イギリスの弁護士の仕組みと、弁護士資格を取得する方法
- 更新日:2026.01.22
イギリスの弁護士には、日本の弁護士にはない特徴がいくつかあります。
基本的に上級裁判所における訴訟業務のみを行うバリスタ(法廷弁護士)と上級裁判所における訴訟業務以外を行うソリシタ(事務弁護士)に区分されます。
日本の弁護士になるには司法試験に合格する必要がありますが、イギリスの弁護士になるには司法試験のような試験に合格する必要はありません。
今回はイギリスの弁護士の種類や内容、イギリスの弁護士資格を取得する方法などについて解説します。
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INDEX
イギリスの弁護士は2種類に分かれる
イギリスの弁護士は、バリスタとソリシタの2種類に分かれています。
イギリスの弁護士を説明するにあたり、バリスタとソリシタについて解説します。
法廷に立つバリスタ(法廷弁護士)
バリスタは基本的に上級裁判所における訴訟業務のみを行います。
法廷弁護士とも呼ばれます。
イギリスの裁判所は、連合王国最高裁判所、控訴院、高等法院、刑事法院、県裁判所、治安判事裁判所の6種類です。
上級裁判所は連合王国最高裁判所、控訴院、高等法院、刑事法院の4種類です。
下級裁判所は県裁判所、治安判事裁判所の2種類です。
バリスタは、基本的に依頼者と接触せず、依頼を受けることはありません。
大学での一定の課程を修了すると依頼者と接触し、依頼を受けることができます(パブリックアクセス制度)。
バリスタのなかで、
- ジュニア・バリスタ
- クイーンズ・カウンセル(勅選弁護士)
に区分され、クイーンズ・カウンセルは基本的に難事件の法廷事件のみを担当します。
クイーンズ・カウンセルは、ジュニア・バリスタ及び上級ソリシタの中から選任委員会が選任し、国王が任命します。
法廷での弁論以外を行うソリシタ(事務弁護士)
ソリシタは、基本的に上級裁判所における訴訟以外の業務を行います。
事務弁護士とも呼ばれます。
ソリシタは依頼者からの法律相談を受けたり書類作成をしたりします。
ソリシタは基本的に下級裁判所での弁護活動しかできないため、上級裁判所での弁護活動が必要になるとバリスタに依頼します。
ソリシタでも一定の試験に合格し上級ソリシタになると、上級裁判所での弁護活動ができます。
※依頼者は上級裁判所での弁護活動が必要になると、ソリシタとバリシタ2人分の弁護士費用を負担することになります。
イギリスの弁護士は約16万6000人
イギリスの弁護士は2020年3月31日現在約16万6,000人で、弁護士1人当たりの国民数は382人です。
過去10年間(2010年~2019年)の人数の推移を見てみると、2016年と2019年に減少しているものの、それ以外の年は毎年数百~数千名増加しています。
バリスタとソリシタの割合としては、2011年12月時点でバリスタ12,647人、2012年7月時点でソリシタ128,778人であり、割合はバリスタ約1割、ソリシタ約9割です。
これを2020年のイギリスの弁護士の数に換算すると、バリスタ約1万6,000人(約1割)、ソリシタ約15万人(約9割)になります。
日本の弁護士約4万2,000人、日本における弁護士1人当たりの国民数3,015人と比べると、イギリスは弁護士サービスが国民に行き届いていると言えます。
イギリスの弁護士資格を取得するには
日本で弁護士資格を取得するには司法試験に合格し、その後司法修習という研修を経る必要があります。
イギリスでには日本の司法試験に相当する試験は存在せず、所定の法曹養成課程を経ることで弁護士資格を取得できます。
ここでは、イギリスの弁護士資格を取得する方法を解説します。
イギリス以外で弁護士資格を有する者の場合、所定の試験(択一試験及び実技試験)に合格し、2年以上の所定の実務経験を経ることでソリシタの資格を得るルート(QLTS)もあります。
バリスタ
バリスタになるには以下の課程を経ることが必要です。
- 法科大学(日本でいう法学部)を卒業(3年)
- ※法科大学以外の大学卒業の場合、さらに法学修士課程(GDL、1年)を修了することが必要です。
- 法曹院(法学院)と呼ばれる教育機関でバリスタ養成コース(BPTC)を修了(標準1年、長期履修2年)※Inns of cort
- バリスタ事務所における実務研修(Pupilage、1年)を受講し、バリスタ認定証の付与を受ける
実務研修に申込みできるのはバリスタ養成コース終了後5年以内です。
バリスタ養成コース終了者が毎年1,500人前後であるのに対して、実務研修を受講できる人数が500人前後であるため、必ず実務研修を受講できるわけではありません。
実務研修の受講はバリスタになるための大きな難関となっています。
ソリシタ
ソリシタになるには以下の課程を経ることが必要です。
法科大学を卒業(3年)する点、法科大学以外の大学の場合さらに法学修士課程(GDL、1年)を修了する点は、バリスタと同様です。
- 法曹院(法学院)でソリシタ養成コース(LPC)を修了(標準1年、長期履修2年)。
- ソリシタ事務所(政府関係企業などでも可能)における実務研修(Training contract、2年)及びPSC研修(12日間相当)を受講し、ソリシタ認定証の付与を受ける
ソリシタ事務所における実務研修においても毎年1,500名以上が研修を受講できない状況です。
バリスタ事務所における実務研修同様、実務研修の受講はソリシタになるための大きな難関となっています。
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この記事の監修者
リーガル専門コンサルタントとして、弁護士・法務人材を中心に転職支援を行う。中国発大手テクノロジー企業の日本法人にて創業メンバーとして事業開発・推進に従事。スタートアップ〜大手事業会社での事業開発、マネジメント経験を有していることから、様々な角度からの俯瞰したアドバイスを強みとする。
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