四大法律事務所の弁護士のキャリア 15人が語るパートナー・転職・独立
更新日:2026年9月14日
四大法律事務所に入った弁護士は、その後どんなキャリアを歩んでいるのか。パートナーを目指して残る人、事業会社やリーガルテック企業に移る人、独立して自分の事務所を構える人。どの道もあることは知られていても、それぞれの場所で実際に何が起きているのかは、外からは見えにくいのではないかと思います。
アガルートキャリアジャーナルでは、これまで四大法律事務所に在籍した方、そしていま在籍している方に直接お話を伺ってきました。西村あさひ、アンダーソン・毛利・友常、長島・大野・常松、森・濱田松本。四大すべての出身者を含む15人です。入所4年目のアソシエイトから、パートナーへ昇格した方、パートナーを務めた後にインハウスへ移った方、独立して間もない方まで、立場にも年次にも幅があります。
本記事では、15人のインタビューを「四大で積み上がるもの」「パートナーという道」「転職という道」「独立という道」という視点で編み直しました。事務所の数年間で何が身につくのか。残る人は何を決め手にしているのか。出た人はどこへ行き、何が変わったのか。四大法律事務所でのキャリアを考えている方の参考になれば幸いです。
| 進み方 | 所属先 | 取材で語られた内容 | 登場者 |
|---|---|---|---|
| 四大に在籍 | 森・濱田松本法律事務所 | ローテーション制度、受任禁止制度、留学とシンガポールオフィス勤務を経てパートナーへ | 田中 洋比古 様(パートナー弁護士) |
| 四大に在籍 | 長島・大野・常松法律事務所 | 4年目のアソシエイト。ファイナンスを軸に、危機管理・訴訟・人事労務を並行して担当 | 三浦 雅哉 様(アソシエイト弁護士) |
| 転職(大手企業) | ルネサス エレクトロニクス株式会社 | 世界約120名の法務組織。日本・米国・欧州・中国に分散し、弁護士資格者は13名 | 本間 隆浩 様(森・濱田松本) 田子 晃 様(アンダーソン・毛利・友常) |
| 転職(大手企業) | 日本アイ・ビー・エム株式会社 | 経営層との距離が近く、1年ごとのローテーションで担当領域が入れ替わる | 大内 麻子 様(アンダーソン・毛利・友常) 田中 聡美 様(アンダーソン・毛利・友常) |
| 転職(成長企業) | 株式会社ユーザベース | 「スピーダ」「NewsPicks」の各事業に紐づく法務チーム | 服部 友哉 様(森・濱田松本) 岡田 一輝 様(西村あさひ) |
| 転職(成長企業) | 株式会社BuySell Technologies | 法務・リスクマネジメント・法務オペレーションの3グループを入社後に再編 | 尾崎 健悟 様(森・濱田松本) |
| 転職(リーガルテック) | 株式会社LegalOn Technologies | 社内法務に加え、法務人材がプロダクトを作る「法務開発」部門を持つ | 奥村 友宏 様(長島・大野・常松) |
| 転職(経営・団体) | 株式会社いつも/日本組織内弁護士協会(JILA) | 法務部長を経て監査等委員へ。JILA理事長として組織内弁護士の現在地を語る | 新熊 聡 様(長島・大野・常松) |
| 独立 | ホウガイド法律事務所 | 事業会社への出向を経て、2024年10月に独立 | 福澤 寛人 様(森・濱田松本) |
| 起業(事務所と兼務) | MNTSQ株式会社 | 四大法律事務所との協業を軸にしたリーガルテック企業。事務所に在籍したまま創業 | 板谷 隆平 様(長島・大野・常松) |
| 事務所へ復帰 | 法律事務所ZeLo | 事務所から出向・転籍を経て事業会社へ、その後あらためて事務所へ | 桐谷 曜子 様(長島・大野・常松) |
| 兼務 | Tesla Japan合同会社/松下法律事務所 | インハウスと法律事務所の弁護士を兼ねる | 稲井 宏紀 様(アンダーソン・毛利・友常) |
※所属・役職等は、それぞれの取材当時のものです。
INDEX
