にとっては、良い選択肢になることが多いでしょう。
収入安定、昇給ペースがわかる
企業内弁護士の収入はある程度安定しています。
法律事務所で働く弁護士の多くは業務量や個人受任によって収入が変化する傾向にあります。
大きな収入を得られる可能性もある反面、収入が不安定で昇給ペースも不明確になりがちです。
企業内弁護士は自分の業務量に関係なく、毎月一定の給与が支払われます。
また、企業の社員であるため、給与や昇給は社内規定によって定まっています。
そのため昇給の見込みやおおよそのペースは予測することができます。
当事者として事業に参画できる
インハウスローヤーは当事者として、事業に参画できます。
企業法務の弁護士は、顧問先の企業や依頼を受けた企業のために働きますが、仕事内容は顧客が安全に取引をする手助けをしたり、顧客の相談に乗ることがほとんどです。意志経営等における決定権はありません。
インハウスローヤーは企業の一社員ですから、当事者として事業に参加できます。
具体的にはM&Aの是非をめぐって役員に進言することや、社内の労働問題について率先的に解決することなどができます。
マッキンゼー、ボストン・コンサルティング、ローランド・ベルガー、ベイン・アンド・カンパニーなどのコンサルティング業界出身者も一定の経験を積んだあと、外部のコンサルタントとして助言を行う立場ではなく、自身で事業を行いたいと起業したり、事業会社に転職したりといったキャリアチェンジがよくありますが、リーガル領域のプロフェッショナルである弁護士でも同じことが言えるでしょう。
スキルの高いプロフェッショナルな人材であるからこそ、自分で裁量を持ってビジネスを行いたい方には魅力的に映るようです。
▶インハウスローヤーへの転職でエージェントを活用するメリット
新卒で企業内弁護士になるデメリット
ここまで新卒で企業内弁護士になることのプラス面を説明してきましたが、マイナス面もあります。
新卒でインハウスローヤーになると一般的な企業の1年目の社員と同じ扱いとなり、弁護士事務所の弁護士と比べ、給料が安くなる傾向があります。
※新卒でインハウスに入った場合の平均年収は400万円程度と言われています。
これではせっかく苦労して司法試験に合格し、弁護士になった意味が薄れてしまうと感じる方もいるでしょう。
また、企業法務の弁護士事務所で経験を積むのに比べ、業務が具体的・個別的すぎ、企業法務の弁護士としてのスキル・キャリアが限定的になるという可能性もあります。
事務所に勤務していれば、様々なプロジェクト・案件にアサインされることで、専門性・スキルを磨くことが出来ますが、ひとつの企業で勤務した場合、その経験が限定される可能性もあります。
メリットで述べた「事業の当事者として関与出来る」こととのトレードオフにもなるため、一概に良い悪いではなく、それぞれの特徴と言い換えることも出来るでしょう。
このように、新卒で企業内弁護士に就職することにはプラス面もマイナス面もあります。
これまで事務所に就職することが当たり前とも言える状況であった弁護士の働き方に、新たな選択肢が増えたことは間違いありません。
事務所に就職した場合と一般企業に企業内弁護士として就職した場合を、
- 自分にとって働きがいがあるのか、働きやすい環境なのか
- やりたいことや叶えたいことに近い環境はどちらか
- 中長期的に得られるスキルや経験
等の観点で比較してみるとよいでしょう。
また、どちらか一方しか検討してはいけないというわけではありません。どちらの選択肢も検討し、就職活動を進めていく中で意思決定するのも良い方法と言えるでしょう。
新卒で企業内弁護士に就職したら
新卒で企業内弁護士に就職した場合の仕事内容等について、法律事務所で働く弁護士と比較しながら解説していきます。
仕事内容
企業内弁護士の仕事内容は所属企業内の法務業務です。
法務の業務は、
- 契約・取引業務
- 組織業務
- コンプライアンス業務
- 紛争対応業務
- 社内業務
といったように多岐にわたります。
その中でも企業内弁護士の主な業務は、契約書の作成や内容の確認です(契約・取引業務)。
法律事務所で働く弁護士は事務所が依頼を受けた事件の処理です。一般民亊系の事務所であれば、民事事件の他、刑事事件も取扱います。
企業法務系の事務所であれば、主に顧問先からの企業法務事件を取扱います。
企業内弁護士は、一般民亊事件や刑事事件は取扱いませんが、企業法務に関しては法律事務所で働く弁護士よりも広く深く取扱います。
勤務時間
企業内弁護士の勤務時間は所属企業の就業規則通りです。
多くの企業では、朝から夕方までの1日8時間程で、土日祝日休みとなっています。※もちろん会社によって異なりますが、法務部がある企業は暦通りの勤務が多いです