「1年間かけて2分野の業務を順番に経験します」 四大の数年で積み上がるもの
パートナーを目指すにせよ、外に出るにせよ、出発点は事務所での数年間です。四大法律事務所の内側で何が起きているのかは、これから入る方にとっても、出ることを考えている方にとっても、判断の土台になります。今回お話を伺った中には、いま在籍しているお二人と、そこを経て別の場所にいる方が含まれています。まずは、事務所の数年間について語られた部分から見ていきます。
森・濱田松本法律事務所の田中洋比古様は、2013年に入所し、2025年にパートナーへ昇格した方です。入所直後の仕組みについて、こう説明しています。
田中洋比古 当事務所は入所時点では専門分野が決まっておらず、1年間かけて2分野の業務を順番に経験します。その経験を踏まえて2年目以降の専門分野が決まります。これが「ローテーション制度」です。
ローテーション制度はさまざまな経験をしてから専門分野を決められるため、非常に良い制度だと思います。
長島・大野・常松法律事務所の三浦雅哉様は、74期・4年目のアソシエイトです。分野の広がり方は、同じような形でした。
三浦 ファイナンスをメインとしつつ、危機管理やジェネラルコーポレート、そして現在中心的に取り組んでいる訴訟や人事・労務の案件を並行して担当していました。
森・濱田松本法律事務所を経て2024年に独立した福澤寛人様も、入所前に感じた事務所の魅力として、同じ制度を挙げています。
福澤 森・濱田松本法律事務所は大きく三つの理由から、自分に合っていると感じました。
福澤様が挙げたのは、ローテーション制度、島制度、そして若手のうちからクライアントと接点を持てることの3点でした。もっとも、制度が整っていることと、実際にやってみることは別だといいます。
福澤 実際に現場に出ると、分からないことばかりでした。
別々の事務所の3人が、そろって「最初から専門を絞らない」ことを挙げている。これは今回の取材で目立った点でした。
働き方についてはどうでしょうか。田中洋比古様は、労働時間に関する事務所の仕組みと、そこで学んだことを話しています。
田中洋比古 当事務所には「受任禁止制度」といって、一定期間の労働時間が水準を超えると新規案件を受けてはいけないというルールがあります。
受任禁止制度は「1ヶ月の労働時間が何時間か」で対象となるか否かが決まりますから、案件を受けすぎて大変な状況であることが分かるまでにタイムラグがあるんですよね。
田中洋比古 案件を受けすぎて大変な目に遭うという経験は、おそらく多くの弁護士がしているんじゃないでしょうか。
無理をしても結局のところ誰の得にもなりませんからね。適切な業務量を自分でコントロールして案件を受けることが大事だなと学びました。
一方、三浦様が語った日常は、四大法律事務所という言葉から連想されるものとは少し違うかもしれません。
三浦 平日は大体10時ぐらいまでに事務所へ来ることが多いです。
意外にもプライベートをしっかりと楽しむ時間が確保できています。
三浦様が事務所を選んだ理由も、案件の内容や規模ではありませんでした。
三浦 最終的な決め手となったのは「人の良さ」です。長島・大野・常松法律事務所は、会った人は皆本当に接しやすい雰囲気を持っていました。
内部的なストレスの小さい環境であれば、何とかやっていけるのではないかと感じたことが入所の大きな理由です。
もう一つ、大規模事務所の特徴として語られたのが、案件を担当する体制です。アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て、現在はTesla Japan合同会社と松下法律事務所で活動する稲井宏紀様は、事務所の仕事の進み方をこう説明しています。
稲井 やはり大規模な法律事務所だとパートナーがいて、シニアアソシエイトがいて、ジュニアアソシエイトがいて、と階層式になっていて複数人で案件を担当します。成果物が出る前にパートナーが見ることが多いので自分の仕事を誰かがレビューしてくれる状態になるわけですが
複数の目が入った状態で世に出る。これが当たり前かどうかは、外に出てみて初めて分かる部分でもあるようです。この点は、後ほどあらためて出てきます。
アドバイザーの視点|同じ経験でも、事務所とインハウスでは見られ方が違います
四大法律事務所での経験は、求人にもよりますが、選考で確実に見られる部分です。そのうえで、法律事務所の求人とインハウスの求人とでは、見られ方の傾向が違います。
法律事務所の募集は、比較的専門分野を特定したものが多くなります。一方でインハウスの募集は、特定分野の深さよりも、総合的に対応できる力を求められることが多い印象です。あくまで傾向ではありますが、同じご経歴でも、応募先によって前面に出すべき部分は変わってきます。
また、年齢にもよりますが、四大法律事務所の弁護士であるということ自体が、基礎的な能力の高さの裏付けとして受け止められる部分はあります。
「自分なりのアドバイスの価値が出せた」 パートナーという道
四大法律事務所のキャリアを考えるとき、まず思い浮かぶのがパートナーへの道です。ただ、その決め手が何なのかは、あまり語られてきませんでした。2025年1月にパートナーへ昇格した田中洋比古様は、そのきっかけを具体的に振り返っています。
田中洋比古 洋上風力発電のような大型で難しい案件にいくつか関与していた中で、上の先生の下働きにとどまらない、自分なりのアドバイスの価値が出せたと思えた瞬間がいくつかありました。
そこで自分も弁護士として一定のバリューが出せるんじゃないかという自信が得られました。その経験がターニングポイントとなり、カウンセルやパートナーになろうと決心できたんです。
年次でも、肩書きでもなく、「自分のアドバイスに価値が出せたと思えた瞬間」。決め手として語られたのは、外形的な条件ではありませんでした。
田中洋比古様は、バージニア大学ロースクールへの留学とシンガポールオフィス勤務を経ています。そこで得たものについても話しています。
田中洋比古 シンガポールオフィスでは、東南アジア各国の不動産プロジェクトを扱っていたのですが、現地の法律事務所と一緒に案件に取り組んでいました。それを通じて海外の法律事務所と一緒に働く方法を学びました。
海外のファームを使う立場になってレスポンスの速さって大事だなと感じました。
田中洋比古 顧客の皆様との信頼関係を築くのは基本的なことの積み重ねでしかないなというのをすごく感じました。
もっとも、パートナーになることがキャリアの終点というわけでもありません。ルネサス エレクトロニクスで法務統括部ヴァイスプレジデント兼ジェネラルカウンセルを務める本間隆浩様は、森・濱田松本法律事務所でパートナーを務めた後にインハウスへ移った方です。その理由の一つは、仕事の内容とは別のところにありました。
本間 ちょうど小さな子ども二人の子育てのタイミングで、森・濱田松本法律事務所での仕事は激務だったため、仕事と家庭のバランスを調整する必要が出てきた
そしてもう一つが、事業の中に入ってみたいという思いでした。
本間 それまで出向を一度も経験したことがなかったので、外から見ていた企業法務の中に入って事業を近くでサポートする役割を経験したいという思いがあった
パートナーまで進んだ後に外に出る道もある。ここから先は、事務所を出た方々の話になります。
「案件が終わったら一段落」 事務所を出るときに考えていたこと
今回の15人のうち9人が、四大法律事務所から別の場所へ移っています。行き先は大手企業、成長企業、リーガルテック企業、そして経営に関わる立場までさまざまです。まずは、事務所を出るときに何を考えていたのかから見ていきます。
BuySell Technologiesで執行役員 法務コンプライアンス室 室長を務める尾崎健悟様は、森・濱田松本法律事務所での仕事そのものには満足していたといいます。それでも動いたのは、案件の終わり方に理由がありました。
尾崎 案件自体はやりがいがあって楽しかったんですが、毎回クライアントが変わって、案件が終わったら一段落。その後どうなったかというところに深く関与できないことに、もどかしさを感じていました。