法律事務所で働く弁護士は事務所や依頼事件に状況によってまちまちです。
1日の勤務時間は早朝から深夜まで長時間に及び、土日に事件処理を行うことも珍しくありません。
よって企業内弁護士は法律事務所で働く弁護士に比べ、ワークライフバランスを確保し易いと言えます。
年収
新卒の企業内弁護士の年収は約400~800万円ほどが多いようです。
法律事務所の新人弁護士の平均年収は約600~700万円といわれていますので、やや低い印象を持つ方もいるでしょう。
企業の従業員として勤務すると、個別対応は難しいことが多く、収入は安定する一方で、高くないことも多いです。
新卒で企業内弁護士になる方法
新卒で企業内弁護士になる方法として、
- 司法修習時代から企業へアプローチする
- 司法修習生を対象とした企業説明会・就職セミナーに参加する
- 弁護士専門の求人サイトを使う
- 弁護士専門の就職エージェントを使う
- OG・OBに紹介してもらう
の5つを紹介します。
司法修習時代から企業へアプローチする
まず、司法修習時代から個別に企業へアプローチする方法です。
企業の求人募集には企業内弁護士を対象とするものもあります。
興味のある企業が企業内弁護士を募集している場合、積極的に応募してアプローチしましょう。
司法修習生を対象とした企業説明会・就職セミナーに参加する
企業内弁護士を希望する司法修習生を対象とした企業説明会や就職セミナーに参加する方法です。
興味がある企業が参加している説明会やセミナーには積極的に参加してみましょう。
ロースクールや弁護士会を通して説明会やセミナーの案内がされる場合もあります。
求人サイトを使う
求人サイトに登録をしておくとさまざまな企業の説明会や求人を見ることができます。
求人サイトは「リクナビ」や「マイナビ」等が有名です。
サイトに登録し希望する職種に法務や企業内弁護士を登録しておくと、情報収集に役立ちます。
就職エージェントを使う
就職エージェントを利用する方法です。
就職エージェントでは希望する職種等を伝えると、条件にあった企業やポジションを教えてくれます。
さらに、面接日程の調整や模擬面接対策等、内定に向けサポートしてくれます。
OG・OB等に紹介してもらう
最後に出身大学やロースクールの先輩など、知り合いのOB・OG等に紹介してもらう方法です。
OG・OBの勤めている企業が企業内弁護士を募集していれば、優先的に選考を受けることができる可能性もあります。
企業内弁護士をしているOB・OGに話を聞くだけでも、企業内弁護士に対する理解が深まります。
OBやOGから聞いた話は他の企業への応募や選考の際にも有利になるでしょう。
企業内弁護士(インハウスローヤー)になるのは中途・転職でも遅くはない
この記事では、新卒で企業内弁護士(インハウスローヤー)として働くメリットやデメリットについてまとめました。
企業内弁護士として働くメリットは確実にありますし、正解・不正解はありません。
それでは、企業内弁護士として働く魅力も感じるが、弁護士事務所でも働きたいという場合はどうしたらよいでしょうか。
絶対の正解はありませんが、その場合、まず企業法務系の弁護士事務所に就職するのをおすすめしています。
なぜかというと、企業法務の弁護士事務所での勤務経験が一定あれば、そのあと企業内弁護士に転じられる可能性が高いからです。
転職市場において、企業法務に従事されていた弁護士の方の評価は極めて高く、希少な人材です。
そのため、募集を行っている企業で奪い合いになり、転職活動時に提示される年収も事業会社の中では高額になることが多いです。
新卒で企業内弁護士になるより、企業法務の事務所から転職したほうが年収は高くなる可能性もあります(※事業会社の同世代との比較です。弁護士事務所よりは下がることがほとんどです)。
企業内弁護士、事務所での働き方どちらにも魅力を感じるのであれば、上記のような現状があるため、いきなり企業内弁護士なるのではなく、まずは弁護士事務所で経験を積み、そのあとに働き方を改善したいとか自分の意志でビジネスを動かせる立場になりたいというような考えが強くなったら、企業内弁護士を目指すのも遅くないのではないでしょうか。
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この記事の監修者
リーガル専門コンサルタントとして、弁護士・法務人材を中心に転職支援を行う。中国発大手テクノロジー企業の日本法人にて創業メンバーとして事業開発・推進に従事。スタートアップ〜大手事業会社での事業開発、マネジメント経験を有していることから、様々な角度からの俯瞰したアドバイスを強みとする。
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