一つの事業会社で、意思決定に近いところから事業が進んでいくところまで一気通貫でやりたい、という思いが強まっていったんです。
きっかけになったのは、事務所在籍中の出向経験でした。
尾崎 法律事務所時代に証券会社へ出向する機会があって、会社の中で働くことを実際に経験したのも大きかったですね。それが転身を決めたきっかけです。
日本アイ・ビー・エムの田中聡美様も、仕事の区切り方に同じような感覚を持っていました。
田中聡美 法律事務所では依頼に対して法的見解を示して終わることが多いのですが、社内にいると事業の構想段階から関わり、自分の助言がプロジェクトの形になる過程を見届けられます。その「一緒に育てていく」感覚がとても刺激的でした。
同じく日本アイ・ビー・エムの大内麻子様は、出向を経てインハウスへ進んだ方です。
大内 法律事務所にいるときは企業法務の現場で何が起きているのか具体的に想像できなかったのですが、実際にビジネス部門の方々と議論を重ね、会社としての意思決定に関わる過程を経験し、自分にとても合っていると感じました。
一方、担当していた分野そのものへの物足りなさを挙げた方もいます。ルネサス エレクトロニクスの田子晃様は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、スキャデン・アープス法律事務所を経て入社した方です。
田子 業界で定着したひな型から大きくはずれた内容となることはなく、法的論点についての検討やクライアントの利益のために交渉する場面が少なく、少し物足りなさを感じていた
弁護士になったからには、もっと法律的な論点や問題点に触れた仕事をしてみたいという思いがだんだん大きくなり、異なる分野にチャレンジしてみようと思ったのがきっかけ
ユーザベースでNewsPicks Legal Teamのリーダーを務める岡田一輝様は、西村あさひ法律事務所を経て入社しました。挙げているのは、忙しさと意欲の関係です。
岡田 本来であれば意欲が湧くはずなのに、忙しさで心から楽しめないのは良くない
そのうえで、「事業に強い関心を持てる企業ならば、より楽しめるのではないか」と考え、移り先を選んだといいます。
同社でSpeeda Legal Teamのリーダーを務める服部友哉様は、森・濱田松本法律事務所でM&Aや通商案件を担当した後、国内スタートアップを経て入社しました。
服部 自分の総合力を高め、貢献できる範囲を拡げたい
より少人数で企業全体を見渡し、事業成長の全過程を経験したい
少し毛色の違う理由もありました。稲井宏紀様がアンダーソン・毛利・友常法律事務所を出たのは、新しい事務所の立ち上げに参加するためでした。
稲井 高井弁護士も長島・大野・常松法律事務所の出身ですし、業務分野もそこまで変わるものではなかったので、思い切って飛び込んでみようと決意しました。やはり事務所の立ち上げを人生で何回経験できるかというと、めったにないことです。
案件の終わり方、担当分野への物足りなさ、忙しさと意欲のバランス、そして新しい場をつくる機会。事務所での仕事に不満があったから出た、という単純な話ではありませんでした。
「アドバイスをして終わりではない」 移った先で変わること
では、移った先では何が変わるのか。ここからは、四大法律事務所での仕事との違いとして語られた部分を見ていきます。ルネサス エレクトロニクスの田子様は、法律事務所とインハウスの仕事の境目を、はっきりとした言い方で説明しています。
田子 法律家の仕事は、アドバイスをして終わりではない。法律事務所であれば「これはOKですか?」と聞かれ答えるところまでが大きな仕事かと思う
インハウスローヤーの仕事はそこからです。今のスキームで立ち行かない場合に「どうスキームを変えればこのビジネスを進められるのか」を、事業部門が何を達成したいのかをしっかりと聞き取りながら案件をドライブしていく
本間様も、同じ違いを別の角度から語っています。
本間 法律事務所で特定の法的論点やプロジェクトに関して法律に特化した形で深く掘り下げたアドバイスを出すのと、インハウスでより大きなビジネスのコンテクストの中で解決に導いていくことの性質の違いは大きい
物事を実現したり解決したりするための「ツール」としていかに法律を使うか、そのスキルを突き詰めるのがインハウスローヤー
関わり始めるタイミングも変わります。岡田様は、企画段階から入れることを挙げました。
岡田 インハウスでは企画段階から入れるケースが多い。単に契約書のレビューを任されるだけでなく、スキームの構築や運用設計などから一緒に検討する
服部様が挙げたのは、手に入る情報の違いです。
服部 得られる情報の量や深さが非常に大きい。自ら課題を掘り下げ、必要があれば部署を横断して追加情報を取りに行くことで、ようやく法務としての責任を果たすことができる
そして、記事の冒頭で稲井様が語っていた「誰かがレビューしてくれる状態」は、移った先では前提ではなくなります。
稲井 インハウスの方が、一人で一つの案件を担当させてもらえるケースがかなり多いとは感じました。(中略)インハウスでは「この仕事は君が一人で担当してよ」という状況も多くなると思います。
これは大きなプレッシャーがあります。事業側と直接一人で会議をして、そこで私が「いいよ」と言えばそのまま会社の方向性が決まってしまうわけですからね。これでいいのかと悩むことも珍しくありません。
行き先は、事業会社の法務部だけではありません。LegalOn Technologiesで執行役員CCOを務める奥村友宏様は、長島・大野・常松法律事務所で約9年を過ごした後、法務人材がプロダクトを作る「法務開発」の領域に進んだ方です。
奥村 単なるデジタル移行ではなく、ベストな方法を模索し「実務を作っていく」のが私たちの使命です。
尾崎様がBuySell Technologiesを選んだ理由も、できあがった組織に入ることではありませんでした。
尾崎 まだ完成しきっていないという点です。法務組織・コンプライアンス体制を自分たちで考えて作っていく、「0→1」ができる環境であることが面白そうだと思った理由です。
さらにその先に、経営に関わる立場があります。長島・大野・常松法律事務所、国広総合法律事務所を経てトリドールの法務部長を8年務め、現在は株式会社いつもの監査等委員と日本組織内弁護士協会(JILA)の理事長を兼ねる新熊聡様は、企業の中で法務が直面する難しさをこう語っています。
新熊 「契約書にこう書いてあるからできません。以上」では、経営者の求めに十分応えきれていないことになります。
新熊 経営者にとっては、数字がすべてです。法務の話も、どう数字に変えて理解してもらうかが問われます。
そのうえで、弁護士が経営に入ることの意味についても触れています。
新熊 我々が経営に入ることで、適法性を超えて妥当性のところまで判断していける。これが一つ大きなメリットだと思います。
関わり始めるタイミング、手に入る情報、一人で背負う範囲、そして担う役割そのもの。変わるのは働く場所だけではなかった、という話が並びました。
アドバイザーの視点|選択肢は幅広い一方、人気の求人は競争が激しくなります
四大法律事務所出身の方にご紹介できる求人は、幅広くあります。法律事務所はもちろん、財閥系をはじめとする大手企業、そしてスタートアップまで、選択肢は豊富です。
一方で、四大出身の方が希望されることの多い求人ほど、競争は激しくなります。総合商社やPEファンドなどはその代表で、そもそも求人の数自体が多くありません。ご相談いただいたタイミングで、ご経歴に合うポジションが出ているとは限らない、ということです。
そのため、すぐに転職をお考えでなくても、早い段階から市場の動きを把握しておくことをおすすめしています。希望に近い求人が出たときに動けるかどうかは、タイミングに左右される部分が大きいためです。
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「自分で動きたい」 独立・起業という道
組織を移るのではなく、自分で始めるという選択もあります。今回の15人のうち2人が、この道を選んでいました。ただし、その形はそれぞれ違います。
ホウガイド法律事務所の代表弁護士である福澤寛人様は、慶應義塾大学在学中に予備試験・司法試験に合格し、73期の司法修習を経て2021年に森・濱田松本法律事務所へ入所、2024年10月に独立した方です。転機になったのは、第一三共株式会社への出向でした。
福澤 クライアントサイドの視点に立って業務を経験してみたかった
出向先で変わったのは、判断の位置でした。
福澤 事務所に勤務していた時は、パートナー弁護士に見てもらってからお客様に提案を出すのが基本だったのですが、第一三共株式会社では体感7割程度は自分の判断で進めていました。
主体的に動くのは楽しいなと思いました。
この感覚が、そのまま独立の理由につながっています。
福澤 主体的にお客さんと向き合って仕事をしたいし、営業も経営も全部やってみたいという、「自分で動きたい」という思いが主な理由です。
独立後に取り組もうとしていることも、従来の弁護士業務の枠に収まるものではありません。
福澤 独立したばかりの経営者などが、契約周りでトラブルにあわないような仕組みを作りたい
もう一人、MNTSQ株式会社の板谷隆平様は、長島・大野・常松法律事務所の弁護士として在籍したまま同社を創業し、CEOを務めています。事務所を辞めずに事業を持つという形です。取材時点での自社の状況について、率直に話しています。
板谷 良くも悪くも我々はここ2年ほどでかなり急激に成長してしまったという面があります。「医者の不養生」で恥ずかしい話なのですが、現在100人の社員がいるのに実は法務の専任者がいません。
弊社はたとえばお客様との対面のコンサルタントだとか、プロダクトマネージャーだとか、法務人材がいろんなところにいるんですよ。
板谷様が語る法務人材の役割の変化は、独立や起業という選択の背景にもつながっています。
板谷 法務でも標準的でプレーンな契約を作るところはAIに任せつつ、ビジネスを進めようとしている事業部ともっと深くコラボレーションをすることが求められています。
これまでの法務は、書類のフォントサイズを10.5に直して、明朝体に変えて、インデントを直して……というように文書を作る仕事でした。でもこれからは、事業部の横に並んで事業を作る人になっていくと思うんです。
キャリアの選び方そのものについては、奥村様が言葉を残しています。
奥村 弁護士となると法律事務所かインハウス、法務部などのキャリアパスがある種の「成功」だと考えられがちです。
しかしご自身に法務的な知見があるからといって、道を絞ってしまうのはもったいないのではないかと私は思います。
ご自身のスキルによって道を狭めるのではなく、そのスキルが何に活かせるのかを考えてみることで、従来的なキャリアだけではない活躍の場があることに気が付くはずです。そういった場が徐々に増えてきています。
「どこまで行っても自営業者」 一度出ても、戻る道がある
ここまで、残る道と出る道、そして自分で始める道を見てきました。ただ、キャリアは一度選んだら戻れないものでもないようです。最後に、行き来している方々の話を見ていきます。
法律事務所ZeLoの桐谷曜子様は、56期。長島・大野・常松法律事務所でキャリアを始め、大和証券の自己投資部門への出向を経て転籍、その後は農林中央金庫に約7年間所属し、あらためて法律事務所に戻った方です。事務所を出た理由は、見えていないことへの危機感でした。
桐谷 事務所の会議室に座っているだけではいけない、とにかく何かを知らなければならない
クライアントの社内で意思決定がどう進むのかが見えないことに、もどかしさがあったといいます。
桐谷 彼らの上司である役員がどんな世界を見ているのか、いろんなことが分からなかった
企業の中を知ったことは、事務所に戻ってからの仕事に効いているそうです。たとえば、依頼に対して「上司報告用のものまでご用意させてください」と申し出るような対応ができるようになった。相手のニーズを汲み取りやすくなったといいます。
そして、立場が変わっても変わらないものとして、こう語っています。
桐谷 やっぱりどこまで行っても「自営業者」です。大きい事務所にいてもそうでなくても、自分の作ったものでお客様からお金を頂戴できるかどうか
キャリアの選び方についても、判断の軸を挙げていました。
桐谷 自分の気質と世の中のニーズを見つめていって、掛け合った時に歯車が合って前に進んでいく時って、すごくいいですよね
経験が一方通行ではないという点は、板谷様も同じことを話しています。
板谷 また、リーガルテック企業でさまざまなオペレーション業務の経験を積むと、法務部門に戻った時に「法務部のオペレーションをどうしよう」だとか「法務部においてテクノロジーをどう活用していきましょうか」といった、より視座の高い議論を自分がリードできるようになります。
ですから、法務部の経験はリーガルテック企業で活きますし、リーガルテック企業の経験は法務部で活きると思いますね。
そもそも、どちらかを選ばないという形もあります。稲井様は、Tesla Japanのインハウスと松下法律事務所の弁護士を兼ねています。
稲井 事務所での業務がインハウスの仕事にも活きますし、逆にインハウスで経験した社内の力学を分かった上で事務所の弁護士として案件を進めることもできます。ですから相乗効果というか、相互に良い効果が出てくると思います。
そういったメリットがありますから、どちらか一方しか選べないとしたら弁護士としての幅を自ら制限してしまうことになり非常にもったいないですよね。
今回の15人を並べてみると、「四大法律事務所のキャリア=パートナーを目指すか、辞めてインハウスになるか」という二択のイメージだけでは捉えきれない側面が見えてきます。残る、出る、自分で始める、そして戻る。どの道にも実例がありました。なお、ここで語られたのは15人の実例であり、四大法律事務所に在籍した方のキャリアがすべて同じ形をしているわけではありません。関心を持たれた方については、それぞれの記事でより詳しいお話をご覧いただけます。
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四大法律事務所からのキャリアを考えている方へ
アガルートキャリアは、弁護士・法務・管理部門に特化した転職エージェントです。四大法律事務所出身の方にご紹介できるポジションについても、公開されていない求人を含めて扱っています。法務組織の規模や、どこまでが担当者の判断に委ねられているか、経営層との距離といった点は、求人票からは読み取りにくい部分です。
ご相談は、弁護士・法務のキャリアを専門に扱うアドバイザーが担当します。本記事のように、各社の法務トップや現場の方、そして法律事務所の弁護士にも直接お話を伺っていることが、ご提案の精度につながっていると考えています。組織の雰囲気や、実際にどのような経歴の方が活躍されているかといった、数字に表れない部分もお伝えできます。
すぐに転職をお考えでなくても構いません。まずは市場の状況を知りたい、自分の経歴がどう評価されるのか確認しておきたい、という段階でのご相談も歓迎しています。ご相談は無料です。
四大法律事務所からのキャリアについて、一度話を聞いてみたいという方は、お気軽にご連絡ください。
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この記事の監修者
弁護士専門の転職エージェントが、 自身では探せない非公開求人をご提案
大手事務所、外資、インハウスなど
多数の非公開求人を保有
- 4大法律事務所
- アソシエイト年収1,200〜2,000万
- 外資系法律事務所
- アソシエイト年収1,400〜3,000万+ボーナス
- 中堅法律事務所
- アソシエイト年収800〜1,000万
- 財閥系総合商社
- インハウスローヤー年収1,200〜1,500万
- 信託銀行
- インハウスローヤー年収900〜1,400万
- PEファンド
- アドミ担当(リーガル)年収1,300〜2,000万+特別賞与

